鮄川さんと3日間のジョージア旅行
まだ日中は暖かい、というより少し暑いぐらいの陽気ですが、朝晩は肌寒くなってきました。そのせいか、体調を崩す人が多く、義母に続いて、アレンとレオも風邪を引いてしまいました。なので、明日はレオの6歳の誕生日ですが、家族で小ぢんまりとお祝いしようと思います。
一昨日9月27日は、2年前にアゼルバイジャンとの戦争が勃発した日でした。当時のブログ記事を読み返してみると、「今回も数日ほどで落ち着くのではないか…」と書かれています。私だけでなく、多くのアルメニア人も同じように考えていました。しかし、戦争は激しさを増すばかりで収束せず、結局1か月半も続きました。悪夢のような時間の始まりでした…
戦争が本格化してからは、全く終わりが見えず、毎日を不安と悲しみの中で過ごしました。少しでも現地の状況や情報を伝えようと記事で発信していましたが、悲惨なニュースばかりで本当に暗く重い気持ちになりました。何より多くの尊い命が失われることに心を痛めました。今もあの時の経験を思い出すと辛くなります。最近もアゼルバイジャンとの衝突がありましたが、もう二度と戦争という悲劇が起こってほしくありません。改めて平和を祈りたいと思います。
ウクライナではまだ戦争が続いていますが、東・南部の4州で住民投票が行われ、賛成多数でロシアへの編入が決まりました。明日にはプーチン大統領が併合を宣言すると見られています。ウクライナ政府はもちろんのこと、欧米諸国や日本は「茶番だ」と非難していますが、米欧はコソボで同じことをしました。米国が主導したアフガン・イラク戦争では、20万人以上の市民が犠牲になりました。ロシアや中国を非民主的だと批判するEUは、資源不足を補うために、独裁国家アゼルバイジャンからのガス輸入を大幅に増やしました…私は大きな欺瞞を感じざるを得ません。
そういえば、安倍元首相の国葬が行われたのですね。全く関心がなかったので、いつの間にか終わっていたという感じです。それよりも RIZINの朝倉未来とメイウェザーの試合の方が気になっていました。大方の予想通りの展開でしたが、朝倉選手はけっこう善戦したと思います。と同時に、やっぱりメイウェザーのスピードと反応の凄さには驚きました。ボクシングルールでは圧倒的な強さですね。
さて、週末はお隣の国ジョージアに行ってきました。私が秘書を務めているモンスターラボ社長の鮄川さんが訪問することになり、私も同行したのです。私は何度もジョージアに行っているので、案内役を依頼されました。とはいえ、私も2年9か月ぶりの訪問でした。コロナ禍が始まる直前の2020年のお正月に家族と行って以来です。
今回は出張ということで、初めて空路でジョージア入りしました。エレバン発のフライトが遅れたため、けっこう待ちましたが、飛行機に乗っている間はたったの30分。離陸したかと思ったら、あっという間に高度が下がってトビリシ空港に到着。そういえば、ウクライナ問題の影響で、乗客のほとんどはロシア人でした。トビリシ空港は初めてだったので新鮮でした。ちなみにジョージアもコロナ関連の規制が全て撤廃されて、ワクチン証明書もPCR陰性証明書も不要で、スムーズに入国できました。
ホテルに着くと、先にドバイから到着していた鮄川さんと合流しました。お互いお腹が空いていたので、早速ヒンカリ(ジョージアの水餃子)を食べに、地元の友人に予約してもらっていたレストランに向かいました。外に出ると、けっこう寒い。トビリシの方が標高が低いのに、エレバンより気温が低くて驚きました。でも、久しぶりにトビリシに来れたので嬉しかったです。
レストランでは、ジョージアとマケドニアのサッカーの試合がテレビで放送されていて、ジョージア人たちが必死で見ていました。ジョージアチームがゴールを決めると、ワーッ!と大きな歓声が上がります。試合はジョージアの圧勝で、試合が終わった瞬間も、みんなが手を叩いて母国チームの勝利を喜んでいました。着いて早々すごい雰囲気でしたが、ジョージア初訪問の鮄川さんも楽しそうでした。
鮄川さんのジョージア初訪問と再会を祝って、ビールで乾杯しました。アルメニアに10回近く来ている鮄川さんは、隣国ジョージアもずっと行きたがっていたので、その希望が叶ってよかったです。トビリシで再会するというのも面白かったですね。鮄川さんとは7月に出雲で会って以来の再会。美味しいヒンカリを食べて、ビールを飲みながら、遅くまで語り合いました。
ジョージアに初の空路入国。機内はロシア人で満席でした。
トビリシ中心部の自由広場。2年9か月ぶりのジョージア。意外に寒くてビックリ!
鮄川さんと再会を祝って乾杯!ここのヒンカリは美味しかった!
