3回目の一時停戦も履行されず… 

コロナの感染拡大で、教育機関が早い秋休みに入っていますが、教育省はさらに2週間延長すると決定しました…その後は、感染状況に関わらず、小中学校は対面授業を再開するそうで、今学期の授業期間も延長するとのこと。これが本当だったら、まだ救われます。子供が感染する、また他人にうつすリスクはかなり低いことは証明されており、教育機関の閉鎖は予防対策として科学的根拠が希薄です。

前回の記事でご紹介した空手家のセヴァックさんの葬儀が日曜に行われました。エレバンから遠いのと、妻があまりに悲しすぎるということで行きませんでしたが、参列した知人が埋葬の時の様子を送ってくれました。弟子たちがセヴァック師範のために中段突きをして、「押忍!」という掛け声で最後のお別れをしていました。みんな辛かったに違いありません…本当に惜しい人を亡くしました。

軍事衝突発生から今日でちょうど1か月になりますが、前線では依然として激しい戦闘が続いています。日本でも報道されていたかと思いますが、米国の仲介で、土曜の夜にアルメニアとアゼルバイジャンは再び一時停戦に合意しました。しかし、予想通り、この3回目となる停戦も履行されませんでした。

前回の記事にも書いたように、アメリカは、本気でこの問題に関与する気はないと思います。トランプ大統領のアルメニア贔屓な発言も、間近に迫った選挙を意識したリップサービスという面が強いでしょう。トランプ大統領は、その言動が過激で好戦的なだけで、実際には他国の紛争などに直接干渉しない方針ですからね。

アメリカが他国の紛争に介入して良かった試しなんてほとんどないので、私自身はこのトランプ氏の方針を支持しています。反対に思慮深くて善人そうに見えるオバマ前大統領が、実は他国に爆弾を落としまくっていたのをご存知でしょうか?政権最後の2年間は特にひどくて、ドローンを使って約5万回もの爆撃を行っています。テロリストなどを標的したものですが、ある程度の犠牲は仕方ないとして、いつも多くの民間人が巻き添えになっていたそうです。

話をナゴルノ=カラバフを巡る戦争に戻します。3回目の一時停戦は、昨日の午前8時から開始されましたが、アルメニア国防省によると、その45分後にアゼルバイジャン軍が境界線北東部で攻撃を行い、さらにその25分後にも南東部で攻撃を行ったそうです。また、前線近くの村々にも砲撃があり、民間人が一人亡くなりました。その後は激しい交戦に発展し、今回の停戦合意も全く無意味なものとなりました。

ちなみにアゼルバイジャン側も、「アルメニア側が攻撃して停戦を破った」という声明を出しましたが、最初その声明は停戦開始ちょうどの午前8時に投稿され、直後に削除されてから、また数分後に投稿されたようです。しかも、前日の夜にも同じ投稿が一時的に投稿されていたという情報もあり、これらが事実であれば、アゼルバイジャンのプロパガンダは稚拙すぎるように思います。

あと、アゼルバイジャン軍がアルメニア人捕虜を殺害した様子を収めた新たな映像が見つかり、BBCニュースがその真偽を検証しました。その結果、指示する兵士の言語がアゼルバイジャン語の方言であること、また兵士のヘルメットや銃がアゼルバイジャン軍の使用するものであることから、かなり信憑性が高いということで、アルメニアは、欧州人権裁判所に戦争犯罪の証拠として提出するそうです。

今日のアルメニア国防省の発表によると、イランと接するアルメニア南部国境で、アゼルバイジャン軍によるドローン攻撃が発生して、負傷者が出た模様です。また、現在までにアルメニア人兵士1009名が亡くなったそうです。ついに千人を超えてしまいました…これはあくまで公式情報なので、実際の犠牲者数はもっと多い可能性があります。

実は昨日、私がお手伝いしている現地のIT企業の同僚の弟さんが亡くなったと聞きました。まだ19歳だったから、2年間の徴兵義務で従軍していたのでしょう。同僚の女性にとっては、年の離れた可愛い弟さんだったに違いありません。妻の友人、そして会社の同僚の弟が戦死するという悲惨な現実が、今ここでは普通に起こっています。

さて、前々回の記事(こちら)に、アルメニアの人道支援のために、日本やフィリピンからも義援金が届いたことを書きました。本当にありがたい限りです。今回の戦争で、カラバフから9万人もの人が避難しているそうです。これはカラバフの人口の6割に当たり、多くの人が苦しい状況の中で避難生活を送っています。

その避難民の支援などのために世界中から寄付を募っている「Hayastan All Armenian Fund」という慈善団体があり、私も個人的に寄付していますし、上記の日本からの義援金も同基金に寄付させて頂きました。そして、すでに会社で義援金を捻出してくれた友人が、もっと支援できればということで募金活動を始めてくれました。1万ドルを目標に寄付を募って、同基金に全額届けてくれるそうです。

彼とは、私がフィリピンに住んでいた時からの付き合いで、もう10年来の友達です。アルメニアが大好きで、毎年訪問してくれていますが、今年はコロナの影響で会えていません。しかし、アルメニアが大変な状況にある時に、少しでも支援しようと頑張ってくれて、彼の優しさに改めて感動しました。大輔さん、本当にありがとう!

