新しい動物園で子供たちが大喜び 

日がけっこう伸びて、夜8時頃まで明るくなってきました。晴れていると、半袖で十分なほどの暑さです。不安定な天候が続いていましたが、やっと初夏らしくなってきました。

アメリカの学校でまた銃乱射事件がありましたね。10人もの若い命が奪われた凄惨な事件ですが、場所がアメリカだと、「ハァ~ またかいな…」と大して驚きません。毎年起こっている上に、そこから何も学ばず社会が変わらない状況に呆れ果てているからです。アメリカでは、全米ライフル協会などの政界への影響力が強すぎて(トランプ大統領には32億円もの政治献金を行ったらしい…)、どれだけ銃による悲劇が起こっても本格的な規制には至らないという事情があります。

そのライフル協会が銃規制に反対する際に、「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」という言葉をよく使います。しかし、例えばオーストラリアでは、35人もの死者を出した1996年のポートアーサー事件をきっかけに国全体が一気に銃規制に動き、この20年以上は同様の事件が一つも起きていません。素早い対応で犠牲者の死を無駄にしなかった訳です。これでも銃規制がアメリカの抱える問題の解決にならないと言えるんでしょうか…

さて、アルメニアでは、ニコル・パシニャン新内閣が発足してから、これまでだったら考えられないような変化がいろいろ起きています。教育大臣が地下鉄で通勤していたり、移民大臣が庶民的なファーストフード店で食事していたり、学校や病院のお金の不正流用を厳しく取り締まったり。たとえば、私の息子たちも診てもらったことがある国立病院では、実際には働いていない職員が多数登録されていて、その架空の職員への給料を院長とかがポケットに入れていたのでは…と問題になっています。

所詮こんなのは氷山の一角で、同様の、というかもっと酷い汚職は国中で行われていたと思います。だって、前大統領を筆頭に国の指導者たちが腐敗していたんですから、「上の人間も皆やってるし別にえーやん!」と、全体的にモラルが崩壊するのは当然でしょう。最近、首相官邸に移ったばかりのパシニャン氏が、その豪奢な官邸内部の様子を映像で流して話題になりました。サウナが二つもあって、パシニャン氏は、「こんなものを作るお金は一体どこから来ていたのか?」と疑問を呈していました。

私は、政治家が贅沢な暮らしをすべきじゃないとは思ってはいません。その地位まで登り詰める力と運があり、責任重大な仕事をしている訳ですから、それに見合う対価を享受する権利はあるかもしれません。しかし、国民の多くが苦しい生活を強いられているのであれば話は別で、政治家たちがそういう現状を顧みずに私腹を肥やしてばかりいたから、今回の革命が起こったのです。蔓延った腐敗や汚職を一掃するにはかなりの時間と労力が掛かると思いますが、まずそれを実行しないとアルメニアは生まれ変われないでしょう。

いつもの政治談議はこの辺して、記事タイトルにあるように、昨日子供たちを連れて行った動物園の話に移りたいと思います。「リオ」というショッピングモールの2階に小さな動物園ができたので、妻と息子たちと一緒に行ってきたのです。屋内の小さな場所に、ワニやヤマアラシ、ヘビや猿、イグアナやオウムや亀など多様な動物が飼育されいて、けっこう見応えがありました。

ヤギやウサギに餌付けもできるので、子供たちは大喜びでした。もちろん餌代を払わないといけないんですが、アレンが「またーまたー」と言うので、結局3回も買ってしまいました。恐らく、これが動物園の一番の収入になっている気が…まあ、子供たちが満足してくれたから良かったです。

ちなみに私がはまったのは、コモンマーモセット。小さくて姿も独特なんですが、顔つきや表情が妙に人間っぽい。目が合った時にこちらを伺う表情とかは、ずーっと見ていて飽きません。帰り際にも、じっくりと観察してしまいました。子供たちだけでなく、私も気に入ったので、また家族と一緒に行ってみたいと思います。

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入ってすぐのところで動物にエサをあげることができます。早速アレンも挑戦。面白がっていましたね。

