鮄川さんと3日間のジョージア旅行 

まだ日中は暖かい、というより少し暑いぐらいの陽気ですが、朝晩は肌寒くなってきました。そのせいか、体調を崩す人が多く、義母に続いて、アレンとレオも風邪を引いてしまいました。なので、明日はレオの6歳の誕生日ですが、家族で小ぢんまりとお祝いしようと思います。

一昨日9月27日は、2年前にアゼルバイジャンとの戦争が勃発した日でした。当時のブログ記事を読み返してみると、「今回も数日ほどで落ち着くのではないか…」と書かれています。私だけでなく、多くのアルメニア人も同じように考えていました。しかし、戦争は激しさを増すばかりで収束せず、結局1か月半も続きました。悪夢のような時間の始まりでした…

戦争が本格化してからは、全く終わりが見えず、毎日を不安と悲しみの中で過ごしました。少しでも現地の状況や情報を伝えようと記事で発信していましたが、悲惨なニュースばかりで本当に暗く重い気持ちになりました。何より多くの尊い命が失われることに心を痛めました。今もあの時の経験を思い出すと辛くなります。最近もアゼルバイジャンとの衝突がありましたが、もう二度と戦争という悲劇が起こってほしくありません。改めて平和を祈りたいと思います。

ウクライナではまだ戦争が続いていますが、東・南部の4州で住民投票が行われ、賛成多数でロシアへの編入が決まりました。明日にはプーチン大統領が併合を宣言すると見られています。ウクライナ政府はもちろんのこと、欧米諸国や日本は「茶番だ」と非難していますが、米欧はコソボで同じことをしました。米国が主導したアフガン・イラク戦争では、20万人以上の市民が犠牲になりました。ロシアや中国を非民主的だと批判するEUは、資源不足を補うために、独裁国家アゼルバイジャンからのガス輸入を大幅に増やしました…私は大きな欺瞞を感じざるを得ません。

そういえば、安倍元首相の国葬が行われたのですね。全く関心がなかったので、いつの間にか終わっていたという感じです。それよりも RIZINの朝倉未来とメイウェザーの試合の方が気になっていました。大方の予想通りの展開でしたが、朝倉選手はけっこう善戦したと思います。と同時に、やっぱりメイウェザーのスピードと反応の凄さには驚きました。ボクシングルールでは圧倒的な強さですね。

さて、週末はお隣の国ジョージアに行ってきました。私が秘書を務めているモンスターラボ社長の鮄川さんが訪問することになり、私も同行したのです。私は何度もジョージアに行っているので、案内役を依頼されました。とはいえ、私も2年9か月ぶりの訪問でした。コロナ禍が始まる直前の2020年のお正月に家族と行って以来です。

今回は出張ということで、初めて空路でジョージア入りしました。エレバン発のフライトが遅れたため、けっこう待ちましたが、飛行機に乗っている間はたったの30分。離陸したかと思ったら、あっという間に高度が下がってトビリシ空港に到着。そういえば、ウクライナ問題の影響で、乗客のほとんどはロシア人でした。トビリシ空港は初めてだったので新鮮でした。ちなみにジョージアもコロナ関連の規制が全て撤廃されて、ワクチン証明書もPCR陰性証明書も不要で、スムーズに入国できました。

ホテルに着くと、先にドバイから到着していた鮄川さんと合流しました。お互いお腹が空いていたので、早速ヒンカリ(ジョージアの水餃子)を食べに、地元の友人に予約してもらっていたレストランに向かいました。外に出ると、けっこう寒い。トビリシの方が標高が低いのに、エレバンより気温が低くて驚きました。でも、久しぶりにトビリシに来れたので嬉しかったです。

レストランでは、ジョージアとマケドニアのサッカーの試合がテレビで放送されていて、ジョージア人たちが必死で見ていました。ジョージアチームがゴールを決めると、ワーッ!と大きな歓声が上がります。試合はジョージアの圧勝で、試合が終わった瞬間も、みんなが手を叩いて母国チームの勝利を喜んでいました。着いて早々すごい雰囲気でしたが、ジョージア初訪問の鮄川さんも楽しそうでした。

鮄川さんのジョージア初訪問と再会を祝って、ビールで乾杯しました。アルメニアに10回近く来ている鮄川さんは、隣国ジョージアもずっと行きたがっていたので、その希望が叶ってよかったです。トビリシで再会するというのも面白かったですね。鮄川さんとは7月に出雲で会って以来の再会。美味しいヒンカリを食べて、ビールを飲みながら、遅くまで語り合いました。

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ジョージアに初の空路入国。機内はロシア人で満席でした。

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トビリシ中心部の自由広場。2年9か月ぶりのジョージア。意外に寒くてビックリ!

