ソチで3か国首脳会談が開催 

今週は雨がちな不安定な天気で、今日は朝から霧が出て、外は真っ白です。寒々しい光景ですが、あまり気温は低くありません。今年は暖冬か?と思いきや、天気予報を見ると、来週末から一気に冷え込むようです…

オミクロンという新たなコロナ変異株の出現に世界が動揺しています。感染力が高く、ワクチンを完全接種していても感染する可能性があるらしく、各国でロックダウンや入国制限など厳しい抑制政策が導入され始めています。製薬会社は、新たなワクチンの開発などを進めているとのこと…ハァ〜終わりのないイタチごっこが続いていますね。

ウィルスは、ワクチンなどで人間が抗体を持つと、それに耐性のある変異したものが生き残りやすくなります。つまり、ワクチン接種を進めれば進めるほど、ウィルスが変異しやすい環境ができてしまうのであって、「パンデミックを終わらせるためにワクチン接種が有効」というのは矛盾しています。それに、変異を繰り返すと感染力は高くなりますが、基本的に弱毒化するので、過剰に反応する必要はありません。

今月は仕事が忙しくて、夜中や土日も働いたり、ブログの更新も滞りそうになりましたが、昨日やっと仕事がひと段落したので、自分へのご褒美として家族と夕食に出かけました。キッズスペースのある中華レストランで、料理やお酒を楽しみました。ちょっと食べ過ぎたけど美味しかった!来週末からまた忙しくなりそうなので、今のうちに少しでものんびりしておかないと…

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ヒカリセンターで借りたドラえもんの漫画を読むアレンとレオ

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仕事がひと段落したので家族で夕食!妻も三島由紀夫の翻訳があと少しなので、終わったらまた食事に行きたいと思います。

さて、一昨日ロシアのソチで、プーチン大統領とアルメニア・アゼルバイジャンの両首脳による会談が行われました。議題はもちろんカラバフ問題。停戦合意から1年が経ちましたが、アゼルバイジャンに拘束されたアルメニア人捕虜の問題は未解決のままで、最近は国境線で激しい衝突が発生するなど緊張が高まっていました。

その状況を緩和すべく開かれた三者会談では、様々な問題について話し合われたようで、その後の共同記者会見で会談内容が発表されました。プーチン大統領は、主に以下の3つの大きな成果があったと強調しました。

1. アルメニアとアゼルバイジャンの国境線画定を協議する枠組みを年内に作ることで合意
2. 拘束されている捕虜の問題を含む人道的な課題において大きな進展
3. 当該地域の経済・輸送ブロックを解除し、経済関係を発展させることで合意


あまり具体的な内容が示されていないので、実際にどこまでの進展があったかは分かりませんが、現状を前進または変化させるための話し合いであったことは確かです。昨年の戦争が勃発するまでの過去の会談は、お互いに譲歩せず平行線のままで終わり、「領土問題を平和的に解決するために今後も交渉を続けていく」というコピペ声明が発表されて全く進展なし…というのが繰り返されるだけでした。

領土問題を当時の現状で維持したいアルメニアにとっては好都合だったかもしれませんが、そんな形だけの交渉がいつまでも続けられる訳がありません。ただ解決を先延ばししているだけですからね。そういう意味で、昨年の戦争は、地下に溜まったマグマが一気に爆発したかのようにも思えます。結局は遅かれ早かれ起こったことなのでしょう。

今回の会談の合意内容もどこまで実行されるのか、いつ実現するのかは分かりません。しかし、少なくともこの地域に起こった大きな変化を踏まえ、将来に向けて何をすべきかについて話し合われたことは歓迎したいと思います。過去に執着せず、状況を膠着化させない交渉が今後も続けられるべきです。

プーチン大統領は、今回の会談で合意した内容が実施され、両国の関係正常化が進むことを願い、平和と繁栄の象徴であるオリーブの金の枝を両首脳に贈りました。来月15日には、ブリュッセルで昨年の戦争以来初となる両国首脳会談が開催される予定ですが、少しでも平和に向けた前向きな話し合いが行われることを願います。

