エルトン・ジョンがアルメニアを訪問
今日5月28日は、「第一共和国の日」というアルメニアの祝日。1918~1920年のたった2年だけ存在したアルメニア民主共和国の独立を祝う日で、今年は100周年!その独立を決定づけたのは、オスマントルコ軍を撃退したサルダラパットの戦い。その戦勝記念碑には、ニコル・パシニャン首相など政府要人らが献花に訪れたようです。(サルダラパットについて、こちらの記事をご覧ください)
雨が降ったり止んだりの天候が続いていましたが、昨日から安定してきて、かなり暑いです。土曜の夕方はゲリラ豪雨が降って、エレバン市内の一部の道路が川のようになったそうです。私は今けっこう大変な翻訳の仕事があって、週末もあまり外出できませんでしたが、家の中から見ていても、かなりすごい雨でした。
トランプ大統領が、来月12日に予定されていた米朝首脳会談をキャンセルしましたね。日本では、「ほら見たことか!やっぱり北朝鮮なんか信用できん!」という報道が目立ちますが、どうなんでしょうね…私にすると当たり前の外交駆け引き、つまり自国にとって有利な条件を引き出すための手段のように見えます。その直後に、2度目の南北首脳会談が急遽行われましたし、すったもんだありつつも、歴史的な米朝首脳会談が実現してほしいと思います。
アルメニアでは、毎日のように過去の政権の腐敗に関するニュースが報道されています。文化省が多額の公金を流用していたとか、出国時に空港で行われている指紋採取に実はお金が取られていて(アルメニア発効の航空券に含まれていたらしい…)、それが有力政治家の懐に入っていたとか…どこまで本当なのか分かりませんが、そんな情報が流れるだけでも、この国に蔓延っていた腐敗の酷さを物語っています。
さて今、世界的ポップスターのエルトン・ジョンがアルメニアを訪問中です。といっても、残念ながらコンサートのためではありません。「これで最後の公演活動」と発表した世界ツアーは今年9月から開始の予定ですしね。じゃあ、なぜアルメニアに?というと、チャリティー活動が目的で、ここの聴覚障碍者たちに補聴器を寄付しれてくれました。
アルメン・サルグシャン大統領は8年前から慈善団体を運営しており、その活動の一環として視聴覚障害の支援をやっています。そして何と、エルトン・ジョンとサルグシャン大統領は昔から親交があったため、今回のアルメニア訪問が実現したそうです。さらに大統領はピーター・ガブリエルとも親交があって、彼もアルメニアを訪問するかもって記事がありました。いくら20年間アルメニアの駐英大使を務めたからって、そんな著名な音楽家たちとの人脈があるなんてすごすぎ…さすがテトリスの開発者の一人!
私は往年のロックやポップスが大好きなので、十代の頃、エルトン・ジョンもよく聞いていた時期がありました。まさか、その大物歌手がアルメニアに来るとは思いもしませんでしたし、ピーター・ガブリエルも本当に来たら驚きです。サルグシャン大統領によると、「エルトン・ジョンはまた訪問するし、次回はコンサートを開いてくれる」とのことです。マジで!?もし実現したら行ってみたいですね。
エルトン・ジョンの訪問の様子を伝える現地ニュースの映像(アルメニア語)。次回はコンサートも開いてほしいですね。
仕事で忙しいですが、せっかくの三連休に子供たちと遊ばないのは可哀そうなので、時々一緒に散歩したりしました。
エレバンを見渡せる場所にある公園でアトラクションに乗ったりもして、家族で楽しいひと時を過ごしました。
- [2018/05/28 22:01]
- アルメニア情勢 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
アルメニア新閣僚メンバーが正式に任命
最近また天候が不安定になってきました。寒くはないんですが、晴れているかと思ったら、急に曇ってきて雨が降ったりします。季節が本格的な夏に移り変わろうとしているかもしれませんね。
そんな中、仕事や子育て、またアパート探しなどで忙しくしています。「アパート探し?別居?!まさか離婚?!」ではなく、探しているのは日本の友人が泊まったり、荷物を保管したりするためのアパートです。私も仕事をするために時々使おうかと思っています。自宅だと子供がいて、なかなか仕事に集中できないんですよね…
