5月1日にアルメニアの新首相が選出
日本は今日からゴールデンウイークですね。アルメニアも、5月1日はメーデーでお休みで、政府が4月30日も休みとしたので4連休です。といっても、次男レオの風邪が完治していないので、私は特に出かけたりする予定はありません。
アルメニアで予想もしなかった大変革が起こったと思ったら、今度は北朝鮮の指導者が初めて韓国に入り、歴史的な南北首脳会談が実現しました。具体的な道筋などについては言及されませんでしたが、終始和やかなムードの中、「朝鮮半島の完全な非核化」や「恒久的な平和の構築」などの合意が達成されました。
私は12年前に韓国を旅行したことがあって、北朝鮮との国境近くも訪問しました。同じ民族が分断されている現実を見て、胸が締め付けられるような気持ちになったのを覚えています。今回の首脳会談をきっかけにして、悲惨な歴史に終止符を打ち、融和への道を進んでほしいと願います。
もちろん昨日の出来事は、南北両国、中国や米国、そしてロシアなどが水面下で交渉や駆け引きを行ってきた結果。で、完全に蚊帳の外に置かれたのは日本…安倍首相が「米国と圧力路線で一致した!」と浮かれている間に、ちゃっかり米国はCIA長官を北朝鮮に派遣して協議していたんですもんね。一方、トランプ大統領は中国について、「私の親しい友人である習近平国家主席の多大な助力を忘れないでほしい。彼がいなければ、より長く困難なプロセスだっただろう」と称賛しました。
とにかく、日本の対米従属ぶりには呆れ果てます。米朝会談で拉致問題を取り上げてくれと懇願してますが、「アメリカ・ファースト」を掲げ、貿易問題でも関税までかけて日本に強く譲歩を迫るトランプ大統領にとっては全く他人事でしょう。しかし、その対米従属という国是も、南北の和平が進んで非核化が実現すると(実際には核放棄せんやろけど…)、大義名分を失い、駐留米軍の存在意義も疑わしくなってきます。もう政府は北の脅威を利用できなくなりますからね。
ずっと以前から私は、北朝鮮の核やミサイル開発はあくまで外交カードであって、実際に攻撃してくる可能性はほとんどないと思っています。ミサイル発射実験があった時も、日本の政府やメディアはやたらと危機を煽るのに対し、韓国の方は至って平静だったりしますから。それに北からの攻撃を問題視するなら、同時に原発の危険性も問題にしないと。だって、別に東京を攻撃せずとも、国内に50基以上ある原発のどれかにミサイルを撃ち込めば、半永久的に人が住めなくなって日本は終わりです。
さて、同じく大きな変化の真っ只中にいるアルメニアですが、この数日はエレバンの状況は落ち着いています。その代わり、ギュムリなどの他都市で大規模な集会が行われています。というのも、野党指導者のパシニャン氏が、エレバン市民に抗議活動を一時的に止めるよう呼びかけたからです。実は、デモ参加者らの非常識な行動が問題になってきてたんですよね。
特に車でデモに参加している人たちのマナーが酷くなっていました。車で道路封鎖などをやっていたんですが、ナンバープレートを外したり隠したりする人が多かったんです。警察に特定されないようにしていたんでしょうけど、これは明らかに交通違反。また、調子に乗って飲酒運転したり、スピードを出したりする人も多く、先日そんなドライバーの一人が事故を起こして、まだ1歳だった子供が亡くなってしまいました。子を持つ親として、これは本当に胸が痛みます…
市民も次第に冷静になってきて、「デモもいいけど、ルールやマナーを守るべきだ!」と訴える人が出てきています。確かにそうですよね。せっかく無血革命を成功させたのに、そのお祭り騒ぎで人が死ぬなんて本末転倒も甚だしい。結婚式で誰か飲みすぎて死んだりしたら全てが台無しになっちゃうようなもんです。
まあ、こういう熱狂的なデモ参加者がたくさんいたからこそ、歴史的な大変革が実現できたとも言えます。みんながやたら冷静だったら、デモは長続きしなかったし、また政府に制圧されていたかもしれません。とはいえ、せっかく国が生まれ変われるチャンスを掴みとったんですから、市民一人一人が責任を持って行動してほしいですね。
