日本語って難しいけど面白い! 

アメリカの大統領選挙の候補者選びが本格化していますね。共和党のトランプ氏が何かと話題になっていますが、私が注目しているのは民主党候補のバ-ニ-・サンダ-ス氏。自ら民主社会主義者を標榜し、企業献金を一切受けずに活動している稀有な政治家です。

私の大好きなロックバンド、レッド・ホット・チリペッパ-ズがサンダ-ス氏の支援イベント費用の一部を負担したいと申し出た時、「君たちからお金を受け取ると、レコード会社から大口献金を受けたことになる」と言って断ったそうです。どんだけ徹底してんねん!

とにかく掲げる政策も、公立大学の無料化や医療保障の拡大、富裕層への課税や労働者の組合加入支援など、資本主義大国アメリカではあり得ない内容ばかり…しかし、行き過ぎた格差や貧困を是正しようという真摯な姿勢が支持されて、その人気はクリントン候補に肉薄する勢い!彼のような人物が大統領になったアメリカを見てみたいので、是非とも頑張ってほしいです。

さて、前回の記事に、「ゆっくり休めるように、明日は会社に行きたくない」という文章がなぜおかしいのか?という疑問に頭を抱えていると書きましたが、自分なりに一つの答えを見つけました。とはいえ、何だか感覚的な部分があって、あまり論理的とは言えないかもしれませんけど…

まず、「~ように」という表現は目的というより期待の要素が強く、その点が「~ために」という表現と異なります。だから、「~ように」には無意志動詞を使うことが多いんです。無意志動詞というのは人の意思でコントロールできない行為を表す動詞のことで、例えば、「聞くように」ではなく「聞こえるように」と普通は言いますよね。

で、人は何かを期待している時、なるべくそれが実現するよう積極的な行動をするものなので、上記の「聞こえるように」の場合も、そのために前の方に移動したり、もっと大きな声で話してとお願いしたりします。だから、後に「~たくない」などの消極的な文章が来ると、どこか矛盾や違和感を感じてしまうのだと思うのです。

あくまで個人的見解なのですが、学生にそうやって説明したら問題なく理解してくれたみたいで安心しました。とにかく、今回の疑問について考える過程で日本語の特性を更に深く理解することができ、日本語教師として成長する機会を与えてくれた学生に感謝しています。

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今回の記事に全く関係ないんですが、息子アレンの寝顔写真。かなり独特な日本語とアルメニア語を、すでに使い分け始めていることに感心します。子供の言語習得能力ってすごい!

やっぱり日本語って難しい… 

一昨日から天候が崩れ、夜に雨が降ったりしたので少し気温が下がりました。それでも冬は終わりに向かっているように感じます。この雨も季節の変わり目だからじゃないでしょうか。

アレンはまた扁桃腺を腫らして熱があるので、明日は幼稚園を休む予定です。まあ、本人は至って元気そうなんですけどね。いつものように私がタブレットを使っていると、ニコニコしながら近づいてきて奪い取り、我が物顔で使っています。普通に使いこなす姿に感心すると同時に、これでいいんかいな?と不安になったりもします。

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時代は変わりましたね。でも、あまり使い過ぎないようにしないと…

さて、大学も始まり、全く休日がない状態で授業をする日々に戻りました。生活のためとはいえ、1日も休みがないのは少し疲れますが、やはり日本語を教えるのは楽しいです。人と真正面から向き合い、かつ自分らしくいられる仕事なので大好きです。

しかし、やっぱり日本語は難しい言語だなあ…と痛感させられる時があります。最近かなり答えに窮する質問があって、頭を悩ませています。例えば、助詞の「は」と「が」の違いって何?、なぜ「好き」や「分かる」の助詞には「を」じゃなくて「が」を使うのか?、動詞などを名詞化する「こと」と「の」は何が違うの?といった質問には、これまでの経験から問題なく答えられます。