アザット貯水池とヒンカリ 

けっこう寒くなりましたが、天気がいいから、まだ晩秋の気候です。今年は暖冬かもしれません。まあ、暖冬は嬉しいですけど、お正月休みにスキーに行きたいので雪が降らないのは困ります…って、さすがにそれは都合よすぎますよね

前回の記事に書いたように、南東部の国境線でアルメニアとアゼルバイジャンの激しい武力衝突がありましたが、その後は落ち着いた状況が続いています。しかし、昨日は北東部の国境線付近で銃撃戦があり、19歳のアルメニア人兵士が亡くなりました…また尊い若い命が犠牲になりました。

この最近の緊迫した状況を受け、今月26日にソチで、両国首脳とロシアのプーチン大統領による三者会談が行われることになりました。また、来月15日に両国の首脳会談がブリュッセルで実施される予定です。交渉によって、地域の安定や平和を模索するムードができてほしいと願います。

アルメニアのコロナ感染者数は減少していますが、欧州では感染が拡大しているため、規制を強化する傾向にあります。オーストリアが全面ロックダウンを実施し、来年2月からはワクチン接種を義務づける方針を発表しました。同国のワクチン接種率は64%とEUの平均をやや下回っているそうです…って、これは明らかに集団免疫と呼べる水準!しかも、未接種者の何割かも自然免疫を獲得しているから足せば8割近い!なのに義務化って意味が分かりません。

さて、日曜は、小さい子供さんのいるご家族たちとアザット貯水池に出かけました。アザット川を堰き止めて作られた貯水池で、風光明媚な場所として知られています。私も家族も初めての訪問でした。全部で6家族が参加したので、3台の車で移動しました。

エレバンを出て30分ぐらい舗装された道を走り、最後の10分ほどはオフロード。揺られながら走ると、どんどん貯水池が見えてきました。人里離れた辺境といった雰囲気でしたが、意外に釣り目的で来ているアルメニア人たちがいました。わざわざこんな所まで来るんだから、何か大物でも釣れるんでしょうか。結局その釣りの成果は見ていません。

風光明媚な場所として知られているだけあって、美しい湖と山の景色が広がっていました。標高が千メートル以上なので少し寒かったですが、空気も澄んでいて気持ちいい!そんなことには興味のない子供たちは、貯水池に石を投げて遊び始めました。私も小さい頃はそうだったけど、ただ石を投げ入れるだけで面白いんですよね。

広々した場所なので、私も久々に水切り遊びに挑戦してみました。薄い石を見つけて、アンダースローで回転をかけて投げると、ピュンピュンと3、4回水面を跳ねていきます。それを見て、息子たちが大喜び!真似してやろうとしますが、上手く水平に投げることができないからポチャンと沈むだけ…でも、アレンが適当に投げた石が跳ねる時があって驚きました。

みんなで丘の上に登ったり、湖畔で飲んだり食べたりして楽しい時間を過ごしました。その後は、エレバンに戻る途中にあるレストランでヒンカリを食べました。水餃子のようなジョージア料理で、アルメニアでもよく食べられています。私も子供たちも大好きです。

写真を撮り忘れましたが、その日に寄ったレストランのは本当に美味しかった!茹でたヒンカリも揚げたヒンカリも美味しくて、ちょっと食べすぎました…とにかく、自然と食事を満喫する楽しい一日となりました。

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アザット貯水池。釣りをしに来ている地元民たちがいました。

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久々に水切りに挑戦!楽しかったけど、翌日は肩が痛かった…ちなみに、水切りの世界記録は88回!一体どうやって?!

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アレンと一緒に丘の頂上に一番乗り!

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丘の上からも美しい風景が広がっていました。

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遠くまで広がる貯水池と山の絶景!

