アルメニアでクーデター騒ぎ?! 

日本でもニュースになったようですが、昨日はアルメニア国内が混乱しました。これほど緊迫した状況になったのは久しぶりで、ネット上でも様々な情報が錯綜していました。しかし、実際には、報道されているようなクーデター騒ぎではありませんでした。その事の経緯を以下にまとめます。

きっかけは、先日パシニャン首相が、サルグシャン前大統領の「なぜロシアから購入したイスカンデル弾道ミサイルを戦争中に有効に使わなかったのか?」という問いに対して、「欠陥品で10%しか爆発しなかった」と答えたこと。この発言を軍の副参謀長官が嘲笑したため、パシニャン首相は同長官の解任を決定しました。ロシアは、パシニャン首相のイスカンデルに関する発言について、「誤った情報に基づいている」と抗議しました。

しかし、この解任決定を不服とする軍参謀本部が、「まともな政治決定を行う能力がない!」として、パシニャン政権の退陣を要求する声明を出しました。これに対して、パシニャン首相は参謀長官の解任も決定し、「軍によるクーデターの試みだ!」と訴え、支持者らに抗議集会に参加するよう呼びかけました。ちなみに、二人の軍長官は、パシニャン首相の解任決定に大統領が署名しない限りは解任されません。

この一連の出来事に対し、戦争後からパシニャン首相の辞任を求めて抗議活動を行っている野党グループも集会を開くことを発表し、支持者らに参加を呼びかけました。そのため、共和国広場ではパシニャン首相が主導する集会が、オペラ前の自由広場では野党グループが主導する集会が同時に実施されることになりました。

集会でパシニャン首相は、「私にとって、解任した軍のトップらも敵ではなく同胞だ。しかし、軍が政治に関与することは許されない。政権交代は、あくまで主権者である国民の意思によって行われなければならない」と訴えました。野党グループは、「敗戦の責任はパシニャン首相にあり、危機的な状況にある母国の舵取りを任せることはできない。パシニャン首相はすぐに辞任すべきだ」と訴えました。

対立する勢力が同時に大規模な集会を開いたため、衝突や暴動に発展するかもしれないと危惧されましたが、特に大きな混乱はありませんでした。ただ、集会後も野党グループの支持者の一部が、国会議事堂前にバリケードやテントを設置して抗議活動を続けているようです。パシニャン首相は、野党グループとの対話を呼びかけています。

報道によると、パシニャン首相の集会には約2万人、野党グループの集会には約1万人ほどの市民が参加したそうで、依然としてパシニャン首相に対する支持の方が高いようです。というより、革命前の政権に対する嫌悪感がかなり根強いと言った方がいいかもしれません。野党グループには、前政権が大きく関与していますからね。

上記が事の経緯ですが、軍参謀本部は、現政権の退陣を要求しただけで権力奪取など主張していないので、クーデターでは全くありません。そのため、私は大事にはならないだろうと思いつつ、冷静に情勢を見守っていました。そして、夕方には、いつも通り子供たちをレゴ教室に連れて行きました。交通規制による渋滞が心配でしたが、逆に道は空いていて、とてもスムーズに到着できました。街中も至って平穏でしたね。

とはいえ、軍内部に不満分子はいるし、野党グループも抗議デモを継続しているため、いまだ国内情勢は不安定ではありますが、国防大臣は現政権に対して批判的な言動は一切しておらず、国防省も「政治には関与しない」と公式に表明したことから、クーデターなどが起こる可能性は低いと言えます。

それどころか、今回の騒動も、結果的にはパシニャン首相に有利に働いたような気がします。パシニャン首相は、今回の出来事をクーデター疑惑と騒いで危機感を煽り、国民の自身への支持を一層強化しようとしたのではないか…と個人的には思っています。政治は駆け引きですから、けっこうあり得る推測かもしれません。

しかし、いつまで国内の対立や混乱は続くのでしょうか…この背景には、「敗戦そして領土を失うという結果は、アルメニアにとって受け入れがたいものだ」という考えがあります。アルメニア人にしたらそう思うのは仕方ありませんが、私はその考えには同意できません。戦争中、特に戦争後から、私がずっと抱き続けている違和感の原因はここにあります。

