ポーランドの古都クラクフを訪問
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天気予報どおり、今週末は雨が降って、一気に涼しくなりました。朝晩は少し肌寒いぐらい。予報によると、当分は最高気温が30℃を超える日はないみたいで、夏も終わりが近づいているようです。
故ジャニー喜多川氏による性加害問題が話題になっています。厳しく糾弾されるべき由々しき問題ですが、マスコミが正義面して責任追及していることには強い違和感を感じます。ジャニーズという巨大な存在の闇の部分を知らないはずはなく、メディアもずっと忖度していたでしょう。
にも関わらず、自分たちは知らぬ存ぜぬという体で、今ならいくらでも叩けると言わんばかりに加害者側を非難する姿には心底呆れます。歪な権力構造によって起きた問題だと批判していますけど、その構造の中でジャニーズ事務所の悪事をずっと隠蔽してきた彼らも共犯で罪深いと思います。
アルメニアが国際刑事裁判所ローマ規定を批准する手続きを開始し、それをロシアが牽制しています。アゼルバイジャンの戦争犯罪を訴追できるよう、昨年末に加盟を再検討し始めたのですが、今年3月に国際裁判所がプーチン大統領に逮捕状を出したことで状況が複雑化しました。たとえ加盟したとしても、アルメニアがプーチン氏の逮捕に踏み切ることはないでしょうが、ロシアにとっては看過できない事態です。
また、アルメニアは米軍との合同軍事演習の実施も発表し、このこともロシアは警視しています。パシニャン首相は、国の安全保障のほとんどをロシアに依存することは危険で、多様化を進める必要があると述べており、今回の合同演習はその一環のようです。
これらのアルメニアの動きは、アゼルバイジャンとの問題におけるロシアとCSTOの対応に失望していることが大きな原因。とはいえ、西側諸国も信頼に足る相手とは思えませんが、アルメニアはより全方位的かつ柔軟な外交政策にシフトしていく可能性があります。その影響なのか、ロシアの援助物資がアグダム道路を通ってカラバフに運ばれ、ラチン回廊も人道支援物資の輸送のために開かれるという報道がありました。
今週木曜は、アルメニアを去る日本人家族の送別会があったので参加してきました。オランダ人のご主人の仕事の関係で2年前からエレバンにお住まいでしたが、急遽ご主人がチュニジア駐在に決まり、向こうに引越しすることになったのです。
短い間でしたが、何度か家族ぐるみで食事したり、スキーやワイナリーに行ったりしました。最後に美味しい食事とお酒を味わいながら、楽しい時間を過ごすことができました。どうか家族みなさん、体に気をつけて新天地でも頑張ってください!
アルメニアを離れる日本人家族の送別会。チュニジアでもお元気で!
アレンもレオもロボティックスにまた通い始めました。今日レオのロボットが完成!タブレットで操作すると動きます!
さて、ポーランド旅行の思い出の続きをご紹介します。ワルシャワを楽しんだ後、南へ電車で走ってクラクフに向かいました。もちろんダグラス・聖美さん夫婦と一緒で、同じアパートに滞在しました。ちなみに駅からアパートに連れ行ってくれたタクシーの運転手はウクライナ人で、今年初めにクラクフに移住したとのこと。ポーランドには彼のような人がたくさんいるでしょうね…
私は22年前にクラクフを訪れたことがあり、世界遺産の旧市街やアウシュビッツ収容所を見学しました。当時はまだポーランドはEUに加盟しておらず、欧州では比較的貧しい国だったのと、冬の季節だったこともあり、どこか暗く重々しい雰囲気がありました。そのためか、クラクフの古い歴史とホロコーストの悲惨さをより強く感じられた気がします。
クラクフに到着したのは夕方だったので、その日はアパート近くのレストランで夕食を取ってから、聖美さんと飲みながら語り合いました。この日に限らず、ポーランド滞在中は毎晩遅くまで聖美さんと飲みました。相変わらず聖美さんはお酒が大好きで強い!でも、一緒に飲むといつも楽しい時間を過ごせます。
翌日は世界遺産のヴィエリチカ岩塩坑を訪問しました。深さ327m、全長300km、広さは900万立方㎡に達する世界最大級の岩塩坑です。この有名な岩塩坑を訪れるのは私も初めてだったので、とても楽しみにしていました。そして、その期待以上に見応えがありました。
見学するのは観光用の3.5kmの坑道で、まず一気に地下64mの深さまで木の階段で降りていきます。隙間から下を覗くと、吸い込まれそうな深さ!アレンとレオもこれには興奮していました。ちょっとした探検気分を味わえて嬉しそうです。一番下に着くと、ガイドに案内してもらいながら坑道内を見学していきます。
昔の採掘作業の様子を再現した模型が置かれていて、すべてが人力だったことに改めて驚かされます。しかも、今と違って電灯などはなく、真っ暗な中を松明などで照らしながらの過酷で危険な作業…それでも人々が塩を掘り続けたのは、当時ヨーロッパでは塩が貴重かつ高価な産物だったからです。そのことは、英語の給料を意味する「サラリー」の語源が、古代ローマ帝国が兵隊に与えていた塩を表すラテン語の「サラリウム」であることからも分かります。
現在は商業採掘は行われていませんが、坑道の壁や天井には白い岩塩が付いていて、それを指でなぞって舐めてみると塩っぱい!遥か昔にこの地域は海で、その塩分が巨大な岩塩層となったため、ミネラル豊富で体にいいそうです。周辺には、その塩を利用したスパなどがあります。
この岩塩坑の一番の見所は、坑夫たちが掘った彫刻像やレリーフ!常に命の危険が伴う仕事をしていた坑夫たちが安全祈願と信仰のために掘り上げたそうです。しかし、芸術家顔負けの素晴らしい作品ばかりで、まるで美術館の作品を鑑賞しているかのよう…
その最高傑作が、地下100mにある聖ギンガ礼拝堂。そんな地下深くにあるとは思えないほど広く荘厳な空間で、言葉を失うほど圧倒されました。これがすべて岩塩を掘って作られたとは信じられません。美しいレリーフもさることながら、塩の結晶で作られたシャンデリアもキラキラと輝いてきれい!ここは本当に一見の価値ありでした。
その後は、地下塩湖やお土産家などを見学して、地下135mから一気にエレベーターで地上に戻りました。そのエレベーターはダブルデッキと呼ばれる二層式で、上下に2つのカゴが繋がっていて、倍の人数を効率よく運べるようになっています。といっても、坑夫たちが使っていたレトロなもので、それで急上昇するのはスリリングな体験でした。ガイドの説明も興味深かったし、約3時間の見学はあっという間でした。
ヴェリチカ岩塩坑の地下深くまで降りる階段。深くて一番下まで見えない…
岩塩で覆われた坑道の壁や天井。舐めてみると塩っぱい!
坑道には当時の過酷な採掘作業を再現した模型などがあります
神話や宗教に基づいた彫像もあり、すべて坑夫たちが作ったもの
最大の見所の聖ギンガ礼拝堂。地下にこれだけ豪華な礼拝堂があるなんて圧倒されます!
これもすべて坑夫たちが岩塩を掘って作ったもの。強い信仰心のなせる奇跡ですね。
「最後の晩餐」のレリーフ。芸術家顔負けの作品!
塩の結晶で作ったシャンデリアが美しい

