鮄川さんが再びアルメニアを訪問! 

連日報道されているように、ロシアとウクライナの軍事衝突が続いています。市街地での戦闘も起こり、一般人の死傷者も出ているようで胸が痛みます。キエフに住む友人家族も、不安と恐怖の中で辛い生活を強いられているとのこと…両国の代表団による会談がベラルーシで行われていますが、交渉を通じて一刻も早く戦争が終結してほしいと心から願います。

一昨年の第二次カラバフ紛争の時に、私は戦争の悲惨さを嫌というほど思い知りました。エレバンは係争地から離れていたとはいえ、毎日を暗く重い気持ちで過ごしました。「明日には終わっているかもしれない」という微かな希望は翌朝起きるたびに打ち砕かれました。多くの命が亡くなり、悲惨なニュースと愛国的なプロパガンダで溢れていました…戦争前にあった何気ない日常がどれほど幸せなものか、そして平和がどれほど尊いものかを痛感しました。

だから、私は一貫して戦争には反対です。戦争を回避するためにはあらゆる努力をすべきだと思っています。ただ、あの時の辛い経験を通して、もう一つ大切なことを学びました。それは、戦争という最悪の事態がなぜ起こってしまったかを理解する上で、感情や先入観や偏見は大きな障害になるということ。ウクライナの情勢についても同様で、「ロシアが一方的にウクライナに軍事侵攻している」というマスコミの偏向報道を鵜呑みにすると、真実が見えなくなります。

今キエフなどで起こっている悲劇は、この8年間ずっとドンバス地域で起こっていました。ウクライナ軍と民族主義者組織は、ロシア系住民が多く住む同地域を攻撃し、食糧や公共サービスの供給を断つなどの迫害を行なっていました。この迫害によって5千人以上もの市民が亡くなったというデータもあります。これは明らかに人道に違反する行為で、今回の軍事衝突を招いた責任はウクライナ側にも十分あります。しかし、そのことを欧米諸国は黙殺し、ほとんどマスコミも報道しません。

にも関わらず、欧米諸国は、ドネツク・ルガンスクの2州の分離独立をロシアが承認したことを国際法違反だと非難し、ロシアの軍事行動を「非道な武力侵攻」と糾弾します。では、コソボの独立を支持したことはなぜ国際法違反にならないのでしょうか?より甚大な人道的被害をもたらしたユーゴやイラク、アフガンなどへの軍事介入は、なぜ非道な武力侵攻と糾弾されないのでしょうか?

私はロシアを正当化するつもりなどありませんが、今回の出来事を巡る世界の対応やマスコミの報道に対して大きな欺瞞を感じざるを得ません。そして、人々がそのことに疑問を持たずに、一方的かつ感情的に問題を把握することを危惧しています。戦争という悲劇を繰り返さないためには、そこに完全な正義も悪も存在しないという前提に立ち、原因や背景などを冷静に多面的に考えることが大切だと思います。

しかし、このウクライナ情勢を巡るニュースで持ちきりなので、すっかりコロナ報道が下火になってしまいました。ウイルス自体は消えていないのに、コロナ禍はどこに行ってしまったのかという感じです。私がインフォデミックと言い続けているのはこういうことなのです。マスコミが垂れ流す情報の内容や量によって人間のマインドは影響を受けて、大したことでなくとも翻弄されてしまいます。コロナ禍は終わるのではなく、自分たちで終わらせる問題なのです。

さて、記事タイトルにもあるように、モンスターラボの社長の鮄川さんが、先週に引き続いてアルメニアを訪問してくれました。というのも、先週の訪問では時間が足りなかったため、いろいろとやるべきことを果たすために再訪問となったのです。しかし、二週続けてアルメニアに来た人って、おそらく鮄川さんが初めてのような気がします。だから、「おかえりなさい!」と言って出迎えました。

鮄川さんはアルメニアが本当に好きなので、忙しいスケジュールの合間にまた訪問できたことをすごく喜んでいました。「昨日まで疲れが溜まっていたけど、アルメニアに着いたら元気が出た」と笑顔で言っていました。そう言ってもらえて、私と妻も嬉しかったです。そんな鮄川さんに今回も有意義な時間を過ごしてもらおうと、ティグランの運転で、エレバンの教育機関や日本大使館を訪問したり、郊外に観光に出かけたりしました。

また、いろはセンターのルザンさんと南江さんとも夕食をして、いろいろと話をすることができました。将来何か日本とアルメニアを繋ぐ活動ができらと考える鮄川さんにとって、前向きになれる集まりになったみたいで良かったです。お酒も食事も美味しかったし、とても楽しい時間を過ごすことができました。私と鮄川さんは、その後もホテルのバーで遅くまで飲んで語り合いました。定宿のホテルのバーで飲むというのは、鮄川さんが来た時の恒例になっています。