翌日は、まずトビリシの旧市街を案内しました。付け焼き刃でしたが、事前に古い教会の歴史などを調べておいたので、それを説明しながら散策しました。同じ旧ソ連とはいえ、エレバンとはまた雰囲気が異なるトビリシの街を、鮄川さんは興味深そうに観光していました。久しぶりにトビリシを訪れることができて、私も嬉しかったです。
午後は、友人が手配してくれた車でムツヘタの観光に出かけました。ムツヘタは、トビリシの前に首都だった歴史ある街で、世界遺産にも登録されている古い教会などがあります。あいにく朝から曇り空で肌寒かったですが、鮄川さんはジュワリ修道院からの眺めやスヴェティツホヴェリ大聖堂の荘厳な雰囲気に感動していました。土曜だったこともあって、スヴェティツホヴェリ大聖堂では、民族衣装を着た新婚カップルの結婚式を見ることができました。
古い街並みが残るトビリシ旧市街を散策しました
ジョージアにキリスト教を伝えた聖ニノの十字架が保管されていたと言われるシオ二教会
シオ二教会の内部。アルメニア教会と違って、ジョージアの教会はイコンやフレスコ画で飾られています。
トビリシを首都に定めたヴァフタング1世の銅像とメテヒ教会
ロープウェイで上がったナリカラ要塞から眺めるトビリシの街並み
ムツヘタに行く途中、世界遺産のジュワリ修道院を見学しました。聖ニノが木の十字架を立てた場所と伝えられています。
教会内部には聖ニノの十字架があったという台座が残り、その上に十字架が建てられています
教会の壁のレリーフも素晴らしい
教会からは美しい景色が広がっています。水の色が違う二つの川が交わっています。
11世紀のスヴェティツホヴェリ大聖堂。ここも世界遺産で、ジョージア正教会の総本山でした。
この大聖堂にはキリストの聖骸布があったと言われていて、その場所には美しい柱が建てられています。
聖堂内では、ちょうどジョージア人カップルの結婚式が行われていました。男性は民族衣装を着ています。
聖ニノが住んでいたと言われるサムタヴロ教会。ここも世界遺産です。
トビリシに戻ってから、私は20年来の大切なジョージア人の友人に会いに行きました。22年前の彼との偶然の出会いがきっかけで、私は急遽アルメニアを訪れることになりました。そして、13年前に日本語を教えにアルメニアに行き、そのまま住み続けています。つまり、彼は私の人生を大きく変えた人なのです。22年前の彼との出会いやアルメニアに至る経緯については、過去の記事をご覧ください(こちら)
友人の家のドアをノックすると、友人と奥さんが嬉しそうにドアを開けてハグしてきました。彼らとも2年9か月ぶりの再会。久しぶりに会えて、私も本当に嬉しかったです。22年前に偶然出会った彼らと、今も変わらぬ友情と交流が続いていることに心が温かくなりました。再会を祝って自家製ワインで乾杯しました。ただ、今回は予定が詰まっていて、1時間ほどしか一緒にいられませんでした。友人と奥さんは、私の家族とも会いたがっていたので、次回はゆっくり訪問したいと思います。
それから、JICAのトビリシ事務所の方々と夕食しました。その一人は、昨年からJICA事務所に勤めているジョージア人の友人。彼は元々同じ日本語教師で、13年前に会ってからずっと仲良くしています。今回は、私と鮄川さんのために、いろいろと手配してくれました。彼とは昨年10月にアルメニアで会って以来で、久しぶりの再会を喜び合いました。食事したレストランは、ジョージア料理を現代風にアレンジしたもので、どれもすごく美味しかったです。さすがジョージアだけあって、飲んだワインもめっちゃ美味!とても楽しい夕食会となりました。
私の人生を変えた大切な友人と奥さん。久しぶりの再会を祝って乾杯!
JICA事務所の森所長と友人のコテさんと夕食
翌日は、そのJICAの方々にお誘いを受けて、カヘティ地方を訪問しました。トビリシの日本大使館に務めるジョージア人の方の田舎があり、そこでワインを作っているそうで、ブドウの収穫をお祝いする機会に同席させてもらうことになったのです。カヘティは、ジョージアで最もワイン作りが盛んなところで、ここは私も初訪問でした。
前日と打って変わって、朝から雲ひとつない青空が広がる気持ちのいい天気でした。その日はトビリシマラソンが開催されるため、けっこう街中は渋滞していましたが、郊外に出ると、のどかな自然の風景が広がっていました。厳しいアルメニアの自然と違って、緑豊かで穏やかな丘陵地帯が続きます。自然が大好きな鮄川さんも、車からの景色を楽しんでいました。
トビリシから東へ3時間ほど走ると、美しいシグナギの街が見えてきました。アルザニ谷を一望できる丘の上にある城壁に囲まれた小さな町です。シグナギの街全体を見渡せる場所に止まって写真を撮りましたが、まるでイタリアのトスカーナ地方みたいで、とても美しかったです。周りの広々した平地と、その向こうに連なるコーカサス山脈の景色も息を呑む素晴らしさ!
そこからシグナギへ向かう山道の途中に、ジップラインがあって、谷を渡って一気に街まで行けるとのこと。それを聞いた鮄川さんが「やってみたい!」と言うので、私もすることになりました…まず鮄川さんがジップラインで出発!あっという間に小さくなって、向こう側に行ってしまいました。それから私も出発!思ったほど怖くはなく、気持ちがいいぐらい。でも、到着場所で受け止めてくれる男性二人が、ギリギリまで何もしなさそうな感じで突っ立ってるから、「エーッ!このままだと壁に激突するやん?!」と一瞬焦りました。もちろんちゃんと受け止めてくれたけど、最後だけ怖かった…
それからシグナギの街を散策しましたが、もうめちゃくちゃ良かった!街も小ぢんまりして美しいし、城壁から広がる景色も最高でした。遠くまで平坦な土地が広がっている場所はアルメニアはありませんから、全く異なる自然に感動しました。鮄川さんも、「ジョージアもいいですね!」と言っていました。
その後は、シグナギの民族博物館を見学しました。この辺りもかなり古い人類の歴史がある地域で、アルメニアと同じように紀元前の青銅器や鉄器、陶器などの貴重な発掘品が展示されていました。博物館の二階は美術館になっていて、同地出身の有名なジョージア人画家ピロスマニの作品が展示されていました。彼はジョージアを放浪しながら、市民の生活や動物を描き続けた画家で、私も彼の独特のタッチは大好きです。ちなみに、彼はあの「百万本のバラ」の歌のモデルでもあります。
美しいシグナギの街。ここは是非また泊まりがけで訪れたいと思います。
ジップラインに挑戦する鮄川さん
私たちの後にジップラインで谷を渡ってくる旅行者。最後は焦ったけど、気持ちよかったです。
街を囲む城壁からは雄大な景色が広がっています
城壁に登る鮄川さん。天気もよくて最高!
