ゴシャ修道院 

昨日5月28日は、アルメニア最初の共和国が成立した日で祝日でした。恐らく広場などでイベントがあったと思いますが、ほとんど家でのんびりしていましたね。土日に泊まりで出かけていたせいで疲れてました…

さて、今日もアルメニアの観光地の1つをご紹介します。その場所とは、ゴシャ修道院。日本では、ゴシャヴァンク修道院と紹介されたりもしますが、ヴァンクが修道院の意味ですから、正式にはゴシャ修道院です。

ここは、片岡さんや友人たちとバスを借りて行ってきました。セヴァン湖から40分ぐらいの所です。ここも細い山道を登った先にありますが、深い森の中のハガルツィン修道院と違い、開けた丘の上に建っています。

DSCN0616armenia12-5-30.jpg IMG_1365armenia12-5-30.jpg 

IMG_1368armenia12-5-30.jpg IMG_1360armenia12-5-30.jpg 
ちょっと朽ち果てた感じが良かったです。入り口の彫刻も見事!

ここの修道院の見所は、何といってもハチュカル!アルメニア正教独特の十字架が彫られた石碑です。ハチュカルの最初の「ハ」は、英語でKHと表記される日本語にはない音。ちょっと汚いですが、痰を吐く時のような音です。

アルメニア国内には約4万ものハチュカルがあるそうですが、ゴシャ修道院には最も美しいと言われるハチュカルがあるのです。13世紀に、ポゴスという有名なハチュカル彫刻家が作ったものです。

DSCN0618armenia12-5-30.jpg 

たくさんハチュカルを見てきましたが、確かにここのハチュカルの精微さと美しさはダントツだったかもしれません。「これ、本当に石なの!?」というぐらいに、細かい彫刻が全体に施されています。それで、「刺繍のハチュカル」とも呼ばれているそうです。

IMG_1376armenia12-5-30.jpg IMG_1373armenia12-5-30.jpg 
本当に刺繍のような細かい彫刻に見とれてしまいました。思わず、ため息が出てしまったぐらい…これぞ歴史に残る芸術作品!

これほどの芸術を生み出す卓越した技術にも感動しますが、何よりそれに費やした時間、そして根気と集中力を思うと、気が遠くなりそうです。正に信仰のなせる業ですね…

修道院そのものも素晴らしいですし、そこから望む山々の景色も美しいです。機会があれば、是非ここも訪れてみてください!

ハガルツィン修道院 

今日も、アルメニアの美しい場所の1つをご紹介します。ここも、アルメニアに本を送る会の訪問団、また片岡さんと一緒に訪問しました。

その場所というのは、セヴァン湖から車で40分ほどの場所にあるハガルツィン修道院。途中、「アルメニアのスイス」とも呼ばれるディリジャンの町を通り、最後は曲がりくねった細い山道を行きます。けっこう山奥で、「本当にこの先に修道院があるの?」と思ってしまいます。

しかし、景色が開けてくると、山間にひっそりと建つ美しい修道院が現れます。場所が場所だけに、その姿はとても美しく神秘的です。「森の修道院」とも呼ばれているんだとか。とにかく、こんな辺鄙な所に、よくぞ立派な修道院を建てたものだ…と感心します。

DSCN0615armenia12-5-24.jpg DSCN0267armenia12-5-24.jpg 

ハガルツィン修道院は、11~13世紀に建てられました。大きな聖堂と僧院、食堂から成っていて、僧院は有名な建築家ミナスによって建てられたそうです。どの建物も保存状態がよく、とても見応えがありますが、それほど観光客がいないので、静かに観光できます。それが何より良かったですね。

DSCN0272armenia12-5-24.jpg DSCN0296armenia12-5-24.jpg  

DSCN0299armenia12-5-24.jpg DSCN0608armenia12-5-24.jpg 

DSCN0611armenia12-5-24.jpg DSCN0270armenia12-5-24.jpg 
聖堂の天井にも彫刻が施されていました。蝋燭の明かりで浮かび上がって幻想的な雰囲気。最後の写真は食堂。今でも十分使える立派な内部。

