ウクライナ情勢を巡る報道について
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3月になりました。あまり寒くはないですが、雨がちの天気です。天気予報では、来週雪が降るとのこと。季節の変わり目ですから、この時期はいつもは不安定な天候です。
昨日アルメニア議会で、ハイテク産業大臣のヴァハグン・ハチャトゥリアンが新大統領に選ばれました。先月サルグシャン前大統領が辞任し、ヴァハグン氏がその後任候補となっていました。アルメニアの政体では、大統領は実権のない象徴的な存在なので、別にこれで何か大きく変わることはありません。
コロナの新規感染者数が減少傾向にあるため、アルメニア政府は、屋内でのマスク着用義務を廃止しました…って、とっくの前からほとんど誰もルールを守っていないので、いつもの如くみんな、「エッ?!そんなルール、まだあったの?!」という反応です。そのうち健康パスのルールも廃止され、また市民は同じ反応するでしょう。だって、どこのレストランもカフェも、ワクチン接種証明書やPCR陰性証明書など確認しませんから。素晴らしい!
なのに、日本はワクチンの3回目接種や5歳〜11歳の児童への接種を押し進めようと必死ですね…実際の効果よりも、ただ目標数値を達成するためにやっている愚策にしか見えません。ワクチンを追加接種したところで、変異株に対応していないし、いずれ抗体は減少します。重症化リスクがない児童にとっては、自然免疫を低下させるかもしれないデメリットしかありません。
こんな社会を自滅させるだけのコロナ対策に、日本は1年で77兆円もの公的資金を使いました。一方、東日本大震災の復興予算は10年で31兆円…いくらなんでもお金の使い方おかしくないですか?日本の被害は世界的に見て全く大したことないのに、これだけ巨額のお金が費やされるのは、そこに大きな利権が絡む深い闇があるとしか思えません。
さて、勃発から1週間が経っても、ロシアとウクライナとの争いが続いています。昨日2回目となる両国代表団の協議が行われ、停戦には至りませんでしたが、今後も協議は継続されるとのこと。お互い譲れない主張や国益があり、難航するのは当然とはいえ、一刻も早く収束に向けた合意がなされることを祈っています。
しかし、相変わらずマスコミの偏向報道がひどく、怒りを通り越して心底呆れてしまいます。なぜ今回のような事態が起こってしまったかに関する客観的な分析はほとんどなく、頭からロシアが全面的に悪いと決めつけて、先入観と感情につけ込む偏った情報ばかりが流されています。ザポリージャ原発での火災も、ロシアが攻撃して事故を引き起こそうとした!と恐怖を煽る報道が目立ちますが、そんなことしたらロシアも甚大な被害を受けるんですけど…常識で考えたら分かるでしょう。
ウクライナや欧米諸国からの情報はそのまま伝えるのに、ロシア側の情報は「ウクライナ側が否定」「一方的に持論を展開」「…という狙いがある」といった文言が付いて、信じるに足らないという扱い。プーチン大統領は、いかにも強権的な独裁者といった風の写真や映像が使われて、彼が精神に支障をきたしているという情報まで出てきました。私にすると稚拙なプロパガンダですが、こういう印象操作で視聴者の心理に大きな影響を与え、世論を誘導することができます。
こう書くと、ロシアや戦争を肯定するつもりか!と怒る人がいそうですが、いつも前置きしているように、決してそうではありません。武力による解決など支持しないし、第二次カラバフ紛争の経験から、戦争ほど悲惨なものはなく、あらゆる努力をして回避しなければいけないと痛感しました。そして同時に、マスコミが流す情報を疑うこと、思考停止せずに自分で調べて考えることの大切さも改めて学びました。戦争という有事の時は尚更で、どの国も都合のいいことばかり喧伝して、都合の悪いことは平気で隠蔽または歪曲します。
アゼルバイジャンはアリエフ一家の独裁国家で、人権や自由が著しく制限されているため、「あの国が発表していることは全て嘘!」という思い込みがほとんどのアルメニア人にありました。だから、戦時中も自国政府が流す情報を盲信する傾向がありましたが、戦争が終わってみると、アゼルバイジャン側が発表していた戦況の方が事実に近かったことが分かりました。実際には、ドローンなど最新兵器を駆使したアゼルバイジャンがずっと有利に戦争を進めていたのです…
もちろん軍事力で大きく劣りながらも、アルメニア軍が健闘したことは事実です。アゼルバイジャンが、トルコの支援を受けて、数千人ものシリアやリビアからの傭兵を戦わせていたことも事実です。多くの一般市民が被害に遭ったことも事実です。ただ、国民が自分たちにとって都合のいい情報だけを信じ、不都合な情報は信じようとしなかったことも事実です。今のウクライナ情勢を巡る報道を見ても、同じような政府やマスコミの欺瞞、それを信じて疑わない人間の危うさを感じます。