そういえば昨日、危険なタックルで相手選手にケガを負わせた日大アメフト部の選手が記者会見を行いましたね。別に私はこの事件にもアメフトにも大して関心はないんですが、彼の会見をネットで見たら、とてもやるせない気持ちになってしまいました。彼がやった行為は酷いですが、その事実と正面から向き合い、自分の言葉で真実を語って罪を償おうとしています。
それなのに、日大アメフト部の監督やコーチらは、自己保身のためにきちんと真実を語ろうとしません。同様に、森友学園や加計学園を巡る問題でも、政治家や官僚らが恥ずかしげもなく矛盾した答弁を繰り返しています。そんな厚顔無恥な大人たちが世に憚り、未来ある若者が大好きなアメフトを捨てるという辛い決断に迫られる…その理不尽な現実に腹が立つと同時に、何だか無性に悲しくなってしまいました。
さて、先週発足したニコル・パシニャン首相の閣僚メンバーの任命式が一昨日行われました。アルメン・サルグシャン大統領の出席のもと、新しい閣僚メンバーが正式に任命されました。年配の人もいますが、やはり全体的に若々しいですね。大きな期待と責任を背負っているので、プレッシャーも相当だと思いますが、新しい国作りのために頑張ってほしいです。
何よりもまず、この国に蔓延る腐敗の問題を改善してほしいと思います。先日、新しく就任した国家安全保障局長が、「国内の約350の企業がまともに税金を払っていない」と語りました。また、地方の知事の大規模な汚職なども明らかになっています。この深刻な事態を受けて、パシニャン首相は、「全ての知事や市長は入れ替わることになるだろう」と発言しました。
ここに住んでいるから贔屓目に見ている訳ではなく、私はアルメニア人には大きなポテンシャルがあると以前から感じています。その証拠に、歴史的な発明をした人、また海外にいるアルメニア人にはビジネスや芸術の世界で成功した人が多いですからね。残念ながら、母国アルメニアでは、優れた人材の能力を活かしきれない腐敗した社会が長年続いてきました。そして、より良いを生活を求めて国を去る人が後を絶ちませんでした…
しかし、元々は愛国心や民族アイデンティティ-の強い国民なので、移住する人たちの多くも、できれば母国で暮らしていきたいと思っています。どれだけ時間と労力が掛かっても、アルメニアから腐敗をなくして、努力が報われる公平な社会に、夢や希望が持てる国へと生まれ変わってほしいと願います。
新閣僚メンバーの任命式の映像。ちなみにアルメン・サルグシャン大統領は元科学者で、なんとあの「テトリス」の共同開発者の一人!やっぱりアルメニア人は優秀なのかも?!
記事の内容には関係ありませんが、長男アレンの空手の練習風景です。
そのアレンの練習中、次男のレオは外の公園で遊んでいました。
空手の練習後、兄弟二人でシーソーに乗って遊びました。こんなことができるようになったんだなーと感慨深かったです。
- [2018/05/23 23:55]
- アルメニア情勢 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
新しい動物園で子供たちが大喜び
日がけっこう伸びて、夜8時頃まで明るくなってきました。晴れていると、半袖で十分なほどの暑さです。不安定な天候が続いていましたが、やっと初夏らしくなってきました。
アメリカの学校でまた銃乱射事件がありましたね。10人もの若い命が奪われた凄惨な事件ですが、場所がアメリカだと、「ハァ~ またかいな…」と大して驚きません。毎年起こっている上に、そこから何も学ばず社会が変わらない状況に呆れ果てているからです。アメリカでは、全米ライフル協会などの政界への影響力が強すぎて(トランプ大統領には32億円もの政治献金を行ったらしい…)、どれだけ銃による悲劇が起こっても本格的な規制には至らないという事情があります。
そのライフル協会が銃規制に反対する際に、「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」という言葉をよく使います。しかし、例えばオーストラリアでは、35人もの死者を出した1996年のポートアーサー事件をきっかけに国全体が一気に銃規制に動き、この20年以上は同様の事件が一つも起きていません。素早い対応で犠牲者の死を無駄にしなかった訳です。これでも銃規制がアメリカの抱える問題の解決にならないと言えるんでしょうか…