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ウサギに餌をあげたり、触ったりできます。子供たちはここが一番のお気に入りだったみたい。

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ワニも近くで見れて、子供たちは興奮していました。

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イグアナやカメレオンやヘビなどの爬虫類も飼育されています。

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オウムは檻に入れらずに飼われています。飼育員の言葉や動きを真似ることができます。

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私のお気に入りのコモンマーモセット。なんか歌舞伎役者みたいな見た目にはまりました。小さい場所に閉じ込められた動物たちは可哀そうに思いますが、けっこう楽しかったので、また子供たちを連れて行きたいです。

ニコル・パシニャン首相について 

雨が降ったり止んだりの憂鬱な天気が続いていましたが、最近少しずつ天候が安定してきています。晴れていると、初夏の陽気でけっこう暑いですね。

先日、イスラエルの米大使館がエルサレムに移転したことで、パレスチナ人による激しい抗議デモが発生しました。約60人のデモ参加者が死亡したというニュースを見て心が痛みます…私は過去に2回イスラエルに行ったことがあって、根深い憎悪と暴力の連鎖を目の当たりにしました。大国の思惑や政治力学で尊いの命が失われてしまう悲劇が早く終わってほしいと思います。

さて、今週ニコル・パシニャン内閣が発足しました。若い閣僚メンバーについては賛否両論ありますが、いろいろと変化が起こっています。たとえば、第一副首相が、これまで割り当てられていた5台の公用車のうちの3台の使用を自ら断ったそうです。いやー公用車が5台って明らかに多すぎでしょ!税金の無駄遣いも甚だしい!

ちなみに、私が尊敬する南米ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏は、任期中もずっと古いフォルクスワーゲンの自家用車で通勤していました。また、デンマークでは、国会議員の60%以上が自転車通勤しています。まあ、別にそこまでしなくてもいいんですけど、アルメニアも、もっと政治家と市民との距離が近い国になってほしいと思います。そういえば、パシニャン首相は毎日政府の仕事などについて国民に向けて語って、ライブで配信していますね。

さて、この1カ月ぐらい、アルメニアの政変について記事を更新してきましたが、その中心人物であるニコル・パシニャン氏についてまだ一度も詳しく書いていませんでした。なので、今や国民の期待と注目を一身に集め、時の人となったパシニャン首相のことを簡単にご紹介したいと思います。

パシニャン氏は、1975年6月1日にイジェヴァンで生まれました。ちなみに彼の誕生日をお祝いするために、来月1日は共和国広場で支持者による集会が行われる予定です。本当に愛されていますね。だって、腐敗しきった共和党の独裁に終止符を打ったのですから。その分プレッシャーや責任も半端ないから大変でしょうけど…

彼はアルメニア国立大学ジャーナリズム学部でトップクラスの優等生でしたが、当時の学長の批判記事を書いて問題になり、その学長から、「記事の内容を否定しないと退学にするぞ!」と脅されても、「これは事実だから否定などしない!」と突っぱねて退学になりました。この過去の出来事は今回の政変で市民の注目を集め、国立大学の学生たちが、「パシニャン氏に学位を与えるべきだ!」と訴えました。その結果、首相就任直後に大学側から学位が授与されました。

政治家になる前は、「アルメニアタイム」というリベラルな新聞紙の編集者を務めていました。在職中は共和党の腐敗政治を激しく批判し続け、10年前の大統領選挙の不正に対する違法な抗議活動を行ったとして、当局から指名手配されました。1年以上の逃亡生活の末、2009年に自ら出頭して逮捕。2年の服役を終えて出所後、アルメニア初代大統領のレヴォン・テル・ペトロシャン氏が率いる野党「アルメニア国民議会」のリーダー的存在になり、2012年に当選して国会議員になりました。

2016年に、他の野党党首と共に、「エルク(アルメニア語で出口・糸口の意味)」という政党を結成。翌年の国会議員選挙で9議席を獲得し、第二野党となりました。2018年初めにセルジ・サルグシャン元大統領が首相就任の意思を表明したため、地方からエレバンに向かって歩いて抗議する「マイステップ」という活動を開始。4月13日、多くの支持者のと共にエレバンに到着しました。

