アルメニア北部を家族旅行 Part 3
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日本はお盆休みですね。とはいえ、新型コロナの影響で旅行や帰省などは控えられて、例年のような民族大移動は起きていないようです。海外旅行どころか、国内旅行もあまりできないなんて残念でしょうね…
世界の感染者が2千万を超えた新型コロナのアルメニアの状況ですが、感染者数は40,794人、死者は806人です。明らかに収束しつつあるため、外国人の入国制限やマスク着用義務などの規制が緩和される方向です。そして、9月15日から小中学校が再開されることも決定!やったー!でも、9月1日からじゃないのは残念…非常事態宣言が来月中旬まで延長されたからだそうですが、とにかく正式に再開が決まって、私と妻もホッとしています。
子供の感染リスクはかなり低いことは証明されているんだから、これ以上教育の機会を奪う必要はないと思います。それに子供が家にいると、祖父母が面倒を見ることが多く、逆に高齢者の感染リスクが高まるので矛盾しています。ちなみに、大学などの再開については来週以降に決定されるそうですが、ここのアメリカ大学やロシア大学は独自でオンライン授業の継続をすでに決めました。学生や父兄からは、「だったら学費を安くしろ!」という不満の声が上がっているみたいです。
さて、アルメニア北部を訪問した家族旅行の話の続きです。今日で最後になります。旅の最終日は、前日の雨も上がり、朝からきれいな青空が広がっていました。アレンが山登りしたいと言うので、ゲストハウスのオーナーのお父さんが、近くの山に連れて行ってくれました。いつも優しくアレンの手を握って、まるで本当の祖父と孫という感じです。
ゲストハウスに戻ると、オーナーの娘さんも来ていました。美人の奥さんに似てめっちゃ可愛い!レオと仲良くブランコに乗る姿はもう可愛すぎ!同い年ぐらいの子が来て、レオも嬉しそうでした。しかし、帰路の運転をお願いしていた運転手も到着し、出発時間になったのでゲストハウスを後にしました。家族みんなが手を振ってくれて、そのホスピタリティに心が温かくなりました。とてもステキな場所ですから、また訪問したいと思います。
ゲストハウスのオーナーのお父さんとアレン。まるで本当の孫とおじいさんみたい!
オーナーの娘さんと仲良くブランコに乗るレオ。可愛いなあー
まっすぐエレバンには向かわずに、コバイル修道院に寄って観光しました。山奥に建てられた12世紀の教会で、妻がずっと行きたいと言っていた場所です。けっこう険しい山道を登らないといけないと聞いたので、子供連れで大丈夫なのか微妙でしたが、せっかくだから訪問してみました。
山道の入り口が分かりづらかったですが、すでに麓にはアルメニア人観光客の車が何台か止まっていました。歩き始めると、すぐに小さな集落が出てきました。修道院で灯すロウソクを売っている家族がいたので、そこで買いました。道はどんどん急になり、足場も悪くなってきて、確かに子供にはキツイかも…アレンは、途中からかなりしんどそう。レオは、さっさと歩くのを諦めて妻に抱っこしてもらっています。
休み休み20分ほど歩くと、石造りの建物が見えてきました。もうすぐだ!と力を振り絞り、最後の急な山道を登り切って、コバイル修道院に到着しました。ここも、足がすくむような深く切り立った崖っぷちに建てられています。なぜこんな場所に?そしてどうやって?またもや古人の信仰心の強さに感動を覚えました。
建物自体はかなり崩壊していますが、それがまた謎多き遺跡のような秘境ムードを醸し出しています。風光明媚な立地と共に、かなり見応えのある場所でした。礼拝堂の跡地に入ってみると、キリストと弟子たちを描いた素晴らしい壁画が残されていました。当時はとても立派で美しい修道院だったことが分かります。少し行きづらいけど、妻が行きたい!とずっと言っていただけあって、訪問する価値は十分ありました。
険しい山奥に建つコバイル修道院の鐘楼
崩れた礼拝堂の入り口。精微なレリーフが残されています。上部に壁画の痕跡がありますね。
古いグルジア文字・アルメニア文字が彫られています。
キリストと弟子たちの壁画が残っています。これは見応えがありました。当時は美しく鮮やかな教会だったのでしょう。
教会の裏の渓谷。こんな険しい自然に囲まれています。
玄武岩が隆起して形成されたものなのか、柱状節理という六角形の岩石が見られます。
鐘楼の上から見た礼拝堂。崩れ落ちて遺跡のような姿です。周りの厳しい自然と相まって秘境感たっぷり!