博物館の中は写真撮影禁止でしたが、窓からシグナギの街が見渡せます
シグナギを後にして、ワイン作りをしているという方の村に向かいました。お宅に到着すると、みんなは初対面の私と鮄川さんを温かく迎えてくれました。ブドウを発酵させる地面に埋められたクヴェヴリという瓶を見せてくれたり、昔は使っていたというブドウを足で踏んで潰す道具などを見せてくれました。そこの息子さんは4年間エレバンのロシア大学に通っていたらしく、アルメニア語が話せたので、彼とは会話が盛り上がりました。
みんなが揃ったところで、ブドウから果汁を絞る作業を見せてくれました。昔は足で踏んでいましたが、今は機械を使います。そっちの方が圧倒的に早くて楽ですからね。ブドウを一杯詰めた袋から機械に入れていくと、不要な枝などは分離されて、ブドウの実だけ潰して果汁がホースに流れていきます。現代的な作業ですが、初めてだったから見応えありました。
私と鮄川さんもブドウを機械に入れるのを手伝ってみましたが、その袋がめっちゃ重い!なのに、一人のジョージア人の男性がずっと休まずにその作業をやっていました。力があるだけあって、すごく逞しかったですね。全てのブドウの果汁を絞り終わったら、みんなで拍手しました。貴重なものを見れてよかったです。鮄川さんも喜んでいました。
ブドウを発酵させるジョージア伝統のクヴェヴリという瓶。これで1トン以上のワインができるそうです。
収穫したブドウの果汁を絞る作業。ブドウの入った袋はめっちゃ重いのに、左の男性は一人で次々と持ち上げて機械に入れていました。
私と鮄川さんも少しお手伝いしました。貴重な経験でした。
それから、お待ちかねの宴会!美味しそうな家庭料理と自家製ワインが並んだテーブルに座って、宴会を仕切る男性がスピーチした後、ブドウの収穫を祝って乾杯しました。この宴会を仕切る人をタマダと呼ぶのですが、アルメニアを含むコーカサス地域にある習慣です。しかし、ジョージアが発祥らしく、そのルールがけっこう厳しい…タマダの許可なく、席を立ったり、乾杯のスピーチをしてはいけません。もしタマダの許可を得てスピーチしても、その前にタマダが話したテーマとずれているとルール違反。違反した場合は、ワインを一気に飲みしないといけないんだとか…
私は二回ルール違反してしまったので、その都度ワインを一気飲みしました。でも、私の豪快な飲みっぷりを見て、みんな手を叩いて大盛り上がり。たとえ言葉が通じなくても、こうやって一緒に食べたり飲んだりすれば、心はどこか通じ合えます。そのためだったら、少々キツくても飲んだ方がいい!まあ、とにかくお酒が好きってのもありますけどね。
手作りのBBQやヒンカリも美味しかったし、すごく楽しい宴会となりました。何度も訪問している私は、改めてジョージア人の人懐こさや優しさを実感しました。そして、初訪問だった鮄川さんにとって思い出深い体験となりました。ちょっと飲みすぎて、私は帰りの車中でずっと爆睡していましたが…
トビリシに戻って、お世話になったJICAの方々とお別れしました。今回は急な訪問だったにも関わらず、夕食に誘って下さったり、カヘティ地方を案内して下さって本当に感謝です。お陰さまで素晴らしいジョージア滞在となりました。ありがとうございました!またお会いできればと思います。
立って話している人がこの宴会のタマダ
美味しい料理とワインで盛り上がりました。二回も一気飲みして酔っ払いましたが、とても楽しかったです!
鮄川さんはその日の深夜のフライトでヨーロッパに行きましたが、「すごく楽しかった!また一緒にジョージアに来たい!」と言っていました。素敵な初訪問になったようで、本当によかったです。私も久しぶりにジョージアに来れて、友人たちに再会したり、カヘティを訪問したりと楽しい時間を過ごすことができました。そんな機会を作ってくれた鮄川さんに感謝です。ありがとうございました!また一緒にジョージアに行きましょう!
私は翌日お昼のフライトでエレバンに戻りましたが、行きと同じく乗客はロシア人ばかりでした。あっという間に着いたエレバンはきれいに晴れ渡って、アララト山の姿がはっきり見えました。たった三日間しか離れていなかったのに、その景色を見たら、心底ホッとしました。妻と子供たちに会ったら、さらに安堵しました。ジョージアも大好きだけど、やはりここが私の帰る場所…とにかく、素晴らしいジョージア旅行になりました。出会った全ての人たちに感謝しています。
エレバンに着くと、美しいアララト山が迎えてくれました。やっぱりここがホッとします。
- [2022/09/29 15:25]
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久しぶりの観光視察のアテンド
週末に体調を崩していましたが、火曜あたりから回復しました。けっこう高い熱が出たので、熱が下がった後もだるさが続きました。大輔さんも週末から具合が悪くなって、周りもそういう人が多いので、どうも流行り風邪みたいです。共通の特徴としては、前触れもなくいきなり熱や悪寒が出ること。さっきまで元気だったのに?!と自分でも驚きます。
一昨日9月21日はアルメニアの独立記念日でした。旧ソ連から独立して今年は31周年。しかし、アゼルバイジャンとの軍事衝突が起こり、多くの犠牲が出たばかりなので、華やかな記念行事などは行われませんでした。その軍事衝突では、207人のアルメニア人兵士と市民3人が亡くなったそうです。たった2日の戦闘で、それだけの犠牲が出たとは…心が痛みます。
先日プーチン大統領が予備兵の部分動員を発令しましたが、徴兵逃れのため、その翌日から多くのロシア人が国外へ脱出しています。もちろんアルメニアにも来ていて、普段は200ドルぐらいの航空券が10倍以上に跳ね上がっているそうです。またロシア人が増えますね。そして、不動産価格がまた急騰するかもしれません…