友人が経営する会社のエレバン支社が、その募金活動のために以下の専用ページも作っています。クジレットカードで寄付できるので、是非そのホームページをご覧になってみてください。戦局が今度どうなったとしても、避難民の支援や被災地の復興などには多くのご協力が必要です。どうぞよろしくお願いします。

CCC International LLC アルメニア緊急支援募金

122963090_717852265486528_4065154938141973929_narmenia20-10-27.jpg 
昨日はエレバンの植物園に家族で出かけました。広々して気持ちよかったです。

123013453_661302348083688_4458917689506026687_narmenia20-10-27.jpg
木の葉が色づいて美しい場所がたくさんありました。自然の中を歩いてリフレッシュできました。

122939737_813229272848304_1128630704712491439_narmenia20-10-27.jpg
アレンが「小さな家がある!」と言って、林の中でこんなものを見つけました。

122575724_3803623309677513_6903288273485494612_narmenia20-10-27.jpg
親友の片岡さんも、香川県の坂出市王越町で運営する気まぐれカフェ GOSHに募金箱を設置してくれたので、是非ともご協力をお願いします!周りの温かい支援と優しさに励まされます。

妻の尊敬する大切な友人が戦死… 

米国を歴訪中のアルメニア外相は、ポンペオ国務長官やOSCEミンスクグループ共同議長らと会談しました。昨日トランプ大統領は、「私も交渉に参加する意思がある。良好な関係を持つアルメニアと協力していく」と述べました。アルメニアを支持する内容でしたが、自身のポリシーというより、間近に迫った選挙のために、ユダヤロビーに次ぐ強さと言われるアルメニアロビーを意識して行った発言という面は否めません。

それは、トランプ政権になってからの軍事支援の動きを見れば明らかです。元々アメリカは長い間、アゼルバイジャンに対してアルメニアよりも多くの軍事支援を行ってきましたが、ここ数年アゼルバイジャンへの軍事支援は大幅に増えて1億ドルに達しています。逆にアルメニアへの軍事支援は減少して、今年は約210万ドル…50倍近い差があります。こんな状況でアルメニア支持を表明されても何か裏があるとしか思えませんけど、悲しいかな、それが国際政治というものなのでしょう…

ナゴルノ=カラバフを巡る戦争の状況ですが、現在も境界線各地で戦闘が続いています。アルメニア国防省によると、現在までにカラバフ・アルメニア軍兵士974名が亡くなったとのことです。また、昨日はステパナケルトや前線近くの村々に激しい砲撃が行われたそうです。

紛争の現地調査を行っているヒューマン・ライツ・ウォッチは、アゼルバイジャン軍が市街地などに向けて、国際条約で禁止されているクラスター爆弾などの武器を使用していると伝えました。これが本当であれば戦争犯罪ですが、アゼルバイジャン軍がアルメニア人捕虜を殺害したという新たな証拠も見つかりました。アゼルバイジャン軍がアルメニア人捕虜を殺害した様子を収めた新たな映像をBBCニュースが検証した結果、指示する兵士の言語がアゼルバイジャン語の方言であること、また兵士のヘルメットや銃がアゼルバイジャン軍の使用するものだったそうです。

一方、アルメニアは、アゼルバイジャン人捕虜を人道的に扱い、ケガの治療や手術も行っています。今月初めに拘束され、カラバフ内の病院で手術を受けたアゼルバイジャン人兵士が、「自分が所属していた部隊の兵士のほとんどはアゼルバイジャン人ではなかった」と述べました。トルコが数千人ものシリア人傭兵やイスラム過激派テロリストを派遣している事実が改めて裏付けられました。

また昨日は、アゼルバイジャン軍の砲撃を受けて損壊したシューシの街のガザンチェツォツ大聖堂で、1組のアルメニア人カップルが結婚式を挙げたそうです。新郎は、志願兵としてカラバフ軍に従軍しており、式でも軍服を着て参加していました。この二人が幸せな新婚生活を送れる日が一刻も早く来ますように…