なぜなら、戦争において完全な善や悪など存在せず、領土問題は大きな妥協をすることでしか解決できないからです。それを長年の交渉で実現できずに、昨年の戦争と敗戦という結果を招いたのは、アルメニア側の頑な姿勢にも原因はあったと思います。まして戦争前の状況も、根深い対立が続き、毎週のように若い兵士が命を落とすなど、平和からは程遠いものでした。

また、この国内の対立や混乱は、最も重要なカラバフのアルメニア人の存在が無視されているようにも感じます。というのも、従軍していた人や戦争後にカラバフを訪問した人の話を聞くと、カラバフの人々の緒戦や現状に対する考えは、アルメニア本土のそれとは異なっている部分があるのです。本土のアルメニア人は、自分が信じる正義を振りかざす前に、カラバフの実際の状況やカラバフ住民の意見にもっと関心を寄せるべきではないでしょうか。そして、長期的な視点で、国の安定と発展のためにはどうしたらよいかを考えるべきではないでしょうか。

とにかく、昨日の出来事はクーデター騒ぎなどではないので、どうかご安心ください。今日は目立った混乱もなく、いつもと変わらない平穏な日常に戻っています。停戦からまだ半年も経っていないので、不安定な要素があるのは仕方なく、今後もいろいろと起こるかもしれません。でも、それらを乗り越えて、きっと平和な社会が実現すると信じています。それだけが、私にとって受け入れられる結果です。

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昨日もいつも通りレゴ教室に子供たちを連れて行きました。他の子供たちもちゃんと来ていました。

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レゴ教室の近くの公園。集会が行われている場所以外は至って平穏でした。クーデターなど起こっていないので、どうかご心配なく!

3千人を超えるアルメニア人戦没兵 

寒い日が続いています。晴れているから暖かそうに見えても、外に出ると突き刺さるよう寒さ。日中でもマイナス気温ですからね。道の雪がガチガチに凍っていて危ないです。しかし、明日から寒さが和らぐという予報が出ており、恐らく今が真冬のピークではないでしょうか。

ナワリヌイ氏の釈放を求めるデモがロシア全土で発生しています。プーチン大統領が所有するという豪華な宮殿の映像も公開され、デモ参加者らは、「プーチンは泥棒だ!」と抗議を行っており、多くの逮捕者が出たと報じられています。欧米寄りのメディアは、腐敗したプーチン政権への国民の怒りがついに爆発!と報道していますが、実際にどれだけの市民がナワリヌイ氏や現政権の打倒を支持しているのだろうか…と、私は勘ぐってしまいます。アルメニアの革命も、なぜか親露政権に対する抗議デモと誤って報道されていましたしね。

また、変異種の問題などで収束の見通しが立たないコロナですが、入院拒否者に50万円以下の罰金という法案まで検討されるなんて流石にやり過ぎ…季節性インフルエンザも頻繁に変異して、毎年1千万人が感染するのに、コロナだけやたら恐怖が煽られている気がします。ちなみに、アルメニアは新規感染者が減り続けており、最近は一日200人前後となっています。感染拡大防止のための国内検疫体制は今年7月まで延長されましたが、社会はほとんど普通に動いています。コロナでロンドンの病院に入院中だった大統領も退院したそうです。

さて、ロシア・アルメニア・アゼルバイジャンの副首相らが、近日中にモスクワで協議を行うという報道がありました。二週間前の首脳会談で、「3か国の副首相を共同議長とするワーキンググループは、1月30日までに最初の会合を開催し、当該地域の鉄道や道路など交通輸送について議論する」という合意がなされているからです。

具体的には、アルメニア領土を経由して飛地ナヒチェバンとアゼルバイジャン本土を結ぶ鉄道、またアゼルバイジャン領土を経由してアルメニアとロシア・イランを結ぶ鉄道の再開などについて話し合われます。この計画が実現すれば、この地域における経済効果はかなり大きいですが、両国民の不信感や敵対心は根深いし、アゼルバイジャンに拘束された捕虜の返還の問題が未解決なので、まだ先行きは不透明です。トルコも国交正常化交渉の再開を示唆していますが、同じく前途多難でしょう…

戦闘が行われた地域での遺体回収作業が進められており、新たに回収された遺体の数や戦没兵の名前などが時折ニュースで流れます。20日時点で、計3,349人の死者が確認されたそうです。うち数百人については、身元確認作業が行われているとのこと。真冬の捜索活動は困難でしょうから、最終的な死者数が把握されるまでには更に時間を要するかと思います。いずれにしても、3千人以上の命が亡くなったという事実は重い…

