軍事衝突発生から3週間 

9月27日に軍事衝突が発生してから今日で3週間が経ちました。1週間前に一時停戦の合意があったのに、現在も前線では激しい戦闘が続いています。アルメニア国防省によると、昨晩はステパナケルトやシューシなどの市街地に激しい砲撃があり、民間人が負傷したそうです。また、アルメニア領内のシュニク地方にも、アゼルバイジャン軍のドローンが侵入して民間インフラを攻撃したという情報があります。

昨日は、戦場に行っていた妻の再従兄弟がアゼルバイジャン側の狙撃手に撃たれ、エレバンの病院に搬送されて手術を受けたという連絡がありました。銃弾が脇腹から太腿を貫通するという重傷でしたが、幸い命には別状ないそうです。彼には奥さんと2歳ぐらい息子さんがいるので、とにかく生きていて良かったです。

また、昨日はとても気分が悪くなるニュースがありました。アゼルバイジャン軍がアルメニア人捕虜に対して侮辱と拷問を加え、残酷に殺害する映像と写真がネットに流れ、アルメニアの人権オンブスマンが入手したのです。流出元はアゼルバイジャンで、すでにネットから削除されていますが、その前に多くの人が見たようです。撮影された場所や時間も特定され、すでに戦争犯罪の証拠として欧州人権裁判所に提出されました。いくらなんでも酷すぎる…

戦争に完全な正義や悪は存在しないとは思いますが、自分たちの国やアイデンティティを守るために戦うのと、憎悪に駆られて戦うのとでは大きく違います。前者は大切なもののために死ぬ覚悟が生まれ、後者は敵を殺すことに執着するからです。上記のような捕虜の殺害、また当ブログでも何度か書いた、ラミル・サファロフというアゼルバイジャン軍人が就寝中のアルメニア人を斧で殴り殺した事件などがその例と言えるかもしれません。

トルコからアゼルバイジャンに送られて前線で戦ったハムザ師団傭兵2人が、最近アメリカ人ジャーナリストの取材で語ったことも象徴的です。彼らは、「アルメニア軍の国を必死で守ろうとする士気の高さに驚いた。逆にアゼルバイジャン軍は、外国人傭兵やテロリストの200メートル後方に留まって戦おうとしなかった。自分たちが何のために戦っているのか分からなくなった…」と語りました。元々は基地警備の仕事だと言われたのに、前線に送られて騙されたことも告白しました。

ちなみに先日、リビア国民軍のアハメッド・アル=ミスマリ総司令官が、トルコが多数のシリア人やリビア人などのテロリストを召集し、リビアの空港からアゼルバイジャンに派遣していると述べ、トルコの一線を超えた紛争への関与がまた裏付けられました。トルコはチェチェン人兵士まで動員する可能性があるらしく、アルメニア人は一体どれだけの相手と戦わないといけないのでしょうか…

しかも、同じ虐殺された歴史を持つユダヤ人の国イスラエルまでが、アルメニア人への攻撃に協力しています。今回の紛争でアゼルバイジャンは大量の軍事ドローンを使用しているのですが、そのドローンの大半はトルコとイスラエルから供与または購入されたものなのです。それら高性能のドローンは、カラバフ・アルメニア軍に甚大な被害を与え、多くの兵士を殺害しています。これについては、著名なユダヤ人のホロコースト研究者も、とても残念で恥ずべきことだと厳しく批判しました。

前回の記事に書いたように、ナゴルノ=カラバフのアルメニア人は、ソ連憲法や国際規約で認められた民族自決権を行使して独立を果たしたので、アゼルバイジャンの領土保全とは一切関係ありません。またアルメニアは、過去の交渉で何度も譲歩する姿勢を見せ、パシニャン現首相もそれを明言しています。にも関わらず、アゼルバイジャン側がそれを拒否し続け、今なお争いが収まることなく、双方で多くの血が流されているのです。ただ向こう側は、戦場で血を流しているのは外国人傭兵やテロリストが大半かもしれませんが…

アゼルバイジャンにしたら、国民を統制してアリエフ独裁体制を維持するための道具として、永遠にアルメニアを敵国扱いできるこの領土問題を利用したいという事情があるでしょう。しかし今回の戦争では、オスマン帝国時代にアルメニア人虐殺を行ったトルコ、そして同じ悲劇を経験したユダヤ人までがアゼルバイジャンに協力し、アルメニア人を攻撃しています。この多勢に無勢の圧倒的不利な状況の中で、この3週間アルメニア人たちは必死で戦い続けています。そして、多くの犠牲を出し続けています…

ここに住むアルメニア人だけではなく、世界中のアルメニア人が立ち上がり、毎日のように各地で大規模なデモを行っています。暴力的なデモではなく、ナゴルノ=カラバフ住民が望んでいるのは平和であり、アゼルバイジャンやトルコのテロ行為を止めるよう訴え、そのために国際社会に連携と正義を求めるものです。

そのアルメニア人の呼びかけに応えるかのように、ジュネーブとミラノの市議会は、ナゴルノ=カラバフ共和国の独立を認める決議を採択しました。小さな動きかもしれませんが、今後さらに多くの国や地域が積極的に動いて、この争いの収束のために協力してほしいと思います。正直もうこれ以上、人の死や悲しみを見るのは耐えらません。本当に一刻でも早く収束することを祈ります。

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コロナで学校や幼稚園は閉鎖されたけど、レゴ教室は開いているので、一昨日も連れて行きました。

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肌寒くなってきましたが、秋晴れで天気はいいので、家族で毎日散歩しています。エレバンは普段と変わりないようです。

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でも、この平和な光景が、時に蜃気楼のように儚く見えて、底知れぬ切なさと悲しみがこみ上げてきます…早く平和になってほしいです。

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