停戦合意後のアルメニアの状況 

昨日11月11日は、中国では「独身の日」で、その日にネット通販各社が大規模なセールを行うのが恒例になっています。そして、最大手アリババの取引額が過去最高の7.9兆円に達したとのこと。これって東京都の一般会計予算を超える額…すごすぎる。今年はセール期間が延長されたことも影響していますが、中国経済はコロナ禍の中で一人勝ちと言えるのかもしれません。

さて、完全な停戦合意が締結されてから三日が経ちました。事実上のアルメニアの降伏という結果で終わり、また屈辱的な合意内容であったため、多くのアルメニア国民は深い落胆と悲しみに中にいます。妻もまだ立ち直れていないみたいで、見ていて辛いです。

シューシを含むカラバフ領土の南部と周辺地域を返還し、アゼルバイジャン本土と飛地ナヒチェバンを繋ぐ道路が国内に建設されるという条件は受け入れがたいに決まっています。怒りで暴徒化した市民らが、政府庁舎や首相官邸に乱入して、国会議長に暴行を加える事件まで起こりました。これは明らかに犯罪行為なので、首謀者らは逮捕されました。

アルメニアとカラバフの政府は、要所のシューシが陥落したことで降伏せざるを得なかったと説明していますが、現地で戦っていた兵士らはそれを否定しています。そのため、政府首脳らが国民を裏切ったとか、事前に計画があって領土を売ったなどの憶測が飛んでおり、こんな屈辱的な停戦をするべきではなかったと考える人も多いです。

実は、私も当時の状況については疑問が残っています。シューシの前線を取材していたロシア人ジャーナリストの投稿をずっとリアルタイムで読んでいましたが、合意締結の数時間前もまだ戦闘が続いていて、シューシが完全にアゼルバイジャン軍の手に落ちたようには見えませんでした。ただ、シューシ市内でも戦闘が起こっていたので(手引きした裏切り者がいるという話もあります)、いずれにしても陥落は時間の問題だったかもしれません。

もし実際にシューシが奪われたら、そこから見下ろせる首都ステパナケルトは簡単に攻撃できます。ただでさえアゼルバイジャン軍は最新鋭のドローンを多用するなど軍事力で勝っているので、そうなると壊滅的な被害が出て、下手すればカラバフ領土全てを失ってしまいます。この最悪のシナリオを回避するためには、大幅に譲歩してでも停戦を受け入れざるを得ません。もし噂になっている裏切りや密約などなくても、戦局はアルメニアに不利だったのではないでしょうか…

とはいえ、簡単に納得できる結果では決してないし、上記のような憶測も飛んでいるため、現政権への不満や不信感は高まっています。そして、17の野党がパシニャン首相の辞任を求めるデモを起こし、政局が混乱しています。このニュースを聞いた時、「エッ?!アルメニアに17も政党があったっけ?」と驚きました。で、その政党名を見てみると、3つ以外は全く知らない新しい政党でした。知っている3つの野党も、革命で下野した前与党などで、この混乱に乗じて政権を取ろうという魂胆が見え見え…お金を払ってデモ参加者を集めているという話もあります。

だから、多くの国民は彼らのデモなどを冷めた目で見ています。今回の停戦合意には不満だけど、醜い権力争いに協力したくはないということでしょう。この戦争の結果を受けて、強権的な指導者を求める風潮が高まるかもしれない…と少し不安もあったんですが、今のところは大丈夫なようです。政権交代や強いリーダーを求めるのは別にいいんですけど、それでまた腐敗した独裁政権が生まれるのは避けてほしいです。

多くの国民は納得していないし、様々な憶測や噂が飛び交い、現政権への不満も高まっていることは事実です。しかし、上記のようにデモを主導している政治家のことも信用していない上に、まだ戒厳令が継続中で、基本的にデモは禁止されているため、エレバンは至って平穏です。お店は普通に開いていて、多くの人は仕事に通っていますし、コロナの感染拡大で閉鎖されていた学校や幼稚園も来週から再開する予定です。