鐘楼からは雄大なアルメニア北部の自然を望むことができます。
コバイル修道院を後にして向かった先は、マラリックという村。アルメニア第二の都市ギュムリの近くにある村で、そこに私と妻の結婚式のカヴォルが住んでいるのです。カヴォルというのは、アルメニアで結婚式や洗礼式の証人のこと。日本では仲人みたいなものでしょうか。そのカヴォルとご家族を訪問するために、ちょっと遠回りをして立ち寄りました。
彼はアルメニア柔道連盟の創立者で、昔はオリンピック委員会の会長や国会議員も務めていました。そのため、エレバンに長年住んでいました。私もエレバンで知り合い、その大らかで誠実な人柄に惚れ込んで、私と妻はカヴォルをお願いしたのです。しかし、ここ数年は糖尿病が悪化したり、脳梗塞を起こしたりと体調を崩してしまい、マラリック村の実家に住んでいます。奥さんもそこの出身で、二人とも自然豊かでのんびりした村の生活を気に入っているみたいです。
エレバンから離れているため、ここ数年はお互い会う機会が少なくなり、今回も約10か月ぶりの再会となりました。電話では時々話すんですけど、その度に「マラリックに遊びにおいで」と誘われていたので、やっと訪問が実現した訳です。向こうは、私たちが到着した瞬間、とても喜んでくれました。
ちなみに、マラリック村は3〜4月に新型コロナが流行して問題になりました。そのため、持病がある彼のことを案じて電話したら、「大丈夫だよ」との返事でしたが、実は3月末に感染して数日入院していたそうです。奥さんも数日熱があったとのこと。しかし、重症化することなく回復したそうです。村人の多くも同じ感じだったみたいで、「そんな大騒ぎすることじゃない」と二人とも言っていました。とにかく元気そうでよかったです。
彼の実家には、広くて緑豊かな庭があり、鶏やウサギ、アヒルなどが放し飼いになっています。それを見て、アレンとレオは大喜びしていました。田舎だから空気もきれいで気持ちいい!その庭で、カヴォルの家族と一緒に食事しました。カヴォルと度数の強いウォッカで乾杯しながら、楽しい時間を過ごしました。健康を損ねたせいで昔の豪快さや覇気はなくなったけど、包み込むような優しさが溢れている感じで、傍にいると心穏やかになります。
奥さんも、そんな彼の変化について話していました。例えば、飼っていたウサギが病気で死んだ時に、彼は悲しそうに涙を流していたそうです。もちろん病気やケガなんてしない方がいいに決まっていますが、その経験によって、人はもっと謙虚に優しくなれるのかもしれません。本当に大切なものが見えてきて、心に余裕や繊細さが生まれるのかもしれません。カヴォルも、以前よりもずっと自然体で温かいオーラを持っています。
そんな彼やご家族と久々にゆっくりお話しながら、楽しい時間を過ごすことができ、その村に立ち寄って本当によかったです。暖かい気候の間に、また遊びに行きたいと思います。夕方にマラリック村からエレバンに戻り、三泊四日の家族旅行が終わりました。アルメニアの美しい自然と悠久の歴史、そして心温まる人々の触れ合いを満喫する素晴らしい旅でした。私たち家族にとって、忘れられない夏の思い出になりました。
久しぶりに再会したカヴォル。大切な仲人であり、大好きな人です。
息子さんがアレンを可愛がってくれました。
自然豊かな庭で遊ぶ子供たち。女の子はお孫さんです。
アヒルを可愛がるアレン。動物が放し飼いになっているから、子供たちは嬉しそうでした。
アレンを抱いてアヒルを見守るカヴォル。柔道一筋の覇気あふれる人でしたが、今はとても柔和で穏やか。
エレバンに向かう帰路からの景色。美しい自然を満喫できた旅でした。
- [2020/08/12 19:30]
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