マルティロス・サリヤン 

欧米がシリアを攻撃する可能性が高まってきましたね。「ハア~、ったく、またかよ…」という感じで、すぐにイラク戦争のことを思い出しました。アメリカの戦争中毒はずっと前からのことですが、やはり毎回呆れます。

今回は、シリア政府が化学兵器を使用したことに対する制裁だそうで、証拠も出てきているとのこと。しかし、ネット上では、政府側が使用した可能性はないという情報もたくさんあります。英米が、「大量破壊兵器がある」と主張して、一方的にイラクを攻撃したのと流れがそっくり。あの時は、イラクを破壊しまくった挙句、その大量破壊兵器とやらは見つかりませんでしたが…

大体、たとえ今回シリア政府が化学兵器を使用したのが事実だとしても、欧米諸国が振りかざしている正義とか人道主義は、私の目にはかなり偽善的に映ります。というのも、昔フセインが、クルド人の町ハラブジャでサリンなどの毒ガスを使って数千人虐殺したとき、欧米諸国は完全に見て見ぬふりしていましたから…

本当に矛盾した話ですよね。しかし、日本の首相も、イラク戦争の時同様に、「シリア政府が化学兵器を使った可能性は高く、許しがたい行為だ」とすぐ追従していました。悲しいかな、これが国際政治というものでしょうか…

本文に行く前に、前置きが少し長くなってしまいました。趣味で油絵を始めたということで、今回アルメニアの有名な画家をご紹介しようと思います。その画家とは、マルティロス・サリヤン

アルメニアの2万ドラム紙幣の顔にもなっている人物です。エレバンには、彼の名を冠した通りもありますし、彼の銅像が建つ公園もあります。公園では、いつも画家たちが集まって絵を売っています。

DSCN7003armenia13-8-29.jpg 

DSCN6136armenia13-8-29.jpg 
オペラハウス近くにあるサリヤンの公園。この近くにサリヤン通りとサリヤン美術館もあります。

サリヤンは、アルメニアの風景をたくさん描きましたが、ゴーギャンやマティスに影響を受けたという独特の色使いが特徴的です。光を象徴する黄色やオレンジなどを大胆に使った彼の絵は、とても明るく柔らかい印象を受けます。

「石の国」と呼ばれるアルメニアの自然を、明るい色調で描いた彼の作風は、後のアルメニアの画家たちに多大な影響を与えました。私も、サリヤンの絵は大好きです。

国立美術館や彼の名を冠したサリヤン美術館で、その作品の数々を見ることができるので、アルメニアに来られた際には、是非ご覧になってみて下さい。以下のサリヤン美術館のサイトでも、彼の作品を見ることができます。

サリヤン美術館HP

趣味が増えました 

昼間はまだ暑いですが、朝晩の涼しさは、すでに夏の終わりを感じさせます。今年の夏は、全く出掛けられなかったこともありますが、ほとんど「暑い!」と感じずに終わるかもしれませんね。

さて、転んで顔にケガをした義祖母ですが、その後順調に回復し、かなり良くなりました。顔の腫れも、今はほとんど目立ちません。もう80過ぎなのに元気です。まあ少々元気すぎてやたら動き回るのが原因で、今回ケガしたようなものなんですが…

あと1週間で大学も始まるし、結局今年の夏はバカンスらしいこと何もしなかったのですが、時間はけっこうあったお陰で、新たな趣味が一つ増えました。それは油絵!

実は、私、高校の時に美術部に所属していました。ただ所属していただけで、ほとんど活動らしい活動はしていなかったのですが、一応2回ほど油絵に挑戦したことがあります。しかし、当時はイマイチ上手く描けず、すぐにやめてしまいました。それに、あの頃はギターや音楽の方に夢中でした。

その油絵に、今頃また挑戦することにしました。きっかけは、毎週末エレバン中心部で開かれる青空市場で、たくさんの画家が絵を売っているのを見たことです。市場には油絵の道具なども売っていて、それらの絵や道具を見ていると、何となく「俺も描いてみようかなあ…」と思ったのです。

DSCN3824armenia13-8-24.jpg 
ヴェルニサージと呼ばれる蚤の市では、画家たちが自分の作品を売っています。

それを妻に言ったら、今年4月の私の誕生日に、油絵の絵の具と筆をプレゼントしてくれました。が、それから4ヶ月、忙しかったこともあって、全く使わずにいました。せっかくプレゼントしてくれたのにもったいない!と思い、最近小さめのキャンパスを買って描いてみました。