バスのドライバーの話ですが、ハガルツィンは、「鷲が遊ぶ場所」という意味。辺鄙な山奥にあり、当時は優秀な修道士だけが修行していたので、そのように呼ばれたそうです。今は車で簡単に来られますが、昔はこんな人里離れた修道院での生活は厳しかったでしょう。正に、選ばれた人だけが修行に耐えられたのかもしれません。

DSCN0286armenia12-5-24.jpg DSCN0282armenia12-5-24.jpg 
聖堂の壁にあった彫刻。確かに鷲のレリーフがありますね。聖堂裏に雷で穴ができた木があって、その穴を通り抜けられたら幸せになると言われています。細い私は難なく通り抜けました。

空気も澄んでいて、周囲の風景も素晴らしいですから、セヴァン湖まで来られた際に、是非ともこの修道院まで足を延ばしてください!

セヴァン湖 

エレバンの天候ですが、日中は30度近くになる日もあって、すっかり初夏の陽気です。暑い暑い夏が、すぐそこまで来ています…

さて、アルメニアに本を送る会の訪問団、そして片岡さんが来られた時も、バスを借り切って、地方の観光地を周りました。その時にまず立ち寄ったのが、セヴァン湖。琵琶湖の2倍近くもあるアルメニア最大の湖で、高地にある湖としては世界有数の大きさを誇っています。

元々はもっと大きかったのですが、ソ連時代に大量の湖水が灌漑に使われたために、現在ではかなり小さくなってしまったそうです。また、湖の魚なども激減し、セヴァン湖の天然のマスは高値で売られています。

夏には、多くのアルメニア人が泳いだり、バーベキューをしたりして楽しんでいます。海のないアルメニアでは、貴重な避暑地。私も、6年前に初めて行きました。真夏の7月でしたが、水はけっこう冷たかったですね。淡水なので、泳いだ後ベタベタしなくていいです。ただ、陽射しが強くて、ひどい日焼けをしてしまいました…

今の時期は、まだまだ水は冷たすぎて泳げません。なので、半島にある修道院に行きました。9世紀に建てられたという修道院が建つ高台から、湖が見渡せます。周りには雪山もあって、本当に絶景です。

DSCN0587armenia12-5-18.jpg DSCN0236armenia12-5-18.jpg 

DSCN0250armenia12-5-18.jpg DSCN0238armenia12-5-18.jpg 
妻の祖母も頑張って、高台まで一緒に上りました。その価値は十分にある、美しい景色を眺めることができます。

DSCN0241.jpg DSCN0243.jpg 
教会の扉には、とても美しい木彫りの彫刻が施されていました。そして、教会内部のハチュカル(十字架が彫られた石)も素晴らしく、キリストの生涯が描かれていました。

セヴァン湖の名前の由来は、現在トルコにあるヴァン湖からだと言われています。向こうから移住してきたアルメニア人が、「黒いヴァン湖」と名づけたそうです。黒はアルメニア語でセヴ、黒いヴァン湖、つまり「セヴァン」というわけです。なぜ黒いのかは、気候がとても厳しいからなど諸説あるそうです。

あと、元々トルコのヴァン湖の伝説ですが、ここでも以下のような伝説があります。

昔、島の娘が、対岸の浜辺に住む男性と恋に落ちた。しかし、身分が違ったため、娘の親が反対して二人を引き離した。それでも、男は夜な夜な島まで泳いで渡り、娘に会っていた。その時、娘は火を灯して、男性に島の位置を教えていた。だが、ある荒天の日、火は消えてしまい、男は溺れて死んでしまった

その男が最後に叫んだ言葉が、「アク、タマル!」だったそうで、湖にある島の名前の由来になっています。アクは「ああ!」、タマルは娘の名前で、「ああ、タマル!」という意味です。湖近くには、「アクタマル」と呼ばれる火を持った女性の像があります。

一つ一つの地名に意味や伝説があって、面白いですよね。とにかく、景色だけでも十分感動できる場所ですから、アルメニアに来られたら、是非セヴァン湖を訪れてみて下さい!(冬はすごく寒いのでお勧めできませんが…)

DSCN0252armenia12-5-18.jpg DSCN0597armenia12-5-18.jpg 
皆さん、その美しい景色に感動されていました。真夏にアルメニア日本人会で再度訪れて、泳いだり、バーベキューをしたりしたいと思っています。

