モンテの誕生日とカルヴァチャルの返還 

今週に入ってから寒くなりました。日中でも10℃いきません。もうすぐ12月ですからね。今年はコロナ一色で終わるかと思っていたら、大きな戦争が起こって、アルメニアにとっては激動の一年となりました。

気温が下がったのと戦争もあって、一日の新規感染者が2千人を超えていましたが、ここ最近は落ち着き始めています。幸い学校や幼稚園も開いたままです。しかし、子供たちが夕方に通っていたレゴ教室のスタッフが感染したらしく、そのため2週間ほど閉まることになりました…

私にすると、コロナは恐らく人間界に定着する風邪ウイルスの一種であり、年に何度か流行期が来るものです。そして、感染してもコロナ特有の免疫はできない場合が多いため、社会活動が行われている限り、感染しないようにするなんて無理な話。戦争はとりあえず終わりましたが、このコロナ騒動も早く終わってほしいと思います。

先週の日曜は、戦死した兵士たちのためのミサが大司教によって行われました。これまで2千人以上の遺体が回収されており、行方不明になっている兵士も数多くいます。奇跡的に生存が確認されるケースもありますが、ほとんどは亡くなっていると思われます。その家族は不安と悲しみの淵にいるはずです。

行方不明の息子さんの遺体が見つかったという母親が、「見つかってよかった…神様、ありがとう」と泣きながら言ったそうです。その話を聞いた時、本当に胸が詰まるような思いがしました。息子は生きているかもしれないという希望が打ち砕かれたのですから、心底悲しいに決まっています。にも関わらず、遺体が見つかったことがせめてもの救いに感じるという現実は残酷すぎます。

停戦から2週間以上が経ち、国内情勢はかなり落ち着いてきたように思います。すでにカラバフ領内には5万人以上の市民が帰還したそうです。教育大臣や経済大臣が辞任したりと多少の混乱はありますが、大きなデモなどは起こっていません。ただ、ネットでは、今も戦争や停戦合意に関する話題で溢れています。特に今日は、モンテ・メルコニアンという人物の写真や映像を頻繁に目にします。

というのも、今日11月25日は彼の誕生日だからです。モンテは、30年前のナゴルノ=カラバフ戦争の英雄と呼ばれる軍人。アメリカ出身のアルメニア人ですが、民族意識に目覚めてから中東を放浪し、レバノン紛争やトルコへのテロ活動に身を投じました。ナゴルノ=カラバフ戦争が勃発した時に初めてアルメニアに渡り、軍の指揮官となります。そのカリスマと活躍でアルメニア軍を事実上の勝利に導きましたが、1993年に戦死しました。

ちなみに、彼は大学で考古学を専攻して様々な言語を学びましたが、なんと高校時代は日本にも留学したことがあって、日本語や武道を習ったそうです。アメリカで生まれ育った彼の母語は英語で、元々アルメニア語はあまり上手ではなかったらしく、中東のアルメニア人コミュニティーに入って熟達したそうです。戦時中の映像などでは、普通にアルメニア語(西方言)を話しています。

そのモンテの活躍によって占領したカルヴァチャルやアグダムなど、カラバフ周辺の地域は段階的にアゼルバイジャンに返還されていますが、皮肉なことに、彼の誕生日である今日、カルヴァチャル地方がアゼルバイジャンに返還されます。それもあって、多くのアルメニア人がモンテのことを偲び、彼の写真や映像をネットに載せたりしているのです。

英雄が命を賭けて得た土地を失うのは、本当に辛いと思います。その喪失感と悲しみは相当なものでしょう。しかし、これが戦争の結果である以上、今は受け入れるしかありません。今回の停戦によって、アルメニアが多くを失ったのは確かです。しかし、尊い命が失われ、その家族が苦しむという悲劇が収束したことも確かです。外国人の私だから言えることかもしれませんが、もうこの先ずっと戦争の悲劇が繰り返されないことを祈ります。

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庭のクルミの木の葉っぱもほとんど落ちました。

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戦時中のモンテ・メルコニアン。その存在があまりに大きくなり過ぎたため、味方に殺されたという噂もあります。

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日曜は家族で出かけて、子供たちにアイアンマンとスパイダーマンのネックピローやぬいぐるみを買ってあげました。

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「パパ、見て!ドーナツ!」と言っておどけるアレンとレオ。子供たちには、戦争など経験せず、いつも笑っていてほしいです。

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