マスコミによる偏向報道の裏側
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雨が降ったり止んだりの天気で、今週は少し肌寒いです。そのせいか、妻とレオが風邪気味です。念のため、今日レオは学校を休ませましたが、家に居られて嬉しいのか元気いっぱい。うーん、学校に連れていけなくもなかったか…でも、悪くなったり、他の子供にうつしたりしたら良くないですからね。
アメリカでまた地銀が破綻しました。2か月で三行も立て続けに破綻するという異常事態ですが、ずっと大量緩和を続けた上に、コロナ対策で公的資金を湯水のように流し込んだ後で、あんな急激な利上げをしたのだから当然の結果です。今後も銀行破綻の連鎖が起こる可能性は十分あるし、アメリカの国債自体が債務上限の引き上げをしないとデフォルトに陥る可能性さえ出てきました(これはいつもの茶番で、最後には引き上げられるでしょうけど…)
ドル離れも進んでいて、国際貿易決済に占める人民元のシェアが急速に伸びています。BRICSを中心とする新興国でも、ドルではなく自国通貨での決済が進んでいます。このドル離れの大きな動きは、欧米による対ロシア経済制裁がきっかけですが、米国の金融市場に対する不安も拍車をかけています。世界は着実に多極化しているのです。
さて先日、日本のある報道番組から連絡があり、インタビュー取材をさせてほしいという依頼を受けました。最近アルメニアがICC(国際刑事裁判所)に加盟する動きを見せていることを取り上げるため、私に現地の報道や市民の意見などについて話してほしいとのことでした。
親ロシア国だったアルメニアが、ウクライナ侵攻やアゼルバイジャンとの問題への対応などに不満を募らせてロシア離れが進んでおり、プーチン大統領に逮捕状を出したICCへの加盟もその一つの表れではないか…という理解をしているようでしたが、それは事実とは異なると私は答えました。
なぜなら、アルメニアのICC加盟とロシアへの反発とは関係ないからです。昨年12月にアゼルバイジャンの戦争犯罪を追及する目的でICCへの加盟を検討し、憲法裁判所がその合憲性に関する審査を開始しました。そして、3月に合憲判断が出されたのですが、同じ時期にICCがプーチン大統領への逮捕状を発付したため、加盟を批准すべきかどうかが問題になったのです。
ロシアはアルメニアに対して慎重な対応を求めましたが、自国の大統領に逮捕状が出された訳だから、同盟国としてごく当然の反応です。もしICC加盟自体が問題であれば、アルメニアがそれを検討し始めた昨年12月の時点でロシアは反発しているはずですが、当時は全く問題視されませんでした。というか、アルメニアは20年ほど前にも検討したことがあります。なので、ロシアへの反発からICCに加盟しようとしているというのは誤解です。
さらにアルメニア政府は、「アゼルバイジャンとの問題へのロシアの対応に不満はあるが、両国の同盟関係は重要であり、それを損ねるべきではない。そのため、ICCへの加盟を急いで批准する必要はない。プーチン大統領の拘束についても全く議論などされていない」と述べており、批准は棚上げされたままです。たとえ加盟したとしても、アルメニアがプーチン大統領の身柄拘束に応じる可能性はかなり低いでしょう。
確かにアルメニア政府がロシアに対して不満を持っていることは事実で、公式に表明もしています。昨年ロシアが主導するCSTO(集団安全保障条約機構)のサミットがエレバンで開催された際に、アルメニアは共同宣言の採択を拒否しました。今年に入ってからは、自国領内でのCSTOの合同演習を受け入れない考えを示し、CSTO副事務局長の役職も辞退しました。かといって、アルメニアが一気に親欧米に傾き、ロシアとの同盟関係を破棄するなんてことは現実的に考えられません。
また、そのロシアに対する意見も人によって様々です。心底ロシアを嫌う人や昨今の状況からロシアに失望している人もいれば、今もロシアを最も大事な同盟国と考えている人もいます。ロシアよりも欧米に対して強い不信感を持っている人もいます。どれが多数派なのかは分かりませんが、一部の意見だけで、「アルメニアは急速にロシア離れしている」と決めつけるのは浅はかです。
そして、ウクライナ侵攻についての報道も概ね客観的で、マスコミが反ロシア一色で染まっている日本に比べれば、その意見も人によって様々だと思います。ロシアが100%悪いと考える人もいれば、戦争にまで至った原因はウクライナにもあると考える人、ウクライナの背後にいる欧米が最も悪いと考える人もいます。これも一部の意見だけで、アルメニアの世論を判断することはできません。
上記のことを率直に番組ディレクターに話して、「私が語る内容を都合よく切り取ったり編集したりしないのであれば、取材をお受けすることはできる」と伝えました。その結果は…案の定、インタビュー取材は見送られました!理由は明白で、私が話したことは番組の方向性にはそぐわないからです。全く驚かなかったし、制作側としては仕方のない判断だったと思います。
日本の風潮を見れば、その番組も初めから反ロシアという方向性であること、またそれを裏付けるためにアルメニアの状況を取り上げようとしていることは予想できました。なので、取材の依頼を受けた時にすぐ、「おそらく私の意見は、そちらが望んでいるものではないと思う」と、私から断ろうとしました。
結局インタビュー取材はありませんでしたが、マスコミの偏向報道の裏側を窺い知る貴重な機会となりました。やはりマスコミは最初から決められた方針やストーリーに沿って、都合よく情報を選択したり切り取ったり、時には歪曲までして報道するものだと再認識できました。そうやって視聴者に偏った情報が流されて、一方的に世論が形成されていきます。コロナ関連の報道もかなり酷いものでした。
もし私が反ロシア的な意見を主張していたら、向こうは大喜びで取材したでしょうけど、それは本意ではありません。というか、私は終始ロシアを擁護するような発言など全くしていないし、ただ現地に住む者として客観的な事実や意見を述べただけなんですけどね。それでも番組では紹介しづらい内容だとして取材は見送られました。
事実というのは、時に不都合で残酷なものであって、希望や先入観や思い込みを裏切り、容赦なく打ち砕くことさえあります。そのことは、3年前の第二次カラバフ戦争で痛感しました。それからは以前よりも増して、マスコミ報道や世論を鵜呑みにせず、自分で多角的に調べ、感情や先入観でははなく事実に基づいて物事を判断するよう努めています。
もちろん私は、いろんな意見があってよいし、それが当然だと思っています。ウクライナ侵攻やロシアについても同じです。ただ、それらの意見がマスコミの偏った情報だけに基づいたものである場合は、疑問を持たざるを得ません。上に書いた私の経験からも分かるように、その情報は恣意的に操作されていることが多々あるからです。
視聴者の側が、マスコミ報道を時には疑って自分で別の視点から調べるようにすればよいのですが、人間というのは見たいものだけを見て、聞きたいものだけを聞き、信じたいことだけを盲信してしまう傾向があります。こう偉そうに書いている私だってその危険性があるわけで、今回の経験を通じて、やはり流される情報を鵜呑みにせず、自分で調べて考えようとする姿勢は大切だと改めて感じました。
昨日は兄弟仲良く塗り絵をしていました
学校を休んだレオは家で遊んでいます。私の母にもらったカリンバを弾くレオ。
毎晩アレンとレオは猫と一緒に寝ています。可愛い!
- [2023/05/03 18:52]
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