カラバフ最大の医療施設を狙った砲撃
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コロナの感染拡大を受けて、教育機関が閉鎖されていますが、アレンとレオが通う学校と幼稚園は来週から再開が決定!教育省に申請して認められたそうです。私立だから開けないと経営に影響しますからね。とにかく、また来週から子供たちが通えるようになって良かったです。
寒くなれば風邪ウイルスの一種であるコロナが再流行するのは当然で、その都度リスクの低い子供から教育の機会を奪ったり、厳格なロックダウンを行うのはやり過ぎだと思います。スウェーデン政府の主任疫学者テグネル氏は、そういう対策について、「壁に止まったハエを殺すのにハンマーを振り下ろすようなもの」と述べていましたが、まさに言い得て妙です。
昨日、戦死した会社の同僚の弟さんのお通夜に行ってきました。これまで何度か通夜や葬儀に参列したことがありますが、あれほど悲しみに満ちたものは初めてでした…同僚とその家族は、声を上げて号泣していました。まだ19歳の息子さん、そして弟さんを戦争で亡くしたのですから、その死を受け入れられないもの無理ありません。気の毒すぎて見ていられませんでした。
棺に眠る弟さんは、軍服を着ていましたが、まだ幼さの残る若者でした。戦争がなければ、あと半年ほどで兵役を終えて家族の元に帰るはずでした。そして、将来の仕事や夢を思い描きながら大学で勉強していたでしょう。人生これからという時だったのに、そのスタートラインにも立てずに戦地で命を落とすなんて…これまでに1119名の兵士が亡くなったそうですが、それだけの人生と夢が奪われ、残された多くの人たちが悲しみのどん底に突き落とされたのです。本当に戦争は残酷です。
その戦争の状況ですが、アルメニア国防省によると、現在も境界線各地で戦闘が続いており、ステパナケルトやシューシなどの市街地にも激しい砲撃が行われているとのことです。これらの民間施設を狙った攻撃によって、街の一部は廃墟と化していますが、昨日は明らかに戦争犯罪と言える惨劇が起こりました。
なんと、ステパナケルトにあるカラバフ最大の医療施設が砲撃を受けたのです。そこは産婦人科病院もある複合医療施設で、戦争中の今は、昼夜問わず多くの人が治療を受けています。砲撃があった時も、たくさんの医療従事者や患者がいたため、複数の負傷が出たそうです。いくらなんでも、これは酷すぎ…
アルメニア側のプロパガンダかと思う人もいるかもしれませんが、たまたま報道機関が病院内を取材していたので、生々しい当時の状況を捉えた映像があります。凄まじい衝撃の後に、急いで地下に逃げる人々、安全な場所に患者を移動させて治療を続けようとする様子などが映っています。戦争の恐ろしさが伝わってきます。
報道機関が捉えた砲撃時の病院内の映像。この非常事態に慣れている医療従事者も恐怖で震えています。
このトルコとアゼルバイジャンによる軍事侵攻に抗議するデモが世界各国で行われていますが、アルメニア系住民が多いフランスでは、毎日のように大規模なデモが開かれています。しかし一昨日、武装したトルコ国籍とみられる3人がそのデモ隊を襲撃し、参加者の一人が殴打されて病院に搬送される事件が起こりました。今日も、アメリカで行われていた同様のデモが襲撃されて、参加者3人が負傷したというニュースがありました。
また昨晩は、フランスのリヨンで、数百人の武装したトルコ人やアゼルバイジャン人たちが、「アルメニア人に死を!神は偉大なり!」などと叫びながら街中心部を行進するという出来事がありました。この憎悪の高まりについて、トルコ議会の数少ないアルメニア系議員のガロ・パイラン氏も、「アルメニア人に対するヘイトスピーチや脅迫行為が急増している」と強い危機感を示しました。国外のアルメニア人までが危険に晒されるなんて恐ろしいことです…
今回の戦争にはトルコが大きく関与しているため、アルメニアは、アゼルバイジャンだけでなく、トルコに対しても厳しく非難しています。戦争の背景に、エルドアン政権が押し進める新オスマン主義が関係していることは明らかで、アルメニア人の多くは、これを新たな大虐殺だと考えています。上記のようなデモ襲撃やヘイトスピーチが公然と行われれば、そう感じるのも無理はありません。
この地域だけでなく、他国でも民族間の憎悪や暴力の連鎖が起こっていることに暗澹たる気持ちになります。しかし、今日ロシアとOCSE共同議長の仲介により、アルメニア人兵士29人の遺体と捕虜1人がアゼルバイジャンから返還されたそうで、膠着状態に少し改善が見られるニュースもありました。まだまだ予断を許しませんが、一刻でも早く事態が収束してほしいと願います。
今週も子供たちをレゴ教室に連れて行きました。毎回楽しそうに遊ぶレオ。
アレンもレゴで動くおもちゃを作って楽しそうにしています。
スヤスヤ仲良く眠る兄弟。毎日のように悲劇が起こっている中、家族と平穏な日々を過ごせているのは本当にありがたいことだ思います。
- [2020/10/29 21:11]
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