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鮄川さんと再会を祝って乾杯!ここのヒンカリは美味しかった!

翌日は、まずトビリシの旧市街を案内しました。付け焼き刃でしたが、事前に古い教会の歴史などを調べておいたので、それを説明しながら散策しました。同じ旧ソ連とはいえ、エレバンとはまた雰囲気が異なるトビリシの街を、鮄川さんは興味深そうに観光していました。久しぶりにトビリシを訪れることができて、私も嬉しかったです。

午後は、友人が手配してくれた車でムツヘタの観光に出かけました。ムツヘタは、トビリシの前に首都だった歴史ある街で、世界遺産にも登録されている古い教会などがあります。あいにく朝から曇り空で肌寒かったですが、鮄川さんはジュワリ修道院からの眺めやスヴェティツホヴェリ大聖堂の荘厳な雰囲気に感動していました。土曜だったこともあって、スヴェティツホヴェリ大聖堂では、民族衣装を着た新婚カップルの結婚式を見ることができました。

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古い街並みが残るトビリシ旧市街を散策しました

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ジョージアにキリスト教を伝えた聖ニノの十字架が保管されていたと言われるシオ二教会

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シオ二教会の内部。アルメニア教会と違って、ジョージアの教会はイコンやフレスコ画で飾られています。

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トビリシを首都に定めたヴァフタング1世の銅像とメテヒ教会

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ロープウェイで上がったナリカラ要塞から眺めるトビリシの街並み

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ムツヘタに行く途中、世界遺産のジュワリ修道院を見学しました。聖ニノが木の十字架を立てた場所と伝えられています。

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教会内部には聖ニノの十字架があったという台座が残り、その上に十字架が建てられています

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教会の壁のレリーフも素晴らしい

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教会からは美しい景色が広がっています。水の色が違う二つの川が交わっています。

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11世紀のスヴェティツホヴェリ大聖堂。ここも世界遺産で、ジョージア正教会の総本山でした。

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この大聖堂にはキリストの聖骸布があったと言われていて、その場所には美しい柱が建てられています。

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聖堂内では、ちょうどジョージア人カップルの結婚式が行われていました。男性は民族衣装を着ています。

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聖ニノが住んでいたと言われるサムタヴロ教会。ここも世界遺産です。

トビリシに戻ってから、私は20年来の大切なジョージア人の友人に会いに行きました。22年前の彼との偶然の出会いがきっかけで、私は急遽アルメニアを訪れることになりました。そして、13年前に日本語を教えにアルメニアに行き、そのまま住み続けています。つまり、彼は私の人生を大きく変えた人なのです。22年前の彼との出会いやアルメニアに至る経緯については、過去の記事をご覧ください(こちら)

友人の家のドアをノックすると、友人と奥さんが嬉しそうにドアを開けてハグしてきました。彼らとも2年9か月ぶりの再会。久しぶりに会えて、私も本当に嬉しかったです。22年前に偶然出会った彼らと、今も変わらぬ友情と交流が続いていることに心が温かくなりました。再会を祝って自家製ワインで乾杯しました。ただ、今回は予定が詰まっていて、1時間ほどしか一緒にいられませんでした。友人と奥さんは、私の家族とも会いたがっていたので、次回はゆっくり訪問したいと思います。

それから、JICAのトビリシ事務所の方々と夕食しました。その一人は、昨年からJICA事務所に勤めているジョージア人の友人。彼は元々同じ日本語教師で、13年前に会ってからずっと仲良くしています。今回は、私と鮄川さんのために、いろいろと手配してくれました。彼とは昨年10月にアルメニアで会って以来で、久しぶりの再会を喜び合いました。食事したレストランは、ジョージア料理を現代風にアレンジしたもので、どれもすごく美味しかったです。さすがジョージアだけあって、飲んだワインもめっちゃ美味!とても楽しい夕食会となりました。

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私の人生を変えた大切な友人と奥さん。久しぶりの再会を祝って乾杯!

