エレバンのミュージアム・ナイト
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日中の気温は30°を超える暑さ。もう5月下旬ですから、ほとんど夏の陽気です。予報によると、今晩から少し天気が不安定になるみたいですが、本格的な夏へと季節が移り変わろうとしているのでしょう。
そんな陽気なのに、私は風邪を引いてしまいました。子供たちの風邪がうつって、木曜から体調がすぐれません。熱はないんですけど、体が微妙にだるい…同じ風邪なのに、子供たちは大して辛そうじゃないのはいつも不思議。まだそれほど元気ではないですが、ブログが書けるほどには回復しました。
緒戦後にアゼルバイジャンとの国境線の確定作業が進められています。ソ連時代の国境線はあいまいだった上に、戦争前はアルメニア軍が実効支配していたから、あえて国境線を明確にする必要などなかったですからね。しかし、今はアゼルバイジャンと接することになり、アゼルバイジャン軍がアルメニア領内に侵入するという事件も発生しました。
そのアゼルバイジャン軍は依然として留まったままで問題になっています。アルメニア人にとっては深刻な脅威でしょう。そして、国境線確定の交渉に関する文書が流出するという報道がありました。野党が暴露したもので、パシニャン首相はそれを本物だと認めました。文書には、いくつかの妥協や譲歩を示唆する内容があるらしく、一部のアルメニア人が心配したり、怒ったりしています。
私にすると、「1ミリの妥協も許さん!譲歩などしてたまるか!」というこの頑な姿勢が、カラバフ問題を膠着化させて、戦争という悲劇を招いた大きな原因の一つに思えます。国家間の争い、特に領土問題というのは、お互いが一歩も譲らずに主張をぶつけ合っていたら解決しません。一方にとって好都合な結果は、相手にとって不都合なわけで、双方が100%満足できる結果などあり得ないのです。そのことをもっと冷静に考えて、平和的に解決する道を探ってほしいと思います。
さて、火曜はエレバンでミュージアム・ナイトというイベントが開催されました。これは国際博物館の日を記念して行われるもので、その日はエレバンの美術館や博物館が深夜まで開いていて、しかも入場は無料!同様のイベントは、ヨーロッパなどで毎年開かれています。
長男のアレンは、学校の行事で博物館を見学し、けっこう興味を持って見るようになりました。なので、今年はアレンの気に入りそうなパラジャーノフ博物館を家族で訪れました。当ブログでもかなり昔に紹介したことがありますが、世界的巨匠セルゲイ・パラジャーノフの博物館です。
セルゲイ・パラジャーノフは、グルジア生まれのアルメニア人映画監督で、「ざくろの色」などの作品が有名です。アルメニアの抒情詩を題材にし、前衛的で民族的な内容だったため、反ソ連的という理由で投獄されたこともありました。確かに、彼の作品はどれも芸術的要素が強く、前衛的かつ抽象的なので、かなり意味不明です。しかし、一つ一つのシーンがまるで絵画のような美しさで、ストーリーなど分からなくても見入ってしまう不思議な魅力に溢れています。
その鬼才パラジャーノフが、晩年を過ごすためにエレバンに建てた家が博物館になっていて、彼のスケッチやオブジェなどが展示されています。映画同様に、摩訶不思議なものばかりですが、自由な発想と想像力の豊かさに圧倒されます。その独特の世界観を間近で見ると、正に天才は狂気と紙一重ということを実感させられます。
ということで、変わり者のアレンはきっと面白がるだろうと思い、そのパラジャーノフ博物館に連れて行くことにしたのです。「寄生獣」のマンガを必死で読むような子供ですからね。その予想は的中して、展示作品をどれも面白そうに見て興奮していました。学校の授業でダヴィンチやゴッホなどについて勉強しているからか、モナリザのデフォルメ作品を特に興味深そうに見ていました。
「何これ?!」「これ面白い!」というアレンの素直な反応を見ていると、パラジャーノフも、この子供のような純粋な好奇心で創作活動をしていたのかも…と思えてきます。子供は大人と違って、既存の枠に囚われない自由な存在ですからね。とにかく喜んでくれたみたいで、連れて行って良かったです。私も妻も楽しめたし、博物館から見えた夕暮れ時のアララト山も本当に美しかったです。風邪が治ったら、またアレンをどこか博物館に連れて行ってあげたいと思います。
パラジャーノフ博物館のある場所から見えたアララト山。夕陽に染まって美しかったです。
入ってすぐ摩訶不思議なオブジェが現れて、アレンは大興奮!
カバンを象にデフォルメした作品。時折レオも不思議そうに見ていました。
アレンが一番面白がっていたモナリザのデフォルメ。彼の作品を見ていると、「自由やなー」とつくづく思います。しかし、そのためにソ連政府に迫害されました。
私の大好きなパラジャーノフの写真の前で記念撮影。博物館は、とても見応えがありました。
先日、フランス大使館主催のサーカスがあると聞いて行ってみると、前衛アートの劇団だったみたいで、子供たちは飽きてしまって途中で帰りました。
私は体調が万全じゃないので行けませんでしたが、今日妻が子供たちを街中心部に連れて行きました。アレンもレオも、暑いから髪をバッサリ切りました。
オペラハウスの広場でバイクに乗ったアレン。初めてなのに、とても上手に運転していたそうです。
レオも車を上手に運転したそうです。これがトヨタだったから、帰りのタクシーがトヨタじゃなくて泣いて怒ったらしい…何じゃそりゃ?自由やなー
- [2021/05/23 19:35]
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