私の見解ですが、今回のような歴史的な停戦合意は、数日で進められるものでもないし、アルメニアやカラバフの政府首脳らが独自で決定できるものではありません。結局ロシアが、戦局を注視しながら、トルコと駆け引きしつつ調整して当事国双方に飲ませたのだろうと思います。実際に、今回の合意内容は、過去にロシアが紛争解決のために提案したものと類似しているという情報もあります。ロシアにとっては、平和維持軍の展開など、この地域でのプレゼンスをさらに高められるメリットがあります。

アゼルバイジャン側にとっては歓迎できる内容だったでしょうが、実際はもっと過酷な条件をアルメニアに対して突きつけていたかもしれず、ロシアがうまく懐柔したのかもしれません。というのも、合意締結の数時間前に、アルメニアとナヒチェバンとの国境付近で、ロシア軍ヘリコプターが撃墜される事件があったのです。すぐにアゼルバイジャン側が誤射したとロシアに謝罪しましたが、タイミングがあまりにも悪すぎ。その後にロシア側は全く問題にしていないし、これを交渉のカードとして使った可能性はないでしょうか…

ちなみに、平和維持軍にトルコが参加するという噂があったり(ロシアは明確に否定)、アルメニアに残されたカラバフ領土の法的地位や難民の帰還プロセス、またアゼルバイジャンに返還される領土内のアルメニアの文化遺産の処遇など、合意内容についてはまだ曖昧な部分が残っています。それがアルメニア人の不安を煽っており、今後いろいろと明らかになっていくと思いますが、場合によっては国民の不満が爆発して、さらに政局が混迷するかもしれません。

いずれにしても、今回の停戦合意はロシアが全面的に主導した可能性が高く、そうであれば、今更アルメニアの政変で覆るものではなく、まして即座にアゼルバイジャンとの戦争に突入しようなんて愚の骨頂です。すでに多くの犠牲が出たというのに、さらに血と涙が流されるだけ…たとえ再び戦争でいくらか領土を取り返したとしても、アゼルバイジャンが反撃して、すぐまた同じ悲劇が繰り返されます。

とはいえ、アルメニア人にとっては受け入れがたい結果で、冷静でいられないのは当然のことです。戦争は勝敗が全てだと書きましたが、彼らの大きな喪失感と悔しさを思うと辛いです。いや、辛いなんて言葉では言い表せないほどの、外国人の私には到底理解できないほどの苦しみでしょう。しかし、いずれは落ち着きを取り戻して、なぜこうなってしまったのか、今後どうすべきなのか冷静に考えて、将来に向けて歩んでいってほしいと思います。

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アゼルバイジャンに返還される領土内にあるダディ修道院。9〜13世紀に建てられたアルメニア教会ですが、アゼルバイジャンは、「アルバニア人が建設した」と全く史実と異なる説明をしています…

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美しい鐘楼。本当に見応えのある修道院でした。

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内部の壁画が有名で、とても神秘的な雰囲気に満ちていました。

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素晴らしいハチュカル(十字架石)も数多く残されています。

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こういう歴史文化遺産がアゼルバイジャンの手に渡ることにも、アルメニア人は深く失望し、また今後どうなるのか心配しています。破壊されずに、大切に保存されることを願います。

アルメニアとアゼルバイジャンが停戦合意 

日本でも報道されたかと思いますが、昨晩、ロシアの仲介により、アルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意しました。その三か国の首脳が署名したので、最終的な停戦合意が締結されたことになります。ついに1か月以上続いた戦争が終結しました。そして、約30年続いた領土紛争にも終止符が打たれる可能性が出てきました。

というのも、停戦条件として、アルメニア側がほとんどの領土をアゼルバイジャンに返還することが盛り込まれているからです。つまり、これは事実上のアルメニアの敗北を意味します。今、多くのアルメニア人が大きな落胆と悲しみの中にいます。妻も相当ショックを受けていて、傍にいる私も辛いです。

アルメニアは、実効支配していたナゴルノ=カラバフ領土周辺の地域、そして今回の戦争で奪われたナゴルノ=カラバフ南部などを返還します。そこには要所だったシューシの街も含まれます。アルメニアに残されるのは、ステパナケルトを含むカラバフの北部など。それら以外の地域は、年内に段階的にアゼルバイジャンに返還される予定です。アルメニア本土とステパナケルトを結ぶラチン回廊の交通は確保されます。