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JICA事務所の森所長と友人のコテさんと夕食

翌日は、そのJICAの方々にお誘いを受けて、カヘティ地方を訪問しました。トビリシの日本大使館に務めるジョージア人の方の田舎があり、そこでワインを作っているそうで、ブドウの収穫をお祝いする機会に同席させてもらうことになったのです。カヘティは、ジョージアで最もワイン作りが盛んなところで、ここは私も初訪問でした。

前日と打って変わって、朝から雲ひとつない青空が広がる気持ちのいい天気でした。その日はトビリシマラソンが開催されるため、けっこう街中は渋滞していましたが、郊外に出ると、のどかな自然の風景が広がっていました。厳しいアルメニアの自然と違って、緑豊かで穏やかな丘陵地帯が続きます。自然が大好きな鮄川さんも、車からの景色を楽しんでいました。

トビリシから東へ3時間ほど走ると、美しいシグナギの街が見えてきました。アルザニ谷を一望できる丘の上にある城壁に囲まれた小さな町です。シグナギの街全体を見渡せる場所に止まって写真を撮りましたが、まるでイタリアのトスカーナ地方みたいで、とても美しかったです。周りの広々した平地と、その向こうに連なるコーカサス山脈の景色も息を呑む素晴らしさ!

そこからシグナギへ向かう山道の途中に、ジップラインがあって、谷を渡って一気に街まで行けるとのこと。それを聞いた鮄川さんが「やってみたい!」と言うので、私もすることになりました…まず鮄川さんがジップラインで出発!あっという間に小さくなって、向こう側に行ってしまいました。それから私も出発!思ったほど怖くはなく、気持ちがいいぐらい。でも、到着場所で受け止めてくれる男性二人が、ギリギリまで何もしなさそうな感じで突っ立ってるから、「エーッ!このままだと壁に激突するやん?!」と一瞬焦りました。もちろんちゃんと受け止めてくれたけど、最後だけ怖かった…

それからシグナギの街を散策しましたが、もうめちゃくちゃ良かった!街も小ぢんまりして美しいし、城壁から広がる景色も最高でした。遠くまで平坦な土地が広がっている場所はアルメニアはありませんから、全く異なる自然に感動しました。鮄川さんも、「ジョージアもいいですね!」と言っていました。

その後は、シグナギの民族博物館を見学しました。この辺りもかなり古い人類の歴史がある地域で、アルメニアと同じように紀元前の青銅器や鉄器、陶器などの貴重な発掘品が展示されていました。博物館の二階は美術館になっていて、同地出身の有名なジョージア人画家ピロスマニの作品が展示されていました。彼はジョージアを放浪しながら、市民の生活や動物を描き続けた画家で、私も彼の独特のタッチは大好きです。ちなみに、彼はあの「百万本のバラ」の歌のモデルでもあります。

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美しいシグナギの街。ここは是非また泊まりがけで訪れたいと思います。

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ジップラインに挑戦する鮄川さん

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私たちの後にジップラインで谷を渡ってくる旅行者。最後は焦ったけど、気持ちよかったです。

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街を囲む城壁からは雄大な景色が広がっています

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城壁に登る鮄川さん。天気もよくて最高!

