アルメニアとアゼルバイジャンが武力衝突
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澄んだ青空が広がる好天が続いています。でも、朝晩は0℃前後まで気温が下がるので、子供たちを学校に連れて行く時は寒いです。これからどんどん冷え込んでいくでしょう。
ベラルーシからポーランド国境に移民や難民が殺到して問題になっています。彼らの多くは、ポーランドを経由してドイツなどに入ろうとしていますが、ポーランド政府は越境を阻止しています。EUからの制裁の報復として移民らを利用しているとベラルーシが非難されていますが、受け入れようとしないポーランドも非難されています。しかし、誰より可哀想なのは過酷な環境に置かれている移民や難民…彼らはただ安寧を求めているだけですからね。
さて、アルメニアの国境でも大きな問題が起こりました。日本でも報道されていたようですが、昨日アルメニアとアゼルバイジャンとの武力衝突が発生したのです。場所はアルメニア東部の国境線で、セヴという湖がある山岳地帯です。装甲車や迫撃砲なども使用される激しい衝突だったようで、双方に甚大な被害が出ています。
緊迫した状況が半日続きましたが、ロシアの仲介によって戦闘は停止し、現在も前線の状況は落ち着いているとのこと。しかし、再び衝突が発生する可能性は否めないため、依然として予断は許せません。ただ、係争地に平和維持軍などを駐留させているロシアが仲介・監視を行っているので、本格的な戦争に発展することはなさそうです。
それでも、昨年の停戦合意以降では、最も深刻な事態と言えます。最近は、アゼルバイジャン軍が一般のアルメニア市民を攻撃して死傷させたり、その報復としてアルメニア人がアゼルバイジャンの検問所に爆発物を投げ込むなどの事件が、カラバフ地域で発生していました。ロシア平和維持軍が事態の収束を図りましたが、緊張が高まっていたことは確かです。
アルメニア防衛省によると、昨日の戦闘でアルメニア側は、兵士1名が死亡、13名がアゼルバイジャン軍に拘束されたそうです。また、24名が消息不明とのこと…そのほとんどは20歳満たない若者でしょう。アゼルバイジャン軍には、より多くの人的損失が出ているという情報もありますが、いずれにしても人が憎しみ合い、殺し合うという悲劇がまた起こってしまいました。
戦闘のきっかけについては、いつもの如く主張が全く異なり、「向こうが先に仕掛けた!」とお互いに非難の応酬です。どちらの国民の多くも、「もちろん向こうが悪いに決まっている」と考えており、憎悪や対立感情が高まっています。昨年の戦争以来、私はどちらの主張も鵜呑みにしないようにしているので、何が真実なのかは分かりません。
これまで何度か書いているように、戦争後にアルメニアが実効支配していた領土をアゼルバイジャンに返還したので、アルメニア東部や南部の多くがアゼルバイジャンと接することになりました。その国境を画定する作業を進めていますが、いまだに曖昧な場所が多く、今回衝突があった所も同様です。そのため、今年5月にも両軍の衝突がありました。(過去の記事)
停戦を仲介したロシアは、アルメニアとアゼルバイジャンに対して、早急に国境画定作業を進めるよう求めました。確かにそうしないと、また同様の衝突が起こりかねません。とはいえ、簡単には進まないでしょう。ただでさえ領土問題で争った敵国同士、そしてアゼルバイジャンは、飛び地のナヒチェバンと本国を結ぶ回廊を実現させるために圧力を掛けているという見解もあります。
とにかく昨日の衝突のニュースを聞いた時は、昨年の戦争のことが蘇り、また同じ悲劇が繰り返されるのか…と暗澹たる気持ちになりました。多くの尊い命が失われ、憎悪が連鎖し、終わりの見えなかった悲惨な戦争…あの1か月半は、本当に辛く悲しい時間でした。
両国の間にはまだまだ多くの問題が残されているため、散発的な衝突が起こることは予想していましたが、やはり昨日ほど深刻なものだと、戦争の再発が頭をよぎって不安になります。個人的には、大規模な戦闘に発展することはないと思っていますし、決してそんなことは起こってほしくないと願っています。そして、少しずつでも平和を築いていけると信じています。
昨年の戦争中は、無邪気な子供たちの笑顔を見て辛くなる時もありました。そんな状況に二度と戻りませんように!
- [2021/11/17 21:34]
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