アゼルバイジャン人との民族対立が激化
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雨が降ったりして、週半ばから少し暑さが和らぎましたが、それでも最高気温は35℃前後。これでも例年に比べれば涼しい方ですが、マスクを付けて歩くのはキツイですね…というのも、まだマスクの着用義務は継続されているのです。
そういえば、日本は今日まで4連休でしたね。しかし、まだ梅雨明けしていない上に、やはり新型コロナの影響で遠出する人はあまり多くなかったようです。政府肝いりの経済政策「Go Toトラベル」事業も、直前に東京都発着の旅行が対象外になるなど混乱して、期待したほどの効果が出るでしょうか…
新型コロナのアルメニアの状況ですが、現在までの感染者数は37,317人、死者は705人となっています。回復者は26,243人と7割を超えています。明らかに感染拡大が落ち着いてきているため、この状況が今後も続けば、政府は9月から学校を再開する方針のようです。やったー!
さて、アルメニアとアゼルバイジャンは激しい武力衝突などは発生していませんが、民族間の対立がこれまでになく激化しています。特にロシアでは、アルメニア人に対するアゼルバイジャン人の襲撃や嫌がらせが頻発して問題になっています。アルメニア人が集団で暴力を加えられたり、アルメニア人が経営する店が放火されそうになったり、アルメニア人学校に落書きされたり…毎日のように気が重くなるニュースを目にします。
約30年前の戦争で、アゼルバイジャンは劣勢に追い込まれ、領有権を争うナゴルノ=カラバフ地域を完全に失いました。そのため、アゼルバイジャン人が抱える怒りや憎悪は、アルメニア人よりはるかに強く、また同国政府もそれを意図的に煽り続けています。
というのも、アゼルバイジャンは、独立時からずっとアリエフ一家が全権力を牛耳る独裁体制が続いているからです。現在は2代目のイルハム・アリエフ大統領ですが、その妻が第一副大統領を務めており、さらに息子に権力を世襲させるために大統領選の年齢制限を数年前に撤廃しました。もちろん国家の重要産業なども全て大統領一家が握っています。
このような権威主義体制を維持するには、人権や情報を厳しく統制する必要があり、それによる国民の不満を外に向けさせる政策が採られることもよくあります。アゼルバイジャンも例外ではなく、偏った教育や報道などによって過剰に反アルメニア感情を煽っています。アルメニア側の教育や報道にも偏りがないとは言えませんが、アゼルバイジャン側のそれはあまりに酷いと感じる凄惨な事件が16年前にありました。詳しくは過去の記事をご覧ください。(過去の記事)
その事件で私が衝撃を受けたのは、戦場でもないのに、無防備なアルメニア人を惨殺するほど激しいアゼルバイジャン人の憎悪、そして、その無慈悲な殺人行為を国を挙げて賞賛するアゼルバイジャンの異常な状況です。このような国情では、今ロシアなどで相次いでいるアゼルバイジャン人の暴力行為に歯止めが掛かりません。ただでさえ戦場で多くの犠牲が出ているというのに、それ以外の場所でも血が流されるような現状に胸が痛みます。
しかし同時に、根深い民族対立を超えて、ビジネスで繋がっていたり、共に仕事や勉強をしたりと個人的な交流を持つアルメニア人とアゼルバイジャン人もいます。そういう人たちの連帯が、今の困難な状況を改善する一助になってほしいと思います。そして、国外に住むアルメニア人たちが、一日でも早く平穏に暮らせるようになってほしいと願います。
記事とは関係ありませんが、子供たちは相変わらず元気にプールで水遊びしたりしています。
周辺国との問題が起こるたびに思うことですが、息子たちが大きくなる頃には、もっと平和な世界になってほしいと思います。
- [2020/07/26 18:30]
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