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博物館の中は写真撮影禁止でしたが、窓からシグナギの街が見渡せます

シグナギを後にして、ワイン作りをしているという方の村に向かいました。お宅に到着すると、みんなは初対面の私と鮄川さんを温かく迎えてくれました。ブドウを発酵させる地面に埋められたクヴェヴリという瓶を見せてくれたり、昔は使っていたというブドウを足で踏んで潰す道具などを見せてくれました。そこの息子さんは4年間エレバンのロシア大学に通っていたらしく、アルメニア語が話せたので、彼とは会話が盛り上がりました。

みんなが揃ったところで、ブドウから果汁を絞る作業を見せてくれました。昔は足で踏んでいましたが、今は機械を使います。そっちの方が圧倒的に早くて楽ですからね。ブドウを一杯詰めた袋から機械に入れていくと、不要な枝などは分離されて、ブドウの実だけ潰して果汁がホースに流れていきます。現代的な作業ですが、初めてだったから見応えありました。

私と鮄川さんもブドウを機械に入れるのを手伝ってみましたが、その袋がめっちゃ重い!なのに、一人のジョージア人の男性がずっと休まずにその作業をやっていました。力があるだけあって、すごく逞しかったですね。全てのブドウの果汁を絞り終わったら、みんなで拍手しました。貴重なものを見れてよかったです。鮄川さんも喜んでいました。

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ブドウを発酵させるジョージア伝統のクヴェヴリという瓶。これで1トン以上のワインができるそうです。

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収穫したブドウの果汁を絞る作業。ブドウの入った袋はめっちゃ重いのに、左の男性は一人で次々と持ち上げて機械に入れていました。

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私と鮄川さんも少しお手伝いしました。貴重な経験でした。

それから、お待ちかねの宴会!美味しそうな家庭料理と自家製ワインが並んだテーブルに座って、宴会を仕切る男性がスピーチした後、ブドウの収穫を祝って乾杯しました。この宴会を仕切る人をタマダと呼ぶのですが、アルメニアを含むコーカサス地域にある習慣です。しかし、ジョージアが発祥らしく、そのルールがけっこう厳しい…タマダの許可なく、席を立ったり、乾杯のスピーチをしてはいけません。もしタマダの許可を得てスピーチしても、その前にタマダが話したテーマとずれているとルール違反。違反した場合は、ワインを一気に飲みしないといけないんだとか…

私は二回ルール違反してしまったので、その都度ワインを一気飲みしました。でも、私の豪快な飲みっぷりを見て、みんな手を叩いて大盛り上がり。たとえ言葉が通じなくても、こうやって一緒に食べたり飲んだりすれば、心はどこか通じ合えます。そのためだったら、少々キツくても飲んだ方がいい!まあ、とにかくお酒が好きってのもありますけどね。

手作りのBBQやヒンカリも美味しかったし、すごく楽しい宴会となりました。何度も訪問している私は、改めてジョージア人の人懐こさや優しさを実感しました。そして、初訪問だった鮄川さんにとって思い出深い体験となりました。ちょっと飲みすぎて、私は帰りの車中でずっと爆睡していましたが…

トビリシに戻って、お世話になったJICAの方々とお別れしました。今回は急な訪問だったにも関わらず、夕食に誘って下さったり、カヘティ地方を案内して下さって本当に感謝です。お陰さまで素晴らしいジョージア滞在となりました。ありがとうございました!またお会いできればと思います。

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立って話している人がこの宴会のタマダ

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美味しい料理とワインで盛り上がりました。二回も一気飲みして酔っ払いましたが、とても楽しかったです!

鮄川さんはその日の深夜のフライトでヨーロッパに行きましたが、「すごく楽しかった!また一緒にジョージアに来たい!」と言っていました。素敵な初訪問になったようで、本当によかったです。私も久しぶりにジョージアに来れて、友人たちに再会したり、カヘティを訪問したりと楽しい時間を過ごすことができました。そんな機会を作ってくれた鮄川さんに感謝です。ありがとうございました!また一緒にジョージアに行きましょう!

私は翌日お昼のフライトでエレバンに戻りましたが、行きと同じく乗客はロシア人ばかりでした。あっという間に着いたエレバンはきれいに晴れ渡って、アララト山の姿がはっきり見えました。たった三日間しか離れていなかったのに、その景色を見たら、心底ホッとしました。妻と子供たちに会ったら、さらに安堵しました。ジョージアも大好きだけど、やはりここが私の帰る場所…とにかく、素晴らしいジョージア旅行になりました。出会った全ての人たちに感謝しています。

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エレバンに着くと、美しいアララト山が迎えてくれました。やっぱりここがホッとします。

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