さて昨日は、元学生のティグランとセバン湖に行ってきました。用事があって2か月ぶりに会ったのですが、戦争のせいで悲しいニュースばかりが続き、お互い息苦しさを感じていたので、気分転換のために少し遠出したのです。暗い気持ちで過ごしたところで状況が改善するものでもありませんからね。ちなみにティグランも従軍を志願したそうですが、持病のせいで兵役に就いた経験がないため断られたそうです。彼は残念がっていましたが、私としては戦争に行ってほしくありません…

澄んだ秋晴れで、木の葉も色づき、絶好のドライブ日和でした。とはいえ、会話はやはり戦争のことばかりでしたが、ティグランの友人のほとんどは従軍しているため、前線の生々しい状況を聞くことができました。「毎日2、3時間しか寝れず、早朝から深夜まで戦闘が続く」「若い兵士は、砲撃音や悲惨な戦場を見てショック死することもある」など想像以上に過酷…そんな中で、多くのアルメニア人兵士が勇敢に戦っていることに感銘を受けますが、同時に多くの命が犠牲になっている現実を思うと胸が痛いです。

目的地のセバン湖は、柔らかい陽光に照らされて、とても美しかったです。不変の自然の美しさに触れて、久しぶりに心が安らぎました。湖の半島にあるセバン修道院を訪問して、一刻も早い事態の収束と平和を祈りました。そして、先日亡くなったアルメニア人の知人の冥福を祈りました。その人は妻が尊敬する友人で、木曜の夜に前線で亡くなったという訃報が届いたのです。覚悟はしていましたが、ついに知人が戦死してしまいました…

122570963_2511969825761703_8939799179071941103_narmenia20-10-25.jpg
久しぶりに会ったティグランとセバン湖まで足を伸ばしました。木の葉が色づいて、すっかり秋の景色でした。

122825054_699408667367423_6468061056300838159_narmenia20-10-25.jpg
寒くなかったし、美しい湖の景色に心が癒されました。コロナと戦争の影響で、人はほとんどいませんでした。

122772464_1753989128082916_955209093076438149_narmenia20-10-25.jpg
修道院の壁に白い鳩が止まっていました。平和の象徴ですね。

122744714_288332225558866_6087030308415202101_n20-10-25.jpg
夕暮れ時の帰り道から、アララト山が美しく見えていました。雄大な自然は、何事もないかのように、ありのままに存在し続けています。

122896389_780571392501033_637519706003590998_narmenia20-10-25.jpg
最後にエレバンの勝利公園に立ち寄りました。戦死した英霊に捧げる慰霊の火があります。この戦争で亡くなった兵士のために祈りを捧げました。

彼は、タシールという地方の町で極真空手の道場主を務めていた人で、名前はセヴァックと言います。本部の日本の極真館から指導者が来られた際に、いつも妻が日本語通訳を引き受け、それが縁で仲良くなりました。2年前の盧山館長の訪問時に、私もセヴァックさんと奥さんに何度かお会いしました。その時のことは過去の記事にも書いています。

いつも妻が、「本当に立派で素晴らしい人」と言っていましたが、私も初対面から、彼の純粋で優しい人柄が伝わりました。誰にでも謙虚で誠実で、とにかく空手を心から愛していました。その技術と向上心、何より立派な人格は、多くの弟子たちに慕われ、盧山館長からも高く評価されていました。そのため、2年前には31歳という若さで、館長から直々に師範の位が授与されました。

妻から聞いた話ですが、セヴァックさんは貧しい幼少期に、毎日ヒマワリの種を売って空手を習うお金を工面していたそうです。苦労しながら必死で空手を学び、ついには極真空手の指導者となりました。周囲の支援を得て、日本のセミナーや海外の国際試合にも参加し、アルメニアにおける空手の向上と普及に努めました。自身が苦労人だからか、貧しい家庭の子供たちには無料で教えたりもしていたそうです。生きていれば、優れた空手家の育成など多大な貢献がもっとできたはずです。

セヴァックさんの訃報を聞いた盧山館長は、言葉を失うほどショックを受けていたそうです。彼のことをよく知る国内外の空手の指導者たちも同様に大きなショックを受けて、深い哀悼の意を表しました。まだ33歳の空手家が戦争で亡くなるという事実は、簡単に受け入れられるものではなく、特に平和な日本に暮らす人にとっては全く現実とは思えないかもしれません。