その後はご存知のように、市民と共に大規模な抗議デモを行って、サルグシャン前大統領を辞任に追い込み、歴史的なビロード革命を成功させました。そして5月8日、国会の投票によって、第16代アルメニア首相に選出されました

奥さんはジャーナリストのアンナ・ハコピャン女史で、二人の間には4人(一男三女)の子供がいます。子育ては大変だったと思いますが、波瀾万丈のパシニャン氏の人生を傍でずっと支え続けました。しかし、奥さんは最近のインタビューで、「今後もジャーナリストの仕事は続けるし、たとえ夫でも、彼が政治家として間違ったことをすれば容赦なく批判する」と語りました。こんな厳しい批評家が身近にいたら、道を踏み外すことはないかもしれませんね。

こういう反骨精神を持った人がアルメニアの指導者になるなんて夢にも思いませんでした。もちろん、その真価が問われるのはこれから。常に一般市民の立場に立って、より良い未来を築けるような政治を行ってほしいと思います。

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記事に関係ありませんが、先日次男のレオが数か月ぶりに散髪しました。女の子と間違えられるほど伸びていましたからね。最後は泣いてしまいましたが、何とか無事に終了。

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バッサリ短く切って男の子らしくなりました。すっきりして本人も嬉しそう。そして、もうめっちゃ可愛い!相変わらず親バカですみません…

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今週はいろんな用事で忙しく、かなり外出が多いです。その途中、久々にアララト山の雄姿を望むことができました。雨がちな天気でしたが、次第に安定してきて青空が広がっています。

ニコル・パシニャン内閣が発足 

雨が降ったり止んだりの気が滅入る天気が続いています。そういえば、昨日は母の日でしたね。アルメニアでは、4月7日が「母性と美しさの日」という、いわゆる母の日になっているので、特にお祝いなどはありませんでした。

現在ロシアのソチでユーラシア経済連合サミットが開催されており、それに出席したニコル・パシニャン首相がプーチン大統領と初の会談を行いました。今回のアルメニアの政変を反ロシア的なものとする見方もありましたが、今日の会談では、両国の同盟関係の重要性が改めて確認されました。

アルメニア新首相、プーチン氏と会談、同盟関係を確認

さて、そのパシニャ首相率いる新内閣のメンバーが決まりました!共和党時代の顔触れは全て消えて、完全に刷新されました。そういえば長年アルメニア在外移民省のトップを務めた女性大臣の辞職のニュースには、市民が大喜びしていました。なんせここは、海外のアルメニア系移民から寄付される莫大なお金を私的に流用しているという噂が絶えず、「マネーロンダリング省」と揶揄されていましたからね。

新しい閣僚メンバーは大臣経歴などない若い人が目立ちます。最年少大臣は27歳で、平均年齢は約42歳!ちなみに日本の閣僚の平均年齢は約62歳…当然これには期待する声と共に、「経験や実績がない若造に大臣なんて務まるのか?!」という批判も聞かれますが、「まー仕方ないんちゃうの」って思います。

だって、ずっと政府の要職は共和党が独占していたんですから、政権交代が起これば、どうしても実績や経験のない人が中心になってしまうのは自然な流れ。年を取っていればいいってもんでもないし、未来に向けた国作りはなるべく若い世代が担うべきではないでしょうか

それに老害という言葉もあるように、経験はもちろん大事ですけど、新しいことに挑戦したり、未知の世界に踏み出そうという時には却って邪魔になったりします。というか、実際には経験してもないくせに、偉そうに説教したり批判したりする人さえいます。夢を追いかけている若者に対して、「どうせ失敗して、あとで後悔するに決まってる!」などど咎める大人に限って、自分自身はリスクを取って何かに挑戦した経験なんて皆無だったりしますからね。じゃーなんでお前に分かんねん!

