戦争から1年 

そういえば、昨年のグルジア訪問の様子を全く報告していませんでした。来月また行くので、少し振り返りたいと思います。

昨年グルジアへ行ったのは8月で、ロシアとの戦争からちょうど1年経った時でした。2008年北京オリンピック開催と同時に勃発したロシアとの戦争。私はフィリピンにいた上に、オリンピックの報道ばかりで、あまり詳しいことが分かりませんでした。しかし友人たちがいるので、ロシア軍がグルジア国内にまで攻め込んできた時はとても心配しました。

結局ロシア圧勝のまま戦争は短期間で終結し、昨年にはグルジアは完全に落ち着きを取り戻していました。テレビ報道は刺激的な映像ばかり流す傾向があるので、首都トビリシは戦争中も意外と普通だったのかなと思いましたが、友人の話では、何度も爆撃音が聞こえて怖かったそうです。

あれから1年ということで、広場には戦争の写真が展示されていました。当然ですが、100%グルジア側から見た戦争写真です。ロシア軍の攻撃によって、亡くなった人や怪我をした人々、家や家族をなくして泣き叫ぶ人々、必死で戦うグルジア兵など生々しい写真ばかり・・・特に血を流す子供の姿には、強く胸を打たれました。

戦争一周忌に当たる8月8日は、グルジア国旗を持った人を多く見かけました。国旗を振りかざしながら車で走る人達もいました。広場では、写真の他にテレビ画面でも当時の様子が流されていて、人々がそれに見入っていました。夜には、政府主催の大きなセレモニーも行われたようです。とにかくロシアに対する憎悪とナショナリズムが高揚していました。外国人の私は、少し怖い感じがしましたが…

戦争の原因は複雑です。先に仕掛けたのはグルジアですが、火種である南オセチアの独立問題は、ソ連時代の負の遺産(こちら)。アルメニアとアゼルバイジャンの領土問題と似ています。期待していたアメリカの支援を得られなかったグルジアが負けましたが、今もこの火種はくすぶり続けています。

終わりが見えない問題だけに、余計あの戦争は無意味で悲惨なものだったと感じます。どういう結末でも、不幸になる人達がいるわけですから…ある友人の言葉がとても印象的でした。「戦争でまた多くの若者が亡くなった。戦争は何の意味もない。ただ人を不幸にするだけだ…」

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広場に展示されていた写真に見入る人々。戦争の悲惨さを生々しく伝える写真ばかりでした。グルジア人は、再びロシアに強い怒りを感じたでしょう。私は、政府によるプロパガンダの匂いを少し感じざるを得ませんでしたが…

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