パシニャン議員、首相に選出されず! 

アルメニアは今日まで4連休でしたが、子供たちが風邪を引いたりしていたので、遠出などはしませんでした。それでも朝から晩まで遊びまわる子供たちの世話で、私も妻もぐったりです。いやあ、子育てって本当に大変…疲れてイライラすることがあっても、やっぱり我が子は可愛いからできることだなあと思います。

さて、混乱が続くアルメニア情勢ですが、落ち着くどころか、さらに大変なことになっています。というのも、野党勢力指導者のニコル・パシニャン氏が首相に任命されなかったため、市民たちが明日から超大規模なデモを起こすることになりそうだからです。

メーデーで祝日だった今日5月1日、アルメニアの国民議会でニコル・パシニャン議員の首相就任の是非をめぐる投票が行われました。与党・共和党は2日前に候補者を出さないと決めたので、首相候補はパシニャン氏のみ。そのパシニャン氏が他の議員らの質問に受け答えして、最後に投票で決めるという流れです。

数万人ものパシニャン氏を支持する市民が共和国広場に集結し、設置された大スクリーンでその議会の様子を固唾を飲んで見守っていました。私も家で仕事をしたり子供の世話をしながら、時々テレビやネットで見ていましたが、思ったよりすごく長い…夜7時過ぎても、まだ質疑応答が続いていました。

そして、ついに夜9時前に出た結果は…賛成45票・反対55票で、可決に必要な53票に届かず、パシニャン氏の首相就任は否決!そのため、1週間後に再投票が行われるそうです。朝からずっとパシニャン新首相誕生の瞬間を待ち望んでいた共和国広場の市民らは、この意外な結果を見て、一瞬呆気に取られてから不満と怒りが大爆発!大声でブーイングして、「ニコル!ニコル!」と叫び始めました。

まあ、そりゃそうでしょう。候補者は有権者からの絶大な支持を受けるパシニャン氏だけという状況の中、パシニャン氏を首相に任命しないなんてあり得ない、そんなことしたら市民が怒り狂う…大勢がそういう見方をしていたのに、蓋を開けてみたらこの火に油を注ぐような結果ですからね。

その後、パシニャン氏は支持者の集まる共和国広場に登場し、「明日8時15分から、空港を含む全ての交通を封鎖して抗議しよう!」と訴えました。実際に空港封鎖までやるのかどうか分かりませんが、市民の怒りは最高潮に達しているので、再投票が行われる1週間後までは国内の交通はマヒしそうです…ちなみに来週の再投票でも首相が選出されない場合は、議会解散となり、議員選挙が実施されます。

私もこの結果には驚きましたし、まだまだ混乱が続くことに心が痛みますが、ルールに従って投票で決まったのであれば受け入れるべき現実。それが民主主義というものです。反対票を投じて市民の怒りをさらに買った共和党議員は往生際が悪く見えますけど、個々の譲れない思想やポリシーだってあるでしょうし、下手したら失職して既得権益を全て失うことになるかもしれないんですから、そう易々と賛成票なんて入れられませんよね。

それに魑魅魍魎が跋扈する政治の世界なので、ちゃんと共和党もパシニャン氏が最終的に首相になるのは仕方ないと分かっているけど、それまでに時間稼ぎをしておきたい事情があるかもしれません。ずっと権力を牛耳ってきた政党なだけに、山ほどある過去の不正や腐敗の証拠を急いで隠滅しないといけないとか、与党である今の間に進めておきたいビジネスがあるとか…

さらに穿った見方をすると、共和党を完全に自滅させたい一部の党員が敢えて市民の怒りを煽るために反対票を入れて、「こうなったらニコルを首相にするしかねーなー」と思っていた共和党幹部もビックリ仰天のクーデターだった!なんてことも考えられます。って、さすがにこれはないかな…

とまあ、いろんな見方ができますけど、結果はどうあれ、今日の特別国会自体がアルメニアにとって大きな進歩だったかなと私は思っています。だって、サルグシャン前大統領が支配する時代は、最初から結果ありきの状況だったので、議員一人一人が率直に意見をぶつけ合ったり、個人の意思(損得勘定もあったと思うけど…)に基づいて投票したりなんてほとんどできなかったんじゃないでしょうか。

もちろん期待を裏切られた市民の気持ちを考えると辛いです。しかし、約20年も国民不在の腐敗した政治が続いたんですから、変革にもそれ相応の痛みと忍耐が伴います。とにかく、アルメニアが民主主義への大きな一歩を踏み出したことは確か。この混乱も、国が新しく生まれ変わるために通るべきプロセスだと信じますし、そのプロセスが平和的に進むことを祈っています。


議会で首相就任が否決された後、共和国広場に集まった市民に大規模なデモの実行を訴えるパシニャン氏。まだまだアルメニアの混乱は続きそうです。

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