ちなみに政治混乱を収束させるため、5月1日に議会で新首相が選出されることになりましたが、いまだに与党・共和党が過半数の議席を持っているので、結果が世論を反映したものになるかどうかは微妙…それでパシニャン氏は、「私が唯一の首相候補だ!」と訴えています。確かに今は、彼の首相就任を支持する声が最も多いでしょう。ただ、ちょっと怖いのは、「パシニャンがこの国を良くしてくれる!」と、彼に過剰な期待を寄せて、全て委ねるような雰囲気があることです。
もちろん今回のデモを組織して成功に導いたんですから、多くの市民が彼を支持するのは理解できます。だからといって、どんな指導者にも白紙委任状を与えてはいけません。誰が首相になったとしても、有権者の代表としてきちんと仕事をしているか、国民は常にチェックする必要があります。結局、政治の主役はいつも国民。その民主主義のあるべき姿を示したのが、今回のアルメニアの革命だったわけですから。
まだ当分アルメニアの混乱は続きそうですが、「私たち一人一人が新しいアルメニアを作っていくのだ!」と、市民自らが考えて行動する真の民主主義が実現されることを切に願います。
なぜかアレンの頭をなでなでするレオ。流行っている風邪は長引くようで、まだレオは完治していません。でも、少しずつ元気になってきています。
風邪をひく前の動画ですが、アレンが通う空手道場でレオも体を鍛えました。その一生懸命な姿が可愛らしかった。
- [2018/04/28 20:48]
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昨日はアルメニア人虐殺記念日
一昨日4月23日に、多くの市民の要求していたサルグシャン前首相の辞任が実現し、アルメニア中が歓喜の渦に包まれました。前首相を支持していた人もいたでしょうけど(それも尊重すべき一つの立場)、ほとんどの国民は、「ついに私たちが勝利した!」と心から喜んでいました。最後は軍人や警察までもがデモに参加し、首相辞任のニュースが報じられると、市民と共に喜びを分かち合っていました。
だって、アルメニアの政府権力の腐敗ぶりは半端ないですからね…辞任した前首相の兄弟は多くの土地や不動産を所有しているし(アメリカにも持っているらしい)、有力な政治家たちは、賄賂やビジネスなどで莫大な資産を築いています。一方、多くの国民の生活は苦しく、海外流出に歯止めがかかりません。そういえば、その代表格の政治家の一人が所有する「CITY」という最大手のスーパーマーケットに対する不買運動が起こっていて、実際に今すごく利用者が減っているそうです。
大きな変革が起きたアルメニアですが、市民たちは興奮に酔いしれたままではなく、自分たちの手でより良い国を作っていきたいという気持ちを強くしたのか、昨日の朝は、デモ集会が行われていた共和国広場をみんなで掃除していました。これは素晴らしい!前首相の辞任は最初の一歩であって、大切なのはこれからですからね。
ずっとデモが行われていた共和国広場を掃除する人たち。「新しいアルメニアは掃除から始めよう!」と、一部の市民ら自主的にしたそうです。偉いですね!
新しく生まれ変わろうとしているアルメニアですが、実は今日も大規模な抗議デモが発生し、エレバン市内の交通が混乱しています。というのも、今日予定されていた野党勢力指導者のパシニャン氏と、臨時で首相を務めるカラペチャン氏との会談がキャンセルされたからです。事前に提示されたお互いの条件や要求が全く合致しなかったことが理由だそうです(パシニャン氏側の提示した条件がちょっと無茶すぎだった…)。
そのためパシニャン氏は、「サルグシャン前首相が影で操る共和党の一党支配を終わらせ、市民が求める候補者を選ぶべきだ!」と訴え、市民らがデモを継続しているのです。確かに10年も国のトップに居座った権力者が、「私が間違っていた…」と潔く非を認めて辞任したからって、彼の支配する政党が強権を握っている限りは大して何も変わりませんからね。
かといって、パシニャン氏が本当に首相としてふさわしいかどうか分かりませんし(もちろん今は圧倒的に支持されていますけど…)、今回の事態に大国の思惑が絡んでいないとも言えません。何より人々が冷静さや寛容を失って一つの方向に振り切ってしまうのは危険ですが、真の変革のためには、腐敗した既存権力や腐敗システムに抗議する必要があります。そういう意味で、アルメニア市民の闘いは決して終わった訳ではなく、今まさに始まったばかりだと言えるでしょう。