エメルラルド色に輝く地下塩湖。神秘的な美しさ…

巨大な材木の骨組みが美しい「ミハウォヴィツェの間」は個人的に大のお気に入り。映画「エイリアン」の世界を彷彿させるんですよね。

最後は地下135mからエレベーターで一気に地上へ!本当に見応えがありました!
クラクフの街に戻ってから、旧市街の中央広場に面したレストランで昼食を取りました。キャベツの酢漬けとキノコのピエロギがめっちゃ美味しかった!明らかに観光客向けの高級そうな店なのに、それほど高くないのも驚きでした。ポーランドは欧州の中では物価が安く、アルメニアから行っても、それほど高いと感じることはありませんでした。
昼食後に、中央広場を散策しました。ポーランド王国の首都だったクラクフは、ドイツ軍の司令部があったことから奇跡的に戦禍を免れ、美しい中世の街並みが残されています。特に中央広場周辺には素晴らしい建築が集まっており、その中でも特に目を引く高さ80mの聖マリア教会はポーランドで最も美しい教会と言われています。
その内部を見学しましたが、確かに息を飲むほど豪華絢爛で美しい教会でした。壁を埋め尽くす繊細な装飾に圧倒されます。金だけでなく、独特のカラフルな色使いがされているのが印象的でした。逆にアルメニアの教会はとてもシンプルで地味で、同じキリスト教でも全く違います。
妻はポーランドの教会の美しさに感動しつつも、「あまりに装飾が多すぎて落ち着かない…」と言っていました。というのも、アルメニアでは、神の声に耳を傾ける場所である教会を装飾で飾ることはあまりしないため、妻にすると、煌びやかな場所は心静かに祈るには適していないとのこと。私もアルメニアに住んで長いせいか、妻の意見には納得する部分がありました。
ちなみに、中央広場にはすごい数の鳩がいて、アレンとレオが餌をやって近づいたところを捕まえようとしていました。もちろん捕まえるなんて無理ですが、それでも頑張っている姿は可愛らしかったです。特にレオが鳩にハマってしまい、土産物屋に売っていた鳩のぬいぐるみを欲しがるほど。買ってあげたら、その後のポーランド滞在中はずっと肌身離さず持っていました。

