学生によるカノンのソロ・コンサート
前回の記事に書いた抗議デモですが、更に多くの市民が参加して続いています。大統領が、「電気料金値上げに対する国際機関の評価が出るまで、政府は値上げを凍結する」と発表しましたが、デモ参加者はその提案を拒否しました。だって、国際機関の評価云々ではなく、値上げされたら生活に困窮してしまう人が多いんですからね。
「アルメニアもウクライナのようになるのでは?」といった見方もあるようですが、私はそれはないと思います。元々ウクライナは分裂要素を孕んだ国でしたが、アルメニアの国情はそれと異なります。デモも至って平和的。みんなで歌ったり踊ったり、デモ参加者らが警官と和やかに談話したり、一緒にサッカーしたりもしています。今日は、式を挙げたばかりの新婚さんがデモに参加して、みんなに祝福されていました。
新婚カップルがデモに参加。なんとも楽しそうなデモですよね。この調子で頑張ってほしいです。
今月初めに着任された田口日本大使が、私の勤める国立言語大学を水曜日に訪問して下さいました。学長や大学関係者と、日本語教育の現状や今後について熱心にお話して下さいました。アルメニアでも、中国語や韓国語の勢いがすごいので(時代の流れですから仕方ありません…)、日本語教育が少しでも発展していってほしいと思います。
さて、今週の月曜日、アルメニアの伝統楽器カノンを演奏する国立言語大学の学生がソロコンサートを開き、招待しくれたので妻と行ってきました。コンサートがあったのは音楽学校の小さなホールで、お客さんは学生の恩師や親類、友人たち。和やかな雰囲気の中、演奏が始まりました。
初めは、ピアノ伴奏でアルメニアの音楽をいくつか弾きましたが、「カノンとピアノって合うんだなあ」と聞き入ってしまいました。ロマンチックな曲からアップテンポな曲まで、とてもバラエティーに富んでいましたね。ウードと太鼓との協奏があって、これも素晴らしかったです。
コンサートの後半、「桜という日本の曲を弾きます」と言うので、私は「ああ、森山直太朗の桜を弾くのかなあ…」と思いました。というのも、私は授業で教えたことがある歌だからです。彼女は他に、「翼をください」や「世界に一つだけの花」もカノンで弾くことができます。しかし、聞こえてきたのは、あの伝統歌曲の「さくらさくら」!
妻と一緒に、「エッ!この曲が弾けるの?!」と驚きました。私は、学生たちに「さくらさくら」の曲に合わせて日本舞踊の振り付けも教えたことがあるんですが、その時に使った音源を耳コピしたようです。すごいですよね!お琴のように弾いたりもして、日本情緒が出ていました。これには、とても感動しました。
言語大学では、日本語はずっと第三言語扱いなので、本格的な日本語教育は行われていません。私も、ガッツリ教えるよりも、なるべく楽しく教えることに重きを置いています。しかし、私の授業がきっかけで、日本の音楽に関心を持ち、実際に演奏してくれる彼女のような学生がいると、本当に嬉しいし励みになりますね。リリットさん、素晴らしいコンサート、どうもありがとう!
カノンを演奏する私の学生リリットさん。すごく優しくていい子です。このコンサートも本当に素晴らしかった!次は他の在留邦人も誘いたいですね。
ウード(ギターのような楽器)と太鼓との協奏。実は、ウード奏者はリリットさんの婚約者。とても仲睦まじいカップルです。同じ音楽家同士って素敵ですね。
コンサートの動画。後半に「さくらさくら」の演奏があります。耳コピだけで、よくここまで弾けるものだと感心しました。
- [2015/06/28 04:35]
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電気料金値上げに反対する抗議デモが勃発!
毎日とても暑いです。少しずつ慣れてきましたが、やはり外を歩くとグタ~となってしまいますね。毎年思うことですが、アルメニアの夏は暑い!
