アルメニア人虐殺記念日 

昨日は天気がよくなかったですが、今日は朝から青空が広がって暖かいです。今朝はレオが学校に行くのを嫌がって、午前中はずっと教室の外で座り込んで授業を受けなかったそうです…別にいじめられたりはしていないんですが、休み明けはいつもこんな感じで困ります。

エレバンで開催されていた重量挙げのヨーロッパ選手権が終了し、アルメニアが最多メダルを獲得しました!開会式でアルメニア人男性がアゼルバイジャン国旗を燃やし、そのために急遽アゼルバイジャン人選手らが参加を取りやめて帰国するという残念な出来事がありましたが、ホスト国のアルメニアが大健闘したことを嬉しく思います。

先週土曜は、エレバン中心部の美術館で開催されているゴッホ・バンクシー展に家族で行ってきました。といっても、彼らの作品が展示されているのではなく、デジタル映像で彼らの経歴や功績、作風などを見せるという展示。作品のディテールを美しいデジタル映像で見たら、ゴッホの斬新な表現力に改めて感動…溢れんばかりの情熱に圧倒されました。

また、久しぶりに大豆から納豆を作ったので、日曜の夜は家族で手巻き寿司を食べました。もう納豆が美味すぎ!アルメニアで普通に納豆を作って食べられる日が来るなんて感無量!息子たちが「また寿司を食べたい!」と言うので、また近々やろうかなと思っています。

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デジタル映像でゴッホの生い立ちや作品を紹介する展示。改めてその狂気と才能に圧倒されました。やっぱりすごい!

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バンクシーの歴史や作品もデジタル映像で紹介されました。パンク精神を貫く彼のアートスタイルも好きです。

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手作り納豆やツナマヨ、アボカドやカニカマを具にして手巻き寿司!美味しかったー!

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なんと皿洗いを手伝うレオ!えらい!学校を嫌がらずに行ってくれたら文句なしなんだけど…

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友人で息子たちのゴッドペアレンツであるダグラス・聖美さん夫婦と久しぶりにネットで話しました。ナルトグッズを嬉しそうに見せるアレン。聖美さんが日本から買って送ってくれたナルトの漫画も少しずつ読んでいます。

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時々ハーネスを付けて猫を散歩させると、木に登ったりします。一昨日はアレンが紐を手から離してしまい、上の方に登ってしまいました。無事に下ろすことができたけど大変でした…

さて、昨日4月24日は、アルメニア人虐殺記念日でした。今年は108周年。当ブログで何度も書いているように、このアルメニア人虐殺とは、第一次世界大戦中にオスマン帝国が行った強制移住や殺戮によって、東トルコに居住していたアルメニア人が100万人以上が亡くなったとされる歴史的悲劇です。

この記念日は、多くのアルメニア人がツィツェルナカベルトと呼ばれる虐殺記念碑を訪れて献花します。私と妻も毎年訪問していて、昨日も慰霊のために花を捧げに行きました。ちなみに、妻はその虐殺の生存者の子孫です。記念碑のある丘の麓で花を買って、上へと歩いて行きました。多くの参列者がいましたが、立ち往生することなくスムーズに記念碑まで辿り着くことができました。

記念碑に着くと、永遠の炎の周りにはすでにたくさんの花が積み上げられていました。私たちも献花して、犠牲者の冥福を祈りました。そして、私はいつものように心から平和を祈りました。私にとって、慰霊の日であると同時に、平和がいかに尊いものであるかを再認識する日でもあるのです。

多くのアルメニア人にとっては、反トルコ感情や愛国心が高揚する日で、ソーシャルネットワークではその怒りや悲しみを表現した投稿を見かけるし、トルコ国旗を燃やすアルメニア人もいます。大規模な人道的悲劇であるにも関わらず、トルコ政府はこの虐殺の歴史を公式に認めず謝罪をしていないし、3年前の戦争では全面的にアゼルバイジャンを支援しました。アルメニアの気持ちは十分理解できます。

しかし、アルメニアはトルコとの国交正常化交渉を本格的に進めています。このような動きは過去にもありましたが、アゼルバイジャンとナゴルノ=カラバフを巡る領土問題があったため、残念ながら頓挫しました。というのも、トルコとの関係が悪化して国境が閉まったのは約30年前の第一次カラバフ戦争中のこと。優勢だったアルメニアがカラバフ周辺の地域も実効支配したことを受けて、トルコは国境を封鎖したのです。

ところが、3年前の第二次カラバフ戦争の結果、アルメニアが実効支配していたカラバフ周辺の領土がアゼルバイジャンに返還されたため、状況に劇的な変化が起こりました。国交正常化に向けた交渉が継続的に行われ、今年初めには両国間の航空貨物輸送が開始されました。また、第三国の市民への国境開放が今年中に実施される見込みとなっています。

今年2月に発生したトルコ・シリア地震では、アルメニアの救援チームが被災地で救助にあたり、30年ぶりにトルコとの国境が開かれて支援物資が搬送されました。これについてはアルメニア国内で賛否両論ありますが、トルコ政府はアルメニアの支援に対して深い謝意を公式に伝えました。

虐殺の歴史を忘れずに語り継ぐことはもちろん大切ですが、より良い未来に向けて関係改善に努めることはそれ以上に大切です。過去に囚われて対立し続けても、その先に平和は訪れることはなく、結局は憎悪と争いの連鎖が続くだけ…それは、この30年間に全く前向きな進展がなかったことからも分かります。

犠牲者への真の弔いとは、その終わりのない負の連鎖を断ち切って、平和な社会を築いていくことではないでしょうか。未来の世代が戦争や虐殺という悲劇を経験することのない希望ある社会を作ることではないでしょうか。そのためには、今の大人の世代が大きな決断をする責務があります。平和は厳しい現実に目を背けて待っていても訪れません。その現実に向き合って少しずつ作り上げていくものです。

アルメニア人虐殺記念日が、過去の悲劇を思い返すだけでなく、平和への決意を新たにする日になってほしい…3年前の戦争以降、この日に私は以前よりもそう強く願うようになりました。そして、きっといつかそれが実現されると信じています。

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虐殺記念碑には多くの市民が献花に訪れていました。天気は良くなかったけど、幸い訪問中は雨に降られませんでした。

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記念碑には大量の花が捧げられていました。アルメニアに真の平和が訪れますように!

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