私の妻も、共通の友人から訃報を伝えられた時は、かなりショックを受けていました。戦争発生後すぐに志願して戦地に向かったと聞いてから、ずっと彼の安否を心配して、フェイスブックに軍服姿で元気そうにしている写真が投稿されると、心底ホッとしていました。そうやって無事を祈り続けていた妻にとって彼の死は信じがたいもので、「あんな素晴らしい人が…もったいなすぎる」と号泣していました。

しかし、誰よりも辛いのは彼の家族。セヴァックさんには、愛する奥さんと幼い3人の子供がいます。大切なご主人、そして大好きな父親を失った家族の悲しみはどれほどのものか…それを思うと胸が締め付けられ、涙が溢れてきます。こんな残酷な悲劇が、今ここでは毎日のように起こっているのです。本当に、本当に戦争が憎いです。

昨日ティグランと話している時に私は言いました。「戦死した人たちのために、土地を巡って争い続けるのではなく、これからの命が戦争で死ぬことのない未来を築くこと。それが本当の弔いになるんじゃないか…」 まだ激しい戦闘が続いている今、こんな意見は空しい理想論かもしれません。加えて、今回はトルコが深く関与しているため、単なる領土問題とは言えない部分があります。

しかし、妻の大切な友人であり、立派な空手家であり、また一人の素晴らしい人間が、多くの弟子や大切な家族を残したまま、若くして旅立っていく…そんな悲劇がこれ以上起こってほしくありません。それで悲しむ人たちをもう見たくありません。戦争ほど悲惨なものはなく、平和ほど尊いものはないと嫌というほど痛感しています。一刻でも早く収束することを祈ります。

46516522_2337198459644204_6303849746607898624_oarmenia20-10-25.jpg
2年前のセミナーで、盧山館長や日本の指導者、また私の妻と映るセヴァックさん。尊敬する盧山館長の訪問をすごく喜んでいました。

122369370_2784527454983811_457862624801965008_narmenia20-10-25.jpg 
そのセミナーで、極真館では最年少となる師範の免状を授与されたセヴァックさん。大切な愛弟子を失った盧山館長も大きなショックを受けています。

121339821_2886550691564508_680856149309448464_narmenia20-10-25.jpg  
亡くなる10日ほど前の写真。妻は、戦地で元気そうにしている写真を見ては安心していました。そして、無事を祈り続けていました。

122556250_3903776692986365_552094069739151666_narmenia20-10-25.jpg
妻はセヴァックさんのことを本当に尊敬していました。同じように多くの人が、彼の早すぎる死を心から惜しんでいます。享年33際…ご冥福をお祈りします。

122208646_1640693006104229_7666957784842229668_narmenia20-10-25.jpg
セヴァックさんと家族。彼は、母国のため、家族のために勇敢に戦って亡くなりました。しかし、残された家族のことを思うと、もっと生きてほしかった…尊い命と幸せを理不尽に奪う戦争が心底憎いです。

日本とフィリピンからの温かい支援 

ナゴルノ=カラバフを巡る戦争ですが、これまで2度の一時停戦合意があったにも関わらず、ずっと境界線では激しい戦闘が続いています。捕虜交換と遺体回収のための停戦だったのですが、放置されたままの遺体が腐乱して伝染病が発生する危険があるという報道を見ました。戦闘が始まって、もう1か月近く経ちますからね…

なかなか事態が収束しそうにない中、両国首脳がモスクワで会談して交渉を行う準備があると二日前に発表して希望が見えたと思ったら、昨日パシニャン首相は、アゼルバイジャンは武力による解決のみを求めており、現段階ではお互いに妥協点を探って交渉することができないと述べました…

さらに、パシニャン首相の呼びかけに応じて、国内の州知事や市町村長の多くが志願兵部隊を率いて従軍することを志願し始めました。またトルコのオクタイ副大統領が、アゼルバイジャンから要請があれば、トルコ軍を派遣する用意があると述べました。すでに一線を超えた関与や支援をアゼルバイジャンに行っているのに、自国軍の派遣の可能性まで示唆するとは…約1か月前に発生した軍事衝突が、まさかここまで深刻化するとは予期しませんでした。

アルメニア国防省によると、現在までにカラバフ・アルメニア側の兵士834名が亡くなったそうです。その多くが若い男性で、きっと将来の夢や希望があったでしょう。親や兄弟はもちろんのこと、恋人や婚約者がいたり、中には奥さんや子供がいる人もいたでしょう。それを想像すると、辛くて胸が張り裂けそうになります。昨日、近所の教会に寄ったら、女性たちが泣きながら祈っていました。きっと息子さんやご主人が前線にいるのだと思います。心が重くなる現実ばかりです…

