拘束されたテロリスト捕虜の証言
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来週から息子たちの通う学校と幼稚園が再開すると聞いて喜んでいたら、教育省からの命令で、やはり他の学校と同じくあと2週間閉鎖すると連絡がありました。戦争でかなり気が滅入っている状況なのに、コロナのせいでダブルパンチ…感染状況に関わらず、2週間後に再開する方針だそうですが、あまり当てにならないので、近所の人にアルメニア語やロシア語、また算数の家庭教師を依頼しました。
しかし、こうやって教育機関は閉鎖し続けるくせに、カフェやレストランやジムなどは特に規制が厳しくなったりしていません。かといって、決してロックダウンなんかする必要はないですが、子供の感染リスクが低いことは分かっているのに、政府がやっている対策にすごく矛盾を感じます。
ナゴルノ=カラバフを巡る戦争の状況ですが、現在も前線では激しい軍事衝突が続いています。市街地への砲撃も頻発しているため、民間人から犠牲が出ています。現在までにカラバフ・アルメニア側兵士1,166名が命を落としたそうです。
あと昨晩は、アルメニア南部の村にも砲撃があったらしく、パシニャン首相は、プーチン大統領に書簡を送り、提供できる防衛支援など即時協議するよう求めました。それに対してロシアは、軍事衝突がアルメニア領土に移った場合、同盟国としてあらゆる必要な支援を行うと答えました。というのも、両国は1997年に相互防衛条約を締結しているからです。
また昨日、ナゴルノ=カラバフのハルチュニャン大統領は、シューシの街で国民に向けて声明を出し、「敵軍はシューシから5キロ圏内まで迫っており、ここ数日が戦争の転換点になるだろう。シューシとカラバフを守るために共に戦ってほしい」と呼びかけました。この呼びかけに応じて、すぐに多くのアルメニア人志願兵がシューシに向かったそうです。
このシューシの街は、約30年前の戦争でも重要な転換点となった場所で、ここを占拠してからアルメニア側の優勢が確実になりました。「シューシを制したものはカラバフを制す」という言葉があるほどで、上記のハルチュニャン大統領の声明でも引用されていました。しかし、その場所の5キロ圏内までアゼルバイジャン軍が迫っているとは…確かに、ここから先が戦争の山場になるかもしれません。
そして、アルメニア国防省は、アゼルバイジャン軍が白リン弾を使う映像を公開しました。この白リン弾は、人を標的にした攻撃での使用は禁止されており、過去にイスラエルがガザ地区に使用して問題になりました。今回アゼルバイジャンが投下して火災が起こっている森林地帯には、民間人が砲撃を避けて隠れているという情報もあります。もしそれが本当であれば、明らかな違法行為であり、甚大な被害が出るのではないでしょうか…
同じくアルメニア国防省は、拘束したシリア人傭兵が尋問に答える様子を収めた動画を公開しました。ムハンマド・アル・シャイールという名で、ジハード主義系テロリストだそうです。10月中旬にトルコにスカウトされ、他の250人の傭兵と共にアゼルバイジャンに派遣されたと語りました。
そして、現地で戦闘前にトルコ軍指揮官から訓練を受けたこと、常に彼ら傭兵たちが危険な最前線で戦わされ、アゼルバイジャン軍は後方に陣取っていたこと、そして2万ドルの報酬が約束されていたが、負傷後に戦場で見捨てられ、報酬を受け取っていないとも告白しました。
一般の日本人にしたら、そんな命がけの仕事をするのに2万ドルは安すぎる!と思うでしょうけど、彼らのような人間は、シリアで月50ドル程度しか貰えないらしいです。であれば、2万ドルはかなり魅力的な報酬に映るはず。他にトルコは、月2千ドルを払うとか、家族にトルコ国籍を与えるなどの条件を提示する場合もあるそうです。その拘束された捕虜も、奥さんと三人の子供がいるそうで、恐らく生活のためにお金欲しさで参加したのでしょう。
これまでにトルコは、数千人ものシリア傭兵やイスラム過激派テロリストをアゼルバイジャンに派遣したと言われていますが、そのほとんどは彼のような人間なのかもしれません。しかし、話した内容が本当であれば、結局その報酬を貰えていないし、都合よく利用されただけのようで少し不憫に感じます。
報酬のことや実際の戦闘の過酷さについては、派遣された兵士たちの間で不満が高まっており、最近トルコはスカストに苦労しているという情報もあります。もともと彼らはナゴルノ=カラバフ紛争に関係ないのですから、いくら好条件を出されても参加してほしくないですね。無関係な戦争に駆り出され、人間の盾として使われ、用なしになると捨てられる…彼らも戦争の犠牲者と言えるかもしれません。戦争は本当に残酷です。一刻も早く収束してほしいと思います。
カラバフから避難してきた女性たちが、ジェンギャロフハツという香草をたっぷり詰めたパンを作って売っていました。売り上げは人道支援に使われるそうです。
そこで買ったカラバフ名物のジェンギャロフハツ!美味しくて私も大好きです。
ハロウィンの時期だから、アレンが通うレゴ教室でも小さなパーティーがありました。怖い仮面を被るアレン。
昨晩は、私がカボチャをハロウィン風に加工しました。大きなカボチャで少し苦労しましたが、いい仕上がりになって、子供たちも大喜びでした。
そのカボチャを面白そうに眺めるレオ。子供たちが元気に笑顔でいてくれることが大きな心の支えになっています。
私の妻も登場しますが、日本語が話せるアルメニア人たちから、今回のナゴルノ=カラバフを巡る戦争についてのメッセージ動画。是非ご覧だください!
- [2020/10/31 22:36]
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