伝統楽器カノン 

アルメニアに本を送る会の訪問団に続き、片岡さんもアルメニアに訪問されましたが、皆さんは私が勤める国立言語大学にも来て下さいました。

いつもは、訪問客のために、学生たちが私のギターに合わせて、「翼をください」や「さくら(森山直太郎の)」を合唱するのですが、今回は一人の学生が素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。

それは、伝統楽器カノンの演奏。カノンは、カーヌーンとも呼ばれるアラブ起源の楽器。いわゆる琴のような楽器で、アルメニアの民族音楽の演奏にも必ず登場します。台形の箱に弦が張られていて、それを爪弾いて演奏するのですが、演奏中も弦の張りを素早く操作して音域を広げます。

そのカノンをずっと習っている学生がいて、日本の訪問客の前で演奏してくれました。もちろんアルメニアの民族音楽を弾いてくれましたが、何と日本の音楽も演奏してくれたんです。私がいつも最初に学生に教える、赤い鳥の「翼をください」

自分で音を取って練習したんだそうです。演奏を聞いた時は、驚くと同時に、感動してちょっと泣きそうになってしまいました…自分が教えた日本の音楽を気に入って、学生がこうやって演奏してくれるなんて嬉しいですよね。教師やっていて良かったと思える瞬間でした。


カノンで奏でる「翼をください」、素晴らしかった!しかし、こういう弦がたくさんある楽器は、弾く時によく間違えないなあといつも感心します。


偶然ですが、先週金曜にウィーンで開かれた、「ユーロヴィジョン・ヤング・ミュージシャン」という若いクラシック演奏家のコンテストで、アルメニアのカノン奏者が第3位に選ばれました。ちょっと長いですが、その時の演奏の動画もどうぞ!


若干15歳のナレク・カザジヤン。大舞台で素晴らしい演奏を披露して、堂々の3位!ちなみに、2位はオーストリアのバイオリン奏者ですが、実は彼もアルメニア系です。

片岡さんのサプライズ訪問 

またまた更新が滞っていました…というのも、友人の片岡さんが訪問されていて、毎日忙しかったのです。香川県出身の片岡さんは、3年前に「アルメニアに本を送る会」の活動を通じて知り合い、その後もアルメニアと日本の交流を深めようと毎年来られています。

昨年は、カメラマンとして活躍されている片岡さんに、素敵な写真をたくさん撮って頂きました。過去の記事には、写真の一部が掲載されているので、どうぞご覧下さい。

白無垢のアルメニア人
  

結婚式の写真
  

さて、今回の片岡さんのアルメニア訪問を知ったのは、何とその1週間前。いつもお忙しくされているので、初めは信じられませんでしたが、いつもより長めに4日滞在されました。今回の最も大切な目的は、10月に企画されているイベントの準備でした。

片岡さんは、夢工房というウェディングやイベントのプロデュース会社を経営されていて、日本・アルメニア国交樹立20周年の今年、両国の交流イベントをアルメニアで開催したいとお考えです。讃岐うどんを紹介したり、日本のミュージシャンのコンサートを開いたりと、大きなイベントになるかもしれません。

そのための場所探しや、協力してくれそうな人たちとの面会など、毎日精力的に動いてらっしゃいました。いきなりのサプライズ訪問でしたが、私たちもできる限りお手伝いして、片岡さんにとって実り多い滞在になったようです。イベントに向けて大きな一歩を踏め出せたと喜んでらっしゃいました。

また、ちょうど今週の水曜日は祝日だったので、友人たちとバスを借り切って、片岡さんを連れて観光にも行ってきました。アルメニアのことを日本で紹介するために、片岡さんは今回も素敵な写真をたくさん撮られたと思います。

私たちも、一緒に楽しい時間を過ごすことができました。そして、片岡さんのアルメニアに掛ける思いの強さに、改めて胸打たれました。本当に素晴らしい友人であり、協力者です。いつもありがとうございます!また近いうちにいらっしゃって下さい!

DSCN0566armenia12-5-12.jpg 
片岡さんやアルメニアに滞在中だった日本人たちと一緒に妻の実家で夕食。