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その絶景をバックに記念撮影

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この日は大人10人、子供8人というメンバーでした。

アルメニアとアゼルバイジャンが武力衝突 

澄んだ青空が広がる好天が続いています。でも、朝晩は0℃前後まで気温が下がるので、子供たちを学校に連れて行く時は寒いです。これからどんどん冷え込んでいくでしょう。

ベラルーシからポーランド国境に移民や難民が殺到して問題になっています。彼らの多くは、ポーランドを経由してドイツなどに入ろうとしていますが、ポーランド政府は越境を阻止しています。EUからの制裁の報復として移民らを利用しているとベラルーシが非難されていますが、受け入れようとしないポーランドも非難されています。しかし、誰より可哀想なのは過酷な環境に置かれている移民や難民…彼らはただ安寧を求めているだけですからね。

さて、アルメニアの国境でも大きな問題が起こりました。日本でも報道されていたようですが、昨日アルメニアとアゼルバイジャンとの武力衝突が発生したのです。場所はアルメニア東部の国境線で、セヴという湖がある山岳地帯です。装甲車や迫撃砲なども使用される激しい衝突だったようで、双方に甚大な被害が出ています。

緊迫した状況が半日続きましたが、ロシアの仲介によって戦闘は停止し、現在も前線の状況は落ち着いているとのこと。しかし、再び衝突が発生する可能性は否めないため、依然として予断は許せません。ただ、係争地に平和維持軍などを駐留させているロシアが仲介・監視を行っているので、本格的な戦争に発展することはなさそうです。

それでも、昨年の停戦合意以降では、最も深刻な事態と言えます。最近は、アゼルバイジャン軍が一般のアルメニア市民を攻撃して死傷させたり、その報復としてアルメニア人がアゼルバイジャンの検問所に爆発物を投げ込むなどの事件が、カラバフ地域で発生していました。ロシア平和維持軍が事態の収束を図りましたが、緊張が高まっていたことは確かです。

アルメニア防衛省によると、昨日の戦闘でアルメニア側は、兵士1名が死亡、13名がアゼルバイジャン軍に拘束されたそうです。また、24名が消息不明とのこと…そのほとんどは20歳満たない若者でしょう。アゼルバイジャン軍には、より多くの人的損失が出ているという情報もありますが、いずれにしても人が憎しみ合い、殺し合うという悲劇がまた起こってしまいました。

戦闘のきっかけについては、いつもの如く主張が全く異なり、「向こうが先に仕掛けた!」とお互いに非難の応酬です。どちらの国民の多くも、「もちろん向こうが悪いに決まっている」と考えており、憎悪や対立感情が高まっています。昨年の戦争以来、私はどちらの主張も鵜呑みにしないようにしているので、何が真実なのかは分かりません。

これまで何度か書いているように、戦争後にアルメニアが実効支配していた領土をアゼルバイジャンに返還したので、アルメニア東部や南部の多くがアゼルバイジャンと接することになりました。その国境を画定する作業を進めていますが、いまだに曖昧な場所が多く、今回衝突があった所も同様です。そのため、今年5月にも両軍の衝突がありました。(過去の記事)

停戦を仲介したロシアは、アルメニアとアゼルバイジャンに対して、早急に国境画定作業を進めるよう求めました。確かにそうしないと、また同様の衝突が起こりかねません。とはいえ、簡単には進まないでしょう。ただでさえ領土問題で争った敵国同士、そしてアゼルバイジャンは、飛び地のナヒチェバンと本国を結ぶ回廊を実現させるために圧力を掛けているという見解もあります。

とにかく昨日の衝突のニュースを聞いた時は、昨年の戦争のことが蘇り、また同じ悲劇が繰り返されるのか…と暗澹たる気持ちになりました。多くの尊い命が失われ、憎悪が連鎖し、終わりの見えなかった悲惨な戦争…あの1か月半は、本当に辛く悲しい時間でした。

両国の間にはまだまだ多くの問題が残されているため、散発的な衝突が起こることは予想していましたが、やはり昨日ほど深刻なものだと、戦争の再発が頭をよぎって不安になります。個人的には、大規模な戦闘に発展することはないと思っていますし、決してそんなことは起こってほしくないと願っています。そして、少しずつでも平和を築いていけると信じています。

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昨年の戦争中は、無邪気な子供たちの笑顔を見て辛くなる時もありました。そんな状況に二度と戻りませんように!

