アルメニアの教育の現実 

9月になりました。来週から言語大学の授業も始まりますが、私は一昨日久々に大学に顔を出しました。というのも、先学期落ちた学生の再テストをするためです。いや、正確には再々テストですね。その学生たちには、7月中旬に再テストをしていますから。

その再テストでほとんど何も書けなかったので、8月末に再度テストをする予定だったんです。正直ここまで手こずる学生は、テストをする意味はほぼありません。だって、ひらがなさえまともに書けないんですから。じゃあ、なんでテストをするのかというと……落第させられないから!

普通だったら、ひらがなも書けない学生が残ってなどいません。ルールでも、最終成績で60点未満だと再テスト、それでもダメだったら落第ということになっているはずです。が、再テストなんて建前で、結局は通さなきゃいけないという暗黙のルールがあるんです。

大体、最終成績だって、出席や宿題などを半分以上加味してかなり甘く算出しています。それで6割取れないというのは、欠席が多くてテストも毎回ほぼ0点のひどい学生…義務教育ならともかく、大学なら落第にすべきですよね。しかし、アルメニアではそのまま進級させてしまうんです。

理不尽な話ですが、それで学生が大学をやめたりすると、経営に響くからだそうです。まあ、もっと他にも理由はあるかもしれません。とにかく、どんなに勉強しない学生でも、アルメニアではまず落第させられない…ということです。

今回の再々テストを受けた学生の一人は、先学期1度も授業にもテストにも来ませんでした。夏休み前に突然現れて、「専攻を変えた時に、自分が日本語の授業に登録されたことを知らなかった!再テストを受けさせて下さい!」と言い出しました。私は彼女の顔を見るのも初めて…

しかし、自分が何の授業に登録されているかを、学期中ずっと知らないなんてあり得ないでしょう…学生は、大学事務所のミスと言い張るんですが、何にしても、今更テスト受けたって落ちるに決まっています。突っぱねましたが、大学側は「8月末にテストしてあげろ」と言うので、仕方なく質問内容まで教えてチャンスをあげました。

で、一昨日のテストで、その学生は遅刻した上に、何も書けないし、それを恥じる様子もありません。もう怒る気力も失って、大学事務所に「この学生、一体どうしたらいいの?」と伝えると、職員はとりあえず学生を呼んで大声で叱っていましたが、やっぱり最後は、「チャンスをあげろ」…

チャンスって、結果は自分で努力してつかみ取るもの。その努力を全くしない人にあげても意味ありません。つまり大学が言いたいのは、「建前でテストをやって通しなさい」ということ。こうやって、どんなに勉強しない学生も落第せずに卒業していくのです。

これは、他の学科でも全く同じですし、他の大学でも似たようなものだと聞きます。悲しいかな、これがアルメニアの教育の現実のようです。こんな状態だと、国の教育レベルは下がる一方…教育は国の根幹ですから、アルメニアの将来が心配になります。

いつもいろんな学生がいますし、こんなことには慣れているんですが、ちょっと他にも落胆することがあり、今回はいろいろと考えました。日本語教育の世界に入って、今年でちょうど10年目。この仕事に本腰を入れた時、「どんなに大変でも10年は頑張ろう!」と決めたので、一つの節目を迎えようとしています。

私はこの仕事が好きです。真面目に学んでいる学生に教えるのは本当にやりがいを感じます。それに、アルメニアで日本語を教えたいと思って、私はここに来たのです。今は、自分がここで日本語教育にどう関わっていくかを、真剣に考えるべき時期なのかもしれません…

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