話が逸れましたが、新しい閣僚メンバーについて、「経験や実績のない大臣なんて不安…」と思うのは、国を動かす大変な仕事な訳ですから理解できます。でも、そう批判する人たちに、「じゃあ、以前の政府のままの方が良かったん?」と聞いたら、ほとんどが、「いや、あれは絶対ダメだ!」と答えるでしょう。これって何だか、ずっとろくに食べられなかった人が出された食事を見て、「盛り付けがきれいじゃない!大盛りにしろ!ニンジン大嫌い!」と文句を言っているみたい。

そりゃー経験もあって清廉で立派な人物がいいに決まっています。しかし今までは、たとえそんな人がいたとしてもコネがないと要職に就けなかったり、反対にコネやお金がある人なら、どれだけ人格やポリシーに問題があっても議員や大臣になれたりってことが起こる国民不在の政治でした。そんなのが20年も続いた上に、同じ指導者が改憲までして権力の座に居座ろうとしたんです。

その腐敗した政府に対する市民の怒りが、「とにかくこの酷い状況を変えなあかん!」という不可逆的なパワーになって、歴史的な革命が実現しました。国民は、敷かれたレールの上を歩かされるのではなく、自分の意志で新たな道を歩んでいくことを選んだわけです。その決断に未来への希望を託したのであれば、リスクを覚悟してでも、旧体制から脱却して新しく生まれ変わなければいけません。

今回の革命の真価が問われるのは、誰が首相や閣僚になるかということよりも、民主主義のシステムがちゃんと機能していくかどうか…つまり、政府が上意下達で国を変えるのではなく、国民が主体となって変えていけるかどうかが重要なんです。アルメニア国民はそれができるということを証明したのですから、私は希望を持ちたいと思います。

アルメニア新内閣のメンバーの写真とプロフィール(英語)


現地のアルメニア語ニュースですが、パシニャン首相と新閣僚らとの初閣議の映像。アルメニア人は実年齢より老けて見えますが、かなり若い内閣です。ちなみにパシニャン首相も43歳で私より1つ年下。

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記事の内容と関係ないですが、息子たちと近所を散歩した時の写真。タンポポの綿毛を珍しがる次男のレオ。

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長男のアレンは、上手に息を吹いてタンポポの綿毛を飛ばします。若い力で、子供たちにとってより良い未来を築き上げていってほしいですね。

空手のイベントとユーロビジョン2018 

5月も半ばになるというのに、雨がよく降る肌寒い天気が続いています。そんな中、長男アレンの幼稚園探しで忙しくしています。通っていた幼稚園はいろいろ問題があって、妻と義母の希望で幼稚園を変えることにしたのです。ちなみに、これで2回目の転園…恐らく有料のところに入れることになりそうなんですが、どこも一長一短で難しいですね。

あと、昨日・今日とエレバンでワイン祭りが開かれていましたが、とにかく天気も悪いし、子供たちを連れて行けるイベントではないので参加しませんでした。お酒が大好きな私にすると残念…ちなみにパシニャン首相もイベントに訪れたそうです。きっと盛り上がったでしょうね。

その代わり、今日はアレンが通う空手道場が、子供たちが楽しみながら学習できるというセンターで演武を披露することになったので行ってきました。最年少のアレンも参加して、小さい体で頑張っていました。その後にセンター内を見学したら、アレンがけっこう喜びそうな場所でした。入場料は高いですが(今日は無料)、また連れてきてあげようかと思います。

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先生や道場のみんなとポーズを決めて「押忍!」

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最初にアレンと先生と演武を行いました。小さい体で頑張る姿は可愛らしかった。

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センターは、子供たちが楽しみながらいろいろ学べるようになっています。電子顕微鏡に興味津々のアレン。

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牢屋を模した部屋もありました。また連れてきてあげたいと思います。

さて、今週末にポルトガルの首都リスボンで、ユーロビジョン・ソングコンテストが行われました。アルメニアも毎年参加していますが、この1か月は大きな変革が起こったため、アルメニア国内での注目度はすごく低かったようです。たまたま時期が重なってしまって、アルメニア代表の歌手は可哀そうですけどね。