アルメニアの人口は3百万ほどですから、もし日本の人口に当てはめると13万人以上が亡くなったことになります。しかも、その多くが二十歳前後の若者。6週間の戦争でこれだけ多くの犠牲が出たこと、そして残された遺族の悲しみや苦労を思うと言葉がありません…とにかく悲惨すぎます。

そして、激しい戦闘によって、身体や精神に重度の障害を抱えることになった兵士も数多くいます。負傷した妻の親戚も、いまだに自分で歩くのも苦労する状態で、残酷な戦場の記憶にも苦しんでいます。彼らの治療やリハビリ、今後の生活支援は国の大きな課題です。そのための寄付や援助活動が行われていますが、アルメニア系の米国ロックバンド「System Of A Down」も、今週末にオンラインでチャリティーライブを行うと発表しました。

彼らは、戦争中に15年ぶりとなる新曲を発表し、その売り上げを全てアルメニアとカラバフの人道支援のために寄付しました。今回のライブイベントの収益も全て、負傷兵の治療やリハビリのために寄付されるそうです。詳しくは同バンドのYouTubeの公式チャンネル(英語)をご覧ください:System Of A Down YouTube Channel

ちなみに、明後日1月28日は「軍隊の日」というアルメニアの祝日となっています。国を守る軍隊の貢献を称え、戦死者を追悼する日で、政治家や軍経験者らが参加して様々な式典が行われます。停戦からまだ2か月半ほどしか経っておらず、大きな犠牲を出した上に、事実上の降伏という結果に終わったので、今年はアルメニア人にとって、とても辛く重い日になりそうです。私もその日は、改めて戦争の犠牲者に追悼を捧げたいと思います。

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「三つの丘」と呼ばれる軍記念墓園。今もお墓が増え続けています。戦争の悲惨さを思い知らされる風景です。

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漢字を学べるゲームアプリで遊ぶアレンとレオ。アレンには2年生の漢字を少しずつ教えています。息子たちが大きくなる頃には、戦争の不安などない社会になっていてほしいと願います。

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寒いから、先週作った雪ダルマがまだきれいに残っています。

3か国首脳会談の主な合意内容 

天気予報どおり、昨日から寒さが和らいで、今日は青空も見えていました。積もった雪も溶けています。数日この天気が続いて、来週からまた寒さが厳しくなるそうです。今月下旬以降は、なんと最低気温がマイナス20℃近くになる日もあるみたい…世界的に寒さが厳しい冬になりそうです。

この寒さもあってか、コロナの感染が拡大しており(PCRで陽性=感染ではありませんが…)、五輪開催も危ぶまれています。中止の場合、1兆円を超える経費はどうなるんでしょうかね。日本の大村智氏が開発したイベルメクチンが変異種に対しても効果があるという報道もありましたが、依然として収束の兆しが見えません。ちなみに、インフルエンザ患者は昨年に比べて99%以上も激減しているそうです。

昨日から学校と幼稚園が再開し、子供たちも通っています。二人とも朝はかなり眠そうで、私と妻も頑張って起きています。あと、今日からレゴ教室も再開したので、アレンとレオを連れて行きました。久しぶりにレゴで遊んで、とても嬉しそうでした。このレゴ教室のお陰もあってか、家でも二人とも根気よくレゴやマグネットボールで遊ぶようになりました。特に飽きやすかったアレンが、一つのことに集中するようになったのは良い変化です。

さて、昨日モスクワで、ロシア・アルメニア・アゼルバイジャンの3か国の首脳が会談を行いました。2か月前に締結された停戦合意の当事国で、停戦以降初の会談となりました。アルメニアとアゼルバイジャンの両首脳が握手したり、直接会話する様子は映っていませんでしたが、それは当然でしょう。会談の場にいるだけで、「裏切り者!」と怒り狂う自国民がいますからね。

4時間に及ぶ会談が終わり、新たな合意文書に署名がなされました。以下が、その合意の概要です。

◆3か国の副首相を共同議長とする共同ワーキンググループの設立
◆ワーキンググループは、今月30日までに最初の会合を開催し、当該地域の鉄道や道路など交通輸送について議論する
◆ワーキンググループは、アルメニアとアゼルバイジャンの領土を通じた国際輸送を確立し、その安全確保に必要な交通網を復旧または建設する