そして今、アルメニア国民もかなり熱くなっています。というのも、政府の電気料金値上げの決定に国民が激怒、エレバン中心部で大規模な抗議デモが連日行われているのです。昨日は約6千人が参加し、オペラハウスから大統領官邸に向かって行進しました。デモ隊は警官たちと衝突し、逮捕者や負傷者が出たようです。これについては、日本でもニュースで報道されました。
アルメニア 大規模デモで緊張高まる
そりゃ怒りますよ、これは!いくらなんでもひど過ぎる!今回は約17%の値上げだそうですが、2年前に27%も値上げしたばかり。その時も、ガス代が6割以上も高くなると国民を脅し続けて、最後に政府は、「ガス代は18%の値上げで済んだが、電気代が27%上がる」と発表。エッ、電気代値上げは聞いてねえよ!と、騙し討ちのようなことをしましたからね。それについては過去の記事をご覧ください。(こちら)
今回も、電力会社は当初40%もの値上げを要求していたようです。それが実際は17%程度になって、国民が以前のように黙っていると思ったのでしょうか…アホか!そんな訳ないやろ!給料はちっとも上がらず安いままなのに、物価だけは上昇して生活は苦しくなる一方。しかも電気代が上がれば、食品から何から全て値上げされます。
値上げの理由は自国通貨の大幅な下落と説明していますが、まずは国民の生活状況を考えてほしいと思います。今すでにギリギリで何とか暮らしている人が多いのに、一気に17%も値上げされたら生活困窮者や国外移住者がさらに増えるに決まっています。そのくせ政治家たちは豪邸に住んで贅沢な暮らしをしているんですから、国民にしたら堪ったもんじゃありません。私も生活が楽ではないので、もういい加減にしろ!という気持ちです。
デモが行われると、エレバン中心部の交通が混乱してけっこう大変なんですが、今回は政府が値上げを撤回するまで頑張ってほしいと思います。国民が泣き寝入りしていては、この国はいつまでも腐敗したまま。もちろん負傷者や死者が出てほしくないので、なるべく早く平和的に国民側が勝利してほしいと祈っています。
ちなみに、このデモによってエレバンの治安が悪くなっているということは全くありませんので、どうかご心配なく。たとえば、私は昨日も今日も大学に行ってきましたし、先週末は学生がお宅に招待してくれて、BBQをご馳走になりました。みんな値上げに怒っていますが、今のところデモはエレバン中心部のごく一部で行われているだけで、ほとんどの人は普段どおりの生活を送っています。
学生(手前の男性)のお宅には広い庭があって、そこでBBQをご馳走になりました。すごく美味しかった!しかし、65%もある自家製ウォッカを飲んで、かなり酔っ払いました。
庭にはブランコもあって、アレンがとても気に入っていました。
学生の甥っ子も遊びに来ていて、アレンと仲良く遊んでいました。二人とも本当に可愛らしかったです。
- [2015/06/25 04:57]
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田口日本大使の就任レセプション
もうすぐ大学は夏休みに入りますが、私はサマースクールや家庭教師で土日含めてほぼ毎日授業があります。先月下旬に家庭教師が増えたんですよね。お蔭で、この2、3ヶ月の生活は安定しそうです。(その後はどうなるやら…) 家族連れての日本旅行から戻って当分の間は、正直マジで苦しかった…もちろん収入も大切ですが、やはり日本語を教える仕事が好きなので、忙しくても充実しています。
さて、今年エレバンに日本大使館が開設されましたが、6月初めに田口栄治大使が正式に着任されました。それで木曜の夜、田口大使の就任レセプションが行われ、私と妻もご招待を頂いたので出席してきました。
笑顔で迎えて下さった田口大使ご夫妻は、羽織袴と着物という純和風の装いでした。最初に田口大使がスピーチされましたが、その冒頭と終わりにアルメニア語で挨拶されたので、アルメニア人の招待客はとても喜んでいました。レセプションでは、日本酒や梅酒、ウィスキーが用意され、レストラン櫻田が作った寿司やカレーなどの日本料理も振る舞われました。
アルメニアにとって初の常駐日本大使ですから、いろいろな招待客とひっきりなしに挨拶を交わされて大変お忙しそうでした。なので、私は一緒に写真を取ったり、勤めている言語大学の学部長を紹介したりするのが精一杯で、大使とあまりお話することはできませんでしたが、気さくで優しそうなお人柄の方でした。田口大使の就任によって、両国の友好関係が一層発展することを祈っています。
スピーチされる田口大使。アルメニア語で少し挨拶されました。こういう努力が現地の人と心を通わせる為には大切なんですよね。
今回はレストラン櫻田が日本料理を振る舞い、たくさんの人が美味しそうに食べていました。櫻田さん、お疲れ様でした!
田口大使ご夫妻と一緒に。久々に日本酒をけっこう飲んで私の顔が赤い…でも美味しかった!今回はご招待どうもありがとうございました!