日本で10月から個人旅行者の受け入れ開始など水際対策が大幅に緩和されると思ったら、なんとマスクの着用などを拒否した人をホテル側が宿泊拒否できるという悪法が検討されているとのこと…もうアホすぎて、呆れるのを通り越して笑ってしまいました。日本に行こうと考えている外国人が、もしこのニュース見たら、「日本って大丈夫???」と驚くでしょうね。実は世界に向けたジョークだったと思いたいです。
さて、先週は3日間、日本からの訪問者のアテンドをしました。大輔さんの知り合いの城戸さんという方で、アルメニアは初訪問。私もかなり久しぶりのアテンドの仕事でした。城戸さんは、長く勤めた会社を退職して、地方開発など様々なことに挑戦するため起業されたばかり。いつも大輔さんに、「アルメニアに来てください」と誘われていたらしく、今回来てくださいました。
初日は、大輔さんと空港に迎えに行き、そのままエチミアジンに向かいました。エチミアジン大聖堂敷地内にあるアルメニア料理のレストランで昼食を取ってから、大聖堂や宝物館、ガヤネ教会やリプシメ教会、またズヴァルトノツ遺跡を観光しました。すべて世界遺産に登録されています。残念ながら、大聖堂の修復はまだ終わっておらず(長すぎ…)、内部は入れませんでしたが、着いて早々、アルメニアの古い歴史や素晴らしい文化遺産に城戸さんは感心されていました。
その後にエレバン中心部のホテルにお連れして、近くのレストランで夕食を取りましたが、城戸さんはアルメニア料理を気に入ったみたいで、特に野菜の美味しさに驚いていました。味が濃くて美味しいんですよね。アルメニアのビールやワインも美味しそうに味わっていました。初日から楽しく過ごされたようでよかったです。
到着後、エチミアジン大聖堂敷地内にあるレストランで食事
アルメニア正教総本山のエチミアジン大聖堂。改修中で中は見学できませんでした。
宝物館にあるノアの方舟の木片
ガヤネ教会。ちょうど結婚式が行われていました。
リプシメ教会。当時の面影が現存している貴重な教会です。
ズヴァルトノツ遺跡。当時は高さ45mの立派な大聖堂でした。
2日目も朝から晴れ渡って、最高の観光日和!まず世界遺産のガルニ神殿とゲハルド修道院に向かいました。途中チャレンツアーチという場所に立ち寄ると、とても美しいアララト山の姿を見ることができました。その雄大な風景に城戸さんも大輔さんも感動していました。
それからガルニ神殿を見学し、その渓谷を下りてストーン・シンフォニーと呼ばれる場所も訪問しました。マグマ等が冷却凝固したり、地殻変動などによって玄武岩が六角形の柱状になった光景が見られる場所です。この柱状節理という自然現象で有名な所は、アメリカのデビルズタワー、沖縄・奥武島の畳石などがありますが、アルメニアのストーン・シンフォニーもすごいです。大輔さんも今回が初訪問で、「こんな場所があったんだ!」とその大自然の迫力に驚いていました。
ゲハルド修道院では、見所の一枚岩を掘り抜いて作った岩窟教会に、城戸さんは感心しきりでした。ちょうどその岩窟教会の礼拝所で、女性4人のコーラスグループが賛美歌を歌っていました。透き通るような美しい歌声に感動すると同時に、その物悲しい旋律には、最近起こった軍事衝突のことが思い出されて、胸が締め付けられるような思いがしました。
そこからセヴァン湖に向かいました。右手に真っ青で広大な湖が見えてくると、城戸さんが「オーッ!すごい!」と声を上げました。湖の辺りのレストランで魚料理を食べました。そこは、大輔さんが5年前に初めてアルメニアに来た時にも一緒に食事した場所です。その思い出の場所で、美味しくシグという淡水魚のBBQを頂きました。天気がよくて、標高が1900mあるセヴァン湖もそれほど寒くありませんでした。
そして、湖の半島にあるセヴァン修道院を見学しました。半島の丘を登ると、美しい湖の景色を一望できます。頭上には青空が広がって、とても気持ちがよかったです。修道院を見学してから、丘の上を散策しました。その辺りは観光地で平和そのものですが、最近の軍事衝突の一部はセヴァン湖の北東部でも発生しました。「ずっと向こうの方角の地域ですね」と、城戸さんに説明しました。
エレバンに戻ってから、いろはセンターを訪問して、授業を見学したり、日本語を学ぶ学生たちと交流しました。一生懸命に日本語で話そうとし、日本への憧れを語る学生たちの交流は、城戸さんにとって楽しいひと時になったようです。けっこう盛りだくさんの一日でしたが、城戸さんと大輔さんと楽しく夕食し、最後はコニャックが飲めるバーで語り合いながら過ごしました。
アララト山の素晴らしい景観が見渡せるチャレンツアーチ
城戸さんにアララト山の美しい雄姿を見せられてよかったです
アルメニアに唯一残る異教の神殿ガルニ
気持ちの良い天気で、思わず寝転がる大輔さん
ガルニ神殿の周辺に広がるストーンシンフォニー
ゲハルド修道院では、聖歌隊の美しい歌を聞くことができました
ゲハルドは槍の意味で、今はエチミアジンに保管されているキリストを刺した槍が保管されていることに由来しています
セバン湖のほとりで魚料理を食べました
セバン修道院から広がる雄大な景色
いろはセンターで学生たちと交流しました
3日目は、午前中にアルメニア人虐殺記念碑を訪問しました。その日も雲ひとつない快晴で、アララト山がくっきりと雄姿を見せてくれました。虐殺博物館で、オスマン帝国による大虐殺の歴史や資料を見学しました。悲しくなる場所ですが、日本ではあまり知られていない歴史的悲劇について学べる貴重な場所です。鎮魂の火が絶やさず燃やされている慰霊碑には、その日も花が献げられていました。アルメニア人の苦難の歴史に想いを馳せながら、真の平和がこの国に訪れるように祈りました。
その後は、大輔さんが経営する会社のアルメニア支社の新オフィスにお邪魔しました。私は大輔さんが到着した日に一緒に訪問していますが、「エッ?これがオフィス?!」と誰も驚く大きく立派な一軒家で、100人に達した従業員が働けるようにと先月引っ越したそうです。その日が初訪問の城戸さんもやっぱり驚いていました。まだ新オフィスに出社している人は少ないですが、アルメニアに進出してからたった3年で、こんなに成長しているのはすごいですね。その新オフィスに、トビリシから出張中のJICA事務所の方々も訪問されて、みんなで一緒に昼食を取りました。