主に経済問題などが議論される会談であったため、当該地域の交通や輸送に関連するものとなっています。昨年11月の停戦合意に「当該地域の国境封鎖、また経済・貿易・交通の遮断を開放する」という項目があり、プーチン大統領も会談冒頭で、この合意項目の実現の重要性を改めて強調しました。

具体的な内容については、会談後にアリエフ大統領が、「ナヒチェバンとアゼルバイジャン本土が、アルメニア領土を経由した交通で結ばれる。アルメニアは、アゼルバイジャン領土を経由する鉄道によってロシアやイランと結ばれる」と述べました。アルメニアとナヒチェヴァン・アゼルバイジャン本土の間にはソ連時代の鉄道網があり、それを復旧させるのでしょう。

もし上記の計画が実行されれば、30年前の第一次カラバフ戦争以来ずっと封鎖されていたアルメニアとアゼルバイジャンの国境が開くことになります。また、それをきっかけに、同じく封鎖されているアルメニアとトルコとの国境も開く可能性が出てきます。両国は、過去にお互い歩み寄ったこともあるのですが、虐殺の歴史問題とカラバフの領土問題が原因で、結局は対立を解消できずに終わりました。

とにかく、画期的な合意がなされたことは確かです。しかし、アルメニア側の最大の懸念事項である捕虜返還については、今回あまり議論されず、未解決のままです。パシニャン首相も、「カラバフの法的地位の問題、そして喫緊の捕虜返還の問題が解決には至っておらず、まだ対立は解消されていない」と述べました。もちろん一回の会談で全て解決するのは困難であり、今後も話し合いを重ねる必要があると付け加えました。そういった政治的な問題だけでなく、両国民の敵対心や不信感もまだ根強いので、今回の合意に対しても国内で大きな反発があるかもしれません。

前回の記事に書いたように、私はこの問題について、一方の見解や立場に偏らない、どんな意見や情報も鵜呑みにしない、短期的な視点で物事を判断しないよう努めているので、今回の合意に関しても、現時点で何か結論づけたり、良し悪しを判断するつもりはありません。戦争を含めて起こっていることは全て歴史の変化であり、まだ最終的な結果と言えるものは出ていませんからね。

私が何よりも望む結果とは、戦争という悲劇が二度と繰り返されないことで、その希望を捨てずに情勢を見守り続けています。今後も情勢に変化などがあれば、当ブログでなるべく客観的に伝えていきたいと思います。

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2週間ぶりのレゴ教室で楽しそうなレオ

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アレンも楽しそう。今日は自由制作で、車を作っていました。

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他の子供と車をぶつけあって遊んでいました。

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お正月のプレゼントであげたマグネットボールで遊ぶアレン

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頑張ってきれいな球体を作りました。以前より集中力がついてきたように思います。

停戦合意の当事国首脳らが明日会談 

日本は寒波の影響で寒いそうですね。アルメニアも寒いですが、今日は少し寒さが和らいだように感じます。来週は5〜6℃ぐらい気温が上がるらしく、明日から子供たちが学校と幼稚園に通い始めるので助かります。2週間ずっと家にいた子供たちも明日はきっと朝起きるのが辛いでしょうね…

日本は緊急事態宣言が出されて、またコロナ騒ぎが再燃していますが、アルメニアは状況が落ち着いているため、教育機関も通常通り再開され、特に規制が厳格化される様子はありません。昨年の夏頃までは、コーカサス地域で飛び抜けて感染者数が多かったのに、今では隣国のジョージアやアゼルバイジャンが日本に追いつきそうな勢いです。私個人は、ロックダウン云々ではなく、寒くなったり、検査数が増えたりすれば、陽性者数が増えるのは当たり前のことに感じます。

ところで、昨日1月9日は、故セルゲイ・パラジャーノフの誕生日でした。波乱万丈の人生を生きた偉大なアルメニア人映画監督で、前衛的かつ芸術的な彼の作品は私も大好きです。「私は愛で世界に復讐する」という言葉を彼は残していますが、それは今とても心に響きます。

アメリカではバイデン氏が正式に次期大統領に認定されましたが、その時にトランプ支持者らが議事堂内に乱入して死傷者まで出る騒ぎとなりました。さすがにこれはちょっと酷すぎ…この事態を受けて、米政界ではトランプ氏の弾劾訴追の動きが広がっているようです。アルメニアでも、昨年11月9日深夜に停戦合意が発表された後、怒り狂った市民らが政府建物に乱入して、国会議長がリンチされて重傷を負う騒ぎがありましたが、あれも本当にアカン!と思いました。