アルメニアに残される地域とラチン回廊には、ロシアの平和維持軍が配備されます。すでに今朝から配備が進められています。また、アゼルバイジャン本土と飛地ナヒチェバンを結ぶ道路が建設されることも停戦条件に含まれています。このルートの移動や輸送の安全をアルメニアは保証し、上記のラチン回廊の移動や輸送の安全をアゼルバイジャンは保証しなければいけません。

上記の内容からも分かるように、アルメニアが大幅な譲歩を迫られた停戦合意となりました。パシニャン首相とナゴルノ=カラバフ大統領は、国民に向けて声明を出し、シューシ陥落など戦局が圧倒的に不利となり、戦闘を続けても状況が悪化して被害が増える一方であるため、苦渋の停戦合意を決断したと説明しました。

実は、昨日の夕方、ナゴルノ=カラバフの大統領補佐官が、「シューシも、ほぼアゼルバイジャン軍の支配下にある。ステパナケルトも危険な状態にある」という投稿をして、アルメニア国内が混乱しました。すぐにシューシにいる兵士たちが、「それは嘘だ!まだ戦闘が続いている」と伝える動画やメッセージなどを投稿したため、実際にどうなっているのか情報が錯綜しました。当時の現地の状況、また政府が停戦合意の決断に至った過程については、今も様々な憶測が飛んでいます。いずれにしても、シューシが主戦場になっている時点でかなり戦局は厳しかったのは確かです。

とはいえ、アルメニアにとって事実上の敗北となり、ほとんどの領土を失うことになるため、合意発表の直後に、それに反対する市民らが政府建物や首相官邸に乱入する事件がありました。国会議長が暴行を受け、病院に緊急搬送される事態にも発展しました。今日も同様の抗議デモが行われています。この屈辱的な決定をしたパシニャン首相らを売国奴と呼び、退陣を求める声も上がっています。

しかし、私はこの最悪の結末、場合によってもっと最悪の状況になる可能性も頭にはありました。悲しいかな、戦争は勝敗が全てです。もちろん戦争を回避して、なるべく交渉によって解決すべきですが、いざ武力による争いが本格的に始まってしまうと、あとは勝敗が全てを決めることになります。母国・日本は、その過酷な現実を徹底的に味わった国です。そういう意味で、今回の政府決定は仕方なかったのかもしれません。もちろん、そう思えるのは私が外国人だからで、当事者のアルメニア人たちにしたら受け入れがたいに決まっています。

虐殺など幾多の苦難の歴史を歩んできた民族です。常に周辺の大国に翻弄され、この領土問題も、元はいえばソ連時代の恣意的な決定に起因しています。今回の戦争でも、多くの血と涙が流されました。にも関わらず、自分たちの歴史や文化が刻まれた大切な土地を失い、多くの人が故郷を追われます。この紛争では双方に同様の悲劇が起こってきた訳ですが、まさに今その渦中にあるアルメニア人にとっては筆舌に尽くしがたい苦しみでしょう…

その苦しみを思うと私も辛いですが、とにかく戦争は終わりました。この1か月以上、多くの犠牲が出て、嫌と言うほど悲しみを見てきたので、少しホッとしている部分もあります。今は大きな歴史の転換点で、これからの道のりも困難を極め、国内がさらに混乱しないとも限りません。どうなっていくのか、今は希望よりも不安の方が大きいですが、この国を愛し、住んでいる者として、今後もアルメニアの情勢を見守っていきたいと思います。そして、当ブログで伝えていきたいと思います。

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美しいナゴルノ=カラバフの自然。この停戦で本当の平和が訪れますように…

シューシの街を巡る戦い 

混迷を極めた米大統領選は、選挙人の過半数を獲得したバイデン氏が勝利宣言を行いました。しかし、トランプ陣営はそれを認めず、法廷闘争に力を入れていくと述べています。大手メディアは、この不正疑惑をまともに取り上げようとしませんが、市職員や郵便局員が内部告発したり、投票用紙の集計機の不具合などが発覚して、FBIが捜査を進めているという情報もあります。まだまだ波乱が続きそうですね。