ちなみに、そのアルメニア支社は、多言語によるマンガやゲームの翻訳、カスタマーサポートなどの事業を行っているので、興味のある方は下のリンク(英語のみ)をご覧ください。
CCC International LLC
午後は、アルメニアのゲーム会社とTUMOセンターを訪問しました。大輔さんの会社が翻訳の仕事を請け負っている Rockbite Gamesという企業で、Deep Townというゲームが大ヒットしたそうです。アルメニア人の富豪夫妻がすべて出資して創設されたTUMOには、城戸さんはかなり驚いていました。12〜18歳の子供なら誰でも、最先端のIT教育を完全無料で受けれますからね。この画期的な活動は海外にも拡大していて、すでにロシアや中東、ヨーロッパに分校がありますが。来年はロサンゼルスにも開校するそうです。
最後は、カスカード展望台に上って、夕陽に染まるエレバンの街並みとアララト山の素晴らしい景色を堪能しました。実は、私はこの直前にいきなり発熱して、かなり体はだるかったですが、その美しい景色は疲れを忘れさせるほどでした。城戸さんも大輔さんも見惚れていました。ずっと天気に恵まれ、アララト山の雄姿を毎日見ることができた城戸さんはラッキーだったと思います。
私はなんとか夕食までお付き合いして帰宅しました。家で熱を計ってみると、なんと38.8度!薬を飲んですぐ寝ましたが、翌朝もまだ熱があって、城戸さんのお見送りはできませんでした。申し訳ですが、あの体調ではさすがに無理…大輔さんが見送ってくれましたが、その直後に大輔さんも急に体調を崩してしまいました。
お見送りに行けなかったのは残念でしたが、城戸さんはとても楽しんでくれたみたいで、「本当に来てよかった!」と仰っていました。日本で「アルメニアに行く」と言っても、「どこそれ?」と周りは全く分からなかったそうです。もちろんそれが普通で、アルメニアはまだまだ日本でマイナーな未知の国です。渡航する人なんてほとんどいません。
そんなアルメニアを実際に訪れ、知られていない国だけに、きっと多くの発見や驚き、そして感動があったと思います。ここでの体験を日本で周りに話して、少しでもアルメニアの魅力を伝えていただけたら嬉しいです。今回は本当に来て下さってありがとうございました。呼んでくれた大輔さんにも感謝です。
その大輔さんですが、2週間の滞在を終えて、今日のフライトでフィリピンに向かいました。今回は短かったし、途中お互いに体調も崩して、それほど多くの時間を共にできませんでしたが、ロリ地方を一緒に旅行したり、城戸さんが滞在中もずっと一緒でした。時々レストランで飲んだり食べたりして語り合いました。今回もとても楽しかったです。大輔さん、来てくれてありがとう!また会いましょう!
実は、私も今日アルメニアを発ちます。仕事でお隣ジョージアに行くのです。2年半ぶりのジョージア、楽しみです。初の空路入国というのも少しワクワクしています。その時のことはまたブログでお伝えします。
アルメニア人虐殺記念碑からアララト山がきれいに見えました。ずっと天気に恵まれました。
悲惨な虐殺の歴史を伝える記念碑。火が絶やさず燃やされています。
大輔さんの会社のアルメニアオフィスを訪問。JICAの出張者の方々とお会いしました。
アルメニアのゲーム会社を訪問
最先端のIT教育が無料で受けれるTUMOセンターを見学
カスカード展望台から夕陽に染まるアララト山とエレバンの街並みを眺めました
この時はすでに体調が悪かったですが、この景観には見惚れてしまいました
城戸さんと最後の夕食会。とても楽しかったです!ありがとうございました!
大輔さんも今日フィリピンに飛び立っていきました。来てくれてありがとう!楽しかったです!
ジョージアに出張に行くので3日間、子供たちと会えません…元気でいい子でいてね!
- [2022/09/23 17:53]
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大輔さんとロリ地方に一泊旅行
水曜から3日間、日本から来られた方のアテンドで忙しくしていました。かなり久しぶりのアテンドの仕事でしたが、無事に終えることができました。天気にも恵まれて、楽しい時間を過ごすことができました。ただ、私は最終日の夕方ごろに急に発熱して、昨日はずっと寝込んでいました。今日になって熱は下がりましたが、まだ体の節々が痛くてだるい…
13日と14日に起こったアルメニアとアゼルバイジャンとの軍事衝突ですが、ロシアの仲介で停戦合意がなされてからは、特に戦闘は起こっていません。しかし、この衝突によって、アルメニア側の兵士135人が亡くなり、10人以上が捕虜としてアゼルバイジャン軍に拘束されたそうです。多くの尊い命が失われたことにが胸が痛みます。CSTOの使節団がアルメニアに派遣されるなど、国際社会も解決に向けた対応に動いており、事態が早く収束してほしいと願います。
ちなみに、昨日からペロシ米下院議長がアルメニアを訪問しています。今回の軍事衝突を受けての緊急訪問ですが、先月の台湾訪問と同じく、退任前の個人的な政治パフォーマンスとしか思えません。というか、アルメニアとアゼルバイジャンとの問題に対して、米国はいつも口先ばかりでほとんど何もしないので、ペロシ氏の訪問は状況を無駄に混乱させるだけです。
さて、前回投稿を見合わせた、北部ロリ地方の旅行についてご紹介したいと思います。先週末、大輔さんとロリ地方に一泊旅行に行ってきました。私は先月も含めて何回も行ったことがありますが、大輔さんは初訪問。今回もティグランが運転を務めてくれました。土曜は朝から青空が広がる絶好の旅行日和。気分よく出発して、野郎3人旅の始まりです!