私は、バイデン陣営が不正を行った可能性は高いと思っているので、「公正な選挙結果を覆そうとするトランプ支持者ら」とか「負けを認めない往生際の悪いトランプ大統領」といった報道には違和感を感じますが、それでも今回の騒ぎは非難されるべき蛮行だったことは確か。まあ、アメリカの選挙システムはいつも不正が横行する酷いもので、鼻っからあの国には真の民主主義なんてありません。それに問題は分断ではなく、深刻化する格差なんですけどね。

とにかく、この最悪の幕引きによって、ただでさえ嫌われ者だったトランプ大統領への評価はさらに悪化するでしょう。しかし、在任中に戦争を一度も起こさなかったのはアメリカ近代史上初で、これは高く評価されるべきことだと思います。これからアメリカを率いるバイデン政権や民主党も、この方針は引き継いでほしいと願います(すでに無理な気はしていますが…)。

さて、先ほど現地ニュースを見たら、明日11日にパシニャン首相がモスクワを訪問し、ロシアとアゼルバイジャンの首脳と会談するそうです。2か月前に締結された停戦合意の当事国による重要な会談で、停戦以降初となります。現在の状況や今後のことなどが話し合われる予定ですが、アルメニア側の最大の懸念は、捕虜返還と行方不明の兵士の問題。何よりもまず、この問題について大きな進展や合意が不可欠だとアルメニア政府は述べています。

というのも、アゼルバイジャン側に身柄を拘束された捕虜の一部がまだ帰還しておらず、行方不明の兵士の安否も問題となっているのです。その家族らの忍耐も限界を超えており、政府や防衛省に対して抗議デモを行っています。彼らの不安な気持ちを考えると、その訴えも理解できますし、一刻も早く解決されるべきだと思います。明日の会談では、早急な解決に向けて建設的な話し合いが行われることを願います。

いつもの如くアルメニア国内では、その会談について様々な憶測や意見、噂や情報がネットに流れていますが、私自身は、このカラバフを巡る問題に関して、一方の見解や立場に偏らない、どんな意見や情報も鵜呑みにしない、短期的な視点で物事を判断しないように努めています。

基本的に心がけていることですが、今回の戦争と戦後の混乱を通じ、自戒も込めて、改めてそう固く心に決めているのです。なので、会談の内容や結果がどういうものであっても、なるべく冷静に情勢を見守るつもりです。そして、また当ブログで情報をお伝えできればと思っています。

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教会の前の木が真っ白なクリスマスツリーみたいになって美しい。

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すごく寒いけど、この冬らしい景色には見惚れてしまいます。

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どこも真っ白で絵になります。

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この寒い中、子供たちは元気にしています。アレンが人形劇を始めました。騒がしいけど、常に何か遊びを考える子供の思考ってすごい。

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それを見たレオも始めました。ストーリーは全く意味不明でしたが、可愛らしかった!

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部屋の壁を上って得意げなアレン

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それを真似したレオも自力で上れてビックリ!以前は足がまともに届かなかったのに…成長しているんですね。

停戦合意から1か月半のアルメニア 

昨晩から降り続く雪が積もって、朝起きると外は銀世界になっていました。子供たちも大喜びで、レオは幼稚園で雪遊びをしたようです。寒いけど、その美しさと静けさに心が落ち着きます。今年もあと1週間ほどですね。

英国などでコロナの変異種の感染拡大が問題になっているようです。重症化率や致死率の変化についてはまだ分からないようですが、感染力が従来型より70%も強いと報道されています。そのため、欧州ではロックダウンが再開され始めています。今年は本当にコロナで始まってコロナで終わるという感じですね…

当初からコロナは感染力が強いウイルスとされていますが、私はそれを「移動力」と考えています。というのも、ウイルスが付着しただけでは感染とは言えず、私たちは常に周りに様々なウイルスが存在する中で生きていますが、本来の免疫や抵抗力で撃退して感染に至らずに済んでいます。しかし、PCR検査では粘膜に付着しているだけでも陽性扱いになることが多いため、調べれば調べるほど「感染者」は増え続けます。それを「感染力が強い」と表現することには違和感を感じるのです。