大変なのは前線だけでなく、カラバフ領内の市街地も激しい砲撃に遭い、すでに7万以上(カラバフの人口の約半分)の人が避難しているそうです。その多くは老人や女性や子供で、ほとんど何も持たずに命からがら逃げてきた人たちもたくさんいます。そんな避難家族の子供のために、妻の友人が服を集めていると聞き、息子たちのお古の服やおもちゃを寄付しました。

苦しい状況にある避難民への支援は緊急の課題で、国内外のアルメニア人が個人で、また慈善団体などを通して様々な活動を行っています。その中で最大のものが、「Hayastan All Armenian Fund」という組織。アルメニア系アメリカ人のキム・カーダシアンも100万ドルを寄付しました。集まった寄付は全て、避難民への支援や被災地の復興など人道目的に使われています。

私と妻も個人的に上記基金に寄付をしていますが、先日、私が日本の有志の方々と運営する民間団体「アルメニア友の会」からも寄付させて頂きました。この友の会は、日本語を学ぶアルメニア人学生の招聘など教育支援を目的とした組織ですが、私から役員の方々に現地の状況を伝えたところ、緊急で人道支援のために義援金を送って下さったのです。

また、親友の片岡さんも、大好きなアルメニアのためにと個人で寄付をしてくれた上に、Facebookなどで寄付を呼びかけてくれました。香川県の坂出市王越町で運営する「気まぐれカフェ GOSH」に募金箱を設置してくれたそうなので、お立ち寄りの際には是非ともご協力をお願いします!

そして、フィリピンのダバオ市で「CCC」という会社を経営し、昨年エレバン支社を開設した友人も、会社の方で義援金を捻出してくれました。エレバン支社のアルメニア人社員たちが、避難民の支援などに役立てていくそうです。

国外に約900万人いると言われるアルメニア系移民が、母国のために団結して各地でデモを行ったり、多額の寄付をしています。そして、アルメニアと関わりを持つ日本人の方々も、こうやって支援してくれました。本当にありがたい限りです。悲しく辛い状況ですが、友の会や友人たちとの絆に励まされ、温かい支援を心強く感じました。

現在も戦争は続いており、たとえ事態が収束したとしても、避難民への支援、また被災地の復興には多くの協力が必要です。妻から聞いた話ですが、寄付するためにクルミを売る子供がいたそうで、それに共感した人たちが次々とクルミを買って、最終的に千ドル以上の寄付が集まったそうです。たとえ一つ一つは小さくても、集まれば大きな支援になるのです。

上記の「Hayastan All Armenian Fund」には、クレジットカードからも寄付できるので、アルメニアの現状に少しでも関心を持って頂き、ご協力いただけたら幸いです。英語ですが、基金のHPこちらをご覧になってください。私も、大好きなアルメニアのために、できる限りの支援を続けたいと思っています。そして、何より事態が一刻でも早く収束することを願っています。

DSC_8877armenia19-11-9.jpg
去年の「アルメニア友の会」による学生招聘プログラムの写真。日本語を学ぶアルメニア人学生を日本に招待しています。今回も温かいご支援に感謝します。

122145817_3793112004061977_2630607322637286836_narmenia20-10-22.jpg
今回もアルメニアのために貢献してくれている片岡さん。いつもありがとうございます!2年前に一緒にカラバフをドライブ旅行しました。

74410608_448703152442145_4157718433485553664_narmenia19-11-14.jpg
アルメニアの人道支援のために、会社で義援金を捻出してくれた友人。彼もアルメニアが大好きです。大輔さん、ありがとうございます!

122449450_355331742582623_6785929401677980932_narmenia20-10-22.jpg
大好きなレゴ教室に手を繋いで向かうアレンとレオ

122449450_1748693925295258_4245777338993909199_narmenia20-10-22.jpg
自分で作った作品を嬉しそうに見せるレオ

122544720_681221005835289_1950564354680191147_narmenia20-10-22.jpg
兄弟仲良く並んで眠るアレンとレオ。国全体が悲しみと不安に覆われた今、この何気ない日常をかけがえのない幸せに感じます。

2回目の一時停戦も履行されず… 

日曜は、長男アレンを人形劇に連れて行き、その後、一緒にカフェで食事しました。元々は家族みんなで行く予定だったんですが、次男のレオは少し風邪気味だったので、妻とお留守番…ちょっと微熱もあって、それだと検温で引っかかる可能性がありますからね。帰りは、展望台から雄大なアララト山とエレバンの景色を眺めました。その美しい光景も、今は少し物悲しく見えてしまいます…