恐らく上記のような質問も、特に日本語を教えたことがない人にとっては相当難しいと思います。だって、私たち日本人はそんなこといちいち考えずに話していますからね。だから、敢えて「何が違うの?」「どうして?」と聞かれると困ってしまうのです。それを深く考えなければいけないのが日本語教師の仕事の難しさであり、同時に面白いところでもあります。

今、私を困らせている質問は、家庭教師の学生に目的や期待を表す「~ように」という表現を教えた時にぶつけられました。この文法指導の際によく聞かれるのは、似た表現の「~ために」との違い。これについてはちゃんと説明しましたが、授業の終わりに学生が、「ゆっくり休めるように、明日は会社に行きたくないです」という文章は大丈夫ですか?と聞いてきました。

感覚的におかしいということはすぐ分かりました。しかし、なぜおかしいのか??がイマイチ説明できないので、次の授業までの私の宿題にしました。いろいろ考えて、「~ように」に続く文に否定形は使いにくいということが分かったものの、そうなる理由がまだはっきりしません。

学生には、「そういうルールなんだ!」と押し切ってもいいんですけど、論理的な理由が分からないと私自身どうもスッキリしない…これって、当然と思えることに明確な理由や規則を見い出したいという人間の本能的な欲求かもしれません(自己満足かもしれませんが)。でも、私にとっては、それが日本語教師の仕事の面白さと言えます。

アレンの返答が適当すぎ… 

ここ数日の間に大分暖かくなってきました。朝晩の冷え込みも大したことないし、昼間はジャケットを着て歩いていると少し暑く感じることもあります。冬のガス代は200ドル近くも掛かって本当に大変なので、このまま春になってほしいと思います。

息子アレンも、今月から再開した幼稚園通いにすっかり慣れたようです。一緒にお風呂に入った時に、「幼稚園はどう?楽しい?」と聞くと、「楽しい」と答えました。「幼稚園で何するの?」と聞くと「遊ぶ」、「誰と遊ぶの?」と聞くと「ダビッド」、といった会話が続いたので、他にどんな名前の子供がいるのかな?と思い質問してみました。

アルメンやティグラン、カレンなどよくある男性の名前を挙げて、「幼稚園にいる?」と聞くと、アレンは全て「はい」と答えます。次に、アルミネやナリネ、マリアムなど女性に多い名前を挙げて聞いてみても、ことごとく「はい」という答え…ふーん、けっこういろんな名前の子供がいるんだなあと思いつつ、冗談で「田中君はいる?」と聞いてみたら、それも「はい」。おい、田中なんておる訳ないやろ!めちゃ適当に答えてるやん!

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妻と幼稚園に向かうアレン。一緒に遊ぶ友達もできて良かった。

そういえば、2週間ほど前にアルメニアの映画の撮影に参加しました。前日の夜いきなりキャスティング会社から連絡があって、「明日の朝、エレバンの隣町にある精肉工場に行って!ビジネスマン役だからスーツ着用。特にセリフもないし、2時間ぐらいの短い撮影よ」と言われました。いつものことなんですが、直前に出演依頼が来るので困ります。

たまたま翌日の朝は暇だったので現場に行ってみると、なんと私の役は中国人のビジネスマン…中国からアルメニアの精肉会社と契約を結びに来たという設定のようです。「俺、日本人なんやけど…ちゃんと事前に言ってくれよ!」と呆れましたが、詳しく仕事内容を聞かなったこちらも悪かったです。

とにかく、もう現場に来ちゃっているので、今さら断る訳にはいきません。まあ、私がすることは、俳優たちと一緒に工場内を歩き、「Good? Very good?」と聞かれたら、「Yes,Yes!」と答えるだけ。そして、彼らと握手して車で工場を去って行く…という簡単なもの。なので、言われた通りに仕事をしました。精肉工場の内部を見学できたし、テレビで見たことある俳優にも会えたし、それなり面白い経験でした。

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名前は分かりませんが、手前の二人の俳優はテレビで見たことがあります。左端のコートを着た俳優は、黒澤明と北野武の映画が大好きだと言っていました。