描いたのは富士山。別に深い理由はなく、家にアララト山の絵が元々飾ってあったので、「じゃあ富士山でも描いてみるか…」という程度のことです。油絵は苦手という印象があるので、とりあえず適当に筆を滑らせて、たった3日で描き上げました。

短期間で適当に描いた割には、そこそこ様になったので、額に入れて飾ってみました。まだまだド素人の絵ですが、絵を描くのは楽しいですね。アルメニアは、油絵の道具も大して高くないし、長く続けられそうな趣味が一つ増えました。子供が生まれたら、子供の絵も描いてみようかなと思っています。

DSCN7002armenia13-8-24.jpg 
ネットにあった写真を見ながら描いた富士山。基本はなっていませんが、これから描きながら少しずつ独学します。とにかく、楽しく続けることが一番大切です。

赤ちゃんグッズ購入 

昨日、ちょっと大変なことがありました。というのも、義祖母が転んで、顔をコンクリートに強く打ちつけてしまったんです。直後は、鼻からかなり血が出て、額もすごく腫れて(本当にアバターみたいでした…)、とても心配しました。

すぐに元看護士の義母が応急処置したこともあり、義祖母は自分でしっかりと歩いて家まで戻りました。ずっとベッドに横になっていますが、普段どおり話しているし、食欲もあるし、幸いそれほどひどい怪我ではないようです。とはいえ、まだ顔は腫れていて、痛々しい…

実は、木・金曜に家族で一泊旅行に出掛けようと、ホテルを予約した直後の出来事でした。義母は、妻と二人で行って来たらと言ってくれましたが、やはり心配なので、すぐに予約はキャンセルしました。義祖母には、早く良くなってほしいです。

話は変わって、先週、久々にエコー検診に行ってきました。胎児の体重は2キロになっていて、ちゃんと顔も見ることができました。日本で流行りの3Dエコーとは違うので、ぼんやりとした映像でしたが、何となく妻に似ているような気がしました。

医者には、「何も問題なし。このまま順調にいけば、来月10日以降には、いつ生まれておかしくない時期に入る」と言われました。つまり、3週間後に生まれる可能性だってあるわけです。さすがにここまで来ると、私も実感が沸いてきました。

ということで、検診後から、赤ちゃんグッズを準備し始めました。最近アルメニアにも、専門のお店が増え、けっこう商品にバラエティーがあります。子を持つ立場になって分かったことですが、本当にいろいろ必要ですね。あれもこれも買っていると、けっこう出費がかさみます。

しかし、我が子のためだと思うと、少し無理してでも良いものを買ってあげたくなります。実際に使う本人は、まだ生まれてもいないし、子供の好みなんて全く分からないのに、「この色の方が可愛いなあ」と、勝手に夫婦でこだわっています。

これが親心というやつでしょうか。思えば、両親も、こうやって色々考えながら、私のために買い物をしてくれたんですね。生まれてからも、両親がお金をかけて、たくさんの愛情を注いで育ててくれたお陰で、今の自分があるわけです。

育児にはかなりのお金と労力が必要でしょうけど、自分が親にもらったものを、これから子供に返していくつもりで、できる限りのことをしてあげたいと思っています。

DSCN6998armenia13-8-20.jpg 
先週買った赤ちゃん用のブランケット。クマの部分は、頭に被せられるようになっています。私も、こういう物を真剣に選んで買う時が来たわけですね。

サナヒン修道院 

日本は、記録的な猛暑のようですね。しかし、多くの原発が運転停止しているのに、今年は電力不足の話をほとんど聞きません。2年前の夏に一時帰国した時は、「原発が止まって、電力が足りなくなる!」と国中が大騒ぎしていた覚えがありますが…

アルメニアの夏も、乾燥しているとはいえ、45℃前後になったりするのですが、今年はそれほど暑くありません。特に、私が住む地域は涼しくて過ごしやすいです。

妻が妊娠中なので、寝る時も虫除けなどを使わないようにしているのですが(ここに売っているのは体に悪そうですし)、朝晩は少し寒いぐらいなので、今年は蚊もほとんどいません。毎年こんな感じだったらいいんですけどね。

さて、今日は世界遺産にも指定されているサナヒン修道院をご紹介したいと思います。その近くにあるハグパット修道院は紹介したことがあるので(こちら)、サナヒン修道院も、とっくの前に紹介していると思ったら記事がありませんでした。

場所は、アルメニア北部のロリと呼ばれる地域。グルジア国境の近くで、険しい断崖絶壁の岩山が連なった山岳地帯です。ハグパットとサナヒン、この二つの修道院も、それぞれ別の岩山の上に建っています。