昨日は、映画(ドラマかな?)の撮影のエキストラの仕事がありました。たまに東洋人が必要な時に依頼があって、条件が合えば出演するんです。典型的な東洋人の見た目の上に、アルメニア語ができる日本人なんて貴重ですからね。撮影現場は建設中のビルで、資材を運んだりする外国人労働者の役を演じました。昨日は快晴で、そのビルの上からは美しいアララト山の姿を見ることができました。戦争が1か月以上も続いている中、その雄大な自然の風景に心が癒されました。

さて、そのナゴルノ=カラバフを巡る戦争の状況ですが、前線全域で戦闘が続いています。ステパナケルトには、クラスター爆弾も使った砲撃が行われ、民間人1名が負傷したそうです。これまでにカラバフ・アルメニア兵士1221名が亡くなったとのことです。特に、重要な拠点であるシューシの街近郊では激しい攻防戦が続いています。昨日は、市内部でも小規模の戦闘が発生したとアルメニア国防省は発表しました。厳しい状況ですが、カラバフ軍は防衛に成功しているとのことです。

なのに、昨日アリエフ大統領は、「ついにシューシを奪還した!」と公式に発表しました。そして、シューシの街の要塞やモスクにはためくアゼルバイジャン国旗の写真、またステパナケルトから逃げ出す市民たちの長い車列の映像などがネットで流れました。この発表を聞いたアゼルバイジャン国民は、積年の恨みを晴らした!と大喜びで、もう戦争に勝ったようなお祭り騒ぎだったようです。当然そうなるでしょうね。

しかし、アルメニア国防省は即座に事実無根と否定しました。上記の写真や映像も、異なる建物だったり、他国の映像だったりと捏造であることが判明しています。シューシの街に残っている市民も、「特に何も起こっていない」と話しています。この稚拙なアゼルバイジャンのプロパガンダについては、以前に記事(こちら)で書いたことがありますが、いくらなんでも、こんな重大なことをフライング発表してもいいんでしょうか…

ただ、そこまでする理由は想像できます。というのも、今日は、アゼルバイジャンで「国旗の日」という祝日だそうで、アリエフ政権としては、その日までにシューシ奪還という大きな戦果を挙げて、国威高揚に繋げたかったんだろうと思います。最悪あとでシューシを奪還して、既成事実化してしまえばいいということかもしれません。向こうは厳しく情報統制されているから、国民も政府発表をそれほど疑わないでしょうし、グッドニュースは信じたいというのが人の性ですからね。

こんなことがまかり通っているのに、昨日BBCが行ったアリエフ大統領のインタビューには呆れました。BBCの記者が、同局の取材陣やヒューマン・ライツ・ウォッチが、ステパナケルトなど市街地への無差別攻撃、またクラスター爆弾などの使用を現地で目撃している点について尋ねたところ、アリエフ大統領は、「全てフェイクニュースだ!」と答えたんです。そして、シューシのガザンチェツォツ大聖堂を砲撃したことについても、「誤爆だろう」と答え、記者に「2回続けて同じ場所を誤爆しますか?」と突っ込まれていました。

戦時だから、プロパガンダや誤情報が流されたり、いろいろ情報が錯綜したりは仕方ないと思います。私も、基本的に住んでいるアルメニア側の見解や情報を書いてはいますが、それが全て真実だとは思っていません。アルメニア側だって、公表しないことや歪曲していることなど多々あるでしょう。いわゆる大本営発表というやつですね。そこは承知した上で、私はジャーナリストでもなく、これもあくまで個人のブログですから、自分の書きたいことや伝えたいことを徒然に綴っているのです。

とはいえ、アゼルバイジャンのは度を越しているし、平時の教育やプロパガンダも偏りすぎていて、そこから生まれる激しいアルメニア人嫌悪には恐怖を覚えます。過去には就寝中のアルメニア人を斧で殴り殺した兵士が国の英雄として称えられたり、先日は国内のサッカークラブの広報代表が、「老若男女すべてのアルメニア人を殺さなければならない」とネットに書き込んだりしました。こんな行為や発言が許される国情は明らかにおかしいと思います。

また、数年前に日本語ができるアゼルバイジャン人と会った時も、私がアルメニアに住んでいると聞いた彼は、「エレバン含めてアルメニア領土は全てアゼルバイジャンのものだったんですよ」と言ったので驚きました。気さくでいい人だったし、そういう風に洗脳されているんでしょうけど、カラバフだけじゃなく、アルメニアの国土も全部アゼルバイジャンだったと信じているなんて…だったら、古いアルメニア教会とかは誰が建てたことになるのでしょうか?