ナゴルノ=カラバフを巡る紛争は現在も続いています。土曜の夜、改めて人道目的の一時停戦に双方が合意し、18日0時から開始されたにも関わらず、すぐアゼルバイジャン軍からの攻撃が起こったため、結局そのまま激しい交戦が継続されているのです。アゼルバイジャン側は、カラバフ・アルメニア軍が攻撃したと非難していますが、いずれにしても2回目の一時停戦合意も履行されませんでした…それほど期待していませんでしたが、またしても収束の見込みが消えて落胆しました。

アルメニア国防省によると、軍事衝突発生から現在までにカラバフ・アルメニア側の兵士729人が亡くなったそうです。もちろんアゼルバイジャン軍にも人的損失は出ていますが、向こうはトルコやイスラエルの高性能ドローンを多用している上に、国内の少数民族、そして数千人もの外国人傭兵やテロリストを前線で戦わせているため、アゼリー人はそれほど亡くなっていないかもしれません。アゼルバイジャン人男性の志願兵より、アルメニア人女性の志願兵の方が多いのでは…なんて笑えない話もあります。

結局アゼルバイジャンにすると、たとえ想定していたほど領土を奪還できなくても、アルメニアに甚大な人的損失を与えることができれば目的を十分達成したと言えるのかもしれません。資源のない小国アルメニアにとって、人材こそが最も重要なリソースであり、それが失われると、国の将来にとって深刻な損失になります。いずれにしても、毎日のように多くの若い兵士の命が消えていく現実は辛すぎます。身内や友人、知人や同僚の誰かが戦場に行っているアルメニア人たちは、私の何十倍、何百倍も辛くて不安な日々を送っているはずです。

昨日、現地を視察するためにナゴルノ=カラバフを訪問していたドイツの国会議員が、アゼルバイジャン軍による教会や民間施設への攻撃、またクラスター爆弾など国際条約で禁止されている武器の使用を目の当たりにしたと述べ、明らかな戦争犯罪だとトルコとアゼルバイジャンを厳しく非難しました。同議員が現地を訪問した理由の一つは、ドイツで正確に情報が報道されていないからだそうです。ドイツには約300万ものトルコ移民がいますからね…その欧州を含む国際社会が沈黙し続けているため、カラバフから避難してきた女性たちが、今日エレバンの国連事務所前でデモを行いました。

もちろんアルメニアだけでなく、アゼルバイジャンでも民間施設などには同様の被害が出ており、アルメニア側も、「軍事施設を狙った攻撃だが、民間人にも被害が出た」と否定はしていません。私も、そういう攻撃や被害について肯定するつもりは全くありません。ただ、先日のギャンジャの街で起きた民間施設への攻撃についてはかなり疑問の余地があります。

日本でも報道されたと思いますが、これは、17日未明にギャンジャの住宅地域が30発ものミサイル攻撃を受けて、13人が死亡、50人以上が負傷したという事件です。アゼルバイジャン側は、すぐアルメニア軍による攻撃だと断定し、「必ず報復する」と激しく非難しました。11日にも同様の事件が発生していますが、どちらもアルメニア側は様々な根拠を出して強く否定しています。なのに、それについては全く報道されません。

アルメニアが述べた根拠は以下の通り。30発のミサイル攻撃と言われているが、爆発は1回しか起きていないこと、もし砲撃であれば二次攻撃の可能性が高いにも関わらず、事故直後にレスキュー隊や民間人や報道機関が現場にいたこと、使用された兵器の特定には時間を要するにも関わらず、アゼルバイジャンは即座にスカッドミサイルだと公表したこと、また使用したとされるロケットランチャーの射程距離は20キロで、ギャンジャには全く届かないこと…素人目にもアゼルバイジャンの主張には矛盾点が多すぎます。

さらに、そのギャンジャの惨状を伝えるアゼルバイジャンの報道資料が捏造だらけで、かなり信憑性に欠けています。例えば、跡形もなく破壊されたという被害地の写真は、19年前のインド・グジャラート州で起きた大地震のものだったり、救助された子供にアゼルバイジャン人兵士が水を飲ませる写真は2015年のトルコ兵士のものだったり、さらに酷いのは、泣き叫ぶ遺族の写真が、なんとカラバフ側の遺族のものだったり…公表する前に気づかなかったの?!とさすがに呆れます。

爆発事故そのものは事実であり、被害に遭った人々に対しては心底可哀想に思います。ただ、上記のような点から、アルメニアによる大規模な空爆だったと断定することには違和感を感じます。もちろん何かしらの大爆発があったことは確かで、アルメニアからの攻撃ではないとも言い切れませんが、いつもアゼルバイジャンのプロパガンダがあまりに酷いため、これも疑わざるを得ないのです。