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いろはセンターのルザンさんと南江さんと楽しく有意義な時間を過ごしました。

土曜の午後は、エレバンから北に車で40分ほどのブジュニという村に行きました。妻がお気に入りの自然が美しい場所で、中世の要塞跡や教会も残されています。村に入ると、川沿いに険しい山や崖がそそり立つ景観が見えてきました。穴が開いて、大きな自然のアーチになっている岩山があり、その周辺を少し散策しました。古タイヤを土台にした手作りのちょっと危なそうな橋で川を渡りました。少し崖を登りましたが、まだ雪が残る地面はぬかるんでいて危なかった…

その後は、9〜10世紀の要塞跡に行きました。断崖絶壁に建っていたという要塞は、今は城壁の一部や教会の土台、食料の貯蔵庫や地下道などが残っているのみです。しかし、当時はかなり大きく立派だったことが窺えます。また、要塞跡からは美しいブジュニの村と自然の景観を眺めることができます。鮄川さんは、「アルメニアに戻って来たって感じがする!」と嬉しそうでした。風が冷たくて寒かったけど、空気が澄んでいて気持ちよかったですね。

最後に地下道跡を覗いてみたら、かなり急な洞穴で、階段が少し残っていました。その先は階段が崩れているから行けませんが、なんと麓の渓流まで続いているそうです。当時は敵が攻めてきた時に避難したり、水や食料を運ぶために使われていたとのこと。かなり高低差があるのに、岩を掘り抜いて長い地下道を作ったなんて…とても印象に残る遺跡でした。

その後は、村にある聖マリア教会に立ち寄りました。11世紀に建てられた立派な教会で、歴史を感じさせる古いハチュカル(十字架石)なども残されていました。教会に入り、みんなで祈りました。鮄川さんは平和を強く祈っていました。というのも、鮄川さんの会社はウクライナでも事業をやっていて、今の大変な状況は他人事ではないのです。現地の社員や家族はすでに避難させて安全のようですが、かなり気掛かりであるに違いありません。早く事態が収束してほしいと思います。

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岩山に大きな穴が開いてできた自然のアーチ。少し寒かったけど、天気にも恵まれました。

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渓流が流れ、美しい自然で心癒されました。

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その川に架かっている手作り感たっぷりの橋。中々スリリングでした。

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中世のブジュニ要塞跡からは雄大な景色が広がっていました。

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左にある屋根の下に古い地下道があります。暗くてちゃんと写真が撮れなかったのですが、かなり急な地下道で麓の川近くまで繋がっているそうです。

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アルメニアの厳しくも美しい自然を満喫できて、今回も鮄川さんは喜んでいました。

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11世紀の聖マリア教会。小さな村にある教会ですが、とても立派でした。

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雰囲気もよかったし、かなり見応えのある教会でした。

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歴史を感じさせる古いハチュカルも残っています。

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その教会でロウソクを灯して、平和を祈りました。ウクライナ情勢が早く落ち着きますように

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岩山の頂上に立つ聖サルギス教会。道が悪いし、時間もなかったので訪問できず…次の機会にまた鮄川さんと行こうと思います。

観光を終えてから、自宅で夕食会を開きました。妻の友人たちが家に遊びに来たので、鮄川さんも参加して、みんなで楽しい時間を過ごしました。考古学者の女性は、アルメニアの文化や歴史について説明してくれました。また、アルメニア舞踊の研究者もいて、妻と一緒にダンスを踊ってくれました。「日本の踊りを見せて!」と言われたので、私は炭坑節を披露しました。その友人たちが帰った後も、私はギターを弾いたり、鮄川さんと歌ったりして盛り上がりました。

翌日の朝、次の出張先の英国に飛ぶ鮄川さんをティグランの車で空港にまで送りました。今回も短い滞在でしたが、二週連続で会えて、また一緒に有意義な時間を過ごせてよかったです。鮄川さんも楽しんでくれたみたいで、「また来ます!」と言ってくれました。いつでも待っています!また来てください!今回もありがとうございました!

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妻の友人たちが遊びに来たので、鮄川さんと夕食会。うち二人は英語が話せるから、いろんな話で盛り上がりました。

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アルメニア舞踊の研究家と妻がダンスを披露してくれました。

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ギリシャ人の血が入っているという考古学者の女性が、ギリシャの踊りを披露してくれました。鮄川さんも楽しい時間を過ごせたようです。

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