ところで、昨日4月24日はアルメニア人虐殺記念日でした。今年は103周年になります。毎年その日の朝に大統領や首相などの要人が虐殺記念碑を訪問するのですが、やっぱりサルグシャン前首相の姿はありませんでした。私は午後に家族と一緒に献花してきました。住み始めてから毎年のことなので、これで9回目になります。
しかし、今年は一番混雑していて大変でした。記念碑が建つ丘の上までやっと着いたと思ったら、そこからほとんど進まない…けっこう暑かったせいもあって、子供たちが疲れ切ってしまったし、とりあえず列から外れて公園の日陰で休むことにしました。長男のアレンは「足が痛い」と言うし、次男のレオはそのまま妻に抱かれて寝てしまいました。
さすがに「もう帰ろうか…」とも思ったんですが、日が傾いて涼しくなり、休憩を取ったからか、子供たちも少し元気になりました。それで試しに人の列に戻ってみると、けっこうスムーズに前進します。それでも記念碑まで40分ほどかかりましたが、何とか到着して、犠牲者のために献花することができました。結局、全部で4時間近くかかってしまい、私も妻もぐったり…
今年は、前日に革命と言えるような歴史的出来事があったので、訪問するアルメニア人が多かったんだと思います。疲れましたが、無事に虐殺の犠牲者への追悼をすることできました。同じような悲劇が繰り返されないよう祈ると同時に、アルメニアが過酷な歴史の中で犠牲になった人たちに誇れるような国になってほしいと、心から願います。
献花するチューリップを持って嬉しそうなアレン。この時はまだ元気でしたが…
あまりに進まないので、公園で休憩することに。家族みんながしんどそうな表情…
列に戻った時は5時過ぎでしたが、それでもこの人の多さ!
何とか無事にアレンも献花できました。辿り着くまで時間がかかってしまい、花はヨレヨレでしたけど…
永遠の炎の周りに無数の花が積まれています。毎年のことですが、この光景には圧倒されます。
何とか慰霊ができて一安心の家族。今年は疲れたね…犠牲者の冥福とアルメニアのより良い未来のために祈りました。
- [2018/04/25 23:07]
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サルグシャン首相が辞任を発表!
1日に2回も記事を更新するなんて初めてだと思いますが、先ほどビッグニュースが飛び込んできたのでお伝えします。
11日間続いた市民による大規模な抗議行動を受け、セルジ・サルグシャン首相が辞任を発表しました!とりあえず、前首相のカレン・カラペチャンが代理首相を務めるそうです。明日はアルメニアにとって大切な虐殺記念日ですから、これ以上の混乱を避けるために事態が大きく動いたのかもしれません。
この首相辞任のニュースが報じられて、今エレバン中がお祭り騒ぎです。「おめでとう!」と声をかけると、「ありがとう!」とみんな嬉しそう。これまで抑圧され続けてきたアルメニア市民が、一致団結して変革を起こしたんですからね!本当に素晴らしい!「自分の国と人々のことを誇りに思う」と、妻も喜んでいます。
しかも、一人の死者も出なかった無血革命です。警察が次第に横暴になってきていたにも関わらず、多くの市民は暴力で応じたりせず平和的にデモを行うよう努めていました。そしてデモ参加者は10万人を超え、最後は兵士や警察の一部までがデモに参加していました。
もう強制排除なんてできる状況じゃなくなり、政府は市民側の要求を受け入れる方向で考えざるを得なくなったのでしょう。もちろん政権内部では様々な駆け引きや交渉が行われたはずで、サルグシャン首相が辞任しただけで国が大きく変わると決まった訳ではありません。大切なのはこれから!掴みとった希望が二度と失望に変わらないよう、市民が腐敗や不正と闘っていかなければなりません!
いずれにしても、市民の力で政府決定を覆し、ずっと国民不在だった政治を変えたという事実は本当に大きいと思います。アルメニア人にとっては誇りと自信になり、政府にとっては忘れられない教訓になったでしょう。市民の力を侮るな!ってことですね。日本もちょっとは見習ってほしい…
まさかアルメニアで、こんなすごい歴史的瞬間を目の当たりにできるなんて思ってもみませんでした。アルメニア人じゃありませんが、この国で家族を作って住んでいる私も涙が出るほど感動しています。そして、この国の強く優しい人々のことを誇りに思います。本当におめでとう!Շնորհավոր, Հայաստան!