例を挙げると切りがありませんが、例えば、別のアルメニアの砲撃による被害だという写真が21年前の台湾大地震のものだったり、砲撃の現場の様子を伝えた男性レポーターが、翌日アゼルバイジャン軍兵士を演じていたり、砲撃で家を失くしたという少女が涙ながらに被害を訴える写真は、ヘアメイクや演技指導をしてスタジオで撮影されたものだったり…大袈裟を通り越して、悪質な偽装や捏造をされた情報が多いのです。

戦争は情報戦でもあるので、どの国もプロパガンダを行います。アルメニアも、この非常時なだけに自国に有利な情報ばかりを流している面は否めません。しかし、さすがにアゼルバイジャンのは度を超している気がします。まあ、アリエフ一族が人権や情報を厳しく統制している独裁国家で、最新の報道の自由度ランキングでも、世界180ヶ国中168位でしたからね…ちなみにアルメニアは61位で、なんと66位の日本より上!

それでもアゼルバイジャンは、かなりお金をかけて自国に有利な情報を世界中に喧伝し、プロパガンダ戦略はかなり上手くいっているように思います。先日ブログ記事で書いたように、トルコもTRTニュースなど自国メディアを活用して、アゼルバイジャン贔屓の情報を発信し続けています。逆にアルメニアは悪質な捏造などがない分、情報戦で後塵を拝して不利な状況です。

そのため、私も可能な限り、ブログなどでアルメニア側の情報や見解を伝えるようにしていますが、トルコやアゼルバイジャンに対する嫌悪感情を煽るつもりはありません。双方に大きな被害が出ており、それはどちらにとっても戦争の悲劇です。また、どんな手を使ったとしても、最後は勝った側が正義になってしまうのが戦争の非情な掟であることも分かっています。

しかし、今回の紛争におけるトルコやアゼルバイジャンの行動は明らかに一線を超えています。にも関わらず、それに関する報道は乏しく、また偏っているため、当ブログを通して少しでも多くの人に知ってほしいのです。そして、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて考えてほしいと思っています。

122073843_384389792702609_4726967363983988650_narmenia20-10-19.jpg
アレンと見た人形劇。いつもの如くアレンだけテンション低めでしたが、他の子供たちは大喜びしていました。子供の無邪気な笑顔が、今はより眩しく映ります。

122121066_421313035935157_6183305186007107710_narmenia20-10-19.jpg
劇の後は、アレンとカフェに行きました。ピザを気に入ったみたいで、たくさん食べていました。

122130960_686511302287238_8531764415066738705_narmenia20-10-19.jpg
天気が良かったので、帰りに展望台に上がりました。そこからはアララト山とエレバンが一望できます。なぜかガイドみたいなポーズを取るアレン。

122138520_2919774711584273_5415054080456629230_narmenia20-10-19.jpg
夕焼けがとても美しかったです。いつもと変わらない一日の終わりが、今は奇跡のように感じることがあります。

122187362_2874697425966165_8769266819425115295_narmenia20-10-19.jpg
夕陽に染まるアララト山とエレバン。この国は、街は、人は本当に美しいです。この愛する場所に一刻も早く平和が訪れますように…

軍事衝突発生から3週間 

9月27日に軍事衝突が発生してから今日で3週間が経ちました。1週間前に一時停戦の合意があったのに、現在も前線では激しい戦闘が続いています。アルメニア国防省によると、昨晩はステパナケルトやシューシなどの市街地に激しい砲撃があり、民間人が負傷したそうです。また、アルメニア領内のシュニク地方にも、アゼルバイジャン軍のドローンが侵入して民間インフラを攻撃したという情報があります。

昨日は、戦場に行っていた妻の再従兄弟がアゼルバイジャン側の狙撃手に撃たれ、エレバンの病院に搬送されて手術を受けたという連絡がありました。銃弾が脇腹から太腿を貫通するという重傷でしたが、幸い命には別状ないそうです。彼には奥さんと2歳ぐらい息子さんがいるので、とにかく生きていて良かったです。

また、昨日はとても気分が悪くなるニュースがありました。アゼルバイジャン軍がアルメニア人捕虜に対して侮辱と拷問を加え、残酷に殺害する映像と写真がネットに流れ、アルメニアの人権オンブスマンが入手したのです。流出元はアゼルバイジャンで、すでにネットから削除されていますが、その前に多くの人が見たようです。撮影された場所や時間も特定され、すでに戦争犯罪の証拠として欧州人権裁判所に提出されました。いくらなんでも酷すぎる…

