レヴォンの地下寺院とプトゥフニ教会跡 

曇ったり雨が降ったりの不安定な天気が続いています。明日から日中でも気温が10℃以下に下がるという予報が出ていて、まるで冬に戻ったかのよう…春が待ち遠しい!

11年前の今日、東日本大震災が発生しました。甚大な被害をもたらし、多くの命が奪われた大災害の生々しい写真や映像を見た時のショックは今も記憶に残っています。その被災地の復興予算は10年で31兆円、コロナ対策で使われた公金は1年で77兆円…どちらも命や生活に関わる問題とはいえ、日本のコロナ死亡者の平均年齢は約82歳と、元々の平均寿命とほとんど変わりません。お金の使い方が明らかにおかしいと思います。

最近はカラバフ地域の情勢が不安定です。アルメニア人居住区にガスを送るパイプラインが損傷し、その一部がアゼルバイジャン領を通っているために、アゼルバイジャン軍による妨害で修復作業が大幅に遅れているそうです。また、アルメニア人が住む村落への銃撃事件などが頻発しているとのこと…あくまでアルメニア側の情報ですが、まだまだ憎悪や暴力の連鎖が続いていることに胸が痛みます。

同じく緊迫したままのウクライナ情勢ですが、両国の外相会談が昨日トルコで行われました。しかし、残念ながら停戦には至りませんでした。戦争が長引き、各国がロシアへの経済制裁を強化しています。ルーブルは暴落し、アルメニア通貨も下落し続けています。短期的に見ると、ロシア経済が深刻なダメージを受けるのは必至ですが、長期的に見ると、日本や欧米に与える影響の方が深刻かもしれません。そして、世界秩序やパワーバランスが大きく変化していくような気がします。

さて、火曜は国際女性デーでアルメニアは祝日だったため、午後に家族でエレバン郊外に観光に出かけました。訪問したのは、アリンジ村にある「レヴォンの地下寺院」とプトゥフニ村の教会遺跡。どちらもエレバンから近く、私の家からは車で10〜20分ほどです。

アリンジ村にある「レヴォンの地下寺院」は、レヴォン・アラケリャンという男性が、23年間も自宅の地下を掘り続けて作り上げた寺院で、前から行ってみたかった場所。レヴォン氏は1985年に奥さんから、「地下にジャガイモの貯蔵庫を作ってほしい」と頼まれ、貯蔵庫を完成させた後もずっと取り憑かれたように地下を掘り続けました。

彼は夢の中で「堀り続けなさい」という神の啓示を聞き、その声に突き動かされて、毎日18時間も地下で作業する生活をずっと続けたそうです。また、電気工具を一切使わず、ノミや金槌などだけで掘り、トラック450台分もの土も全てバケツで運び出したそうです。そうやって一人で作り上げた地下寺院は、深さ21m、広さ280m²にも達する見事なもの。

その規模も驚きですが、地下寺院には数多くのレリーフや祭壇が彫られています。レヴォン氏が夢で見たイメージがモチーフになっているそうで、神聖な雰囲気を作り出しています。レヴォン氏は、2008年に67歳でこの世を去るその日まで掘り続けたそうで、もっともっと深く大きな寺院を完成させるつもりだったそうです。すごすぎる…彼の狂気に近い情熱が生み出した芸術作品とも言える地下寺院は、本当に見応えがありました。アレンとレオも気に入っていましたね。

地下寺院のあるお宅では、レヴォン氏の奥さんが気さくに迎えてくれて、お孫さんたちが案内や説明をしてくれました。今では有名な観光地ですが、ご家族はみんな素朴で優しかったです。奥さんは、庭で採れたリンゴをご馳走してくれたり、ご主人のことや一昨年のカラバフ 戦争で亡くなったお孫さんのことなどを話してくれました。前から気になっていた場所ですが、訪問して本当によかったです。

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地下寺院のある故レヴォン氏のお宅

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地下へとのびる階段を降りていくと…

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迷路のような地下寺院が広がっています。年間通して内部の気温は10℃ほどだそうです。

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壁を掘り抜いて作られたレリーフ。穴を掘るだけでも大変なのに、美しい装飾まで作るとは…

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地下寺院には祭壇もあり、祈ると願いが叶うと言われているそうです。

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この神秘的な空間をたった一人で、しかも手作業で作り上げたとは…その情熱と信念には驚嘆するばかり

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地下寺院の入り口にある十字架のレリーフ。最初この固い玄武岩に行く手を阻まれたレヴォン氏は、夢で「十字架を掘りなさい」という声を聞きました。十字架を掘ってみると無事に掘り進めることができ、そこから先は柔らかい火山岩が広がっていたそうです。

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レヴォン氏が掘るのに使った道具が展示されています。電気工具など一切使いませんでした。

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地下で作業している時に履いていた靴。ボロボロで原型を留めていません。

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お孫さんが作った地下寺院の地図。本人はもっと掘り続けて、遥かに立派で巨大なものを作ろうとしていたそうです。

その後に向かったのは、プトゥフニ教会跡。アリンジ村から車で10分ほどのプトゥフニ村にある6〜7世紀の教会跡です。ここはあまり有名ではなく、私も全く知りませんでした。妻が行ってみたいと言うし、レヴォンの地下寺院から近いので訪問してみたら…ここもけっこう見応えありました!

北壁、そして南壁とアーチの一部以外はほとんど崩れて廃墟と化していますが、規模が大きく、美しいレリーフが所々残されています。そんな立派な遺跡が、まるで忘れ去られたかのようにひっそりと建つ光景に思わず息を呑みました。観光客なんて誰もいないから、静かに見学できます。その静寂の中で、悠久の歴史を感じることができ、ここも訪問してよかったです。

観光を終えてから、エレバンに戻ってショッピングモールで買い物をして帰宅。夕食は、子供たちが大好きな手巻き寿司にしました。お寿司だとたくさん食べられますね。でも、なんか足りないなーと思ったら、最近は全く納豆を作っていない!大豆を買って、近々納豆作りにまた挑戦したいと思います。とにかく楽しく有意義な一日となりました。

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プトゥフ二村の教会跡。ほとんど崩れていますが、この廃墟感が神秘的でよかったです。

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南壁に残っているレリーフ。美しい!

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南壁はほとんど崩れていますが、窓などが残っています。

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北壁はかなり当時の姿を留めています。

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美しいアーチが一つ残っていて、当時はかなり立派な教会だったことが窺い知れます。

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瓦礫の石に登って遊ぶレオ。いつもの如く変顔!でも可愛い!

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その日の夕食は手巻き寿司。子供たちも美味しそうに食べていました。

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モールで買った空気を入れるタイプのサンドバックで遊ぶアレンとレオ

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