とにかく、シューシの街はまだ陥落していません。前線を取材しているロシア人ジャーナリストが、先ほどもリアルタイムで戦闘の映像を流しながら、「まだシューシは陥落していない」と言っていました。しかし、国民に大々的に発表してしまったからには、アゼルバイジャン軍も総攻撃をかけて必死で奪いにくるでしょう。今日に状況が大きく変わる可能性は否定できません。結局、戦争は勝ち負けですからね…ただただ成り行きを見守るしかありませんが、今も双方に多くの犠牲が出ていることは確かです。一刻も早く事態が収束してほしいと思います。

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撮影現場のビルから見えたアララト山の雄姿。エレバンは普段と変わらず平穏です。もちろん多くの人は、戦争のことが気になって落ち着かない状況ですが…

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昨日は家族で近所の教会に行ってお祈りしてきました。子供たちも自分でロウソクに火をつけて立てました。早く平和が訪れますように…

結婚9周年を家族でお祝い 

混迷している今回の米大統領選。トランプ陣営は、不正があったと激戦州の集計差し止めを請求したため、結果を巡って法廷闘争になる可能性が出てきました。メディアは、負けを認めたくないトランプ氏の抵抗だとか、往生際が悪いだとか相変わらず民主党寄りの報道ばかりが目立ちます。選挙前もバイデン氏の有利を伝えるものが多かったですが、実際はフロリダ州でもトランプ氏が勝つほどの大接戦になりました。

問題の郵便投票については、著名な知識人でさえ、「明らかに不正の温床になる」とずっと否定的でした。実際に、投票総数が有権者登録数を上回るという事態まで起きたそうです。なのに、メディアの多くは、証拠が示されていないとして、トランプ候補の会見を打ち切りました。現職の大統領の会見を打ち切るなんて妙な意図を感じます。ただ、元々アメリカの選挙システムは不正が起こりやすく、これは今に始まったことではありません。とにかく最終的にどちらが勝ったとしても、アメリカ国内はかなり混乱するでしょう…

昨日は、私と妻の結婚9周年でした。その日ぐらいは妻と二人きりでデート!と思いましたが、夕方にレゴ教室があったので、子供たちも一緒にお祝いのディナーをしました。場所は、レゴ教室の近くの中華レストラン。レオの4歳の誕生日もそこでお祝いしたんですが、キッズスペースがあって便利なんです。今回もアレンとレオが楽しそうにずっと遊んでいました。そこのホワイトボードに、レオがずっとアルメニア文字を書いていたのが可愛らしかったです。

食事も美味しかったし、家族みんなで乾杯しました。アレンとレオも、「おめでとう!」と言ってくれたのが嬉しかったですね。二人の子供を産み育ててくれて、いつも優しく支えてくれている妻に改めて感謝です。1か月以上も戦争が続き、暗く重い空気が国全体を覆う中、こうやって家族で記念日をお祝いできるのは本当に幸せなことだと思います。こんな時、家族がいると余計に心配にもなりますが、やはり一番大きな心の支えとなっています。一刻でも早く平穏な日々が戻ってほしいと思います。

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昨日のレゴ教室で、アレンはドリルを作りました。完成した作品が動いて嬉しそう!

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レオは自由に何か作っていました。

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レストランのキッズスペースで、アルメニア文字を書き続けるレオ。自然に覚えてしまったのがすごい!

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大変な状況の中、家族で結婚9周年をお祝いできて良かったです。リリット、これからもよろしく!そして、いつもありがとう!

