またまたアルメニア政界が混乱中! 

昨日はラジオ番組「ON THE PLANET」で、アルメニアについて話しました。深夜でしたが、お聴きくださった方もいるかもしれませんね。最近アルメニアで話題になっていることは?という質問に、アルメニア系フランス人のシャンソン歌手シャルル・アズナブールの訃報だと答えました。今も多くの人がその死を悼んでいて、彼がどれだけアルメニア人に愛され、そして慕われていたのかがよく分かります。

よりによってそんな時に、アルメニア社会が混乱するような事件が起こりました。革命時のように全国的なデモが発生しかねない状況でしたが、幸いそれは回避されました。以下に昨晩ここで起こった出来事について説明します。

ニコル・パシニャン首相は、国民議会の解散総選挙を今年12月に前倒しして行う意向を示していました。議会はいまだ共和党やアルメニア繁栄党が多数派でねじれ現象が起きています。先月のエレバン市議会選挙でパシニャン首相が率いる政党が圧勝したため、その勢いで議会選挙でも勝って、なるべく早くねじれ現象を解消したいのでしょう。

これに対して共和党や他の野党勢力は、「12月じゃ選挙準備が間に合わない!来年5月にしろ!」と同意しませんでした。まあ、今の状況で公平な選挙が行われたら、彼らは議席をほぼ失って党は壊滅的なダメージを受け、地位も権力も失います。それはそれで極端ですが、やはりそれが民意というもので、元はといえば自分たちが今まで国民不在の悪政を行ってきたことが原因です。

パシニャン首相は共和党の代表らと交渉してきましたが、選挙の早期実施を何としてでも阻止したい反対勢力は、昨晩なんと緊急国会を開いて、議会規則を変更する法案を賛成多数で可決してしまいました。議会解散の条件を制限する内容で、それによって総選挙の早期実施が難しくなるらしく、もちろんパシニャン首相や彼の支持者らは大反対。パシニャン首相の呼びかけに応じて、あっという間に国会議事堂前に数万もの市民が集結しました。

パシニャン首相は、「共和党や他の野党は、早期の選挙実施を望む有権者の意思を無視する暴挙を行った。これは革命に対する、また国民に対する宣戦布告だ!」と訴えました。集まった市民もかなりヒートアップしていたので、このままだと暴徒化しないか、もしくは全国規模のデモに発展しないか…と心配しましたが、ずっとパシニャン首相が支持者らに冷静でいるよう促し、最後は彼自身が国会議事堂に入って反対勢力の代表らと話し合いました。

1時間以上の話し合いの後、パシニャン首相は支持者らの前に現れて、「話し合いは無事に終わった。議会を解散するために、近く私は首相職を辞めるだろう。そして予定通り12月に総選挙を行う」と述べました。とりあえず全国的なデモに発展することはなく事態は収束しました。

議会を解散するために首相を辞任するというのは、新たに首相を2回の投票で選べなかった場合は議会は解散となると憲法で定められているからです。その憲法規定を利用して、パシニャン首相は自ら辞任することで解散総選挙を早期に実施しようとしています。ただ、これは共和党などが候補者を立てず、投票で首相が選ばれなかった場合に限ります。反対勢力は候補者を立てないことについて正式に同意していません。

しかし、もし共和党が候補者を立てて、その人を多数決の原理で首相に選んだりしたら、国民の怒りが爆発するに決まっています。今年春に起きた革命以上の超巨大デモが発生して、そうなれば、もう国民を止めることはできないでしょう。警察も軍隊もパシニャン側に付いていますしね。

「パシニャン側じゃないと悪者にされるような極端な状況下で選挙を行うべきじゃない」という、反対勢力の言い分も分かります。しかし、そんな自分たちは金と権力を濫用して選挙結果を捻じ曲げたり、セルジ・サルグシャン前大統領の首相就任を支持したりと、黒を白にするような腐敗政治を長年やってきた訳で、国民にこれだけ嫌われてしまうのは自業自得です。

とにかく昨晩の出来事で、共和党や他の野党勢力がさらに国民の反感を買ったことは確か。今月21日に地方自治体の選挙が行われる予定ですが、共和党やアルメニア繁栄党に支持されている候補者らがすでに離党し始めています。今のままだと選挙に勝てる見込みなんてないからです。

ちなみに昨晩のデモでは、シャルル・アズナブールの名曲「ラ・ボエーム」が流されました。偉大なアルメニア人歌手が亡くなり、国民がそれに気を取られている隙に反対勢力は今回の法改正を強行したのかもしれません。その法改正案も大統領が署名しなければ効力がなく、まだまだ状況は流動的ですが、どんな困難や障害があっても、アルメニアは民主的な国に生まれ変われると信じています。


一昨日亡くなったシャルル・アズナブールを偲んで、エレバンでは追悼が行われています。パシニャン首相も参加しました。


昨晩のデモでは名曲「ラ・ボエーム」が流されました。シャルル・アズナブールも、きっと母国アルメニアが真の民主国家になることを望んでいるはずです。

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