でも、元々その歌手も曲もあまり評価が高くなくて、「今年はすぐ負ける」という予想が立っていました。そして、その予想通り、初日の予選で敗退したので、すでにアルメニア人はコンテストそのものに関心をなくしていると思います。まあ、確かに何の特徴もない普通のバラード曲で、大して印象に残りません。ただ、完全にアルメニア語の曲だったことは、個人的に評価しています。

だって、せっかくいろんな国が参加するソングコンテストなのに、ほとんど英語の曲ばかりで国際色が全くないんですよね。英語の方が理解できる人が多くて受けがいいからか、アルメニアも昨年までずっと英語の曲でした…しかし、昨年は母国語で歌ったポルトガル代表が優勝したので、今年アルメニア代表も母国語で歌ったのは、その影響だったかもしれません。


今年のアルメニア代表セヴァック・ハナギャンの「Qami (風という意味)」。曲は大して良くないけど、アルメニア語で歌ったのはエライ!


今年の優勝者はイスラエル代表。音楽レベルは大して高くないコンテストで、いわゆるショーみたいなもんなんですけど、さすがにこれが優勝って…うーん、ノーコメント。

ところで、最近アメリカへ違法な資金の流れがあったとして、FBIがサルグシャン前大統領の兄弟を捜査しているという報道を見かけました。アルメニアで莫大な土地や不動産を所有する、前政権の腐敗の象徴だった人物が、このタイミングでFBIの捜査対象になるとは…どうも背景に何かあるような気がします。

前回の記事に、「今回のデモは反ロシア的な意味合いはない」と書きましたが、それは欧米の関与などはないということではありません。デモが本格的になり始めた頃のブログ記事でも、欧米側の思惑が絡んでいる可能性について言及しました。それに、最近はロシアと英国が対立していますからね。

ただ何度も指摘しているように、隣国との領土問題を抱え、ロシアの軍事プレゼンスが強いアルメニアが新欧米路線にシフトするというシナリオは非現実的で、そういう意味での欧米側の介入にはメリットがない気がします。もしメリットとして考えらえれるとしたら、他の旧ソ連諸国の反ロシア感情や民主化を刺激するとか、アルメニアのオルガルヒによる市場の独占状態を崩すとかでしょうか…

どちらかというと、後者の可能性はあり得る気がします。なんせアルメニアは、マクドナルドがまだ参入していないような国ですからね(マクドなんか別になくてもえーけど…)。カルフールが出店する際も、ここのオルガルヒの妨害のせいで苦労したと聞いたことがあります。欧米企業がもっと進出しやすくするため、今回の政変を利用してオルガルヒを弱体化させる。その手始めに前大統領の兄弟を標的にする…穿った見方かもしれませんが、そんな陰謀がなくはないかなと思ったりもします。

私は元々、政治や国際情勢のことを考えるのが好きなので、目まぐるしく変化する今のアルメニアはものすごく興味深い!まさかアルメニアで、こんなドラマチックな社会変革や政権交代を目の当たりにできるとは思いもしませんでした。仕事や子育てで忙しい中、ニュースから目が離せない日々が続いています。

アルメニアの政変に関する日本の報道を見て思うこと 

昨日5月9日は対独戦勝記念日で休日でした。当時アルメニアは、ソ連軍としてドイツと戦ったんです。国民の絶大な支持を受けて議会の投票で選出されたニコル・パシニャン新首相は、記念式典に出席したり、戦死者の墓地や遺族を訪問しました。首相としての初仕事ですね。

今回の市民によるデモやパシニャン首相誕生のニュースは日本でも報道されていますが、やはり反ロシアとか親米とかの視点で伝えるものが多い…旧ソ連の国の政変ですし(その中でもマイナーな国だし…)、過去にジョージアやウクライナの出来事もあるからか、「どうせ今回も親ロシア政権に対する抗議デモに違いない!」と、短絡的に欧米寄りの偏向報道してしまうのでしょう。