その戦争の状況ですが、現在も前線では戦闘が続いています。重要な拠点となるシューシの街の数キロ圏内にアゼルバイジャン軍が迫っているため、破壊工作部隊が侵入を試み、カラバフ軍がそれを撃退するという攻防が続いているそうです。地理的に攻略が困難な場所なので、アゼルバイジャン軍にも相当の損失が出ているという情報もありますが、かなり緊迫した状況ではあります。しかし、トルコの支援を受けて、大量の近代兵器とシリア人傭兵を投入したアゼルバイジャンにすると、ここまで戦闘が長引くのは予想外だったでしょう。

また、ラチン回廊と呼ばれる、アルメニア南部とカラバフを繋ぐ幹線道路のある地域でも、同様の攻防が続いているようです。生命線とも言えるこの供給路を断たれると、カラバフ軍にとって死活問題となりますから、昨日は大規模な掃討作戦が遂行されました。大きな成果を挙げたと聞いていますが、いずれにしてもシューシやラチンという重要な場所で戦闘が続いており、戦局は山場を迎えているのかもしれません。

シューシやステパナケルトなどの市街地への激しい砲撃も続いています。昨日は、ステパナケルトで民間人3名が亡くなったとのことです。戦争勃発から現在までに53名の民間人が亡くなりました。一昨日は、アルメニア領内のゲハルクニク州の上空を4機の軍事ドローンが飛行し、全て防空システムによって撃墜されたそうです。アルメニア南部の村も砲撃を受けて、民間人に死傷者が出たという情報もあります。

そして一昨日、前線で負傷した兵士を搬送していた救急車が、アゼルバイジャン軍部隊の待ち伏せを受け、アルメニア人衛生兵1名が銃で撃たれて亡くなったとのことです。同衛生兵は、アゼルバイジャン軍部隊がアルメニア軍の制服を着ていたため、救急車を降りて近づいたところを銃撃されたと聞いています。救急車も銃撃を受けて峡谷に落ちましたが、幸い、運転手と搬送中だった兵士は命を取り留めたそうです。

民間人や衛生兵までが犠牲になり、本当に酷いことだと思います。しかし、これが戦争というものなのでしょう。戦時国際法などのルールがあっても、所詮は勝つか負けるかの綺麗事が一切通用しない世界…前回の記事に書きましたが、常に生と死が隣り合わせの戦場では、まともな思考や価値観、感性や人格など容易く崩壊してしまいます。悲しいかな、その醜い人間の本質というのは大して進歩しないのかもしれません。

この戦争でも、すでに多くの犠牲と悲劇が生まれていますが、そこから人間は、そして世界は何か学ぶことができるのか甚だ疑問です。どういう形で終結しても、憎悪の連鎖は断ち切れず、また同じことが繰り返される危険が続く可能性は否定できません。ただ、私含め多くの人が、戦争がいかに残酷なものか痛感したのは確かです。

だからこそ、当ブログで戦争に関する記事を書き続けています。やはり住んでいるアルメニア側の見解や情報に偏ってしまいますが、当然アゼルバイジャンでも悲惨な出来事はたくさん起こっているはずです。私が何より伝えたいのは、戦争ほど悲惨で、平和ほど尊いものはないということ。私の現地からの発信を通して、それを少しでも多くの人に考えてもらえたら幸いです。


アルメニア系の米国ロックバンド「System Of A Down」が、アルメニアとカラバフのために15年ぶりの新曲を発表しました。PVには、戦時下にあるカラバフの実際の映像が使われています。


もう一つの新曲。これらの曲の売り上げは全てアルメニアの人道支援のために寄付されるそうです。大好きなバンドで、エレバンで行われた虐殺百周年の無料コンサートも見に行きました。

終わっても続く戦争の苦しみ 

米大統領選挙は、多くの世論調査や予想を覆してトランプ候補が善戦しているため、かなりの大接戦になっています。フロリダ州で勝利するとはすごい!しかし、期日前投票や郵便投票の開票もあるから、結果が出るのは6日頃になる可能性も示唆されています。影響力のある大国のリーダーを決める選挙ですから、一体どうなるのか気になりますね。

明日は、私と妻の9回目の結婚記念日なので、家族でお祝いのディナーに行こうかと思っています。戦争で暗いニュースばかり続いていますが、社会や経済が少しでも回るよう、普通の生活が送れる人はそうすべきだと思います。みんなが悲しんだり、我慢したりしても状況が改善する訳ではありません。

特に子供たちには、どんな状況でも、なるべく無邪気に笑っていてほしいと思います。だから、息子たちをレゴ教室に通わせたり、公園に連れて行ったりして、あまり普段と変わらない日々、また少しでも楽しい時間を過ごしてもらうよう努めています。それに、もうすぐ本格的に寒くなってきますしね。