さて、アルメニアでは、ニコル・パシニャン新内閣が発足してから、これまでだったら考えられないような変化がいろいろ起きています。教育大臣が地下鉄で通勤していたり、移民大臣が庶民的なファーストフード店で食事していたり、学校や病院のお金の不正流用を厳しく取り締まったり。たとえば、私の息子たちも診てもらったことがある国立病院では、実際には働いていない職員が多数登録されていて、その架空の職員への給料を院長とかがポケットに入れていたのでは…と問題になっています。
所詮こんなのは氷山の一角で、同様の、というかもっと酷い汚職は国中で行われていたと思います。だって、前大統領を筆頭に国の指導者たちが腐敗していたんですから、「上の人間も皆やってるし別にえーやん!」と、全体的にモラルが崩壊するのは当然でしょう。最近、首相官邸に移ったばかりのパシニャン氏が、その豪奢な官邸内部の様子を映像で流して話題になりました。サウナが二つもあって、パシニャン氏は、「こんなものを作るお金は一体どこから来ていたのか?」と疑問を呈していました。
私は、政治家が贅沢な暮らしをすべきじゃないとは思ってはいません。その地位まで登り詰める力と運があり、責任重大な仕事をしている訳ですから、それに見合う対価を享受する権利はあるかもしれません。しかし、国民の多くが苦しい生活を強いられているのであれば話は別で、政治家たちがそういう現状を顧みずに私腹を肥やしてばかりいたから、今回の革命が起こったのです。蔓延った腐敗や汚職を一掃するにはかなりの時間と労力が掛かると思いますが、まずそれを実行しないとアルメニアは生まれ変われないでしょう。
いつもの政治談議はこの辺して、記事タイトルにあるように、昨日子供たちを連れて行った動物園の話に移りたいと思います。「リオ」というショッピングモールの2階に小さな動物園ができたので、妻と息子たちと一緒に行ってきたのです。屋内の小さな場所に、ワニやヤマアラシ、ヘビや猿、イグアナやオウムや亀など多様な動物が飼育されいて、けっこう見応えがありました。
ヤギやウサギに餌付けもできるので、子供たちは大喜びでした。もちろん餌代を払わないといけないんですが、アレンが「またーまたー」と言うので、結局3回も買ってしまいました。恐らく、これが動物園の一番の収入になっている気が…まあ、子供たちが満足してくれたから良かったです。
ちなみに私がはまったのは、コモンマーモセット。小さくて姿も独特なんですが、顔つきや表情が妙に人間っぽい。目が合った時にこちらを伺う表情とかは、ずーっと見ていて飽きません。帰り際にも、じっくりと観察してしまいました。子供たちだけでなく、私も気に入ったので、また家族と一緒に行ってみたいと思います。
入ってすぐのところで動物にエサをあげることができます。早速アレンも挑戦。面白がっていましたね。
ウサギに餌をあげたり、触ったりできます。子供たちはここが一番のお気に入りだったみたい。
ワニも近くで見れて、子供たちは興奮していました。
イグアナやカメレオンやヘビなどの爬虫類も飼育されています。
オウムは檻に入れらずに飼われています。飼育員の言葉や動きを真似ることができます。
私のお気に入りのコモンマーモセット。なんか歌舞伎役者みたいな見た目にはまりました。小さい場所に閉じ込められた動物たちは可哀そうに思いますが、けっこう楽しかったので、また子供たちを連れて行きたいです。
- [2018/05/21 16:39]
- 生活 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ニコル・パシニャン首相について
雨が降ったり止んだりの憂鬱な天気が続いていましたが、最近少しずつ天候が安定してきています。晴れていると、初夏の陽気でけっこう暑いですね。
先日、イスラエルの米大使館がエルサレムに移転したことで、パレスチナ人による激しい抗議デモが発生しました。約60人のデモ参加者が死亡したというニュースを見て心が痛みます…私は過去に2回イスラエルに行ったことがあって、根深い憎悪と暴力の連鎖を目の当たりにしました。大国の思惑や政治力学で尊いの命が失われてしまう悲劇が早く終わってほしいと思います。
さて、今週ニコル・パシニャン内閣が発足しました。若い閣僚メンバーについては賛否両論ありますが、いろいろと変化が起こっています。たとえば、第一副首相が、これまで割り当てられていた5台の公用車のうちの3台の使用を自ら断ったそうです。いやー公用車が5台って明らかに多すぎでしょ!税金の無駄遣いも甚だしい!