エレバンを出てしばらく走ると、丘の上に立つ大きな十字架が見えてきたので、そこに立ち寄りました。キリスト教が国教になってから1700周年の2001年に建てられた十字架で、大小さまざまな十字架で作られています。そこからは、アララト山もきれいに見えて、大輔さんも久々のアルメニアの雄大な風景に見惚れていました。
その後に昼食を取ってから、ロリ地方のホロマイル修道院を訪問しました。7世紀に基礎が作られた崖っ淵に建つ古い教会で、その裏にまわると、深い谷底を見下ろす風光明媚な場所に出ます。ここも何度か訪れたことがありますが、その雄大な渓谷の風景には、いつも息を呑みます。その渓谷の下を覗いてみると、断崖絶壁にへばり付くように建つ小さな教会があります。どうやって建てたのかと驚かされます。大輔さんも、「ここはすごい!」と感動していました。
大輔さんと十字架の前で記念撮影
そこからは遠くにアララト山が見えました
ホロマイル修道院裏にある渓谷
崖の端っこに立ってみました
その渓谷の崖に張り付くように建つ教会
それから、アルドゥヴィ村を訪問して、アルドゥヴィ修道院と「蛇のへそ」と呼ばれる場所を見学しました。アルドゥヴィ修道院は8世紀の古い教会で、独特の美しいハチュカル(十字架石)が残されています。過去にも訪問した時は、いつも教会の扉が閉まっていましたが、今回は開いていたので、神聖な雰囲気に満ちた教会内部を見ることができました。
「蛇のへそ」は、岩山の一つだけ色の違う石の層がくねくね曲がっていて、まるで蛇のような形をしています。伝説によると、大蛇がアルドゥヴィ村を襲った際に、当時の大司教が村を守るために7人の修道士を送りましたが、彼らはみな大蛇に殺されてしまいました。そのため、大司教が祈って、大蛇を石に変え、その石からは聖水が流れるようになったそうです。実際に、そのおへそ辺りの場所から湧き水が流れていて、私と大輔さんもその聖水を汲みました。
歴史あるアルドゥヴィ修道院
神聖な雰囲気が漂う教会内部
「蛇のへそ」と呼ばれる石。一つだけ色の違う断層があります。
私も大輔さんも聖水を汲みました
その後は、6世紀に基礎が作られたというオズン教会を見学しました。この歴史ある教会は、美しいアーチと鐘楼跡が有名です。内部も荘厳な雰囲気で、心が洗われるような気持ちになります。教会で働く女性が、内部の壁に飾られたマリアとキリストの石像を見せて、これは5世紀のものだと説明してくれました。そんな古いものなの?!と驚きましたが、長い歴史を持つアルメニアだったら十分あり得ますね。
それから、宿泊先のハグパット村に行って、世界遺産にも登録されているハグパット修道院を見学しました。10世紀から13世紀にかけて建設された修道院で、最盛期には500人もの修道士がいたそうです。聖堂や教会、鐘楼などがほぼ完全な状態で残り、アルメニア人映画監督パラジャーノフの「ざくろの色」の舞台にもなりました。その一部の壁の端から端まで落ちずに歩き切ると夢が叶うと言われていて、大輔さんが何度か挑戦しました。結局、最後まで渡り切れませんでしたが…
立派なオズン教会
教会のアーチが美しい
立派な鐘楼跡も残っています
礼拝堂で祈る女性
5世紀のものと言われるマリアとキリスト像
世界遺産のハグパット修道院
渡り切ると夢が叶うと言われる壁に挑戦する大輔さん
ホテルで夕食を取ってから、タクシーで COAF SMART センターという民間施設を訪問しました。ここはアルメニア系アメリカ人の富豪が運営するNGOが設立したもので、周辺の村々の子供たちのために、無料でITや言語、音楽や絵画などの教育を行なっています。過去に日本人の方を連れて行ったことがあり、その素晴らしい活動に感動したのを覚えています。大輔さんも、モダンで立派なセンター内部、すべて無償で活動を行っていることに驚いていました。
なぜ夜にも関わらず、そこに行ったかというと、たまたまSTARMUSという宇宙と音楽の祭典の一部が開催されているという情報を聞いたからです。実際に行ってみると、ライトアップされて、コンサートが催されていました。多くの人たちが集まっていて、みんな盛り上がっていました。ちょうど着いた時は、Dogmaというアルメニアのバンドが出演していました。民族音楽とハードロックを融合させたような曲と演奏はとても気に入りました。
ホテルに帰ってから、大輔さんとティグランと飲み直しました。私がギターを弾いて歌ったり、いろいろ語り合ったりと、夜遅くまで楽しい時間を過ごしました。やっぱり野郎だけの旅って最高!