アルメニア日本語弁論大会と植物園のピクニック 

今週半ばは不安定な天気で、それからグッと気温が下がりました。一昨日の夜は少し雪が降りました。地方の標高が高い地域は、けっこう雪が降ったようです。あっという間に秋が終わって、冬が訪れようとしています。

アルメニアのコロナ感染者数は減少傾向にあり、「改善の兆候が見られる」と政府は述べました。私にすると、新規感染者数の増減でいちいち騒ぐ必要はないと思いますけどね。陽性率は大して変化していないから、検査を受ける人の数によって感染者数が増減するだけのこと。

アメリカのTIME誌が選ぶ「2021年の発明品ベスト100」に、アルメニアの企業が開発したAI搭載ロボット「ロビン」が選出されました。これは、「世界をより良く、スマートに、そして少しだけ楽しくする発明」をテーマに選出されるものです。ロビンは、子供たちの精神的ケアを行うことができるロボットで、病院など様々な場所での利用が期待されています。すごいですよね!

妻は2か月前からアルメニアダンスの学校に通っていて、そこの先生が毎月コミタス博物館で行っているイベントに、昨晩は家族で参加してきました。みんなでアルメニアの伝統的なダンスを踊ったり、歌を歌ったりするイベントで、多くの人が参加していました。私も見よう見まねで踊りに参加しました。けっこう難しいステップもありましたが、踊るのは大好きなので楽しかったです。レオも一生懸命に踊ろうとしていてすごく可愛かった!


アルメニア発のAI搭載ロボット「ロビン」の紹介動画。世界トップ100の発明に選ばれるとはすごい!

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コミタス 博物館で行われたダンスのイベント。私も輪の中に入って踊りました。

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レオも見よう見まねで踊っていました。可愛かったなー

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アルメニアの歌をみんなで歌う時間もありました。この人、本当に上手!

さて、先週の日曜は、第10回となるアルメニア日本語弁論大会が行われました。昨年はコロナの影響で中止されたので、2年ぶりの開催となります。私は、出場者に質問をする担当で出席しました。今年の出場者は、学生の部が4人、一般の部が11人でした。一般の部には、なんと9歳の女の子も!これまでで最年少の出場者になりますね。

まず一般の部から開始。みんな緊張しながらも、一生懸命にスピーチしました。その9歳の女の子も、かなり緊張していたせいか、途中で内容を忘れてしまいましたが、頑張って何とか最後まで話すことができました。考えてみたら、彼女はアレンより1歳しか違わないわけで、参加しただけでも本当に偉いと思います。

次にメインの学生の部が始まりました。こちらは4人と少なかったですが、みんな頑張ってスピーチしました。うち1人は私の教え子のダビッド君。といっても、9月からいろはセンターで教え始めたばかり。しかも、彼はそれまでの2年間はずっと独学で日本語を学んだそうです。なのに、すでに2級レベル以上は確実にあるほどの実力!これには本当に驚きました。私は漢字を教えていますが、「彼に教えることってあるの??」と正直思うぐらいよく知っています。

そんな彼は、ビジュアルノベルを読みたい!と思って日本語の勉強を始めたこと、その目標のために頑張ってきたこと、そして日本語の勉強はとても楽しかったことなど、自分の経験について語りました。少し緊張していたけど、能力がすごく高いだけに、ちゃんと最後まで上手に話せたし、質疑応答にもきちんと答えていました。

全てのスピーチが終わって、7月に行われた日本語能力検定の合格者に証明書が手渡されました。通常は12月に行われる試験ですが、昨年はコロナで中止になったため、今年の夏に延期されたのです。それから、審査員長の松尾先生が、「島唄」をアカペラで歌って下さいました。日本でずっと合唱を趣味でされていたそうです。

そして、いよいよ審査結果の発表!まず一般の部の結果が発表され、レバノンから移住してきた女の子が優勝しました。彼女は、レバノンは生き辛かったこと、なのに故郷を離れる時は悲しかったこと、でも今いるアルメニアで居場所を見つけたいという切実な気持ちを話してくれました。この子も上手でしたね。

さあ、注目の学生部門の結果は…大方の予想通り、ダビッド君が優勝しました!まあ、ダントツで上手でしたからね。たった2年で、しかも独学でありながら、初出場の弁論大会で優勝するなんて恐るべき才能!20年近く日本語教師をやって、コロンビア 、フィリピン、アルメニアで教えてきましたが、これほどの学生は初めてかもしれません。すごすぎる!本当におめでとう!