さて、停戦合意からちょうど1か月半が経ちました。戦没者への服喪期間が月曜に終わり、昨日は野党グループ「救国運動」が全国規模のデモを行いました。かなり大人数が共和国広場に集まったという報道もあれば、実際にはそれほどではないという報道もあり、情報ソースによって大きく違いがあります。とりあえず国全体が混乱するほどの騒動にはならなかったようです。

また、前回の記事に書いたように、アゼルバイジャンと国境を間近に接することになり、安全の問題が危惧されている南部地方をパシニャン首相が月曜に訪問しました。いくつかの街や村は住民が道を封鎖して訪問できなかったようですが、シシアンという街の住民とは対話したようです。

その際に話題になったのは、シシアンにある教会の神父がパシニャン首相との握手を拒んだこと。その情報や映像が流れて、パシニャン首相の支持者と反対する市民とがネット上で激しくやり合っていました。停戦後からずっとこんな感じで、見ていて気が滅入ります。いろんな意見を自由に表明できること自体は良いのですが、お互いに自分が信じたいことだけ信じ、見たいだけことだけ見て、聞きたいことだけ聞いて、意に反するものは決して認めようとせず、感情的に批判し合う状況は問題です。

戦争中、私が辛かったのは人の死と悲しみ、そして憎悪と不信感の連鎖、盲目的なナショナリズムや自己肯定、排他的かつ不可逆的な社会の空気でした。その偏った空気の中で、どこか葛藤や苦悩を抱えながら、私はアルメニア側からの情報を発信していました。当時はアゼルバイジャンと戦っていたので仕方なかったかもしれませんが、停戦後も、国内では同じような状況が続いているように感じています。

もちろん今も、国内情勢に関するニュースはいつも見てはいますが、周りのアルメニア人と政治的な話はなるべくしないようにしています。センシティブな話題であることも理由ですが、異なる意見や不都合な情報に対して冷静に耳を傾けられないのであれば、お互い平行線のままで終わるし、相手が感情的になるだけで話す意味がありません。

なので、私はただ情勢を冷静に見守るように努めています。アルメニアに10年以上住み、アルメニア人と結婚しているとはいえ、所詮は外国人の立場ということもありますが、「歴史の必然の展開は、人間の理解を待たない」という自分なりの哲学もあるからです。これは、作家の小松左京氏が京大生時代に先輩から聞いた言葉だそうで、一つの真実を端的に言い表しているように私は思います。

人生と同じく歴史において起こる出来事の多くは、様々な要素が絡み合い、必然的に起こっています。今回の戦争も、このタイミングで起こるべくして起こったと言えるでしょう。そして、その結果についても同様です。多くのアルメニア人にとって納得できないものであっても、歴史というのは、人間の価値基準や判断などとは関係なく、常に動き続けているのです。結局のところ人間は、後で振り返って評価したり、反省したり、また理解するしかできません。

こう書くと、全て仕方ないと諦めているかのように思われるかもしれませんが、決してそういう意味ではありません。私たちがただ前にしか進めないのであれば、すでに起こってしまったことは必然だと受け止め、今は冷静に考えて行動すべきだと言いたいのです。見聞きする情報に振り回されず、自分が信じ込んでいるものは本当に正しいのかと立ち止まること、そして異なる意見も尊重し、建設的な議論ができるような寛容さを持つこと。国の重大な局面にある今、それはとても大切なことではないでしょうか…

実際に戦争を経験して、これほど悲惨なものはなく、絶対に起こってはならないと痛感しました。しかし、ずっとアルメニアはそのリスクの中に存在してきたことは事実です。毎週のように兵士が前線で死に、数年に一度は大規模な軍事衝突が発生していました。そう考えると、やはり今回の戦争は歴史の必然だったと言えます。そして、それが必然であるならば、私はこの変化に対してもどこか希望を持ち続けたいし、アルメニア人はきっと乗り越えられると信じています。だから、今後も情勢を冷静に見守っていきたいと思います。

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昨晩から雪が降り積り、エレバンは銀世界になりました。

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日曜はエレバン中心部に家族と出かけて、教会に立ち寄りました。

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服喪期間だったので、戦没者の慰霊のために祈りを捧げました。

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レオが妻のセーターの中に潜り込んで、三人目を妊娠したかのような姿に!大変な1年だったけど、いつも子供たちの無邪気さに心癒されました。