COAFで行われていたコンサート。Dogmaというバンドはすごくよかったです。
大輔さんはCOAF初訪問。無償で行われている素晴らしい活動に驚いていました。
ホテルに戻ってからは、3人で飲んで歌って楽しい時間を過ごしました。
翌日は、ハグパット村に住む20年来の友人のアショットさんのお宅を訪問しました。先月会ったばかりですが、いつものように再会をすごく喜んでくれました。初対面の大輔さんのことも心からもてなしてくれて、一緒に食べたり飲んだりして、今回も楽しい時間を過ごすことができました。彼とは会うたびに、本当に素晴らしい友人を持ったなと思います。
それから、昨日は閉まっていて入れなかったハグパット修道院の内部を見学しました。ちょうど日曜ミサをやっていて、とても荘厳な雰囲気でした。ハグパット村に友人がいることもあって、この教会には何度も来ていますが、私は大好きで、来るたびに心洗われるような気持ちになります。
そこから更に北に向かって、ジョージア国境近くの岩山の上に建つアフタラ教会を訪問しました。ここは10世紀に造られた要塞でもあり、その名残で門も堅固な壁でできています。立派な教会の中に入ると、色鮮やかなフレスコ画を見ることができます。あまり装飾のないアルメニアの教会では珍しいですが、ジョージアに近いため、ジョージアの様式が混在するスタイルになっているのです。過去に一度見学したことがありますが、今回もその美しさに思わずため息が出ました。
20年来の友人アショットさんと再会。ティグランの息子さんのゴッドファーザーでもあります。
ハグパット修道院では日曜ミサが行われていました
要塞跡の壁から望むアフタラ修道院
ここは教会内部の美しいフレスコ画が有名です
アルメニアの教会では珍しいスタイルです
そして、最後に世界遺産にも登録されているサナヒン修道院を見学しました。ひっそりと林の中に隠れるように建つ立派な中世の教会です。10世紀頃にアルメニアの宗教文化の中心で、最盛期には500人もの修道士が学んでいたそうです。ちなみに、名前のサナヒンは、「それより古い」という意味。それというのはハグパット修道院のことで、実際にサナヒン修道院の方が早く建造されました。ここも雰囲気でよくて、私の大好きな場所です。
サナヒンからは、セバン湖の美しい景色を眺めながらエレバンに戻りました。大輔さんにとって初めてのロリ訪問となる一泊二日の旅行が終わりました。アルメニアの歴史と文化、そして大自然に触れる素晴らしい旅になったと思います。ティグランとの野郎三人で過ごした時間も、本当に楽しかったです。大輔さんもすごく喜んでくれて、私も嬉しいです。また一緒にどこかに出かけたいと思います。
世界遺産のサナヒン修道院
結婚するカップルの写真撮影が行われていました
教会内部も荘厳な雰囲気に満ちています
美しいレリーフが数多く残されています
- [2022/09/18 17:21]
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アルメニアとアゼルバイジャンが軍事衝突
今日は、先週末にロリ地方を旅行した時のことをお伝えしようと思ったのですが、深刻なニュースがあったので、急遽そちらを記事にすることにしました。
日本でも報道されていたように、昨日深夜にアルメニアとアゼルバイジャンとの間で激しい軍事衝突が発生しました。アルメニア本土の国境で起こった衝突で、国境近くの村や街も砲撃を受けたそうです。政府発表によると、少なくとも49人の兵士が亡くなり、3人の市民が負傷したとのこと…首都のエレバンなどは紛争地から離れているため、今日も至って普通でした。
アルメニア本土が攻撃を受けたということで、アルメニア政府は、CSTO(集団安全保障条約機構)に正式に支援を要請しました。また、パシニャン首相は、プーチン大統領らとも電話で会談を行いました。その後も一部の地域で衝突が続いていましたが、ロシアの仲介によって、両国は停戦合意に達したようです。とはいえ、前線付近は今も緊迫したままで、予断を許しません。
2年前の戦争後も、両国は険悪な関係にあり、カラバフ地域で小規模の戦闘が発生することはありました。しかし、今回はアルメニア本土の国境線だったため、大規模な争いに発展するのでは…と懸念されました。個人的には、様々なファクトを見る限り、そこまでの事態になる可能性は低いと思っています。
しかし、今回はかなり深刻な衝突だったので、2年前の戦争の記憶が蘇り、最悪の展開もあるかも…と少し不安になりました。憎悪と対立の連鎖に終わりが見えず、暗澹たる気持ちになりました。犠牲者が出たことに深い悲しみを感じました。そして、戦争ほど悲惨なものはなく、平和ほど尊いものはないと改めて痛感しました。
いつものように両国とも、相手が先に挑発行為を行ったと非難し合っているので、アルメニア人は自国の正当性を信じ、愛国心とアゼルバイジャンへの敵対心が高揚しています。アゼルバイジャン側も同じ状況でしょう。しかし、2年前の戦争の経験から、私はマスコミの報道、特に有事の際の一方的な情報を鵜呑みにしないようにしています。「そうに違いない」と先入観を持ったり、盲信することは危険だからです。
真実が分からない限りは、なるべく感情的にならず、冷静に見守るように努めたいと思います。とにかく、また悲惨な争いが起こり、多くの尊い命が奪われてしまいました…停戦合意が守られ、一刻も早く事態が収束するよう祈っています。
- [2022/09/13 22:08]
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大輔さん訪問と子供たちのピアノレッスン
天気予報どおり、今週から気温が下がって、朝は少し肌寒いぐらい。いきなり涼しくなって過ごしやすいです。日もどんどん短くなって、今は8時頃には暗くなります。
昨日エリザベス女王逝去のニュースがありました。享年96歳。在位70年とイギリス史上最長在位の君主でした。私にとっては、ビートルズやセックス・ピストルズの曲のテーマになった人物という印象が強いです。特にピストルズの名曲「God Save The Queen」は大好きで、発表された当時はBBCで放送禁止になったそうです。