もちろん他の日本人会メンバーも出席していました。いつもの如く、みんなで二次会に繰り出して、遅くまで楽しい時間を過ごしました。
- [2015/06/21 02:09]
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日本人バレエダンサーと夕食会
今日は義母の誕生日。夜は私も妻も予定があるので、先ほど家族で乾杯してお祝いしました。また後日、どこかに食事に行きたいと思っています。いつも義母にはお世話になっていますからね。
先週末に起こったトビリシの洪水ですが、20人近くが死亡する惨事となりました。この洪水によって動物園から猛獣が逃げ出し、男性一人がトラに襲われて亡くなったそうです。幸いトビリシに住む友人はみな無事でしたが、復旧には相当時間がかかるようです。大好きなトビリシの街が早く元に戻ってほしいと思います。
さて、日曜の夜、レストラン櫻田で日本人バレエダンサーと食事しました。そのお二人が出演した舞台を見に行ったことは、先日のブログ記事にも書きました。(こちら) お二人はずっと練習やリハーサルでお忙しかったので、中々お会いする機会がなかったのですが、やっと日曜にゆっくりとお話しできました。
私はバレエやオペラが好きですが、実際にダンサーの方とお話しするのは初めて。いろいろ興味深い舞台裏のことを聞くことができて楽しかったです。しかしお二人とも若いのに、生活の全てを捧げるほど好きなものがあり、それに一生懸命に打ち込んでいる姿には感心しました。とても厳しい世界ですから、何より好きじゃないと続けられないと思います。
バレエ2021というバレエ団に所属する脇田さん(手前)と河上さん(奥)。7月も公演があるそうなので、また見に行きたいと思います。
この夕食会にはアレンも連れて行ったのですが、脇田さんが何度も「可愛い!」と言って下さいました。ブログで、ずっと妻や息子のことをご覧になっていたようです。そのアレンですが、最近かなり発話能力が伸びてきました。どこで覚えるのかアルメニア語で、「開けて」「閉めて」「抱いて」などと言ったり、日本語で「みじゅ(水) あった!」と短い文章を言う時があります。
また、昨晩はついに子供用トイレで、う○ちをしました(汚い話ですみません…)。少し前からおしっこはすることがあったんですが、大きい方は初めて。家族みんなで手を叩いて、「アレン、偉い!」と褒めてあげました。アレンもすごく嬉しそうでしたね。私が「アレン、おめでとう!」と言うと、「あっとう(ありがとうのこと)」と言いながらお辞儀しました。その姿が可愛らしくてたまりませんでした。
しかし、う○ちを囲んで、大人たちが盛り上がって拍手している様は、考えてみるとかなり変ですよね…う○ちしただけで、周りをこれだけ幸せにしてしまう子供の成長というのは本当にすごい!これからもっといろいろ学んでいくでしょうから楽しみです。
水と魚が大好きなアレンは、噴水を見ると、「みじゅー!みじゅー!」と言って興奮します。
- [2015/06/18 19:43]
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息子に引き継がれるギター
昨晩、ユーロ2016予選のアルメニア対ポルトガル戦がエレバンで行われました。アルメニアは先制点を奪う健闘を見せましたが、C・ロナウドがハットトリックの大活躍をし、結局3-2でポルトガルの勝利に終わりました。
試験も終わって間もなく夏休みに入るこの時期、いつも大学からある署名を求められます。それは、「もうすぐ契約が切れることを了承します」という署名。雇用契約が夏に切れるのは毎年のことで、教師のほとんどは新学期が始まる9月に契約を更新する非常勤の立場です。なので、普通に署名しようとしたら、いつもと違うことが…
毎年7月末までだった契約期間が1ヶ月前倒しされて、6月末になっていたんです。今までは雇用関係のない8月だけが無給だったのですが、これだと7・8月の二ヶ月が無給に!まあ、7月は大学に全く行かないので不労所得みたいなものでしたが、月たった50ドルの超薄給なんですから、せめてボーナス代わりに出してくれてもいいと思うんですけどねえ…
こうやって給料は安いままなのに、物価だけは高騰する一方です。電気代がまた値上げされるという話もあり、そうなると多くの物が高くなるはず。エレバン中心部には高級でお洒落なブティックやカフェが増えていますが、それらの恩恵を受けるのはほんの一握りの富裕層。一般の人たちの生活は年々苦しくなるばかりです。ハァァ…
さて、私は高校時代からギターが趣味で、バックパッカーとして世界を放浪していた時もギターを持ち歩いていました。当時持ち歩いていたのは、15年前にイスタンブールで買ったギター。小さめのクラシックギターにスチール弦を張ったもので、移動が続く旅行には最適だったので勢いで買いました。当時のレートで40ドルぐらいだったような覚えがあります。
ギターを手にしてからは、旅が一層楽しくなりました。やはり音楽に国境はなく、まさしく世界共通語。ギターを持っていると誰かしらが声を掛けてくるし、適当に何か弾くだけでも地元民と打ち解けられます。旅行者が集まった時も、音楽があれば盛り上がります。言葉を超えたコミュニケーションツールとして重宝しました。今も授業で日本の歌を教える時に、ギターは大変役に立っています。
実は、春に帰国した際に、実家で埃をかぶっていたそのギターをアルメニアに持って帰ってきました。小さくて軽いし、息子の遊び道具にいいだろうと思ったのです。先日、弦を張って息子に渡すと、面白そうに弾いていました。時折バンバン叩いたりして手荒く扱いますが、もうボロボロなので気になりません。
若き日の旅を共にした、自分にとって思い出深いギターを息子が触っている姿は、何だか感慨深かったです。たかがギターとはいえ、「こうやって親から子へ引き継がれていくんだなあ…」などど真面目に考えてしまいました。音楽は人生を豊かにする素晴らしいもの。息子がもう少し大きくなってから、ギターを教えたいと思います。
南米チリの安宿で、ハーモニカやオカリナを吹くイスラエル人旅行者とセッションした時の写真。当時28歳だから13年前ですね。
新しい弦を張ったギターを面白そうに触るアレン。できれば息子もギターを覚えてほしいですね。
- [2015/06/14 15:57]
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