平和条約締結への決意
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少し天気は不安定ですが、予報されていたほど悪い天気ではありません。ただ、今週末もあまり晴れそうにないですね…あまり暑くなくていいんですけど、やはり青空が広がっている方が気持ちがいいです。
広島G7サミットが終わりました。ゼレンスキー大統領の電撃参加が注目を集めたようですが、日本含め欧州各国は、従来と変わらず、ウクライナへの資金面・軍事面の支援を強調するだけでした。ゼレンスキー大統領と面会できなかったブラジルのルラ大統領の「交渉によって解決すべきであり、G7ではなく、国連などで議論すべきだ」という発言の方がよっぽどまともに感じます。
あと、せっかく広島で開催したのに、核兵器廃絶に向けた明確なビジョンが発信されませんでした。「核兵器は、防衛目的のための役割を果たして侵略を抑止する」という言葉は、ただ欧米側の都合のいい理屈にしか聞こえないし、その理屈が正当化されるのであれば、どの国だって自主防衛のために核を保有してもいいことになります。
次男レオは学校の授業が今日で終わります。長男アレンも、明日学校でイベントに参加して終わりです。それからは8月末まで夏休み!細密画やチェスなどの習い事はありますが、自由でのんびりした日々になります。いいなー羨ましい!
私と妻は今週も仕事で忙しくしています。まあ、やるべき仕事があるってありがたいことですけどね。とはいえ、明後日から息子たちは基本的に家にずっといるから、仕事に集中できるか心配…でも、二人とも今は自分たちで勝手に遊ぶことが多いので、以前に比べてずっと楽です。
さて、一昨日パシニャン首相が、「条件付きでナゴルノ=カラバフをアゼルバイジャン領の一部として認める用意がある」と発言したというニュースが日本でも報道されていました。ウクライナ侵攻後にロシアのコーカサス地域への影響力が低下しているとか、アルメニアのロシア離れが進んでいるという内容も併記されているから、いつものごとくメディアはただロシア批判をしたいだけなのかもしれませんが…
パシニャン首相は上記のような発言を1か月ほど前にも議会でしており、それについては当ブログにも書きました(こちら) なので、私にすると特に驚くようなニュースではなく、アゼルバイジャンとの平和条約締結のため、改めてアルメニア政府の決意や方針を述べたに過ぎません。
というか、アゼルバイジャンの領土の一体性については、過去のアルメニア政府も認めてきました。しかし、そのことをきちんと国民に伝えようとせず、交渉で譲歩や妥協ができないまま、問題の解決が先延ばしにされてきたのです。もちろん住民の多くをアルメニア系が占めるナゴルノ=カラバフの地位を巡っては、双方の意見や立場に大きな隔たりがあるため、簡単に解決できる問題ではないことは確かです。
だからこそ、カラバフのアルメニア系住民の権利と安全が保障されることを、アゼルバイジャンの領土保全を認めるために不可欠な条件としているのです。そして、そのためにはカラバフ政府とアゼルバイジャン政府が直接交渉を行い、国際組織の介入や協力が必要だとしています。
いずれにしても、このパシニャン首相の発言に対して怒りを禁じ得ない市民も少なからずいると思います。長年対立してきたアゼルバイジャンが、カラバフのアルメニア系住民の権利や安全を保障するはずなどないと猜疑心に駆られるのは当然でしょう。また、カラバフのアゼルバイジャンへの帰属を認めたら、一体何のためにこれまで多大な犠牲を払ってきたのか…という無念も理解できます。
しかし、私個人は、この問題を解決するには、現政府が掲げる方針しかないだろうと思います。これまで避けてきた現実と向き合い、厳しい譲歩や妥協をして平和条約を締結するしかないと思っています。払ってきた多大な犠牲は、終わりなく続く争いのためではなく、母国の平和のためであるべきです。そして、その平和とは、未来のために苦渋の決断をして憎悪と対立の連鎖を断ち切らなければ実現できません。
ちなみにパシニャン首相が先月から二度も、「ナゴルノ=カラバフをアゼルバイジャン領と認める用意がある」と公に発言したにも関わらず、野党や市民らのデモなどは起こっていません。先月の議会での発言を聞いた時は、国内で激しい反発を生み、大規模なデモが発生して混乱するかもしれない…と少し不安になりましたが、意外にも国内は平穏そのものです。
これは国民の多くが、さらに野党までもが現実を受け入れつつあるという証左なのかもしれません。戦争のない社会を築くには、この現実を受け入れるしかないと思っている人が多いのかもしれません。私は以前から、そういう声なき声を持つ人が増えているのではないかと感じていました。
「カラバフは渡してはならない!譲歩せずに戦うべきだ!」という勇ましい意見は愛国的で発言しやすいですが、現実を受け入れて譲歩すべきだという意見は、アルメニア人としては言いづらいでしょう。しかし、たとえ口に出さずとも、そう考える市民は確実に存在しています。なぜなら、もう戦争なんて嫌だからです。争いで人が死んでいくのを見たくないからです。
私も同じです。もう二度と3年前のような経験をしたくありません。毎日尊い命が失われ、国全体が憎悪と悲しみに覆われる…そんな悲惨な戦争を決して繰り返してほしくはありません。子供たちの未来が平和であってほしいと心から願っています。
平和は与えられるものではなく、自分たちで築いていくものであり、それには犠牲や妥協は避けられません。現実に向き合い、アルメニアとアゼルバイジャン両国が正しい決断をして、平和に向けて少しずつ前進してほしいと思います。明日モスクワでアルメニアとアゼルバイジャンの首脳会談が予定されています。難しい交渉になることは必至ですが、平和条約締結の実現に一歩でも近づいてほしいと思います。
週2回チェスの学校に通うレオ。課題を考える姿が可愛らしい!
学校から帰るとすぐロシア語でネットの動画を見るアレン。あまり見過ぎないようにはしていますけど、こうやってロシア語を自然に覚えたのだから便利ではあります。
ネットを見過ぎて運動不足にならないよう、夕方に近所で遊ばせます。私の自転車にも上手に乗れるようになったアレン!
レオはキックスクーターが大好き!
最近うちの飼い猫が外に逃げてしまうことがありました。幸い戻ってきたからよかったけど、気をつけないと。また出たいのか、窓から外を眺めています。
うちの猫と仲良しのノラ猫。ほぼ飼われているかのごとく、庭のブランコで呑気に寝ています。可愛いなあ
- [2023/05/24 19:17]
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