柔道の大会 

9月中旬の話ですが、アルメニアで柔道のヨーロッパ大会が開催されました。図書室を開設する予定の、アルメニア柔道連盟が主催したもので、友人と見に行ってきました。

丘の上にある、大きなスタジアムで行われました。会場に着くと、明らかにアルメニア人ではない人たちがたくさんいました。ヨーロッパ大会ですから、ロシアやウクライナ、ドイツやフランスなど、様々な国から参加しているのです。

私たちは大会の最終日の午後に行ったので、準決勝や決勝の試合を見ることができました。残念ながら、アルメニアの選手は既に敗れていて、他国の選手同士の試合ばかりでした。しかし、生で柔道の国際試合を見るという経験は初めてだったので、面白かったです。

フランスやウクライナ勢が強いみたいで、男子・女子どちらの部門も、良い成績を収めていましたね。その中で、とても気になる試合がありました。重量級・男子決勝で、アゼルバイジャンの選手が戦ったのです。相手の選手の国は忘れましたが、アゼルバイジャンはアルメニアの敵国ですから、観客たちはどのように試合を見ているか、気になりました。

試合は、開始から1分も経たずに、アゼルバイジャンの選手が豪快な一本投げで勝ちました。あまりにきれいに決まったので、観客からは拍手が沸き起りましたが、恐らく拍手したのは他国から来ている人たちだと思います。幸いブーイングなどは起こりませんでしたが…

試合後は、3位までの選手が表彰台に立ってメダル授与が行われます。優勝国の国歌が流され、国旗が掲げられるんですが、友人は「アゼルバイジャンの国歌は流されないかもしれない…」と言いました。過去にアゼルバイジャンで行われた大会で、アルメニアの選手が優勝した時、アルメニア国歌が流されなかったことがあったそうです。スポーツに国や民族は関係ないはずなのに、両国間の憎悪の深さを物語るエピソードです。しかし、今回そんなことは起こってほしくない。

さあ、どうなるか…と心配しましたが、無事にアゼルバイジャンの国旗が掲げられ、国歌も流されました。その時は観客も起立します。友人は少し躊躇していましたが、私と一緒に立ち上がりました。周りのアルメニア人は起立しませんでしたが…残念なことですが、国歌が流されただけ良かったです。

国際的なスポーツの祭典だったのですが、アルメニアが抱える問題の深刻さを、改めて考えさせられました。いつか両国が、素直にお互いの選手の健闘を称え合えるようになってほしいと思います。

 

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左は女子の決勝。フランス代表の黒人選手が勝ちました。フランスは強かったです。右は、男子の表彰式。優勝したアゼルバイジャンの国歌は、無事に流されました。

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