美味しいポーランド料理でランチ!

旧市街の中央広場で一際高くて目立つ聖マリア教会

ため息が出るほど豪華絢爛な教会内部

カラフルで美しい壁や天井

アルメニアの教会とは全く違う豪華さに圧倒されました

荘厳な雰囲気の中、家族で祈りを捧げました

中央広場の鳩を追いかけるレオ

ぬいぐるみを買うほどレオは鳩を気に入りました。というか、鳩のぬいぐるみって初めて見るかも?!

銅像の真似をするストリートパフォーマンスを面白がるアレンとレオ

東欧でポピュラーなチムニーケーキというお菓子を食べました。美味しかった!

鳩のぬいぐるみを抱いて寝るレオ。可愛い!
翌日、妻は聖美さんとアウシュビッツ収容所の見学に出かけました。私は昔に訪問したことがあるし、小さな子供たちにあまり見せない方がいい場所だからです。というか、アレンとレオはまだよく理解できないでしょう。アウシュヴィッツの見学は午後4時ぐらいまで掛かるため、私はそれまで息子たちをクラクフ旧市街で遊ばせることにしました。
その日は青空が見えていたので、旧市庁舎の展望台に上がったり、ぶらぶらと旧市街を散策しました。旧市庁舎の展望台は昔のままの急な石段で登り下りするので、アレンとレオにとっては少し冒険っぽくて面白がっていました。落ちないようにと見守っていた私はちょっとヒヤヒヤしましたが、やっぱり男の子ってこういうのが楽しいんですよね。
美しい旧市街を散歩してから(息子たちは全く街並みには関心なかったけど…)、街中のアトラクションセンターに連れて行きました。7DシネマやVR体験などいろんなアトラクションがある場所で、前日に客引きから貰ったチラシを見たら、アレンとレオも楽しめそうだと思ったのです。
実際に二人ともたっぷりと楽しい時間を過ごせたようです。私もすべてのアトラクションに同行しましたが、バラエティに富んでいるので飽きずに時間を潰せました。3Dジェットコースターがあって、絶叫マシンが大の苦手の私も体験してみました。「3Dだから、そんな怖くないやろ」と思ったら大間違い!リアルに重力を感じるし、現実ではあり得ないVR空間を猛スピードで走るから、めっちゃ怖かった…アレンとレオはすごく面白がっていましたけどね。
夕方アパートに戻ると、仕事を終えたダグラスさんも帰宅してきました。クラクフには米国領事部があり、ダグラスさんは出張で滞在していたのです。そして、アウシュビッツ収容所の見学を終えた妻と聖美さんも帰宅しました。
妻に感想を聞くと、本当に行ってよかったとのこと。かなり見るものが多くて、けっこう急ぎ足だったそうですが、ホロコーストの悲惨さを知る貴重な経験になったようです。ただ同時に、なぜアルメニア人虐殺がホロコーストのように世界的に認知されていないのか…改めて強く疑問に感じたそうです。
その夜はアパート近くの大きなビールバーで夕食を取りました。初めはガラガラだった店内に、途中から一気に団体客が来たのですが、日本人たちもいてかなり国際色豊か。「何だろ?!」と思って調べたら、ちょうど国際学術フォーラムがクラクフで開催されていたようです。しかし、やっぱりポーランドのビールは美味い!ちなみに「柚子クラッシュ」という柚子の味がするビールも売られていて、これもすっきりした味わいで美味しかった!
食後はヴィスワ川を橋で渡って、英雄広場という場所に行きました。その地域はユダヤ人が強制的に住まわされたゲットーのあった場所で、家を追われたユダヤ人たちは家具などをリヤカーに積んで移動させられました。その後、ゲットーにいたユダヤ人たちは広場に集められてアウシュビッツに送られたそうです…
ホロコーストの犠牲者を弔うため、広場にはたくさんの椅子のオブジェがあります。これは、ユダヤ人の子供たちが自分の使っていた学校の椅子を持ってゲットーに移動させられたことにちなんで設置されたそうです。薄暗くなった広場に椅子が並ぶ光景を見ていると、私たちに無言でそこで起こった悲劇について語りかけているかのようでした…