ちなみに、私がマスコミの報道を疑うようになったのは、約30年前のある出来事がきっかけです。湾岸戦争が勃発し、連日テレビで大きく取り上げられていました。「アメリカ=正義、イラク=悪」というバイアスが掛かった報道ばかりでしたが、まだインターネットがなく、テレビと新聞だけが情報を得るツールだった当時、高校生だった私も深く考えることなくニュースを見聞きしていました。
そんなある日、一緒にニュースを見ていた父方の祖母が、「なんか私は、フセインよりもブッシュの方が腹黒く見えて嫌いやわ」とポロっと言いました。国際情勢なんて全く分からない祖母は、ただ感覚的に好き嫌いを言っただけでしょう。しかし、その言葉を聞いた私は、ハッと目が覚めるような衝撃がありました。そして、自分たちが報道を通して見聞きしていること、信じさせられていることは本当なんだろうか…そう疑問に思うようになりました。
その湾岸戦争の引き金の一つとなったのは、「ナイラ証言」として知られる虚偽のプロパガンダです。ナイラと名乗る少女が、「イラク軍兵士がクウェートの病院で保育器に入った新生児を取り出して殺した」と涙ながらに訴えました。イラクの残虐行為を伝えるこの証言は開戦の大きな口実となりましたが、後にナイラという少女は存在せず、クウェート政府による反イラク扇動キャンペーンだったことが判明しました。
あと、同じく湾岸戦争で使われた有名な虚偽のプロパガンダとして、「油まみれの海鳥」があります。米国が「イラク軍が故意に石油施設を破壊し、そこから流れ出た重油による自然破壊」と説明して、その映像と写真を世界中に流しました。イラクの蛮行を象徴するものとして、反イラク感情とイラク批判を高めるきっかけになりましたが、戦争後に重油はアメリカ軍の攻撃で流出したものと判明しました。
マスコミがプロパガンダ機関に成り下がり、悪質な偏向報道を行うことは今も昔も変わっていません。そして、多くの人々がそれを疑わず、不可逆的に妄信してしまうことも変わっていません。上記の虚偽のプロパガンダでたやすく世論誘導できたのも、「アメリカ=正義、イラク=悪」「イラク=加害者、クウェート=被害者」という先入観があり、アメリカとクウェートが言うことは正しく、イラクの言い分は全て嘘かデマと人々が思い込んでいたからです。
このように、先入観や感情につけ込む偏った情報を拡散し、異論や反論が許されないほど大衆を煽動すれば、一方的に善悪の構図を作り上げて戦争を起こすことも可能なのです。しかも、プロパガンダを流す側は、真偽なんかどうでもよく、その時に自分たちにとって有利に世論を誘導することが目的なので、たとえ後でそれが虚偽だとバレても問題ありません。重要なのは、情報の受け手が騙されないよう気をつけることです。
繰り返しますが、私はロシアや戦争を正当化するつもりなどありません。しかし、ウクライナ情勢を巡る報道は、真実を追求するというジャーナリズムの本来の目的から逸脱し、客観性に欠ける偏ったものです。そして、湾岸戦争時と同じく、多くの人がそれを鵜呑みにして問題を一面的に捉えているように感じます。国と国との争いというのは、一方的また突発的に起こるものではありません。それぞれの国益や背景、国際情勢など様々な要因が複雑に絡み合って起こるもので、そこには完全な正義も悪も存在しません。
当ブログで何度も書いているように、今回の戦争の責任はミンスク合意を遵守しなかったウクライナ側にもあり、偏った情報だけを盲信して、感情的に反ロシアや反戦を訴えることには違和感を感じます。そういう大衆心理は、逆に戦争へと駆り立てるプロパガンダで煽動された場合、それを正義だと信じて突き進んでしまう危険性があるからです。
同じ悲劇を繰り返さないためには、マスコミが垂れ流す情報を疑い、なぜ戦争が起こったのかを冷静に多面的に考えることが大切だと思います。
レオが欲しがっていた玩具のサックスを買ってあげたら、嬉しそうに吹いていました。
二人とも楽器に興味が出てきたみたいで、一緒に演奏していました。
大好きなアニメ「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」のテーマ曲を弾くアレンとレオ。私も妻も楽器を演奏するので、自然に興味を持ち始めたのかも…二人とも上手に弾いています。
- [2022/03/04 22:06]
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