ちなみに、私が尊敬する南米ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏は、任期中もずっと古いフォルクスワーゲンの自家用車で通勤していました。また、デンマークでは、国会議員の60%以上が自転車通勤しています。まあ、別にそこまでしなくてもいいんですけど、アルメニアも、もっと政治家と市民との距離が近い国になってほしいと思います。そういえば、パシニャン首相は毎日政府の仕事などについて国民に向けて語って、ライブで配信していますね。
さて、この1カ月ぐらい、アルメニアの政変について記事を更新してきましたが、その中心人物であるニコル・パシニャン氏についてまだ一度も詳しく書いていませんでした。なので、今や国民の期待と注目を一身に集め、時の人となったパシニャン首相のことを簡単にご紹介したいと思います。
パシニャン氏は、1975年6月1日にイジェヴァンで生まれました。ちなみに彼の誕生日をお祝いするために、来月1日は共和国広場で支持者による集会が行われる予定です。本当に愛されていますね。だって、腐敗しきった共和党の独裁に終止符を打ったのですから。その分プレッシャーや責任も半端ないから大変でしょうけど…
彼はアルメニア国立大学ジャーナリズム学部でトップクラスの優等生でしたが、当時の学長の批判記事を書いて問題になり、その学長から、「記事の内容を否定しないと退学にするぞ!」と脅されても、「これは事実だから否定などしない!」と突っぱねて退学になりました。この過去の出来事は今回の政変で市民の注目を集め、国立大学の学生たちが、「パシニャン氏に学位を与えるべきだ!」と訴えました。その結果、首相就任直後に大学側から学位が授与されました。
政治家になる前は、「アルメニアタイム」というリベラルな新聞紙の編集者を務めていました。在職中は共和党の腐敗政治を激しく批判し続け、10年前の大統領選挙の不正に対する違法な抗議活動を行ったとして、当局から指名手配されました。1年以上の逃亡生活の末、2009年に自ら出頭して逮捕。2年の服役を終えて出所後、アルメニア初代大統領のレヴォン・テル・ペトロシャン氏が率いる野党「アルメニア国民議会」のリーダー的存在になり、2012年に当選して国会議員になりました。
2016年に、他の野党党首と共に、「エルク(アルメニア語で出口・糸口の意味)」という政党を結成。翌年の国会議員選挙で9議席を獲得し、第二野党となりました。2018年初めにセルジ・サルグシャン元大統領が首相就任の意思を表明したため、地方からエレバンに向かって歩いて抗議する「マイステップ」という活動を開始。4月13日、多くの支持者のと共にエレバンに到着しました。
その後はご存知のように、市民と共に大規模な抗議デモを行って、サルグシャン前大統領を辞任に追い込み、歴史的なビロード革命を成功させました。そして5月8日、国会の投票によって、第16代アルメニア首相に選出されました。
奥さんはジャーナリストのアンナ・ハコピャン女史で、二人の間には4人(一男三女)の子供がいます。子育ては大変だったと思いますが、波瀾万丈のパシニャン氏の人生を傍でずっと支え続けました。しかし、奥さんは最近のインタビューで、「今後もジャーナリストの仕事は続けるし、たとえ夫でも、彼が政治家として間違ったことをすれば容赦なく批判する」と語りました。こんな厳しい批評家が身近にいたら、道を踏み外すことはないかもしれませんね。
こういう反骨精神を持った人がアルメニアの指導者になるなんて夢にも思いませんでした。もちろん、その真価が問われるのはこれから。常に一般市民の立場に立って、より良い未来を築けるような政治を行ってほしいと思います。
記事に関係ありませんが、先日次男のレオが数か月ぶりに散髪しました。女の子と間違えられるほど伸びていましたからね。最後は泣いてしまいましたが、何とか無事に終了。
バッサリ短く切って男の子らしくなりました。すっきりして本人も嬉しそう。そして、もうめっちゃ可愛い!相変わらず親バカですみません…
今週はいろんな用事で忙しく、かなり外出が多いです。その途中、久々にアララト山の雄姿を望むことができました。雨がちな天気でしたが、次第に安定してきて青空が広がっています。
- [2018/05/17 23:45]
- アルメニア情勢 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ニコル・パシニャン内閣が発足