美しいクラクフの街はトラムが似合います

旧市街にある聖ペテロ聖パウロ教会

白が貴重の美しかい教会内部。ここにもヨハネ・パウロ2世の銅像があり、尊敬されていることが分かります。

重厚で美しいパイプオルガンもあります

美しい中央広場。左に見えるのが旧市庁舎で、息子たちと展望台まで上がりました。

旧市庁舎の展望台からの景色

旧市街では観光用の馬車がたくさん見かけます

馬車が絵になる美しい中世の街並み

バルバカンという要塞跡。周辺では絵画が売られていました。

ポーランドは医療用大麻が合法で、街中にカンナビスショップをよく見かけます

アトラクションセンターでVR体験をするアレンとレオ

レーザーに触れないように移動してボタンを押すゲーム空間

東京のデジタルアートミュージアムのような部屋

上下逆さまの写真が撮れる部屋

蝶の部屋では、生きた蝶と触れ合うことができます

帰宅途中でにわか雨が降ったので、仲良く傘を差して歩くアレンとレオ

雨上がりのヴァヴェル城。中には入りませんでしたが、美しい中世の城です。

夕食を食べた大きなビールバー。昔は鉄道駅だったそうです。

ホロコーストの悲惨さを今に伝える英雄広場

帰りに渡った橋がライトアップされてきれいでした

22年前に訪問した時に撮ったアウシュビッツ収容所の写真。有名な「働けば自由になる」と書かれた正門。

収容された人たちの顔写真と囚人服。見ていて辛く胸が張り裂けそうになる展示ばかりでした…

「死の壁」と呼ばれる銃殺に使われた場所。無数の弾痕が残っていました…
私たちが滞在したアパートはカジミェシュというユダヤ人地区にあったので、翌朝は妻と周辺を散策し、ポーランド最古のスタラシナゴークの博物館を見学しました。当時のユダヤ人の生活やユダヤ教に関する展示がありましたが、特に切り絵の宗教画には目を見張りました。切り絵とは思えないほどあまりに美しく細微で見入ってしまいました。ポーランドは切り絵が有名なんですよね。
雰囲気のいい通りを歩きながら、他のシナゴークも見学しました。最後に訪れたテンペルシナゴークは、残念ながら内部は工事中でしたが、美しい装飾を見ることができました。それでも、ポーランドのキリスト教会に比べたらかなりシンプルで、「ここの方がもっと気持ちが落ち着く」と妻は言っていました。キリスト教徒なのに、シナゴークの方にもっと親近感を感じてしまうなんて不思議ですが、アルメニア正教会と何か通じるものがあるのかもしれません。
それから三日間の滞在を終えて、電車でワルシャワに戻りました。聖美さんたちのお陰で、クラクフでも有意義で素晴らしい時間を過ごすことができました。二度目の訪問だった私にとっても、思い出に残る滞在になりました。
とにかく毎日が濃かったから、今回も記事が長くなってしまいました。ポーランド旅行の続きは、また次回の記事でご紹介したいと思います。

ユダヤ人地区にある立派なコーパスクリスティ教会。欧州に多いけど、ポーランドも壁に落書きがされていたのは残念・

豪華絢爛な教会内部

妻にすると、カトリックの教会は煌びやか過ぎて落ち着かないそうです

歴史のあるユダヤ人地区だから、ヘブライ文字やダビデの星を見かけます

ポーランド最古のスタラシナゴーク

スタラシナゴークの博物館

博物館にあった美しい切り絵。一枚の紙から切り抜かれたとは思えないほど精緻で驚嘆しました。

伝統的な装いをしたユダヤ系住民が歩いています。NYを思い出しました。

立派なテンペルシナゴーク

内部もけっこう豪華で美しい!でも、教会に比べたらかなりシンプル

ワルシャワに戻って、聖美さんたちの飼い猫キサと再会

ワルシャワの日本人が経営するうどん・ラーメン専門店で夕食

私は坦々麺を食べましたが、本格的な辛さで美味しかった!
- [2023/09/10 17:37]
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