虐殺記念日とイースター 

4月24日は虐殺記念日でした。オスマントルコによるアルメニア人大虐殺の犠牲者を悼む日です。去年と同じく、前日からテレビでずっと虐殺のドキュメンタリーや映画が放送され続けていました。そして、多くのアルメニア人が虐殺記念碑に花を捧げに行きます(去年の記事)。

私も婚約者と一緒に行ってきました。今年は天気が良かったのですが、午後は人が少なくなるのか全く立ち止まったり並んだりせずに済みました。この日は、アルメニア全体が喪に服し、ナショナリズムが高揚します。

しかし、今年の4月24日はイースターでもありました。キリストの復活を祝う日です。イースターは毎年時期が変わるので、今年はたまたま虐殺記念日と同じになりました。前日から婚約者の家にいたのですが、ちゃんとワインで乾杯しました。肉類を食べてはいけないので、魚や豆のご馳走を頂きました。

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イースターでは、肉ではなく魚や豆類を食べます。やっぱり日本人ですから、魚料理は嬉しいですね。イースターエッグと呼ばれる卵。お互いの卵をぶつけ合って、割れた方が負けというゲームをします。ミサにも多くの人が訪れていました。

虐殺記念日もイースターも、日本人の私には元々無縁なんですが、アルメニア人と婚約した今は少し身近なものに感じます。アルメニア人虐殺ですが、その経緯や犠牲者数に関しては諸説あると思います。しかし、多くのアルメニア人が迫害され殺されたという事実は否定できないでしょう…

だからといって、アルメニア人ではない私は決して「トルコ憎し」にはなりません。トルコは何度も訪れていますし、友人もいる大好きな国の一つです。第三者的な意見ですが、頓挫している国交回復が一日も早く実現して、両国関係が改善してほしいと願っています。

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虐殺記念碑には、多くの人が花を捧げに訪れます。一説では100万人以上と言われる虐殺の犠牲者のために祈ります。

チャリティーコンサートの動画 

明日24日は虐殺記念日、そして今年はイースター(キリスト復活祭)です。喪に服すと同時にお祝いするのでしょうか…さて、4月10日に開催したチャリティーコンサートの動画をご紹介します。方式やサイズが異なるビデオを編集したので、2つの動画になりました。





私も「さくら」の歌でギターを演奏しています。ちょうど日本は桜の時期でしたし、学生たちもメロディーを気に入ったので、この曲を選びました。普通の学生ですから、歌や踊りもプロには及びませんが、短期間で頑張って練習しました。それに着物姿がよく似合っています。

コンサートの目的はチャリティーでしたが、アルメニア人に日本文化に触れてもらう良い機会だったと思います。日本とアルメニアの交流が深まるきっかけにもなったかもしれません。

1ヶ月以上が経った今も、被災地の状況は悲惨です。余震も頻繁に起こり、原発が安定するのには半年以上かかるそうです。被災者の方々の避難生活も、いつまで続くのか分かりません…この重い現実を思うと、「頑張って!」という言葉を軽々しく口にできない自分がいます。

しかし遠く離れたアルメニアの人々も、日本のために祈り応援してくれています。その思いがきっと日本に届いて、復興を支える力になることを信じています。

追記:すでに2週間前のニュースですが、アルメニア政府も50万ドルの義捐金を拠出することを決定しました。本当にありがたいことです。

チャリティーコンサートの報告 

成功裏に終わった4月10日のチャリティーコンサートですが、学生や友人から写真や動画をもらったのでご紹介したいと思います。

コンサート開始は夜7時からで、私含め出演者は5時から準備を始めました。その日は朝からずっと雨で、どれだけの人が来るか不安でした。チャリティーですから、なるべく多くの人が来てくれないと困ります。学生たちも、この日のために頑張って練習しましたからね。

準備でバタバタしながらも、客の入りを気にしていたんですが、開始時間が近づくと次々とお客さんが…正直これには驚きました。宣伝する時間がなかったので、ホールの半分でも埋まればいい方かなと思っていましたから…とにかく良かった!