ちなみに学生部門の優勝者には、翌年日本へ行くプログラムに参加するチャンスが与えられるんですが、コロナの影響で今年は景品となったそうです。一昨年に優勝した学生が、コロナのせいで日本にまだ行くことができていないので仕方ありませんね…早く状況が落ち着いて、来年からは学生たちが日本へ行く夢を叶えられたらと思います。そういえば、優勝景品の一つは、妻が翻訳した村上春樹の「ノルウェイの森」でした。

とにかく、出場者の皆さんはよく頑張ったと思います。お疲れ様でした!これからも日本語の勉強を頑張ってください!

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一般の部で優勝したパリッグさん。胸に迫る内容で、日本語も上手でした。おめでとう!

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学生部門で優勝したダビッド君。大学では経済を専攻し、日本語は独学。たった2年の勉強で優勝するなんてすごすぎ!

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出場者のスピーチが終わってから、夏に行われた日本語能力検定の合格者に証明書が手渡されました。

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審査結果の発表の前に、松尾審査委員長が歌を披露してくださいました。

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原田臨時代理大使から優勝トロフィーを受け取るダビッド君。おめでとう!

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最後にみんなで記念撮影。皆さん、これからも頑張ってください!主催者や関係者の方々もお疲れ様でした!

弁論大会が終わってから、私はエレバンの植物園に真っ直ぐ向かいました。小さいお子さんのいる日本人家族と、寒くなる前に自然豊かなところで散歩しようと約束していたのです。私の家族は先に着いていて、子供たちは楽しそうにシーソーや滑り台で遊んでいました。知らない家族の子供も参加して、みんなで仲良く遊んでいました。日曜だったから、家族連れが多かったですね。

子供たちはまだ遊具で遊びたがっていましたが、せっかく植物園に来たので散歩することにしました。木々が紅葉していてきれいでした。モミジがないので、日本のように色鮮やかではありませんが、秋の美しさを満喫できました。それに、やっぱり自然の中を歩くのは気持ちがいい!

それぞれ軽食や飲み物を持ってきたので、林の中でみんなで休みました。ちょっとしたピクニックです。子供たちはお腹が一杯になったら、また元気に遊び始めました。去年の10月末にも、家族と同じ植物園を散歩しましたが、まだ激しい戦争が続いていて、美しい自然を見ながらも、心はどこか暗かったことを覚えています。そして、何事もないかのように移ろいゆく季節の中で、常に争いが絶えない人間社会の醜さや愚かさを悲しく思いました。

しかし、本格的な戦争がない今は、自然の美しさや子供たちの笑顔を見て、素直に幸せを噛みしめることができています。もちろん30年も争った領土問題ですから、依然として様々な問題がありますが、それもきっと乗り越えることができると信じています。どうかこの平穏な日々が続きますように!

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小さい子供のいる日本人家族と植物園に集まりました。

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紅葉よりも子供たちは遊ぶのに夢中!可愛らしかったです。

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木々が色づいて美しかったです。今年は心穏やかに秋の美しさを楽しむことができました。

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軽食を食べたり、子供たちと遊んだりして楽しい時間を過ごしました。

停戦合意の締結から1年 

秋晴れが続いていますが、けっこう冷え込んできました。日曜は、日本語弁論大会が開催されて、それに出席した後、小さいお子さんのいる日本人家族と一緒に植物園に出かけました。陽が沈む頃になると、かなり寒く感じました。その日曜のことについては、またブログでお伝えしたいと思います。

1週間延長された秋休みが終わって、昨日からアレンとレオがまた元気に学校に通っています。やっぱり朝は眠そうですけどね。送り迎えをする私も眠いけど、通常通り学校が始まってよかったです。昨年の今頃のことを思うと、この何気ない日常をとても幸せに思います。