雨が降ったり止んだりの気が滅入る天気が続いています。そういえば、昨日は母の日でしたね。アルメニアでは、4月7日が「母性と美しさの日」という、いわゆる母の日になっているので、特にお祝いなどはありませんでした。
現在ロシアのソチでユーラシア経済連合サミットが開催されており、それに出席したニコル・パシニャン首相がプーチン大統領と初の会談を行いました。今回のアルメニアの政変を反ロシア的なものとする見方もありましたが、今日の会談では、両国の同盟関係の重要性が改めて確認されました。
アルメニア新首相、プーチン氏と会談、同盟関係を確認
さて、そのパシニャ首相率いる新内閣のメンバーが決まりました!共和党時代の顔触れは全て消えて、完全に刷新されました。そういえば長年アルメニア在外移民省のトップを務めた女性大臣の辞職のニュースには、市民が大喜びしていました。なんせここは、海外のアルメニア系移民から寄付される莫大なお金を私的に流用しているという噂が絶えず、「マネーロンダリング省」と揶揄されていましたからね。
新しい閣僚メンバーは大臣経歴などない若い人が目立ちます。最年少大臣は27歳で、平均年齢は約42歳!ちなみに日本の閣僚の平均年齢は約62歳…当然これには期待する声と共に、「経験や実績がない若造に大臣なんて務まるのか?!」という批判も聞かれますが、「まー仕方ないんちゃうの」って思います。
だって、ずっと政府の要職は共和党が独占していたんですから、政権交代が起これば、どうしても実績や経験のない人が中心になってしまうのは自然な流れ。年を取っていればいいってもんでもないし、未来に向けた国作りはなるべく若い世代が担うべきではないでしょうか。
それに老害という言葉もあるように、経験はもちろん大事ですけど、新しいことに挑戦したり、未知の世界に踏み出そうという時には却って邪魔になったりします。というか、実際には経験してもないくせに、偉そうに説教したり批判したりする人さえいます。夢を追いかけている若者に対して、「どうせ失敗して、あとで後悔するに決まってる!」などど咎める大人に限って、自分自身はリスクを取って何かに挑戦した経験なんて皆無だったりしますからね。じゃーなんでお前に分かんねん!
話が逸れましたが、新しい閣僚メンバーについて、「経験や実績のない大臣なんて不安…」と思うのは、国を動かす大変な仕事な訳ですから理解できます。でも、そう批判する人たちに、「じゃあ、以前の政府のままの方が良かったん?」と聞いたら、ほとんどが、「いや、あれは絶対ダメだ!」と答えるでしょう。これって何だか、ずっとろくに食べられなかった人が出された食事を見て、「盛り付けがきれいじゃない!大盛りにしろ!ニンジン大嫌い!」と文句を言っているみたい。
そりゃー経験もあって清廉で立派な人物がいいに決まっています。しかし今までは、たとえそんな人がいたとしてもコネがないと要職に就けなかったり、反対にコネやお金がある人なら、どれだけ人格やポリシーに問題があっても議員や大臣になれたりってことが起こる国民不在の政治でした。そんなのが20年も続いた上に、同じ指導者が改憲までして権力の座に居座ろうとしたんです。
その腐敗した政府に対する市民の怒りが、「とにかくこの酷い状況を変えなあかん!」という不可逆的なパワーになって、歴史的な革命が実現しました。国民は、敷かれたレールの上を歩かされるのではなく、自分の意志で新たな道を歩んでいくことを選んだわけです。その決断に未来への希望を託したのであれば、リスクを覚悟してでも、旧体制から脱却して新しく生まれ変わなければいけません。
今回の革命の真価が問われるのは、誰が首相や閣僚になるかということよりも、民主主義のシステムがちゃんと機能していくかどうか…つまり、政府が上意下達で国を変えるのではなく、国民が主体となって変えていけるかどうかが重要なんです。アルメニア国民はそれができるということを証明したのですから、私は希望を持ちたいと思います。
アルメニア新内閣のメンバーの写真とプロフィール(英語)
現地のアルメニア語ニュースですが、パシニャン首相と新閣僚らとの初閣議の映像。アルメニア人は実年齢より老けて見えますが、かなり若い内閣です。ちなみにパシニャン首相も43歳で私より1つ年下。
記事の内容と関係ないですが、息子たちと近所を散歩した時の写真。タンポポの綿毛を珍しがる次男のレオ。
長男のアレンは、上手に息を吹いてタンポポの綿毛を飛ばします。若い力で、子供たちにとってより良い未来を築き上げていってほしいですね。
- [2018/05/14 23:50]
- アルメニア情勢 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