グルジアでの運命の出会い 

明日4月24日は、アルメニア人虐殺記念日です。ちょうど今来られている日本の方と一緒に記念碑に行ってこようかと思っています。

さて先月初め、長男の日本パスポート取得のためグルジアに行ってきた時に、私の夢というか願望が一つ叶ったと書きました。それは、大切な友人に自分の家族を紹介すること。なぜそれが私にとって夢だったかは長くなるのでまた後日…と終わってそのままになっていました。長くなりますが、今日はその話を書きたいと思います。

15年前、私は勤めていた会社を辞め、バックパック一つ背負って長期旅行に出ました。まず船で中国に渡り、そこから西へ西へと陸路でユーラシア大陸を横断、出発から約1年後にトルコに辿り着きました。そして、当時かなりマイナーだったグルジアに入国しました。

少ない情報を頼りに宿を見つけ、首都トビリシやその近郊を観光しました。特に気に入ったのは、昔の面影が残るトビリシ旧市街とハマム。久々に湯船に浸かれるのが嬉しくて、ほぼ毎日ハマムに行き、温まった体で旧市街をぶらぶら散策しました。

ある日、公園のベンチに座ってボーッとしていたら、隣のベンチにいた家族連れの男性に声を掛けられました。けっこう年上の彼は意外にも英語ができて、いろいろ話していると、「すぐそこが僕らのアパートなんだけど、コーヒーでも飲みに来ないか」と誘われました。まあ家族連れだし大丈夫だろうと、お誘いに甘えることにしました。

彼の家で何気なく日本のパスポートを見せたら、なんと私と彼は同じ誕生日ということが分かりました。ちょうど誕生日の1ヶ月ほど前だったので、「来月一緒に誕生日を祝おう!」と盛り上がりましたが、当時グルジアのビザはたったの2週間…ウーン、残念だけど無理だなと諦めました。

しかし、偶然仲良くなったグルジア人が自分と同じ誕生日ということに何か運命的なものを感じました。そして、その後も毎日のように家に誘われて、彼らと飲んだり食べたりして楽しく過ごしていると、「せっかくだから一緒に誕生日を祝えないか」と真剣に考えるようになりました。そこで思いついたのがアルメニア旅行!

実は当初、私はアルメニアには全く行くつもりはなかったんですが、そのグルジア人の友人と誕生日を祝いたい一心で、ビザ再取得と時間潰しのために急遽予定を変更したのです。まさか、そんな経緯で訪れたアルメニアに将来住むことになろうとは思いもしませんでした…アルメニアでの出来事は過去の記事をご覧ください。(こちら)

それはさておき、アルメニアからグルジアに戻り、無事に私の26歳と友人の46歳の誕生日を共に祝うことができました。彼の家族や友人たちも参加して、一生忘れられない素晴らしい誕生日パーティーとなりました。当時無職だった彼は時間を持て余す日々を送っていたので、私という外国人と過ごすのが楽しいのか、その後もほぼ毎日家に誘ってくれました。

私も、彼や彼の家族と一緒にいると、自然と心が温かくなりました。彼の家族は奥さんと、再婚だった奥さんの連れ子、そして二人の間に生まれた赤ちゃん。生まれたばかりの赤ちゃんを、「この子は俺の全てだ。宝物だ!」と抱きしめて可愛がる彼の姿は見ているだけで幸せな気持ちになりましたが、同時にそんな自分に戸惑いました。

というのも、当時の私は結婚や家庭というものに対して否定的だったのです。理由については詳しく書きませんが、若者によくありがちな「別に結婚なんかしなくてもいい」という類のものではなく、「結婚して家庭を持っても不幸になるだけだ」という、もっと根が深く後ろ向きな考えを子供の頃から頑なに持っていました。

しかし旅先で、貧しいながらも互いに寄り添いあって暮らす家族の姿を見るたびに、どこか心が揺さぶられました。そのグルジアの家族と過ごしている時も、自分の中で確実に変化が起こっているのを感じ、彼の家から宿に帰る途中、いつも何か胸の奥から込み上げてくるものがありました。

トビリシを去る前日の晩、彼は地下鉄駅まで見送ってくれたのですが、その時ふと空を見上げて言いました。「独立してからグルジアはとても貧しくなった。俺のように仕事を失った人間がたくさんいる。でも、やっぱり独立して良かったと思う。ここには俺たちグルジア人の文化や歴史がある。生活は苦しいけど、いつも神様が見守ってくれている。何より、自分には支えてくれる大切な家族がいる」

この言葉を聞いた瞬間、涙が一気に溢れました。自分が旅で何かを探していたとしたら、人間として当たり前の愛情や繋がりだったんじゃないかと気付いたのです。そして、自分も彼のように結婚して家庭を持ちたいと自然に思えるようになりました。彼との出会いは、私の価値観や人生観を大きく変えました。

そんな家族の大切さを教えてくれた友人には、きっといつか自分の家族を紹介して、私も夫となり父となったことを直接伝えたいと思ってきました。まさか隣国のアルメニアの女性と結婚するとは想像もしませんでしたが、今年やっとその夢が叶いました。彼と彼の家族も本当に心から喜んでくれて、長男を可愛がってくれました。その光景を見ていると、初めて出会った時のことが思い出されて、何だか泣けてきました。

この家族との運命的な出会いがなければ、アルメニアに住むことも、結婚して家庭を持つこともなかったかもしれません。彼らとの出会いに心から感謝したいと思います。

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15年前、偶然声をかけられた時の写真。赤ちゃんは生後たった2ヶ月でした。

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8年前にグルジアを再訪した時の写真。子供は7歳の可愛いらしい女の子に成長していました。

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2年半前、結婚直後に妻と訪問した時の写真。妻のことも気に入ってくれて(互いに旧ソ連圏で問題なくロシア語で会話できるのです)、私の結婚を祝福してくれました。

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そして、先月家族と訪れた時の写真。この15年間お互い人生でいろんなことがありましたが、ついに自分の家族を紹介することができました。本当に嬉しかったです。

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