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客席には「がんばれ日本」の文字が…嬉しいですね。最後には、会場はほぼ満席になりました。

7時過ぎにコンサート開始。始めに私が作ったスライドショーを上映しました。次々映し出される今回の震災の映像や写真を、観客は静かに見入っていました。自分が作ったのに、その悲惨さに私も見ていて泣きそうになりました。

その後、主催した友人がアルメニア語と日本語で挨拶したのですが、「日本は今までアルメニアにいろいろと援助してくれた。今回は少しでもお返しをしたい。私たちは、いつも日本の人たちと共にいます」という言葉を聞いた瞬間、思わず涙が出てきました。

コンサートの前半はクラシック音楽で、主に子供たちが演奏してくれました。とても上手だったそうですが、私はほとんど見られませんでした…前半が終わり10分の休憩を挟んで、いよいよ後半の開始。日本とアルメニアの歌や踊りです。

私の学生も、日本舞踊や日本の歌に挑戦し、アルメニア・ダンスも披露してくれました。他に折り紙教室の子供たち、日本語を学ぶ他大学の学生たちも、歌や踊りで参加してくれました。かなり盛りだくさんの内容で、コンサートは2時間以上続きました。

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お客は少し疲れたかもしれませんが、最後に舞台に上がった私たちに温かい拍手を送ってくれました。本番中もずっとバタバタしていて、終わった時は嬉しさよりも、安堵感でフゥゥ…と力が一気に抜けました。しかし、後片付けやテレビのインタビューで休む間がありません。

そんな中、学生たちは嬉しそうにお互い記念撮影をしていました。その達成感に満ちた笑顔を見ていると、いろいろ大変でしたが、コンサートをやって良かったと思います。幸い多くの人が見に来てくれて、約700ドルの義援金が集まりました。これは必ず日本へ送ります。

被災地の復興に掛かる膨大な時間とお金を考えると、今回私たちがしたことは本当に微々たるものです。しかし、いまだ日本大使館もないアルメニアの人々が、日本のためにと頑張ってくれました。友人の言葉どおり、「日本の人々と共にいる」という応援の気持ちが少しでも伝わってほしいと願います。

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ホールの外に設置した募金箱にも寄付がけっこう入っていました(左)。本当にありがたい限りです。今回頑張ってくれた学生と一緒に(右)。彼らにも心から感謝しています。みんなお疲れ様でした! 

37回目の誕生日 

4月12日は、私の37回目の誕生日でした。37歳…中途半端な年齢ですが、確実に若者ではありません。でも、こちらでは大体25,6歳に見られます。さすがに37ともなると、子供っぽく見られているようで微妙な気分です。

大学でちょうど日本語の日付を教え始めるつもりだったので、もうすぐ私の誕生日だと学生に伝えました。すると、当日わざわざパーティーを開いてくれて、素敵なプレゼントもしてくれました。何より嬉しかったのが、心から「おめでとう!」「先生が大好きです!」と言ってくれたことですね。

昨年から働き始めたばかりで、慣れないことも多く、カンニング問題で厳しく接することもあるのですが、学生たちが慕ってくれているのを実感しました。日曜のチャリティーイベントを通して、彼らとの距離が更に縮まったこともあるかもしれません。

こんな心温まる交流があるから、教師の仕事はやめられないんです。給料は激安で、日本大使館もない国ですが、その分やりがいを感じることも多々あります。自分を慕ってくれている学生たちのために、これからも頑張ろうと思います。

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学生たちが開いてくれた誕生日パーティー。高価な皮の財布や、ギターケースをプレゼントしてくれました。シャンパンまで開けて飲みました(大学内でいいんでしょうか?!)。その後、歌ったり踊ったりと楽しい時間を過ごしました。

さて、今年の誕生日は私にとって大変重要な日となりました。というのも……その日に婚約したからです。相手はアルメニア人で、彼女の家で婚約パーティーをしました。37歳にして結婚、そしてアルメニア人の伴侶を持つことになりました。

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指輪を渡して晴れて婚約です。詳しいことはまたの機会に…

チャリティーコンサート成功! 

昨晩のチャリティーコンサートですが、朝から雨が降っていたにも関わらず、多くの人が来てくれました。ホールは、ほぼ満席になりました。二つのテレビ局も撮影に来てくれて、明日にはアルメニアで放送されるでしょう。

歌や踊りで参加してくれたアルメニアの人たちに感謝です。とにかく、私の学生たちにはお礼の言葉が見つかりません。やはりプロではないですから、上手にできないこともありましたが、本当に一生懸命やってくれました。私も、彼らと素晴らしい時間を共有することができました。

何よりコンサートを主催してくれた友人、見に来てくれた人たちに心から感謝しています。遠いアルメニアからも日本を応援しています。復興への道のりは長く大変なものだと思いますが、日本はきっと復活できると信じています。アルメニアの人々もそう信じてくれています。

微力ながら、私もここからずっと母国を応援し続けます。この困難を乗り越えて、世界から尊敬される国になることを祈っています。頑張れ、日本!

写真や動画を撮る余裕は全くなかったので、何とか集めて後日少しでもアップしたいと思います。明日は、私の人生のビッグイベントがありますが、それもまた後日ご報告します。