ちょうど1年前の今日11月9日、ロシアの仲介によって、アルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意し、第二次カラバフ戦争が終わりました。それが公表されたのは深夜1時過ぎだったので、停戦合意の事実を信じることができたのは翌10日でした。それまでの1か月半は本当に暗く重い日々だったので、ついに悲惨な戦争が終わるのか…とホッとしたのを覚えています。

しかし、アルメニアを覆った深い落胆と悲しみ、そして激しい怒りも覚えています。事実上の敗戦という結果を受けて、停戦合意発表の直後に、反対する市民らが政府建物や首相官邸に乱入する事件が起こりました。国会議長が暴行を受け、病院に緊急搬送される事態にも発展しました。パシニャン首相らを売国奴と呼び、退陣を求めるデモも行われました。当時のことについては、1年前の記事をご覧ください

あれから1年…停戦後の数ヶ月は、国内政治が混乱し、情報が錯綜しました。カラバフからの難民の処遇、破壊された家やインフラの再建、新たな国境線の策定、アゼルバイジャンに囚われた捕虜の返還、今後の安全保障など、困難な問題が残されました。それらの解決には、まだまだ多くの時間や労力を要するでしょう。

停戦協定には、この地域の経済および輸送の封鎖や制限を解除することが明記されていますが、今も境界線で散発的な衝突が起こり、国同士の対立は根深いままで、交渉プロセスは停滞しています。過去の虐殺問題で対立し、緒戦でアゼルバイジャンを全面的に支援したトルコに対する憎しみや不信感は悪化しました。

そして何よりも、戦争で愛する家族を失った人たちの深い悲しみは、1年経った今も全く癒えていないでしょう…1か月半の戦争で数千もの命が奪われました。その多くは20歳前後の若者です。私も二人の息子がいるので、一生懸命育てた子供が自分より先に死んでしまうという悲劇に見舞われた親の気持ちを思うと胸が詰まります。

また、たとえ命が助かっても、戦争で手足や視力などを失い、重い障害を背負った兵士、PTSDなど精神に深い傷を負った兵士も数多くいます。彼らとその家族は、今後の人生を困難と共に生きていかなければいけません。

停戦からちょうど1年が経ち、計り知れない悲しみや苦しみを生み出す戦争ほど悲惨なものはないと改めて思います。そして同時に、平和ほど尊いものはないと痛感します。先に書いたように、依然として様々な問題があり、民族間の憎悪や対立も解消されていませんが、終わりの見えない戦争に心を傷ませることなく、平穏に家族と過ごせる今はどれほど素晴らしいか…

30年も交渉を繰り返して解決できなかったのですから、あの戦争は遅かれ早かれ起こったことだと思います。そして、いざ本格的な戦争が始まってしまうと、勝敗が全てを決めることになり、どちらか一方に不都合な結果が起こることは避けられません。残酷ですが、それが戦争というものです。だからこそ全力で回避しなければいけないのです。

しかし、私はきっと昨年の戦争にも意味があると思っています。より良い未来に繋がる変化だと信じています。どれだけ長く困難な道だろうと、必ずその先に平和な社会を築くことができると希望を持っています。それこそが、戦争という悲惨な過去を乗り越える方法であり、犠牲者への何よりの弔いになるはずだからです。

歴史的な停戦合意が締結された11月9日がいつか、互いに争った民族同士で平和を喜び誓い合う日になることを願っています。

「もし我々が空想家のようだと言われるならば、救いがたい理想主義者だと言われるならば、できもしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう…”その通りだ”と」 チェ・ゲバラ

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植物園で嬉しそうに遊ぶ子供たち。1年前は、戦争を知らない子供たちの無邪気な笑顔を見ると辛い気持ちになりました。平和な未来が訪れますように!


私が戦争中によく聞いていた歌「One Day」。これは、イスラエルのハイファで、ユダヤ人とアラブ人が集まって一緒に歌ったイベントの動画です。