観光の基点となるのは、ふもとのアラヴェルディという町。そこから車で15分ほど登っていくと、修道院のあるサナヒン村に着きます。また、ロープウェイで行くこともできます。乗ったことはありませんが、かなり古くて、別の意味でスリル満点だそうです。

開けた場所にあるハグパット修道院と違い、サナヒン修道院は、林の中にに隠れるように建っています。建物は大変立派ですが、少し朽ち果てた感じがあり、逆にそれが神秘的な雰囲気を醸し出しています。

10世紀頃に建設が始まった修道院は、当時アルメニアの宗教文化の中心で、最盛期には500人もの修道士が学んでいたそうです。ちなみに、名前のサナヒンは、「それより古い」という意味です。それというのはハグパット修道院のことで、実際にサナヒン修道院の方が早く建造されました。

DSCN6299armenia13-8-14.jpg 
入ってすぐに立派な鐘楼が現れます。

DSCN6311armenia13-8-14.jpg 
修道院内部。アーチの柱が美しいです。

DSCN6309armenia13-8-14.jpg 
修道院内部のハチュカル(十字架石)。

DSCN6305armenia13-8-14.jpg 

DSCN6314armenia13-8-14.jpg 
柱は大変立派で、美しいアルメニア文字の彫刻が施されています。

DSCN6321armenia13-8-14.jpg 

DSCN6322armenia13-8-14.jpg 
奥の建物は、大図書館だったそうです。当時の文化研究の中心でしたからね。

DSCN6326armenia13-8-14.jpg 
建物の屋根に草や木が茂っているのが、何とも味があっていいです。

DSCN6331armenia13-8-14.jpg 
美しいレリーフを見ることができます。

私は、13年前に初めて訪れ、今年5月には母を連れて来ました。日本語ガイドの仕事もする妻が一緒だったので、いろいろ説明を聞きながら、観光することができました。本当に美しい場所で、母も気に入っていました。アルメニアに来られたら、是非ここも行ってみて下さい!

9ヶ月と十月十日 

日本は大雨が降ったり、けっこう大変な天気のようですね。アルメニアは、雨はほとんど降りませんが、本当に今年の夏はいつもより涼しいです。夜に犬の散歩に出かける時は、長袖のシャツを着ることもあります。

さて、妻は妊娠9ヶ月目に入りました。予定日まで、あと1ヶ月半ほど。お腹も、今すぐ生まれてもおかしくないぐらい大きくなっています。そろそろ生まれてからのことを考えて、いろいろ準備を始めないといけない時期。それで義祖母が、赤ちゃんのために布団を作ってくれました。

DSCN6954armenia13-8-10.jpg
天日に干して、丁寧にほぐした羊毛を布の中に入れます。

DSCN6959armenia13-8-10.jpg
そして、少しずつ縫っていきます。おばあちゃん、どうもありがとう!

ところで、9ヶ月というのは、日本の妊娠周期計算によるものです。アルメニアだと、まだ8ヶ月半ばになります。日本では、旧暦を用いて、一ヶ月を28日周期で計算します。よく「十月十日」という言い方をしますが、あれも旧暦が基になっています。

アルメニアは、新暦で計算するので、妊娠期間は普通に約9ヶ月となります。この妊娠周期の違い、女性や妊婦の方には常識でしょうけど、私は昔、全く知りませんでした。ただ、十月十日という言葉だけは知っていて、約10ヶ月と10日で子供は生まれるものと思っていました…

昔、南米コロンビアに住んでいた時、友人たちと、子供はどれぐらいで生まれるかという話になりました。私は、十月十日の意味を勘違いしていたので、「10ヶ月とちょっと」と答えると、周りに、「エーッ!そんなに長くないよ!」と驚かれました。

コロンビアも、アルメニアと同じく新暦で計算するので、10ヶ月だと長すぎです。しかし、当時私は正しい知識がなかったので、「でも、日本では10ヶ月と10日ぐらいと言われているよ」と説明すると、周りは、「普通9ヶ月なのに、日本人の子供は、1ヶ月長くお腹にいるのか?」と余計に不思議がります。

私も、「コロンビアでは9ヶ月なの?そんなの人種によって変わるかな?」と納得いきませんでした。結局その時は、私の知識不足で、「日本人は、妊娠期間が1ヶ月長い」という誤解を与えてしまったような気がします。まあ、別に結婚もしていなかったし、子供を作る予定も全くなかったですから…

やっぱり自分に関係ないことは、あまり興味も持てないし、きちんと調べたりもしません。それが今では、本やネットでいろいろ調べて、たまに妻より妊娠や胎児について詳しかったりするんですから、人間って変わるもんですね…