先日の記事にも書きましたが、市民の怒りが爆発したのは、前大統領や与党が親ロシア路線だったことが主な理由じゃありません。彼ら支配層が、一般庶民の生活向上に努めず、汚職が蔓延る悪政を行ってきたからです。まあ、そういった腐敗システムは旧ソ連時代の負の遺産ではありますけど、アルメニア市民の対ロシア感情はそれほど悪くないですし、アゼルバイジャンとの領土問題を抱えている限り、ロシアと縁を切って一気に親欧米路線にシフトするなんて不可能です。

対米従属という病魔に冒されているせいか、日本の政府もマスコミも、自分自身で国際情勢の変化をきちんと分析して判断することができなくなっている気がします。北朝鮮の問題に関しても、いまだに圧力一辺倒だし、北と独自の外交ルートを持っていないから拉致問題もアメリカや韓国に頼ってばかり…

意外にトランプ大統領の方が、普段は好戦的で支離滅裂な言動を取りながらも、水面下で中国や韓国と共に北と対話して和平を進めたりと、結構したたかな一面を持っています。これって各国の利害と思惑が複雑に絡み合う外交の世界では当たり前の駆け引きでしょうから、当事者の一人なのに蚊帳の外に置かれてしまったのは、完全に日本の失策と言えます。

こんな日本の憂うべき状況を、ロシアのプーチン大統領が2016年末の訪日の際に鋭く指摘しました。「日本はどの程度、独自に物事を決められるのか。私たちは何を期待できるのか。どのような結果にたどり着けるのか。平和条約署名という最終合意のために、一体何を両国間の基礎とするかによって、結果は違ってくる。これが現在の露日関係と露中関係の違いだ」と…

このプーチン大統領の発言に対して安倍首相は何も反論しませんでしたが、「中国は独立国やけど、日本はホンマに独立国なん?独立国として自分で物事を判断して決定できんの?独立国としての意思も誇りもない国とは、領土問題や平和条約締結の交渉なんかできへんで!」と言われているようなものです。

もちろん日米安保条約があるので、日本は米国を無視することはできません。それについてはプーチン大統領も、「日本には同盟関係上の義務があり、私たちはそれを尊重するのはやぶさかではない」と語り、一定の理解を示しています。そうはいっても、日本と米国の国益が常に一致することはあり得ないし、日本にとって米国は利害を超えた友好国だなんて、全くもって愚かな幻想です。

そういった国家間の関係についても、プーチン大統領は欧米のジャーナリストによるインタビューでこう答えたことがあります。「国家間の友好関係とは、単なる友達関係とは異なるものだ。私は相手に媚びたりしない。私はロシアの大統領で、守るべき1億4600万人の国民がいる。そのロシア人のために国益を守ることが最優先だ」

まあ、そのロシアの国益のために、カラバフの領土問題が利用されて、アルメニアが身動きとれない状態になっていることには腹が立つんですけど、発言の内容自体は間違ってはいない、というか当たり前のことです。でも、その当たり前のことが、日本と米国の関係においては成立していないんですよね…

世界は、過去に例を見ないほど凄まじい勢いで変化して多極化しています。情報の拡散や共有のスピードは半端なく、今回のアルメニアの変革においても、フェイスブックなどのソーシャルネットワークが果たした役割はとても大きかったです。そういう世界情勢の中で日本が取り残されないためにも、妄信してきた対米従属という国是を見直す時期が来ていると思います。

パシニャン新首相が誕生した一昨日のエレバンの様子をまとめた動画をいくつか載せておきます。別に反ロシアとか反プーチンといった雰囲気はありません。


現地ニュースの映像ですが、パシニャン首相が誕生した瞬間の支持者らの様子。


同じく現地ニュースの映像で、支持者らの祝福を受けるパシニャン新首相。


パシニャン首相の誕生で喜びに沸く市民たちの様子。

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支持者らが着ているパシニャン氏のTシャツ。「勇気を持って」という意味の言葉 Դուխով(Dukhov)と書かれています。同じデザインの帽子などもあります。