さて、ナゴルノ=カラバフを巡る戦争ですが、現在も前線では激しい戦闘が続いています。ステパナケルトやシューシなど市街地への砲撃も行われており、昨日はステパナケルトの母子保健センターがミサイル攻撃を受けて、民間人に死傷者が出たそうです。現在までにアルメニア人兵士1177名、民間人50名が亡くなったそうです。シューシには、クラスター爆弾が使用されたという情報もあります。

アルメニア人の首を切り落とすと、1人につき100ドルの報酬が約束されていたと語ったテロリスト捕虜の新たな証言が公表されました。そのシリア人捕虜は、トルコにリクルートされて約500人の他の傭兵らと共にアゼルバイジャンに送られ、トルコ軍とアゼルバイジャン軍によって訓練を受けたと述べました。また、指揮官らに、アルメニア人を一人残らず殺害するよう命じられたと告白しました。いくら戦争とはいえ、皆殺しの命令って恐ろしい…

恐ろしいといえば、アゼルバイジャンの国内サッカークラブの広報担当者が、「女性や子供、老人を含め、全てのアルメニア人を殺さなければいけない。後悔も慈悲も必要ない。オスマン帝国のアルメニア人虐殺も正当化すべきだ」とネットに投稿して問題になりました。すぐに削除されたそうですが、多くの人が閲覧して証拠もあるため、欧州サッカー連盟が、同人物に対してサッカー関連の活動を当面禁止する処分を下しました。さすがに酷すぎるヘイトスピーチで、これは当然でしょう。

前回の記事にも書きましたが、こういう憎悪や暴力的な空気が蔓延することが何より辛いです。フランスに続いて、オーストリアでも悲惨なテロ事件が起こり、欧州全体で不安と警戒心が高まっています。今回の戦争では、アルメニア人兵士たちも、多くのイスラム過激派テロリストと戦っていますが、世界にテロや暴力が拡大しないことを祈ります。

先日、戦地で負傷した妻の親戚のお見舞いに行ってきました。狙撃手に撃たれ、手術で小腸を全て切除するほどの重傷でした。まだほとんど歩けない状態でしたが、少し話をすることができました。彼が語ったのは、まさに地獄のような戦場の話。目の前で仲間が死んでいき、自分も生き残るために敵を殺し続ける…この生と死が隣り合わせの極限状態の中では、恐怖や狂気で人格が壊れていく者も出てきて、時には残酷なことが双方で起こります。そして、それが憎悪と暴力の連鎖を生んでいく…

そんな惨状を目の当たりにした彼は、体だけでなく、心までも傷ついていました。今も戦場にいる夢を見て、夜は1、2時間しか眠れないそうです。敵とはいえ、多くの人間を殺したことにも苦しんでいるようでした…しかし、「撃たれた時はもうダメだと思ったけど、こうやって家に帰れてよかった」と笑顔で言っていました。本当にそう思います。

トラウマになるほど辛い体験をしたかもしれませんが、愛する奥さんと小さな息子さんのためにも頑張って生きていってほしいと思います。また、生きて戻れなかった仲間のためにも、自分の命を大切にしてほしいと思います。そして、もう戦争を経験することのない人生を歩んでいってほしいと思います。

しかし、たとえ運良く生き残っても、彼のように体や心が傷ついて、その後も苦しむ人がたくさんいます。重度の障害者になる人、また精神を病んでしまう人もたくさんいると聞きます。そうなると、家族も地獄のような生活を強いられることになります…戦争は本当に残酷です。とにかく一刻も早く収束してほしいと願います。

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二人とも大好きなレゴ教室。アレンが作った動く作品を興味津々で見つめるレオ。

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今日はけっこう暖かかったので、子供たちを公園に連れて行ってあげました。

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大好きなミニバンジーで飛び跳ねるアレン

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レオも大好きで、けっこう高く飛び跳ねていました

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エアホッケーで仲良く遊ぶ兄弟。負けても喜ぶレオが可愛らしかった!

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家庭教師から出されたロシア語の宿題をするアレン。それを真似してアルメニア語を書くレオ。二人とも可愛いなあ