息子に生きる意味を教えてもらう 

今日2月13日は、テアルンタラチまたはトゥルンデスという、厄払いのために火の上を飛ぶ行事を行う日。新婚夫婦は必ず行うので、私と妻も4年前にしました。これは春の訪れを祝う祭りでもあり、その後は暖かくなると言われています。そうだったらいいなあ…

さて、今週は大学の学生たちに書道に挑戦してもらいました。学生の多くはまだ休みボケ状態で、普通に授業しても身が入らないでしょうからね。国立大学では、カメラを忘れたため写真は撮れなかったのですが、言語大学では学生たちが頑張って筆を動かしている姿を写真に収めることができました。

最初に私が見本を書いて見せて、止め・跳ね・払いなども少し説明しましたが、やっぱり学生たちには難しかったようです。なので、思い思い自由に書いてもらいました。国立大学の時と同じく、逆にルールに縛られないからか、けっこう個性的な字になって、それはそれできれいだなと思いました。

ほとんどの学生は、成功とか平和、幸せなど良い意味の言葉を書いていましたが、中にはなぜか「犬」の漢字を書きたいという変わった子もいました。犬が大好きなんでしょうねえ。とにかくみんな日本文化に触れて楽しそうにしていました。次は折り紙でも教えてみようかと思っています。

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使い慣れない筆で一生懸命に、そして楽しそうに書いていました。

そういえば、息子アレンンは先月から完全におむつ離れしています。不思議とおねしょも全くしないので助かっています(経済的にもかなり助かる)。ずっとおむつは必需品だったのに、子供の成長って本当に早いですね。

そのアレンに冗談で、「生きる意味って何?」という難しい質問をしてみたら、またユニークな答えが返ってきました。もちろん質問の意味など分かってませんが、とりあえず言った珍答に妻と大笑いしました。大人にはまず真似できないボケ、というか本人はボケているつもりなどないでしょうけど、子供って本当に面白いし可愛いです。そのやり取りを動画に撮ったので、どうぞご覧ください。


アレンの存在は私にとって大きな生きる意味です。

レストラン櫻田の節分イベント 

今日から大学の授業が始まりました。昨年から二つの大学で教鞭を取っていますが、今日は国立大学の授業。しかし、昨晩かなり雪が降って、久々に早起きすると外は一面の銀世界。「これじゃあ、学生はあんまり来ないんちゃうか…」と思いきや、ほとんどの学生がちゃんと授業に来ました。

とはいえ、学生の多くはまだ休みボケで勉強に身が入らないでしょうから、今日は書道をしてもらいました。2年生はやったことがあるらしいのですが、1年生は書道自体が初めてなので、まさに正真正銘の書き初め。私がいくつか漢字を書いて見本を示してから、みんな楽しそうに挑戦していました。残念ながら写真はありませんが、けっこう上手でしたよ。

さて、昨日はレストラン櫻田で節分イベントがあったので、家族で参加してきました。昨年と同じく、妻に通訳をしてもらいながら私がお客さんに節分について説明。その後、みんなで今年の吉方である南南東の方向を向いて、恵方巻を食べました。恵方巻はとても美味しかったですが、全員が同じ方向を向いて黙々と巻き寿司を食べる光景はやっぱり何だか変でした…

それから、メインイベントの豆まきをしました。私が作った鬼の面を櫻田さんと一緒に被って、みんなに豆を撒いてもらいました。今年は優しく投げてくれる人が多くて、あまり痛くなかったですね。昨年は、すごい勢いで投げられたので、けっこう痛かった覚えがあります(昨年の節分イベントの記事はこちら)。息子アレンも楽しそうにしていました。櫻田さん、今回も楽しいイベントありがとうございました!

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アレンも恵方巻を美味しそうに食べていました。

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みんな一緒に恵方巻を食べました。でも、やっぱり少し異様な光景…

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今年も私と櫻田さんが鬼役をしました。

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私たち鬼に向かって、アレンも楽しそうに豆を撒いていました。

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アルメニア人にとって、ユニークな日本文化に触れる貴重な機会だったと思います。