反政権デモで首相辞任=アルメニア
ついにアルメニア市民が勝利しました。おめでとう!真の勝利は、これからに掛かっています。子供たちのためにも、より良い未来への第一歩になりますように!
- [2018/04/23 23:04]
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10万人以上の市民が抗議デモに参加
すっきりしない肌寒い天気が続いていましたが、今日は雲一つない青空です。今年は信じられないほどの暖冬で、春も早くやってきたと感じたんですけどね…三寒四温とはよく言ったものです。そのせいで体調を崩していた息子たちですが、お蔭さまでだいぶ元気になりました。
さて、セルジ・サルグシャン前大統領の首相就任に対する抗議デモですが、もちろん今も継続中です。アルメニアだけでなく、海外に住むアルメニア人も各地で同様のデモを行っています。そういえば、今朝アレンを幼稚園に連れて行ったら、どうも子供が少ない…なんと、多くの親たちが抗議として子供たちを幼稚園や学校に行かさないことにしたそうです。「Merjir Serjin!(セルジを拒否しろ!)」というスローガンの下、国民が一致団結しています。
ところで昨日、そのサルグシャン首相とデモを率いる野党勢力指導者のニコル・パシニャン議員が会談を行いました。でも、数分後にサルグシャン首相が、「まるで話にならん!」と席を立って会談は終了…パシニャン議員は首相職を辞任するよう求めましたが、首相にはその気など全くないからです。
その際にサルグシャン首相が発した言葉に、また市民の怒りが爆発しました。パシニャン議員に対して、「7~8%の票しか獲得していない野党に国民を代表して語る資格などない」とか、「2008年3月1日の出来事から何も学んでいない」と言い放ったんです。あんな不正だらけの選挙システムでは有権者の意思なんてほとんど反映されないし、たとえ7%だとしても、それも国民の声なんですから尊重すべきでしょう。
さらに問題なのは、「2008年3月1日の出来事から学んでいない」という発言です。この出来事というのは、10年前にサルグシャン氏が当選した大統領選で不正があったと抗議する野党支持者らと警察隊との激しい衝突のこと。双方に死傷者が出て、非常事態宣言まで発令されました。このサルグシャン首相の発言は、「さらにデモが続けば、また弾圧するぞ!」という脅しとも取れます。
まして彼はその弾圧事件の当事者ですからね。さらに明日4月24日はアルメニア人虐殺記念日で、海外から多くのアルメニア系移民や要人らが訪れるので、事態を収拾するためにデモ隊を強制排除するつもりかもしれません。それを暗示するかのように、昨日の会談の直後、パシニャン議員は違法なデモを扇動したという理由で拘束されました。また警察隊による横暴な逮捕も増加し、覆面をした集団がデモ参加者を襲撃する事件なども起こっているようです。
このサルグシャン首相の発言や野党議員の拘束などによって市民の怒りが最高潮に達したのか、昨晩は共和国広場に10万人以上の市民が集結したそうです。これのどこが7%なんやねん!エレバンの人口の約10%なので、もし東京だったら100万人規模の超巨大デモです。これを武力で弾圧でもしたら、政府による自国民の虐殺になってしまうやん!
とまあ、熱くなって書き連ねましたが、デモ開始から1週間が経過し、自分なりに冷静に考えてみると、何だか怪しい部分も見えてきます。たとえば同盟国(というより宗主国)のロシアが、なぜかいまだに声明などを一切出さず無反応なこと。背後にロシアの存在を感じなくはないですし、もちろん欧米(特に今ロシアと対立している英国)が関与している可能性も否めません。
あと、政府は鼻っから市民が大反対することを百も承知で、敢えてデモを一種のガス抜きとして利用している可能性もあります。住んでいるこの9年の間にも、理不尽な政府決定に対する抗議デモは何度か発生し、かなり大きな規模に発展したこともありましたが、いずれも最終的には政府権力に制圧されて、市民らは不満を抱えながらも普段の生活に戻っていきました。
しかし今回は、「ついに変革が起こるかも…」と思えるすごいデモです。だって、国民の多くがサルグシャン政権に疲れ果て、心底うんざりしていることは紛れもない事実。これまでアルメニア人から政府について肯定的な意見を聞いたことはほとんどありません。たとえ大国の思惑が絡んでいようと、政府が武力で制圧しようとしたとしても(そんな事態にならないことを祈っていますが…)、最後にはアルメニア市民が勝利すると信じています!
