アルメニア人虐殺問題
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最近は、アルメニアとトルコの国交正常化に向けた動きについて、記事を書いています。1世紀に及ぶ断絶の歴史に終止符が打たれるのか…アルメニアに住んでいる私としては注目すべき事です。しかし、過去の虐殺を巡る両国の歴史認識には、相当の隔たりがあります。
「アルメニア人大虐殺」とは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、オスマン帝国が行ったとされるアルメニア民族に対する迫害事件のことです。特に、第一次大戦中に起こったアルメニア人強制移住では、数百万単位の犠牲者が出たとも言われています(詳しくはこちら)。
アルメニアは、組織的虐殺としてトルコを非難し続けています。また、海外のアルメニア系移民のロビー活動も強力で、フランスでは「アルメニア人虐殺否定禁止法」という言論の自由を制限する法律が可決したほどです。しかしトルコ政府は、「あくまで戦時中の強制移住によって、結果的に大量のアルメニア人の犠牲者が出てしまった」と、頑なに組織的虐殺を否定しています。犠牲者の数についても、両国間でかなり意見が異なります。
1915年の虐殺が開始された4月24日は、アルメニアでは「虐殺の犠牲者の記念日」とされていて、エレバンの丘の上にある虐殺記念碑に、多くの人々が慰霊に訪れます(偶然ですが、アルメニアに本を送る会の発足日も4月24日)。アルメニア人にとって、この民族の悲劇は忘れ難い歴史なのです。
虐殺の規模や経緯については、諸説あり、私としては一つの見方になるべく偏りたくはありません。しかし、多くの罪のない人々が命を落としたことは事実です。アルメニアとトルコが、今後の対話を通して、少しずつ歩み寄ってほしいと願います。
エレバンの虐殺記念碑。慰霊碑では、常に火が燃やされています。4月24日の記念日に、多くの人々が慰霊碑まで歩いて花を捧げます。併設された博物館では、虐殺について、写真や文献などで詳しく説明されています。当然アルメニア側の見方ですが、この虐殺問題は日本で知られていないので、アルメニアに来られたら、是非訪れてほしい場所です。
- [2009/10/17 08:50]
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