ムヒタリャン選手が欧州リーグ決勝を欠場 

今日は久々に朝から青空が広がっていましたが、午後には空が雲で覆われて激しい雷雨となりました…こんな風に今週はずっと天気が不安定です。そういえば、今日は「最後のチャイム」と言って、アルメニアでは学校の最後の授業日。中学や高校の卒業生たちが盛り上がるでしょうね。

今週末は、いろはセンターが二回目となる「音色」という音楽祭を開催する予定です。第一回の去年、私はあいにく忙しくて見に行けませんでしたが、今年はなんと審査員の一人として参加することになりました。私はギターやピアノを弾くんですけど、実は音符とか一切分からないんですよね。そんな私で大丈夫なんでしょうか…

一昨日は故シャルル・アズナヴールの誕生日でした。それを記念して、エレバンの地下鉄の全駅で一日中アズナヴール氏の歌曲が流されていたそうです。昨年亡くなった偉大なアルメニア人歌手は、今も多くの人たちに愛されている証ですね。

さて、先日とても残念なニュースがありました。今月末にアゼルバイジャンの首都バクーでアーセナル対チェルシーの欧州リーグ決勝戦が行われるんですが、アーセナルのヘンリク・ムヒタリャン選手が欠場することになったのです

アゼルバイジャン側は、ムヒタリャン選手の入国を認めて、その安全も保証すると発表していましたが、同選手は家族とも話し合った末に、やはり安全面に懸念があるということで出場を断念しました。「決勝という大舞台を逃すのは本当に辛い…」と無念な心境を語り、チームやファンも大きなショックを受けています。

アーセナルにとって、来シーズンのチャンピオンズ・リーグの出場権、そして20数年ぶりの欧州タイトルが懸かった大事な試合です。同チームは、「ファイナル進出において、ムヒタリャンは重要な役割を果たした選手であり、彼の欠場はチームにとって大きな損失だ」と述べました。

当ブログをご覧の方はご存知かと思いますが、アルメニアはアゼルバイジャンと深刻な領土問題を抱えています。ナゴルノ=カラバフという地域の領有権を巡って長年争っており、現在も国交がないどころか、境界線では散発的に武力衝突が起こっています。

ソ連時代にアゼルバイジャン領だったナゴルノ=カラバフは、戦争で優勢だったアルメニアが実効支配しているので、領土を不法占拠されたと考えるアゼルバイジャン人の怒りは半端ありません。これは、アゼルバイジャンが独裁国家で、アルメニアとの問題をプロパガンダに利用し、意図的に憎悪を煽っていることも大きな原因です。それで思い出すのは、15年前にハンガリーの首都ブタペストで起こった凄惨な事件…

それは、当時ブタペストで行われていたNATOの訓練中に、アゼルバイジャン軍人が就寝中のアルメニア軍人を斧で殴り殺した事件です。そのアゼルバイジャン軍人は逮捕後、「アルメニア人を皆殺しにするのが私の仕事だ」と語りました。裁判で無期懲役になったのですが、7年前にアゼルバイジャンに身柄が引き渡され、帰国後は国内で英雄扱いされました。大統領から恩赦を受けてアパートの1室まで寄贈され、さらに少佐に昇進して、ハンガリーで服役中だった期間の給与も全額支払われたそうです。

戦場であれば仕方のない戦闘活動かもしれませんが、彼の行為はただの犯罪で、彼はただの殺人犯です。しかも寝ている無防備な人間を斧でめった殴りにして殺すなんて…本当に痛ましく惨たらしい事件です。もし加害者がアルメニア人だったとしても、私は同じように厳しく断罪するでしょう。

とにかく恐ろしいのは、アゼルバイジャン人のアルメニアに対する根深い憎悪。戦場でもない所で一方的に人を惨殺して、さらに後悔や懺悔の気持ちもなく、その行為を国を挙げて称賛する…いくらなんでも非常識、というか完全に狂っています。もちろん、そのような状況を異常だと思い、憎悪の連鎖を止めて平和を望むアゼルバイジャン人もいるはずで、実際にアルメニア人に対して優しく接するアゼルバイジャン人にも会ったことがあります。

とはいえ、過去にこんな悲惨な出来事があると、ムヒタリャン選手がバクーでの試合を欠場するのも理解できます。ただ、今回の問題の責任は、アゼルバイジャンよりも、決勝戦のバクー開催を決めた欧州サッカー連盟にあると思います。アゼルバイジャンから巨額のお金が動いたのでしょうけど、最悪こういう事態が起こりうることを考えなかったんでしょうか…国際的な組織のくせしてアホやなあと呆れます。そうでなくとも、決勝で争う両チームの本拠地イングランドから遠くて、「応援に行けない!」と地元ファンが怒っていますけどね。

とにかくムヒタリャンというスター選手の欠場は、理由が理由なだけにとても残念です。政治がスポーツの世界に影響を及ぼした悪例ですよね。二度とこんなことが起こってほしくないですし、両国の関係が少しでも改善してほしいと願います。

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記事内容と関係ありませんが、息子たちが家事を手伝うようになりました。というか、新しい遊びみたいなもので、あまり役には立っていませんけどね…

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シャボン玉を嬉しそうに追いかけるアレンとレオ。息子たちが大人になる頃には、近隣国との関係が改善されて、今より少しでも平和になってくれたらと思います。

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