反政権デモ主導の議員拘束 = アルメニア、混乱続く
昨晩の共和国広場の写真。10万人以上(警察の発表では約3万5千人)の市民が集まり、サルグシャン首相の辞任を求めました。すげー!至って平和的なデモですから、あまり危険な雰囲気などはありません。
ちなみに、ちょうど3年前にこの共和国広場で虐殺100周年コンサートを開いた世界的バンド「System of A Down」のボーカルのセルジ・タンキアンが、デモを支持するため急遽アルメニアを訪問しています。私もそのコンサートを見ました(写真はその時のもの)
昨日の集会の様子を空撮した動画。アルメニア人の団結力と、彼らの心からの叫びに感動して泣けてきます…
- [2018/04/23 17:16]
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前大統領への抗議デモが継続中
ここ数日は天気が不安定です。春らしい暖かい天気だったのに、急にまた肌寒くなったせいか、子供たちが風邪を引いてしまいました。次男のレオは39℃近い熱を出して、昨晩はなかなか寝付いてくれませんでした。かわいそうに…
さて、先週から行われているサルグシャン首相に対する抗議デモですが、現在もずっと続いており、ギュムリなど他の都市でも同様の抗議デモが発生しているようです。一部のデモ隊が警察と衝突することもありますが、多くの参加者は暴徒化したりなどせず、特に危険は感じませんし、今のところ生活への影響もほとんどありません。
ただ、デモ隊によって市内の道路が封鎖されるので、交通が混乱しています。私も今日バスやタクシーで移動中に道路封鎖に遭遇しました。仕方ないので最後は歩きましたが、別に迷惑だとは全く思いません。市民が権利を行使して、自分たちの抗議の意思を表明しているだけですからね。もし誰も行動を起こさなかったら、さらに政府のやりたい放題になってしまいます。
毎晩エレバン中心部の共和国広場には、老若男女問わず大勢の市民が集まり、前大統領が首相の座から降りるよう訴えています。これまでも何度か政府に対する抗議デモを経験してきましたが、今までになく市民の怒りや不満がかなり深刻に思えます。普段ならこういう状況下でも冷静な妻でさえ、「さすがにこれは酷すぎる…」と呆れています。
まあ、そりゃそうでしょう。「私腹を肥やしてばかり!」と、国民から全く支持されていない前大統領が、不正だらけの国民投票で改憲して、任期を終えてからも首相の座について実権を握ろうとしているんですから…もちろん一方的な見方をしてしまうのは危険で、政界内部には凄まじい駆け引きがあったり、ロシアや米国などの大国の思惑も絡んでいるかもしれません。
しかしですね、1万人以上の市民が連日デモに参加して、「もういい加減にしろ!お前は出ていけ!」と必死で反対しているんです。エレバンの人口は約100万なので、もし東京だったら10万人以上の市民が街中で、「安倍首相やめろ!」と叫んで抗議しているような状況です。デモに参加していない人たちだって、もしアンケートでも取ったら確実に80%以上が、「前大統領の首相就任に断固反対!」と答えるでしょう。
これだけ有権者から嫌われて辞めてほしいと思われているにも関わらず、よくまあ臆面もなく地位や権力にしがみつけるなあ…と、私には理解できません。しかも、「わしは首相になったりせえへんで!」と言い切っていたんですよ。厚顔無恥にもほどがあるって、ウン?あれ?そういや安倍首相も、「もし私や妻が関わっていたら、首相も議員も辞める!」とはっきりと言ってたな…
デモが拡大する中、警察側も次第に横暴になってきています(彼らも仕事だから不憫ですけどね…)。この抗議デモがいつまで続くのか、また政府がどのような対応をするのか、今は何とも言えません。とにかくアルメニア市民には、権力に屈することなく声を上げ続けてほしいと思います。日本語のニュースも増えてきたので、下に少し貼っておきます。
アルメニアで1万人抗議デモ = 前大統領の首相就任に反発
前大統領の首相就任に対する抗議デモの動画
風邪を引いてだるそうなレオ。実は、どうしようもないアルメニア政府に呆れてたりして…
バスが急に止まったので、「あれ?!」と思ったら、デモ隊が道路を封鎖していました。
いつもなら交通量の多いメイン道路もガラガラです…
- [2018/04/21 04:32]
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