深刻化するカラバフの人道的危機 

今週も暑い日が続いています。涼しかったセヴァン湖から戻ると、余計に暑く感じますね。ただ予報を見ると、先週が暑さのピークだったみたいで、当分は40℃を超える日はなさそうです。

月曜にアルメニアで悲惨な交通事故がありました。ギュムリとエレバンを結ぶ幹線道路で、ミニバスとトラックが正面衝突し、11人が死亡、6人が重傷を負いました。ミニバスに乗っていたのは、東トルコツアーに参加したアルメニア人観光客で、新婚夫婦もいたとのこと…トラックが対向車線に入ったことが原因らしく、運転手の過失が疑われています。彼も重傷を負いましたが、深夜の事故だったから、居眠り運転の可能性が指摘されています。

ヒップホップ歌手のスヌープ・ドッグが9月下旬にエレバンでコンサートを開く予定です。最大2万5千人規模のコンサートで、スヌープ・ドッグ自身も伝説的なイベントになると語っています。しかし、このコンサート開催にアルメニア政府が600万ドルを出資したことが問題になっています。政府は「観光産業促進のための投資だ」と説明していますが、「教育や福祉などもっと他にお金を使うべきだ!」と批判されています。

さて、昨年末からすでに8か月も続いているアゼルバイジャンによるラチン回廊の封鎖問題。当ブログでも何度も触れているように、その封鎖によるカラバフ市民の人道的危機がかなり深刻化しています。エネルギーや各国からの人道支援物資の供給の停止によって、ライフラインや食糧や医薬品などが欠如し、市民の生活と生命が脅かされているそうです。

カラバフの人権保護団体の報告によると、この長期的な封鎖による市民の人道的危機は深刻で、特に女性や子供、高齢者や病人など社会的弱者に大きな影響を及ぼしているそうです。例えば、生活環境の悪化により、早産が増えているとのこと。また、燃料不足で救急車が稼働できないため、妊婦が病院に辿り着けず流産するという悲しい出来事もあったそうです。さらに、男性一人が飢餓による栄養失調で死亡したとのこと…

上記の報告が本当であれば、かなり悲惨な状況で胸が締め付けられます。そのため、アルメニアの要請により、今週は国連安全保障理事会の緊急会合が開かれて、この問題について議論されました。参加国の多くは、ラチン回廊の封鎖解除、またカラバフの人道的危機に対して緊急な措置が必要であると述べました。会合に出席したアルメニア外相も、国連の協力を強く求めました。

しかし、国連という組織が、こういう問題に積極的かつ効果的な行動を起こす可能性は低い気がします。いつものごとく形式的に会合を開いて、強制力のない声明や決議を出して終わりではないでしょうか…そんな国際機関にいくら促されても、アゼルバイジャンが封鎖を解除するとは思えません。向こうは、「ラチン回廊を通して、アルメニアがカラバフに軍事支援を行っている」と従来の主張を根拠に封鎖を正当化するでしょう。

とはいえ、今カラバフで起こっている悲劇は、一刻も早く止める必要があります。そうでなければ、さらに被害が拡大して、多くの犠牲が出てしまいます。アゼルバイジャンの主張の真偽はともかく、カラバフ市民を兵糧攻めにして、独立の希望を挫き、アゼルバイジャンへの帰属を受け入れさせること、またアルメニア側にアゼルバイジャン本土とナヒチェバンを結ぶ回廊建設を認めさせることなどが目的である可能性は高いです。

いずれにしても悲惨な結果を招く非人道的行為ですが、これは30年も領土問題で譲歩できず対立し続け、根深い憎悪が醸成されたことによる結果…そのために、戦争で多くの犠牲を出し、今またカラバフの一般市民が犠牲になろうとしています。

ちなみに、トルコの政治家や知識人や人権活動家らも、このアゼルバイジャンの政策を厳しく糾弾し、大惨事になる前に封鎖を解除すべきであり、カラバフ市民を救うために国際社会も即刻介入すべきだと訴える声明を出しました。アルメニア系住民だけでなく、多くのトルコ人もこの声明に名を連ねていることに驚くと同時に胸が熱くなりました。

しかし、この事態を打開するには、国際社会の介入よりも、結局はアルメニアとアゼルバイジャンが交渉を行い、問題解決に向けた合意に達するしかない気がします。もちろんロシアや欧米の仲介が必要になるでしょうけど、何より両国の意思と決断にかかっていると思います。

パシニャン首相は、「ラチン回廊封鎖を含むアゼルバイジャンの敵対行為が、和平確立の歴史的チャンスを損ねている」と非難しています。この地域と未来の世代の平和のために、歴史的チャンスを逃さず、両国が現実的な交渉を重ねて和平への道筋を探ってほしいと思います。

一昨日の終戦記念日に、天皇陛下は「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」と述べられました。日本は先の大戦で負けて多くを失いましたが、戦後ずっと平和を維持してきました。それは何にも代えがたく、反省と努力の上に築かれる尊いものです。アルメニアにも、争いのない真の平和が訪れてほしいと切に願います。

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ロボティックスのクラスに楽しく通うアレン

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カルボナーラが大好きなアレンが料理のお手伝い

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美味しそうに食べるアレンとレオ。伸びていた髪を二人ともバッサリ切りました。

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庭で飼っている猫を可愛がるアレンとレオ

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自分で簀巻きになるレオ

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服の下にボールを入れておどけるレオとアレン。二人がいると騒がしいけど楽しいです。

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