戦争に完全な正義や悪は存在しないとは思いますが、自分たちの国やアイデンティティを守るために戦うのと、憎悪に駆られて戦うのとでは大きく違います。前者は大切なもののために死ぬ覚悟が生まれ、後者は敵を殺すことに執着するからです。上記のような捕虜の殺害、また当ブログでも何度か書いた、ラミル・サファロフというアゼルバイジャン軍人が就寝中のアルメニア人を斧で殴り殺した事件などがその例と言えるかもしれません。

トルコからアゼルバイジャンに送られて前線で戦ったハムザ師団傭兵2人が、最近アメリカ人ジャーナリストの取材で語ったことも象徴的です。彼らは、「アルメニア軍の国を必死で守ろうとする士気の高さに驚いた。逆にアゼルバイジャン軍は、外国人傭兵やテロリストの200メートル後方に留まって戦おうとしなかった。自分たちが何のために戦っているのか分からなくなった…」と語りました。元々は基地警備の仕事だと言われたのに、前線に送られて騙されたことも告白しました。

ちなみに先日、リビア国民軍のアハメッド・アル=ミスマリ総司令官が、トルコが多数のシリア人やリビア人などのテロリストを召集し、リビアの空港からアゼルバイジャンに派遣していると述べ、トルコの一線を超えた紛争への関与がまた裏付けられました。トルコはチェチェン人兵士まで動員する可能性があるらしく、アルメニア人は一体どれだけの相手と戦わないといけないのでしょうか…

しかも、同じ虐殺された歴史を持つユダヤ人の国イスラエルまでが、アルメニア人への攻撃に協力しています。今回の紛争でアゼルバイジャンは大量の軍事ドローンを使用しているのですが、そのドローンの大半はトルコとイスラエルから供与または購入されたものなのです。それら高性能のドローンは、カラバフ・アルメニア軍に甚大な被害を与え、多くの兵士を殺害しています。これについては、著名なユダヤ人のホロコースト研究者も、とても残念で恥ずべきことだと厳しく批判しました。

前回の記事に書いたように、ナゴルノ=カラバフのアルメニア人は、ソ連憲法や国際規約で認められた民族自決権を行使して独立を果たしたので、アゼルバイジャンの領土保全とは一切関係ありません。またアルメニアは、過去の交渉で何度も譲歩する姿勢を見せ、パシニャン現首相もそれを明言しています。にも関わらず、アゼルバイジャン側がそれを拒否し続け、今なお争いが収まることなく、双方で多くの血が流されているのです。ただ向こう側は、戦場で血を流しているのは外国人傭兵やテロリストが大半かもしれませんが…

アゼルバイジャンにしたら、国民を統制してアリエフ独裁体制を維持するための道具として、永遠にアルメニアを敵国扱いできるこの領土問題を利用したいという事情があるでしょう。しかし今回の戦争では、オスマン帝国時代にアルメニア人虐殺を行ったトルコ、そして同じ悲劇を経験したユダヤ人までがアゼルバイジャンに協力し、アルメニア人を攻撃しています。この多勢に無勢の圧倒的不利な状況の中で、この3週間アルメニア人たちは必死で戦い続けています。そして、多くの犠牲を出し続けています…

ここに住むアルメニア人だけではなく、世界中のアルメニア人が立ち上がり、毎日のように各地で大規模なデモを行っています。暴力的なデモではなく、ナゴルノ=カラバフ住民が望んでいるのは平和であり、アゼルバイジャンやトルコのテロ行為を止めるよう訴え、そのために国際社会に連携と正義を求めるものです。

そのアルメニア人の呼びかけに応えるかのように、ジュネーブとミラノの市議会は、ナゴルノ=カラバフ共和国の独立を認める決議を採択しました。小さな動きかもしれませんが、今後さらに多くの国や地域が積極的に動いて、この争いの収束のために協力してほしいと思います。正直もうこれ以上、人の死や悲しみを見るのは耐えらません。本当に一刻でも早く収束することを祈ります。

122052919_981520322334274_5909201489128814008_narmenia20-10-17.jpg
コロナで学校や幼稚園は閉鎖されたけど、レゴ教室は開いているので、一昨日も連れて行きました。

121965440_3356195624470951_6861391222828428972_narmenia20-10-17.jpg
肌寒くなってきましたが、秋晴れで天気はいいので、家族で毎日散歩しています。エレバンは普段と変わりないようです。

121967799_827727871296868_3571494187759046154_narmenia20-10-17.jpg
でも、この平和な光景が、時に蜃気楼のように儚く見えて、底知れぬ切なさと悲しみがこみ上げてきます…早く平和になってほしいです。