日本では、安倍元首相の国葬費が、諸々の費用を合わせると16億円を超えると発表されて問題になっているようです。当初2億5千万円と発表されていたから、その6倍以上ですね。まあ、警備費など全て考えれば、結果的に10億円以上になるだろうと思っていましたが、金額云々よりも、国葬を行うこと自体が全く理解できませんけどね。
今年は日本とアルメニアの外交関係樹立30周年で、正式に樹立されたのは一昨日の9月7日。まあ、アルメニアが旧ソ連から独立したのが30年前なので、今年は多くの国々と外交関係を樹立して30周年となります。特にそれを祝ってイベントが開催されたりなどはしていませんが、パシニャン首相が岸田首相に祝電を送りました。
そのパシニャン首相は、今週ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムに出席しました。そこでプーチン大統領とも会談し、ナゴルノ=カラバフ問題やトルコとの国交正常化交渉、この地域の経済ブロック解除などについて話し合いました。また、アルメニアは少なくとも7%の経済成長を目指すと同フォーラムで表明しましたが、世界的な景気後退が懸念されている中、この目標が達成できたら驚きですね。
そういえば、先週はあのルイス・フィーゴがアルメニアを訪問していました。彼の名前をネットで調べると、バルセロナからレアル・マドリードに電撃移籍したせいで、「裏切り者」という言葉がすぐ出てくるみたいですが、本当に素晴らしい選手でした。彼は DigitainというアルメニアのIT企業のブランド大使を務めており、その企業とのイベントのために今回アルメニアを訪問したそうです。ブライアン・メイも来ていたし、今月は著名人の訪問ラッシュですね。
しかし、私にとって、大切な友人が訪問してくれることが何より嬉しいです。今日はそんな再会がありました。というのも、フィリピンから友人の大輔さんがアルメニアを来てくれたのです。昨年の夏に奥さんとアルメニアに2か月滞在したから、約1年ぶりの再会。今回は2週間の滞在で、奥さんは仕事で忙しいため、一人で来ています。
空港に迎えに行ってから、再会を祝って早速ビールで乾杯しました。私がフィリピンに住んでいたのは彼此14年前なのに、今もこうやって時々会って飲めるなんて嬉しい限り。大輔さんの希望で、明日・明後日は、北部のロリ地方を一緒に旅行する予定です。私は先月ロリ地方に家族と行ったばかりですが、大輔さんは今回初訪問となります。楽しい思い出をたくさん作って、また当ブログでお伝えします。
1年ぶりの再会を祝って乾杯!
さて、先月末からアレンがピアノを習い始めたと書きましたが、その2回目のレッスンが一昨日ありました。今月は妻が通訳の仕事で忙しいため、私が子供たちを連れて行きました。やっぱりレオも習いたいと言い出したので、レオも参加しました。子供が楽しんで学べるように教えるスタイルだから、レオも気に入ったみたいだし、いきなり簡単な曲を弾けるようになっていました。すごい!
もっと驚いたのは、アレンが「エリーゼのために」を少し弾けるようになったこと!もちろん左手で伴奏を弾いたりなんてできませんが、冒頭の有名な旋律をゆっくり弾けるようになりました。まだ2回目のレッスンなのに、この進歩には本当に驚きました。妻が仕事から帰ってくると、アレンは嬉しそうに駆け寄って、「ママー!すごいの弾けるようになった!」と言いました。
実際にアレンが弾いてみせると、妻はすごく驚いて喜んでいました。妻も子供の時にピアノを習っていたから、こんなにすぐ上達するなんて信じられないみたいです。私もピアノを弾きますが、楽譜が全く読めないし、独学だし、基本コードしか弾けないので、旋律を奏でることはほとんどできません。だから、アレンには頑張って、「エリーゼのために」をちゃんと弾けるようになってほしいですね。
ただ、アレンは飽きやすい性格なので、今は楽しそうにしていても、どこまで根気が続くか心配…でも、先生もアレンとレオのことをすごく気に入ってくれているし、毎回こうやって何か達成感があれば続けてくれるかもしれません。もしアレンが続けたら、レオも頑張るはずです。酒と旅と音楽は、私の人生には欠かせない大切な三要素。歌や楽器ができれば人生が豊かになるので、息子たちも音楽が好きになって、何が楽器が弾けるようになってほしいと思います。
先生と一緒にピアノを弾くアレン
レオもピアノを習い始めました。
「エリーゼのために」の冒頭のフレーズを弾くアレン。まだ2回目のレッスンなのにすごい!
兄弟で仲良く習ったばかりの曲をピアノ合奏しています。頑張って続けてほしいなあー
そして、もうすぐレオも6歳になるので、日本語の文字の勉強を開始しました。アレンと同じく、自然にひらがなとカタカナを覚えてしまったから読むことはできるんですが、書くのは上手にできません。なので、まずはひらがなを書く練習をしています。書き順が正しくなかったり、きれいに書けなかったりと問題点は多いですね…でも、努力家のレオだから、きっと頑張ってくれるでしょう。
アレンも1年生と2年生の漢字の復習をすることにしました。長いこと勉強していないので、かなり忘れてしまったかなと心配しましたが、けっこうスラスラ読めるからビックリ!教えているときは、とにかく気まぐれで集中しないから、大して学んでいないかのように見えるんですけどね。我が子ながら、アレンってとても不思議な子供です。
とはいえ、二人とも学校でアルメニア語と英語、加えてロシア語も勉強しているので、あまり負担にならない程度に教えるつもりです。日本語の文字は難しいから、きっちり真面目にやろうとするとお互いに大変…いずれ本人たちが興味を持って自ら勉強するようになるかもしれないし、そのきっかけを作れたらという感じで焦らずゆっくりやっていこうと思います。
ひらがなを書く練習をするレオ。まだ上手に書けませんが、地道に頑張ろう!
漢字の復習をするアレン。意外に覚えていて驚きました。気まぐれで天才肌のアレン、負けず嫌いで努力家のレオと分かりやすく個性が違う兄弟です。
性格は全く違うけど、めっちゃ仲の良い兄弟です
アレンのために、日本の小学校3年生の教科書が届いたので、大使館で受け取ってきました。
我が家はカニも飼っているのですが、昨日脱皮していました。本体かと見間違えるほどきれいな脱皮殻。自然ってすごい!
- [2022/09/09 22:18]
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